ヨークシャーテリアの故郷から「ワン!」ツール・ド・フランス観戦は犬を連れて イギリスの沿道に集まった愛くるしい仲間たち
熱心な動物愛護国として知られるイギリスでは、家族の一員である犬も電車やタクシー、店舗といった公共の場で行動を共にすることが一般的。沿道へ鈴なりになったツール・ド・フランスの観戦客の合間にも、おとなしく飼い主に寄り添う愛くるしい犬たちの姿が目立った。ヨークからシェフィールドまで201kmの第2ステージの途中で、そんな犬たちの“表情”を追った。(シェフィールド 柄沢亜希)

ヨークシャーと言えばこの犬種、ヨークシャーテリアだ。アルフィーくんはお母さんとお父さんに連れられて、ハワースの町で2週間のバカンス中。この日、ツール・ド・フランスが通過するということで、スタートから75.5kmに陣取った。
ここは両側におしゃれなレストランやカフェ、ショップが建ち並んでいるものの、コースは石畳の坂道で、第2ステージの見どころのひとつ。朝から多くの観客が詰めかけていた。
アルフィーくんはおとなりの地方、ランカスター出身。沿道で翻る青地に白バラのヨークシャーの旗を横目に、お父さんが「ランカスターは赤なんだよな」とちょっと面白くなさそうにつぶやいた。お母さんは「この町のすてきなブティックできのうドレスを買ったばかりなの」と上機嫌だ。
英国内で登録数最多と言われるラブラドール種も多く見かけた。茶色のラブラドール“チョコラブ”のララちゃんは、ビールを片手に仲間と談笑中のお母さんに連れられておすわり。聞けば、「ここ友人宅でツールに合わせてチャリティーイベントを開催中なの。ビールを飲むのにちょうど良い言い訳ね」という。ララちゃんの写真をCyclistに掲載する旨を伝えると、「チェックするわね!」と大喜び。“わが子”の写真に夢中になるのは万国共通だ。
ミックス(雑種)のフォキシーちゃんとフィーヴィーちゃんは、トレーニングを積んでレスキュードッグとなった優等生。この日はお母さん、お父さんとともにリラックスしてツール・ド・フランス観戦をしていた。
また、人懐こい笑顔のゴールデンレトリバー、リボウスキーくんは今回のコース近くに住んでいるお姉さんといっしょにレースを2時間待ち。「私は自転車に乗らないけれど、こんなに近くで見られるなんてすばらしいことね」と話すお姉さんと、教会前の特等席にたたずんでいた。