序盤から激しい攻防、完走わずか13人鈴木譲がサバイバルレースを制して2年ぶり勝利 Jプロツアー「東日本ロードクラシック」

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 国内ロードレースのシリーズ戦「Jプロツアー」の第10戦となる、「JBCF 東日本ロードクラシック 修善寺大会」が6日、静岡県伊豆市の日本サイクルスポーツセンターで開催された。レースは序盤から有力選手の激しい攻防が繰り広げられ、7人の先頭集団による上りスプリントを制した鈴木譲(宇都宮ブリッツェン)が優勝した。シリーズポイント首位に与えられるルビーレッドジャージは、増田成幸(宇都宮ブリッツェン)の手に渡った。

上りゴールでロングスプリントを仕掛けた鈴木譲(宇都宮ブリッツェン)が優勝上りゴールでロングスプリントを仕掛けた鈴木譲(宇都宮ブリッツェン)が優勝
1週間前の全日本ロードで新チャンピオンとなった佐野淳哉(那須ブラーゼン)。チャンピオンジャージは残念ながら間に合わず1週間前の全日本ロードで新チャンピオンとなった佐野淳哉(那須ブラーゼン)。チャンピオンジャージは残念ながら間に合わず
P1スタート前、ランキング上位選手が前列に並ぶP1スタート前、ランキング上位選手が前列に並ぶ

 コースは通常の5kmサーキットを右回りで使用。フィニッシュライン前後が上りとなるレイアウトだ。P1(Jプロツアー)のレースは24周、120kmで争われた。梅雨の合間の晴天に恵まれ、レースは終始ドライコンディション。1週間前の全日本選手権ロードで優勝した佐野淳哉(那須ブラーゼン)も出場したが、このレースには日本チャンピオンジャージが間に合わず、お披露目は次戦の石川ロード(7月20日)までお預けとなった。

序盤からサバイバルレースの展開に

 レースはスタート直後からアタックの掛け合いになった。1周目のラップは7分40秒ほどと、このコースでは最速に近いタイムを刻んだ。平坦がほぼ存在せず、ひたすらアップダウンを繰り返すコース。99人が出走したが、メーン集団は2周目には40人程度、3周目には20人程度にまで一気に絞り込まれた。

2周目のメーン集団、先頭は堀孝明2周目のメーン集団、先頭は堀孝明
序盤の攻防。土井雪広がペースアップ序盤の攻防。土井雪広がペースアップ
3周を終えてメーン集団はすでにかなり小さい3周を終えてメーン集団はすでにかなり小さい
アタック合戦が続くアタック合戦が続く
集団から抜け出した増田成幸とホセビセンテ・トリビオ集団から抜け出した増田成幸とホセビセンテ・トリビオ
徐々にトリビオの動きが目立つようになる徐々にトリビオの動きが目立つようになる

 集団では昨年のツアーチャンピオン、ホセビセンテ・トリビオ(チームUKYO)や、土井雪広(同)、増田成幸(宇都宮ブリッツェン)ら有力選手が展開をリード。新ロードチャンピオンの佐野も積極的な反応を見せる。逃げができては吸収される動きは、スタートから5周を過ぎても繰り返され、選手の大半がこの時点でメーン集団から遅れてしまった。

 その後、トリビオの動きが目立つようになる。メーン集団は7人の先行グループと8人の追走グループに分かれ、この先行グループから7周目、ついにトリビオが単独アタックを決めた。残された7人が追走の7人と合流して、14人のメーン集団を形成。レースは4分の1を過ぎ、出走選手の8割以上を振り落として、ようやく落ち着きを見せることになった。

7周目に単独抜け出したホセビセンテ・トリビオ7周目に単独抜け出したホセビセンテ・トリビオ
集団は宇都宮ブリッツェンがコントロール。集団後方の土井は次の展開をうかがう集団は宇都宮ブリッツェンがコントロール。集団後方の土井は次の展開をうかがう

逃げるトリビオ、追うブリッツェン

 先頭で快調に逃げ続けるトリビオ。一方、メーン集団では宇都宮ブリッツェンが先頭を固め、阿部‎嵩之、堀孝明がペースを作る。ブリッツェンは増田、鈴木真理、鈴木譲もこの集団に入っており最大勢力。またチームUKYOは土井、平井栄一、シマノレーシングは畑中勇介、入部正太朗、那須ブラーゼンは佐野、普久原奨が集団に加わっている。

淡々とペースを刻むトリビオ淡々とペースを刻むトリビオ
ブリッツェンの応援の前を通過するメーン集団ブリッツェンの応援の前を通過するメーン集団

 しかし8周目の下りで、佐野がクラッシュ。鈴木真理が巻き込まれ、鈴木は集団に復帰したものの、佐野は激しい擦過傷を負ってリタイアとなってしまう。骨などに影響は無かったのが不幸中の幸いだというが、新チャンピオンとしての初レースは、ほろ苦い結果となってしまった。

 集団はブリッツェンがコントロールし、トリビオとの差を1分前後に保って周回を重ねる。レースが残り10周を切ると、差は徐々に縮まり、残り7周で約30秒の差となった。

補給を受け取るトリビオ補給を受け取るトリビオ
補給エリアを通過するメーン集団補給エリアを通過するメーン集団
徐々に先頭とメーン集団の差が詰まってきた徐々に先頭とメーン集団の差が詰まってきた

終盤の混戦を制したのは赤い軍団

 18周目、近付いたトリビオに向けてメーン集団から土井がアタック。チームUKYOの2人が先頭で合流して、いよいよ終盤の攻防が始まった。ここまで集団を引っ張った阿部‎と堀、また本来は平坦を得意とするセバスチャン・モラ(マトリックスパワータグ)が集団から脱落した。

終盤の攻防が開始。ロイック・デリアックがアタック終盤の攻防が開始。ロイック・デリアックがアタック
役目を終えた堀孝明がメーン集団から遅れる役目を終えた堀孝明がメーン集団から遅れる
増田と畑中のアタック増田と畑中のアタック

 一旦11人の集団に戻ってから、今度は19周目に増田と土井が抜け出す。これも潰されたあとは増田と畑中、さらに20周目には増田が単独での逃げを敢行する。しばらく単独で先頭を走った増田に21周目、入部が追い付き、さらに土井が合流して3人の先頭集団となった。追走は鈴木真理、鈴木譲、トリビオ、武末真和(ロヂャースレーシングチーム)、ロイック・デリアック(チームJBCF)の5人。畑中、平井、普久原は遅れる。

20周目、アタックを仕掛ける増田成幸20周目、アタックを仕掛ける増田成幸
増田に入部が合流増田に入部が合流
先頭を追う集団、トリビオがペースを作る先頭を追う集団、トリビオがペースを作る
先頭を追う土井雪広先頭を追う土井雪広

 22周目、先頭3人に追走が3人と2人のグループに分かれる。追走グループからは脚が攣った鈴木真理が脱落するが、それ以外の4人は周回終盤の上りで先頭に追い付き、7人の先頭集団となった。残り2周は若干牽制状態となり、アタックを試みる選手はいるものの、どれも決め手を欠いたまま、勝負はゴール前の上りスプリントへと持ち込まれた。

 観衆が待つゴール前に、最初に姿を見せたのはブリッツェンの赤いウェアに身を包む鈴木譲だった。土井が追いかけるが並ぶことはできず。そのまま先頭でガッツポーズを決めてゴールを駆け抜けた。2位は土井、3位には入部が入った。最終的な完走者は、わずか13人だった。

集団は1つに戻る集団は1つに戻る
残り1周目前、大きく蛇行して牽制しあうメーン集団残り1周目前、大きく蛇行して牽制しあうメーン集団
ゴール前、先頭に飛び出したのは鈴木譲ゴール前、先頭に飛び出したのは鈴木譲
ロングスプリントを掛けた鈴木譲。後ろから追う土井は届かないロングスプリントを掛けた鈴木譲。後ろから追う土井は届かない

地域に根ざすブリッツェン、一丸のチームワークで勝利

 優勝した鈴木譲は、2012年のJプロツアー開幕戦・下総ロード以来の勝利。長く所属したメーカー系チームから、今季は地域密着型の宇都宮ブリッツェンに移籍。地元のファンから常に応援されながら走ることで、「モチベーションが変わった」という。この日も宇都宮からファンがバスツアーで応援に訪れた。決して調子は良くなかったというが、「自分のためだけでなく、チームのためにも勝ちたかった」とロングスプリントでワンチャンスをものにした。

笑顔でゴールの増田成幸笑顔でゴールの増田成幸

 終盤に積極的な動きを見せた増田は、鈴木譲の優勝を後方から確かめ、笑顔でガッツポーズしながらゴールした。上りではチーム随一の実力を誇る増田だが、この日は一つひとつの上りが短いことから、チームの作戦としては最初から増田でなく、スプリント力のある鈴木真理、譲を勝たせる作戦だったという。中盤の集団コントロールを阿部‎と堀が担った後、終盤は増田が集団をまとめつつ、自らも攻撃を仕掛けることで、ライバルの脚を削り、エースの体力を温存させた。

 増田は5位に入ったことでポイントランキング首位となり、約2年ぶりにルビーレッドジャージに袖を通した。「ジャージを狙うよりも、とにかくチームで勝ちたかった」と、リーダージャージ獲得はあくまで“おまけ”だという。一週間前の全日本ロードでは思うような結果を残せなかったが、この日は内容と結果が伴ったレースで、表情にも満足感があふれる。今後のツアーについては、「変に守りのレースでなく、面白いレースをして、結果が付いてくるといいですね」と抱負を語った。

2位に敗れた土井雪広だが、「面白かったです。最初からどんどん集団が小さくなって気持ちよかった」とレース内容には納得の表情2位に敗れた土井雪広だが、「面白かったです。最初からどんどん集団が小さくなって気持ちよかった」とレース内容には納得の表情
3位の入部正太朗。持ち前のスプリント力で「狙っていた」というが、激しいレース展開に余力を残すことができなかった3位の入部正太朗。持ち前のスプリント力で「狙っていた」というが、激しいレース展開に余力を残すことができなかった

第11戦「石川ロード」は20日に福島県で開催

 次戦の「石川サイクルロードレース」は2週間後の7月20日、福島県の石川町を中心に開催される。スピード系ながら厳しいアップダウンが続く公道コースで、総合的な実力が問われるレースだ。

(文・写真 米山一輝)

P1表彰式P1表彰式
ルビーレッドジャージの増田成幸と、ピュアホワイトジャージの堀孝明ルビーレッドジャージの増田成幸と、ピュアホワイトジャージの堀孝明

P1結果
1 鈴木譲(宇都宮ブリッツェン) 3時間33分21秒
2 土井雪広(チームUKYO) +1秒
3 入部正太朗(シマノレーシング) +3秒
4 ホセビセンテ・トリビオ(スペイン、チームUKYO) +8秒
5 増田成幸(宇都宮ブリッツェン) +9秒
6 ロイック・デリアック(フランス、チームJBCF) +12秒
7 武末真和(ロヂャースレーシングチーム) +15秒
8 普久原奨(那須ブラーゼン) +2分55秒
9 畑中勇介(シマノレーシング) +2分56秒
10 平井栄一(チームUKYO) +2分56秒

Jプロツアーリーダー(ルビーレッドジャージ)
増田成幸(宇都宮ブリッツェン)

U23リーダー(ピュアホワイトジャージ)
堀孝明(宇都宮ブリッツェン)

F結果
1 金子広美(イナーメ信濃山形-EFT) 1時間00分42秒
2 西加南子(ルミナリア) +3分18秒
3 智野真央(ニールプライド・メンズクラブ JFT) +3分18秒

Jフェミニンリーダー
棟近陽子(EURO-WORKS Racing)

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