イエローに染まったグランデパールの街ツール・ド・フランス誘致の立役者 「ウェルカム・トゥ・ヨークシャー」ヴェリティ代表の情熱

  • 一覧
「Welcome to Yorkshire」のゲイリー・ヴェリティCEO「Welcome to Yorkshire」のゲイリー・ヴェリティCEO

 2014年のツール・ド・フランスのスタート地「グランデパール」となるイギリス中部のリーズは、古くから栄え、現在もこの地域の中核を担う都市だ。洗練された首都ロンドンよりも明るくて活気がありながら、どこか田舎臭さが残る雰囲気が親しみやすい。この地へツールを呼んだ立役者であり、今回のグランデパール運営をはじめ地域活性化を担う団体「ウェルカム・トゥ・ヨークシャー」(Welcome to Yorkshire)の代表を務めるゲイリー・ヴェリティ(Gary Verity)さんに話を聞いた。(リーズ 柄沢亜希)

4年ごしの構想を実現

 少年の頃からツール・ド・フランスのテレビ放送を見て育ったというヴェリティさん。テレビに映る自転車競技に目を輝かせていた当時は、「女子で世界チャンピオンに5回輝いたベリル・バートンはリーズ出身だし、イギリス人で初めてツールを完走したブライアン・ロビンソンもヨークシャー地方出身。素晴らしい選手が活躍していた」という時代だ。いつしか地元でツール・ド・フランスを開催することが、夢になっていた。

ヨークシャー地方はすっかりツール一色。旧郵便局前の像もイエローのシャツにお色直し。花壇はイエローの花で飾られていたヨークシャー地方はすっかりツール一色。旧郵便局前の像もイエローのシャツにお色直し。花壇はイエローの花で飾られていた

 金融業などの経験を経て、2009年に「ウェルカム・トゥ・ヨークシャー」を発足させた。本格的なグランデパール誘致構想は4年前に始まり、それから大会を呼べる環境を整えるべく奔走。何十というレースを視察し、地域の理解を求めるためにこの2年間で1万以上もの取り組みを進めてきたという。その結果、「リーズ市民の98%から賛同を得る」に至り、イベントの準備もすっかり整った。

ヨークシャーのいたるところで見かける黄色にペイントされた自転車ヨークシャーのいたるところで見かける黄色にペイントされた自転車

 リーズの町のいたるところには、黄色にペイントされた自転車が飾られているが、それは「市民がレースや選手を温かく迎えようという証」とヴェリティさん。「観客には、ツール・ド・フランスの色や音、匂いを感じてもらいたい。実際に目にすれば、その規模に驚くに違いない」と、いたずらっ子のように笑った。

タフなコースをフルームとともに設定

 ヨークシャー地方を走る第1・第2ステージのコース設計は2012年に行われた。「選手のことを第一に考えたい」と入念に下調べし、クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)も実際に走るなどして携わったという。そのフルームは翌年のツールで総合優勝を成し遂げた。

街角で見かけたデザインもこのとおり街角で見かけたデザインもこのとおり

 2つのステージには3つの国立公園が組み込まれた。地元のサイクリストの間ではよく知られている標高532m、平均勾配6.8%のバタータブス峠は、第1ステージの2つ目の山岳として登場する。ヴェリティさんは5km弱のこの峠を実際に自転車で上ったことがるといい、「部分的に勾配が20%の場所もある」とその厳しさをアピールする。が、自身の登頂タイムは教えてくれなかった。

 王者フルームの“お墨付き”をもらったコースについて、ヴェリティさんは「美しいヨークシャーの風景に設定されたタフなステージは、選手たちにとって驚きとなるはずだ」と自信をのぞかせた。また第1ステージがゴールする街、ハロゲートは、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファルマ・クイックステップ)の母の故郷。ヴェリティさんは「スプリンターの彼が、山岳を含むこのステージをどのように勝ちにくるか」と活躍に期待している。

来年から「ツアー・オブ・ヨークシャー」を開催

 ヴェリティさんたちは、ツール・ド・フランスの開催地として盛り上げるだけでなく、自転車競技文化を総合的に発展させていく取り組みも進めている。

ヨークシャーの紋章「白バラ」をモチーフにデザインされたジャージヨークシャーの紋章「白バラ」をモチーフにデザインされたジャージ

 来年からは、毎年5月に3日間のロードレース「ツアー・オブ・ヨークシャー」を開催。第1回の日程は5月1日から3日とすでに決まっている。日本で5月に行なわれる「ツアー・オブ・ジャパン」と同じUCIカテゴリー2.1クラスのレースで、ヴェリティさんは「各国からプロ選手を集めたい」と意気込んでいる。

 ツール・ド・フランスをヨークシャーへ招致するという大きな事業を率い、いよいよ実現の日を迎えるヴェリティさん。最後に、ここまでやってこられた秘訣を尋ねると、「ひとえにツールへの情熱」ときっぱり言い切った。そして「これを終えたら、まずはゆっくり寝たいね!」と笑った。

 インタビューの終了と同時に、ツール・ド・フランスを取り仕切るアモリ・スポル・オルガニザシオン(ASO)社の賓客を迎えるため、巻いたレッドカーペットを持つスタッフを連れて足早に空港へと向かった。

この記事のコメント

利用規約順守の上ご投稿ください。

関連記事

この記事のタグ

インタビュー ツール・ド・フランス2014 ツール2014・コラム

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

e-BIKE最新特集

スペシャル

自転車協会バナー

ソーシャルランキング

インプレッション

  • タイム
    アルプデュエズ01 ディスク

    ディスクブレーキで伝統の走りを進化

  • リブ
    AVAIL ADVANCED

    走る好奇心を止めない リブの新型‟無敵”ロードバイク

  • インプレッション一覧へ

    連載