ゴール直前で與那嶺恵理を抜き去り劇的勝利萩原麻由子が復活のWタイトル獲得 全日本選手権ロードレース・女子エリート詳報

  • 一覧

 全日本選手権大会ロードレースの女子エリートが6月29日、岩手県八幡平市で開催され、萩原麻由子(ウィグル・ホンダ)が2年ぶり4度目の優勝を飾った。残り1周前から単独先行した昨年の女王、與那嶺恵理(サクソバンクFX証券)を最後の上りで追いつめ、ゴール直前で逆転しての劇的な勝利で、個人タイムトライアルに続き女王の座を奪還した。

ゴール直前で萩原麻由子(ウィグル・ホンダ)が與那嶺恵理(サクソバンクFX証券)を抜き去ったゴール直前で萩原麻由子(ウィグル・ホンダ)が與那嶺恵理(サクソバンクFX証券)を抜き去った
女子エリートのスタート女子エリートのスタート
スタート後、雨足が強まるスタート後、雨足が強まる

與那嶺 vs 萩原 マッチレースの様相

 レースは15.8kmのコースを8周回する、63.2km。2年前、同じ八幡平のコースで行われた全日本ロードでは、萩原が與那嶺をゴールスプリントで下している。しかしその後、若い與那嶺が実力を伸ばし、昨年は萩原を寄せ付けず圧勝。立場を逆転して迎えた今年の全日本だが、2日前に行われた個人タイムトライアルでは萩原が終始リードを保って優勝し、復調してきたことをアピールした。

 かつての女王が完全復活を見せるのか、若き女王がそれを阻止するのか。レースは両者のマッチレースが予想される中でスタートした。朝から降り続く雨は徐々に強まり、霧で視界も悪い状態に。レース序盤は一つの集団でスローペースで進んだ。

 レースが動いたのは3周目。上りで萩原がアタックし、単独で抜け出すと、これを與那嶺が追走する。半周かけて與那嶺が萩原に追い付いたが、2人はここで一旦スローダウン。後続の集団とまた一つになった。

3周目が終わるところで、萩原麻由子がアタック3周目が終わるところで、萩原麻由子がアタック
集団からは與那嶺恵理が追走する集団からは與那嶺恵理が追走する
6周目、上りを走る10人強のメーン集団6周目、上りを走る10人強のメーン集団

 レース中盤、同時進行していた男子エリートの集団が後方に近づいてきたため、これを先に行かせようと、女子のレースは一時完全にストップされた。全ての集団のタイム差を保つように行われたが、雨が降る中で10分近く停止することになり、まさにレースに水を差された状況になってしまった。集団では目立った動きがないが、自然にその人数が絞られてきている。

40秒差を徐々に詰め、一気に逆転

 再びレースが動いたのは、残り1周を前にした上り。ついに與那嶺がアタックを仕掛けた。集団の後方に下がっていた萩原は反応が遅れてしまい、少し後から追走する。集団は一気に崩壊し、前の2人以外は、はるか後方に。いよいよ最後の勝負が始まった。

7周目の上りで仕掛けた與那嶺。このアタックは「予定通り」だったという7周目の上りで仕掛けた與那嶺。このアタックは「予定通り」だったという
集団からは萩原が追走。そのスピードに後ろに付く上野みなみ(鹿屋体育大学)が思わず離れる集団からは萩原が追走。そのスピードに後ろに付く上野みなみ(鹿屋体育大学)が思わず離れる
先行する與那嶺と、追う萩原。集団はバラバラに先行する與那嶺と、追う萩原。集団はバラバラに

 上りを終えて最終周回に入った時点で両者の差は15秒ほど。長い下り区間でその差は徐々に広がり、40秒差で残り3.5km地点を通過。萩原は万事休すか、というムードの中で最後の上り区間へ突入したが、今度は萩原が差を詰め始めた。

 数百mおきに頻繁にタイム差がチェックされるが、その度に萩原が5秒ずつ縮めてくる。ゴール地点から望める残り100m地点へ、先に姿を見せたのは萩原。脚が止まった與那嶺を一気に抜き去り、手を挙げてゴールを切った。

手を挙げてゴールを切る萩原手を挙げてゴールを切る萩原
「ありがとうございます」と大きな声を上げながらゴールした與那嶺。最後力を使い果たし、まっすぐ走れない状態だった「ありがとうございます」と大きな声を上げながらゴールした與那嶺。最後力を使い果たし、まっすぐ走れない状態だった

ペダルを後押しした恩師の檄 プロとしての目標と自信

 「勝てるぞ、目一杯いけ」

 先頭を追う萩原に上りの中腹で、実業団チーム時代の恩師、三浦恭資さんがコース脇から檄を飛ばした。当時、上りで先行する選手を追い込む練習を何度も重ねていた。「教えてもらったことを思い出した」とペダルを踏み込んだ。「全力を出して2位ならそれでいい。練習のつもりで最後まであきらめずに走った」という萩原が、劇的な逆転勝利を成し遂げ、女王の称号を取り戻した。

ゴールを切り、笑顔がこぼれる萩原。ゴール脇には大学時代の恩師、鹿屋体育大学の黒川監督の姿もゴールを切り、笑顔がこぼれる萩原。ゴール脇には大学時代の恩師、鹿屋体育大学の黒川監督の姿も

 大学卒業後、国内の実業団チームに籍を置いていた萩原だが、さらなる飛躍を目指して昨年、イギリスのプロチームに移籍した。しかし慣れない環境と、「プロとしての自覚が足りなかった」ことから、レースの結果はおろか、出場すらままならない状態が続き、逆に力を落としてしまったという。昨年は全日本でも與那嶺に完敗し、プライドは完全に打ち砕かれていた。

日本チャンピオンジャージでジロ出場へ

 散々な結果に終わったプロ1年目だが、それでもチームは萩原との契約を更新。それに報いる形で萩原は徐々にチーム内でのポジションを確立しつつある。全日本のすぐ後には、女性版のジロ・デ・イタリアに出場する。「ナショナルフラッグを付けて走るのが凄く嬉しいです」と淡々と語る中に、これまでにない自信が満ちていた。

(文・写真 米山一輝)

故郷・群馬から応援に訪れた両親に祝福される萩原故郷・群馬から応援に訪れた両親に祝福される萩原
女子エリート表彰女子エリート表彰

女子エリート(126.4km)
1 萩原麻由子(ウィグル・ホンダ) 3:52:02
2 與那嶺恵理(サクソバンクFX証券) +13秒
3 合田祐美子(早稲田大学) +2分34秒
4 上野みなみ(鹿屋体育大) +2分35秒
5 﨑本智子(ナカガワAs’kデザイン) +2分39秒
6 米田和美(Ready Go JAPAN) +2分43秒
7 西加南子(LUMINARIA) +2分43秒
8 樫木祥子(駒沢大) +2分50秒
9 金子広美(イナーメ信濃山形) +2分57秒
10 齋藤望(日本体育大) +4分35秒

この記事のコメント

利用規約順守の上ご投稿ください。

関連記事

この記事のタグ

全日本ロード2014 全日本ロード2014・レース詳報 萩原麻由子

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

e-BIKE最新特集

スペシャル

自転車協会バナー

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載