「自転車都市」で好サイクル 大阪・堺

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 子供から大人まで、幅広い世代に身近な交通手段として親しまれている自転車が、環境への配慮や健康志向の観点からも注目を集め、まちづくりの「切り札」になりつつある。そんな中、堺市が、自転車をまちの交通機関の中心に据えた「自転車都市」を目指すことになり、自転車の存在感はさらに増している。(秋山紀浩)

 南海高野線堺東駅前(堺市堺区)の駐輪場の一角に、「堺」の文字が入った自転車が並ぶ。環境に優しい自転車を交通手段としてもっと活用してもらおうと、堺市が整備した「さかいコミュニティサイクル」の貸し出し用自転車だ。1カ月の定期利用料金は2千円。市内に4カ所ある貸し出し所であれば、どこででも返却が可能で、平成22年9月から始まった取り組みだが、23年10月には1日あたりの契約台数が250台を超えた。

 堺市の担当者は「通勤や通学に利用する人も増えてきた。みんなで共有することで、放置自転車の減少にもつながっている」と話し、手応えを感じている。

 自転車による環境問題への取り組みが堺市で本格化したのは、低炭素社会の実現に挑戦する政府の「環境モデル都市」の認定を受けた21年から。堺市自転車まちづくり推進室の岡本吉章参事は環境モデル都市構想についてこう話す。

 「温室効果ガスを出さないクリーンな交通機関として、過度な自動車利用をなくし、自転車で移動する交通スタイルを前面に出して計画を立てました」

 大手自転車部品メーカー「シマノ」をはじめ、多くの自転車関連メーカーが集まる堺市は、全国の自転車・自転車部品の約50%を製造・出荷している。名実ともに「自転車のまち」の同市にとって、自転車はより身近な交通手段だ。世界遺産登録を目指す仁徳天皇陵古墳なども抱え、観光面でも自転車の活躍の場は広がる。

 堺市は、自転車が環境や健康などの分野で発揮する力を「自転車力」と定義。小回りがきき、健康づくりにも役立つクリーンな交通手段として多方面にメリットをもたらすとし、自転車力が生かせる社会をつくるために、「人づくり」「迷惑利用ゼロづくり」「暮らしづくり」「道づくり」の4項目を柱に据えている。

 車道と完全に隔てられた自転車道の整備などハード面での改善を進めるとともに、ソフト面では、交通ルールを順守した自転車利用を率先する「自転車リーダー」の養成など、独自のアイデアで事業を展開している。

 一方で、自転車利用が進んでも、放置自転車が増加することになれば本末転倒だ。堺市は、JRや私鉄、地下鉄の市内27駅のうち、23駅に駐輪場を整備した。

 「一人ひとりのモラル向上とともに、施設の充実をはかってきた」と、市自転車対策事務所の貝塚耕一所長が話すように、駐輪場整備だけでなく、駅前に勝手に駐輪しないよう呼びかけを徹底した結果、平成2年に2万6483台だった市内の放置自転車が、22年には1335台に激減したという。

 現在の課題は、ちょっとした買い物の間だけ商店街などに駐輪する自転車の取り扱いだ。

 貝塚所長は「クリーンな交通手段として今以上に活用してほしいが、そのためには一定のマナーを守ることが大事。市もさらなるマナー向上を伝えていきたい」と話している。

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