ツール・ド・フランス2014 コースプレビュー<後編>険しいアルプス、ピレネー、そして最終決戦は長距離TT フランス南部をゆく後半ステージ

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 ツール・ド・フランス2014の後半ステージは、フランス南部が舞台。ツールには欠かせないアルプス、ピレネーの両山脈が今年も選手たちを待ち受ける。険しい山々を越えると、第20ステージには総合優勝争いを決定づける長距離の個人タイムトライアル(TT)が控える。そして7月27日、パリ・シャンゼリゼ大通りでのフィナーレへと向かう。

2013年のツール・ド・フランスはクリストファー・フルームがマイヨジョーヌを着てシャンゼリゼ大通りを駆け抜けた(砂田弓弦撮影)2013年のツール・ド・フランスはクリストファー・フルームがマイヨジョーヌを着てシャンゼリゼ大通りを駆け抜けた(砂田弓弦撮影)

第11ステージ(ブザンソン~オヨナ、187.5km、中級山岳ステージ) 7月16日(水)

第11ステージ コースプロフィール ©A.S.O.第11ステージ コースプロフィール ©A.S.O.

 7月15日に1回目の休息日で心身を休めた後、プロトンはアルプス山脈を目指す。その最初のステージは、ヴォージュ山脈を静かに終えた選手たちが狙いを定める1日となるかもしれない。

 細かいアップダウンを経て、終盤に4つのカテゴリー山岳があるが、いずれもアタックで決定的な差を生み出すには難易度が低めだ。メーン集団から飛び出すよりも、逃げに加わり、少人数でのスプリントに賭ける方が勝利するには賢明か。

第12ステージ(ブールカンブレス~サンテティエンヌ、185.5km、中級山岳ステージ) 7月17日(木)

第12ステージ コースプロフィール ©A.S.O.第12ステージ コースプロフィール ©A.S.O.

 中級山岳ステージにカテゴライズされているが、後半の3級と4級のカテゴリー山岳を耐えることができれば、スプリンターにもチャンスはある。

 一方、スタートから39.5km地点に中間スプリントポイントが設けられており、ここに狙いを定めるスプリンターも少なくないだろう。逃げ切るチャンスがあるステージだが、容認されるとすれば中間スプリント通過後か。

第13ステージ(サンテティエンヌ~シャンルース、197.5km、上級山岳ステージ) 7月18日(金)

第13ステージ コースプロフィール ©A.S.O.第13ステージ コースプロフィール ©A.S.O.

 ツールと言えばアルプス山脈のステージが大きな見どころとされるが、このステージでようやく“アルプスらしさ”を感じさせるコースが登場する。ポイントは、この日のラスト63.5km。1級山岳バラキ峠(登坂距離14.1km、平均勾配6.1%、最大勾配11.7km)はツール初登場。そして、最後は超級山岳シャンルース(登坂距離18.2km、平均勾配7.3%)で頂上ゴールを迎える。

 総合争いにおいて決定的な動きこそ少ないかもしれないが、取りこぼしは許されない。また、この段階でライバルから後れを取っている選手には、挽回するチャンスでもある。

第14ステージ(グルノーブル~リズール、177km、上級山岳ステージ) 7月19日(土)

第14ステージ コースプロフィール ©A.S.O.第14ステージ コースプロフィール ©A.S.O.

 スタート直後から上り基調。40km地点に設けられた中間スプリントポイントを通過すると、以降は総合上位陣のための時間だ。中盤の1級山岳ル・ロタレ峠、続く超級山岳イゾアール峠でメンバーが絞り込まれ、ラスト12.6kmからは1級山岳リズールの頂上ゴールを目指す。

 若手の登竜門であるツール・ド・ラヴニールや、ツール前哨戦のクリテリウム・ドゥ・ドーフィネでコースに加えられ、今回の出場予定選手の中にもこの山岳でのレース経験が豊富な選手は多い。2013年のドーフィネ第8ステージでは、クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)が総合優勝を決定させ、アンドルー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)は2010年ラヴニール、2013年ドーフィネとこのコースでステージ優勝争いを演じた経験を持つ。

第15ステージ(タラール~ニーム、222km、平坦ステージ) 7月20日(日)

第15ステージ コースプロフィール ©A.S.O.第15ステージ コースプロフィール ©A.S.O.

 プロトンは早くもアルプスに別れを告げ、決戦の場となるピレネー山脈に向けて進路をとる。第7ステージ以来の平坦ステージとあって、スプリンターが勝利に燃えることだろう。

 総合争いを見据えるライダーにとっては、勝負の3週目に備えて平穏に終わらせたいところ。ただ、地中海から吹き付ける風には注意したい。強い風がプロトンを分断し、思いがけない差がついた例もあるからだ。

第16ステージ(カルカッソンヌ~パニエール・ド・リュション、237.5km、上級山岳ステージ) 7月22日(火)

第16ステージ コースプロフィール ©A.S.O.第16ステージ コースプロフィール ©A.S.O.

 21日に2回目の休息日をはさみ、いよいよピレネー山脈へ。その初日は今大会最長ステージ。超級山岳ポール・ド・パレス(登坂距離11.7km、平均勾配7.7%)をクリアすると、ゴールまでは21.5kmのダウンヒルとなる。

 このコースの傾向として、メーン集団より先に頂上を通過した選手はそのまま逃げ切ることが多い。また2010年には、ポール・ド・パレスの上りでアンディ・シュレク(当時サクソバンク・サンガード)にメカトラブルが発生。アルベルト・コンタドール(当時アスタナ)にマイヨジョーヌを奪われ、このステージでのタイム差がそのまま総合タイム差につながった。(※後にコンタドールはドーピング違反が認定され総合優勝を剥奪された)

第17ステージ(サン・ゴダンス~サン・ラリー・プラ・ダデ、124.5km、上級山岳ステージ) 7月23日(水)

第17ステージ コースプロフィール ©A.S.O.第17ステージ コースプロフィール ©A.S.O.

 今大会最長距離の翌日は、最短距離。しかし中盤から1級山岳3つ、そして超級山岳頂上ゴールとコースは険しく、クイーンステージ(最も厳しい難関ステージ)との呼び声も高い。距離が短い分、メーン集団はハイペースで山岳を攻めるはずだ。総合争いで逆転を狙う選手が捨て身のアタックを見せる可能性もある。一方で、シャンゼリゼを目指すスプリンターにとっては、何としてもタイムアウトを避けなくてはならない。

第18ステージ(ポー~オカタム、145.5km、上級山岳ステージ) 7月24日(木)

第18ステージ コースプロフィール ©A.S.O.第18ステージ コースプロフィール ©A.S.O.

 今大会最後の山岳ステージ。この日もレース距離は短く、ハイペースな争いになるだろう。2日後の個人TTに向け、優位に立ちたい選手やトップを射程圏内に捉えておきたい選手など、総合上位陣の間でもさまざまな思惑があるはずだ。

 おなじみのトゥールマレー(登坂距離17.1km、平均勾配7.3%)は、このステージ中盤に登場。頂上ゴールとなるオカタム(登坂距離13.6km、平均勾配7.8%)を前に、余裕を持ってクリアしておきたいところだ。山岳アシストが充実しているチームにとっては、まず逃げに登坂力のある選手を送り込んで、終盤でのアシストに備える作戦をとることも大いに考えられる。

第19ステージ(モーブルゲ・ペイ・デュ・ヴァル・ダドゥール~ベルジュラック、208.5km、平坦ステージ) 7月25日(金)

第19ステージ コースプロフィール ©A.S.O.第19ステージ コースプロフィール ©A.S.O.

 総合争い最終決戦となる個人TTを前に、一度平坦ステージでブレイクする。この日の主役はもちろんスプリンター。ポイント賞のマイヨヴェールを懸けて、中間スプリントから激しい争いが見られることだろう。

 ただし、油断は禁物。ゴールまで残り7km地点の4級山岳モンバジヤックは登坂距離1.3kmで平均勾配7.6%と、パンチャーにとって狙いどころでもあるのだ。思わぬ伏兵に勝利をさらわれないよう、スプリンターチームは上手くレースの主導権を握っておきたい。

第20ステージ(ベルジュラック~ペリグー、54km、個人TTステージ) 7月26日(土)

第20ステージ コースプロフィール ©A.S.O.第20ステージ コースプロフィール ©A.S.O.

 泣いても笑っても、2014年のツール・ド・フランスはこのステージで決着する。54kmの長距離個人TTは、TT能力によって2分から3分の差は簡単についてしまう。したがって、多少トップから遅れていたとしても、独走力があれば逆転が可能だ。パリ・シャンゼリゼでマイヨジョーヌ着用の栄誉を懸けて、総合上位陣のアグレッシブな走りに期待しよう。

 また、TTスペシャリストの見せ場でもある。どれほどのタイムをたたき出すのか、こちらも見逃せない。

第21ステージ(エヴリー~パリ・シャンゼリゼ、137.5km、平坦ステージ) 7月27日(日)

第21ステージ コースプロフィール ©A.S.O.第21ステージ コースプロフィール ©A.S.O.

 イギリス・ヨークシャー地方のリーズをスタートし、フランスを時計回りに一周してきた旅は、フィナーレを迎える。場所はもちろんパリ・シャンゼリゼだ。昨年は第100回大会を記念してナイトステージとして行われたが、今年は従来のレース時間に戻される。スタートからしばらくは恒例のパレード走行。3週間を走り抜いた勇者の行進だ。

 レースの本格スタートはシャンゼリゼに入ってから。シャンゼリゼ大通りのほか、ルーヴル美術館、コンコルド広場などを巡る。そして、このステージのゴールをもって、第101回ツール・ド・フランスの総合チャンピオンが決定する。マイヨジョーヌをはじめとする4賞、そしてチーム総合優勝、ステージ優勝者がシャンゼリゼ通りに設けられたポディウムに登壇。凱旋門をバックに祝福を受ける。

もう1つのツール・ド・フランス

 ツール最終ステージとなる7月27日、男子と同じシャンゼリゼ通りの周回コースを舞台に、女子レース「ラ・クルス・バイ・ル・ツール・ド・フランス(La Course by Le Tour de France)」が今年初めて開催される。

シクロクロスで6年連続、個人ロードでは2年連続で世界選手権を制している“女王”マリアンヌ・フォス(田中苑子撮影)シクロクロスで6年連続、個人ロードでは2年連続で世界選手権を制している“女王”マリアンヌ・フォス(田中苑子撮影)

 これは、現ロード世界チャンピオンで“女王”として女子自転車競技界に君臨するマリアンヌ・フォス(オランダ、ラボ・リヴサイクリング)ら数人の女子選手が、男子選手同様にツールのコースを走る機会を設けるべきだとのロビー活動を展開。ツールを主催するA.S.O.がこれに応じる形で実現した。選手たちは、将来的にフランス各地を舞台とした数ステージのレース開催を提唱しており、今後も“女性版ツール・ド・フランス”の実現を目指す。

 A.S.O.は「ル・レディース・ツアー・オブ・カタール」や「ラ・フレーシュ・ワロンヌ・ファム」といった、男子選手と同じコースを使って行うレースを成功させており、ラ・クルスもそれに続きたいとしている。第1回でありながら、レースの模様は全世界に配信されるため、初代女王誕生のシーンを多くのファンが目にすることだろう。

 90kmで争われるレースは、女子ロードレースのトップをゆく20チームが出場。1チーム6人編成で、120選手がスタートラインに立つ。優勝候補はフォスのほか、大型スプリンターのキルステン・ワイルド(オランダ、チーム ジャイアント・シマノ)、ジョルジャ・ブロンツィーニ(イタリア、ウイグル・ホンダ)らが挙げられる。

 これからの成長が期待されるラ・クルス。その進化の過程もしっかりと見ておきたい。

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