ツール・ド・フランス2014 コースプレビュー<前編>7年ぶりにイギリスでツールが開幕 パヴェを越え、アルプスを目指す前半ステージ

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ツール・ド・フランス2014 ルートマップ  ©A.S.O.ツール・ド・フランス2014 ルートマップ  ©A.S.O.

 第101回目を迎えるツール・ド・フランスが7月5日に開幕する。今年のグランデパール(開幕地)は、イギリスはイングランド・ヨークシャー地方のリーズ。全22チーム、198選手(1チーム9人構成)が一斉に3週間の旅に出る。その間、フランス北部のパヴェ(石畳)区間を越え、大会のハイライトともなるアルプス、ピレネーの両山脈をめぐる。もちろん選手たちの最終目的地は、凱旋門を望むパリ・シャンゼリゼだ。最終日の7月27日、シャンゼリゼ大通りのポディウムで笑うのは誰か!?

 全21ステージを2回にわたり紹介します。各ステージの特徴を押さえ、ツールの開幕に備えよう。

■ツール・ド・フランス2014 ステージ概要

総距離3664km(ステージ平均約174.5km)
全21ステージ
平坦ステージ 9
中級山岳ステージ 5
上級山岳ステージ 6(うち頂上ゴール5)
個人タイムトライアルステージ 1
休息日 2

第1ステージ(リーズ~ハロゲート、190.5km、平坦ステージ) 7月5日(土)

第1ステージ コースプロフィール ©A.S.O.第1ステージ コースプロフィール ©A.S.O.

 イギリスは今年、ツール・ド・フランスとジロ・デ・イタリアの両方で開幕地誘致に成功した。ツールのグランデパールは7年ぶりにイギリスへ。イングランド・ヨークシャー地方のリーズをスタートする。

 進路を北西にとり、大会最初の山岳ポイントである4級クレイを越え、2つの3級山岳バタータブスとグリントン・ムーアを境に南下。リーズからほど近いハロゲートのゴールを目指す。3つの山岳ポイントはいずれも7%前後の勾配だが、ゴールまでは距離があるため、大会最初のステージ優勝とマイヨジョーヌはスプリンターの手にわたるだろう。並々ならぬ意気込みを見せるのは、母の故郷がハロゲートだというマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファルマ・クイックステップ)だ。

第2ステージ(ヨーク~シェフィールド、201km、中級山岳ステージ) 7月6日(日)

第2ステージ コースプロフィール ©A.S.O.第2ステージ コースプロフィール ©A.S.O.

 2日目にして早くも中級山岳ステージが登場する。2級から4級まで合計9カ所の山岳ポイントが設定されている。4月のリエージュ~バストーニュ~リエージュと酷似したコースとの評判も。山岳賞ジャージ(マイヨブラン・ア・ポア・ルージュ)をかけて、逃げメンバーが激しい争いを繰り広げるだろう。

 また、総合成績を見据える選手たちもうかうかしていられない。脱落することなく、メーン集団でゴールすることが絶対条件となる。このステージの勝者が、しばしマイヨジョーヌの栄誉にあずかることとなりそうだ。

第3ステージ(ケンブリッジ~ロンドン、155km、平坦ステージ) 7月7日(月)

第3ステージ コースプロフィール ©A.S.O.第3ステージ コースプロフィール ©A.S.O.

 イングランド北部での2日間を経て、イギリスでの最終日は首都ロンドンへ。2007年のツール開幕はロンドンでのプロローグだった。2012年にはオリンピックが開かれ、この数年間で自転車熱が高まっているだけに、沿道の熱狂の中でゴールを目指すこととなるだろう。

 オリンピック公園をはじめ、ロンドン市内の名所をめぐり、最後はバッキンガム宮殿前のゴールへ。イギリスが誇るスーパーチームでツール2連覇中のチーム スカイの凱旋であり、カヴェンディッシュが再び勝利に燃えるステージでもある。

第4ステージ(ル・トゥケ・パリ・プラージュ~リール・メトロポール、163.5km、平坦ステージ) 7月8日(火)

第4ステージ コースプロフィール ©A.S.O.第4ステージ コースプロフィール ©A.S.O.

 ドーバー海峡を越え、戦いはフランス本土へ。一部ベルギー国内を通過し、国境の街リールへ。サッカー、フランスリーグの名門、リール・メトロポールのホームスタジアムであるピエール・モーロワスタジアム前にゴールする。おおむねフラットで、勝者はスプリンターが予想される。

 しかし翌日に控えたパヴェステージを見据え、チームカーの配列を少しでも前にしたいチームが、総合順位を上げるために躍起になる可能性も。その場合、波乱含みの展開となることも考えられる。

第5ステージ(イーペル~アランベール・ポルト・デュ・エノー、155.5km、平坦ステージ) 7月9日(水)

第5ステージ コースプロフィール ©A.S.O.第5ステージ コースプロフィール ©A.S.O.

 確実に大会序盤のハイライトとなるパヴェステージ。ベルギー・イーペルをスタートした一行は、しばしの平穏を味わう。そして、“北の地獄”は87km地点から始まる。9つのセクション、総距離15.4kmの石畳区間が選手たちを苦しめる。

 パヴェ巧者たちのステージ優勝争いも見ものだが、有力チームはエースを守るべく動き、メーン集団は主導権争いが激化することだろう。クラッシュやミスなど、遅れは決して許されない。総合争いの生き残りをかけた戦いは最初のヤマ場を迎える。

パヴェを走るアルベルト・コンタドール。ツールにパヴェが登場するのは2010年の第3ステージ以来(砂田弓弦撮影)パヴェを走るアルベルト・コンタドール。ツールにパヴェが登場するのは2010年の第3ステージ以来(砂田弓弦撮影)
2010年の第3ステージではパヴェ巧者のファビアン・カンチェッラーラはステージ優勝を狙わず総合エースのアンディ・シュレックをアシストした(砂田弓弦撮影)4年前はパヴェ巧者のファビアン・カンチェッラーラがステージ優勝を狙わず総合エースのアンディ・シュレックをアシスト(砂田弓弦撮影)

・石畳区間
セクター9 87km地点 グリュゾン~カルフール・ド・ラルブル 1100m
セクター8 103.5km地点 アンヌヴラン~ポン・ティボー 1400m
セクター7 110km地点 モン・サン・ペヴェル 1000m
セクター6 114.5km地点 ベルセ 1400m
セクター5 125.5km地点 オルシ~ブーヴリー・ラ・フォレ 1400m
セクター4 131km地点 サール・エ・ロジエール~ティロワ・レ・マルシエンヌ 2400m
セクター3 135km地点 ブリオン~ヴァルラン 1400m
セクター2 140km地点 ヴァンディニ・アマージュ~オルナン 3700m
セクター1 149km地点 エレーム~ヴァレルス 1600m

第6ステージ(アラス~ランス、194km、平坦ステージ) 7月10日(木)

第6ステージ コースプロフィール ©A.S.O.第6ステージ コースプロフィール ©A.S.O.

 緊張の1日を経た総合系ライダーたちにとっては、恵みの平坦ステージと言えそうだ。コース途中では第1次世界大戦の激戦地、ソンムとシュマン・デ・ダムを通過するため、終戦から100年を追悼する意味も込められる。

 ゴール地点、ランスのヴィクトル・ユゴー大通りは、1100mのロングストレート。スプリントトレインの位置取りはもちろん、どのタイミングでエーススプリンターを発射させるかもカギとなる。天候次第では、風の影響も考えられる。

第7ステージ(エペルネ~ナンシー、234.5km、平坦ステージ) 7月11日(金)

第7ステージ コースプロフィール ©A.S.O.第7ステージ コースプロフィール ©A.S.O.

 平坦ステージにカテゴライズされるが、スプリンターにとっては一筋縄ではいかないコースレイアウト。ゴールまで約20kmを切ってから迎える2カ所の4級山岳で、パンチャーが何らかの動きを見せるはずだ。

 特に2つ目のブフレルス(登坂距離1.3km、平均勾配7.9%)は、頂上からゴールまで5.5km。アタックを成功させた選手が、ゴールまで一気に駆け下りる可能性が高い。

第8ステージ(トンブレーヌ~ジェラルメ・ラ・モズレーヌ、161km、中級山岳ステージ) 7月12日(土)

第8ステージ コースプロフィール ©A.S.O.第8ステージ コースプロフィール ©A.S.O.

 この日から3日間はヴォージュ山脈での山岳ステージ。スタートからしばらくはイージーだが、残り30kmを切ってから一気の上りへ。2カ所の2級山岳をクリアし、最後は3級山岳ジェラルメ・ラ・モズレーヌの頂上にゴールする。有力選手を抱えるチームが、上りに向けてペースアップを試みるシーンが見られそうだ。総合系ライダーにとっては、取りこぼしが許されないステージでもある。

第9ステージ(ジェラルメ~ミュルーズ、170km、中級山岳ステージ) 7月13日(日)

第9ステージ コースプロフィール ©A.S.O.第9ステージ コースプロフィール ©A.S.O.

 スタート直後からカテゴリー山岳が連続する。山岳賞ジャージが欲しい選手にとっては、逃げ集団に乗り込んでポイントゲットといきたい。状況次第では、メーン集団が逃げ切りを容認することも考えられる。

 このステージ最後の山岳ポイントである3級グラン・バロンの頂上からゴールまでは43km。しばしのダウンヒルを経て、最後の21kmは平坦となる。ピュアスプリンターには厳しいコースだが、“上れるスプリンター”を擁するチームが上りをうまくクリアできれば、チャンスが広がりそうだ。

第10ステージ(ミュルーズ~ラ・プランシュ・デ・ベルフィーユ、161.5km、上級山岳ステージ) 7月14日(月)

第10ステージ コースプロフィール ©A.S.O.第10ステージ コースプロフィール ©A.S.O.

 今大会最初の上級山岳ステージ。いよいよ総合優勝候補たちの競演が見られるだろう。序盤から1級、2級の山岳ポイントが連続して登場する。

 ここでどのチームが主導権を握ってレースを進めるかに注目したい。チーム スカイ、ティンコフ・サクソが中心か? ツール初出場のイアム サイクリングも強さを発揮するには好舞台。この日、独立記念日を迎えるフランスチームも黙ってはいないだろう。

2年前にクリストファー・フルームが頂上ゴールを制した地で、総合争いが繰り広げられる(砂田弓弦撮影ツール・ド・フランス2012)2年前にクリストファー・フルームが頂上ゴールを制した地で、総合争いが繰り広げられる(砂田弓弦撮影ツール・ド・フランス2012)

 残り30kmを切って迎える1級山岳レ・シュヴレール峠は登坂距離こそ3.5kmだが、平均勾配9.5%、最大勾配14.9%の難所。ここで絞られたメンバーが、1級山岳ラ・ブランシュ・デ・ベル・フィーユ(登坂距離5.9km、平均勾配8.5%、最大勾配20%)の頂上ゴールを争う。

 この地は2012年ツールでブラッドリー・ウィギンス(イギリス)をエースに据えたスカイ プロサイクリング(当時)が圧倒的な登坂力を見せ、ツールの支配を決定づけた山岳。その際はクリストファー・フルーム(イギリス)がステージ優勝を飾った。スカイ、フルームともに2年前の再現なるか。

(文・福光俊介)

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