爽快! 兵庫・神河町「名水街道」の自転車下り 憂さを忘れて夏の自然を満喫

  • 一覧
越知川名水街道を自転車で下る参加者ら =兵庫県神河町越知川名水街道を自転車で下る参加者ら =兵庫県神河町

 兵庫県の自治体で最も人口の少ない神河(かみかわ)町(約1万2500人)の観光エリアは、大きく分けて3つある。大河ドラマ「平清盛」のロケ地やススキの自生地で知られる砥峰高原を含む「大河内高原」、明治初期の馬車専用道路「銀の馬車道」、そして「越知川(おちがわ)名水街道」だ。この街道は、加古川水系と市川水系の分水嶺「千ヶ峰」(標高1005.2メートル)から流れる越知川沿いの自然を満喫できるエリア。透き通るような水質の川を横目に緩やかな坂を「シャーッ」と駆ける「越知川名水街道自転車下り」に参加した。 (産経新聞姫路支局 桑村朋)

から~い?出発

 参加したのは七夕の7月7日。前夜は活発な梅雨前線の影響により播州各地でも大雨が降り、当日もあいにくの雨模様。参加者らは雨がっぱを持参して午前10時半ごろ、神河町の神姫グリーンバス粟賀営業所に集まり始めた。神戸市や姫路市から来た10~50代の約15人が受付を済ませ、自転車と一緒にバスに乗り込む。さあ、日頃のストレスを解消する小旅行の始まりだ。

 バスの窓からは、これから自転車で楽しむ越知川が見え、田畑の中に建つ古民家の1軒1軒が好奇心をかき立てる。約20分で神河町の奥深く、作畑新田地区(人口約230人)にある総合レジャー施設「新田ふるさと村」に着いた。

 施設の人から町特産の「からかわ」と呼ばれるサンショウの木の皮でできたつくだ煮をいただいた。食べてまもなく舌がしびれ出すほど辛いが、香味がよく歯応えがある。ひと通り施設を見終わると、雨がっぱ(貸し出しもあり)を着ていざ出発した。

越知川名水街道を自転車で下る参加者ら =兵庫県神河町越知川名水街道を自転車で下る参加者ら

うれしい地元の歓迎

 雨がしとしとと降っていた。辺りに民家はあるが、めったに人を見かけない。顔や足がぬれるのもかまわず、風流を気取ってペダルをこぎ始めた。数分進んだところにある落差40メートルの不動の滝を右手に眺め、田舎道を悠々と下っていく。

 「どこから来たんですか」「お仕事は、学校は」…。知らない参加者同士も声を掛け合ううち、自然と仲良くなった。

「ふれあい喫茶 きちゃった」でちまきを食べる参加者ら =兵庫県神河町「ふれあい喫茶 きちゃった」でちまきを食べる参加者ら

 閉校した越知谷第二小学校に着いた。平成19年、山村留学を行う「神河やまびこ学園」に生まれ変わった校舎内には、週2日開店する「ふれあい喫茶 きちゃった」がある。「きちゃった」は「よく来てくれました」の方言。壁には俳優の小栗旬さんのサインが張ってあった。

 地元のおばあちゃんたちが心を込めて作ったちまきは、どこか懐かしい味。うれしくなって、手作りの「わら草履」を買った。少しサイズは小さめだったが、履き替えて再びペダルを踏み始めた。

秘密封じのお願い

 ある程度山を下ると、雨は止んで晴れ間が出てきた。作畑地区の氏神、大歳神社近くに3段積み重なった大きな岩を発見。「重箱石」と呼ばれ、ここで秘密封じのお願いをすると、“絶対に”ばれないそうだ。27年生きてきた記者は、負い目を感じていた数々の行いが世に漏れないよう両手を合わせて祈った。

越知川名水街道の途中にはアジサイが咲いていた =兵庫県神河町越知川名水街道の途中にはアジサイが咲いていた

 秋にはきれいな紅に染まる大畑地区の「大もみじ」を通過し、水の販売所「千ヶ峰南山名水」で休憩。千ヶ峰の名水でのどを潤し、名水を使ったわらびもちに舌鼓を打つ。さらに雨上がりに映えるアジサイの咲く道を通り、川の駅「越知」に着いた。

 川際まで降りられる階段に座り、地元の人が作った巻きずし弁当で昼食。心地よい川のせせらぎを聞きながらぜいたくなひとときを過ごした後は、野外活動施設「グリーンエコー笠形」や木工体験施設「かんざきピノキオ館」などに立ち寄った。その後も地元民の温かい歓迎を受けながら最後まで気持ちよく自転車をこぎ、スタートから約6時間後にゴールの神姫グリーンバス粟賀営業所に着いた。

越知川名水街道を自転車で下る参加者ら。看板があるので迷うことはない =兵庫県神河町越知川名水街道を自転車で下る参加者ら。看板があるので迷うことはない

地元のもてなしや自然に心洗われて

 コースは約20キロ。記者は時間をかけてあちこち寄り道したものの、ほとんどが緩やかな下り坂のため、スタートからゴールまでノンストップなら1~2時間程度。ルートを示す看板があるのも安心だ。

 どんな職業でもそうだが、新聞記者の仕事にも精神的に辛い取材がある。ただ、今回の自転車下りは都市部では味わえない体験で心が洗われた。

 無垢な表情で「ありがとう」「また来てな」という地元のおじいちゃん、おばあちゃん、子供たちや神河町の豊かな自然から、忘れかけていた大切な何かを改めて教わった気がした。その反動で、翌日からの日常の仕事がなんとなく苦痛だったのだが…。

■越知川名水街道自転車下り
参加費は1人1300円(バス代、保険料、レンタサイクル代、記念品込み。自転車持ち込みなら300円引き)。実施期間は毎年4月1日~11月30日。途中には家庭的な宿2軒があり、宿泊可能(要予約)。申し込み・問い合わせは神姫グリーンバス粟賀営業所(電話)0790・32・1021。

MSN産経ニュースwestより)

この記事のコメント

利用規約順守の上ご投稿ください。
  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

e-BIKE最新特集

スペシャル

自転車協会バナー

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載