手をとって並んでゴールイン、「最高の親孝行」徳田鍛造が弟・優と2人で逃げ切り2連覇達成 全日本ロードU23詳報

  • 一覧

 岩手県八幡平市で行われている全日本自転車競技選手権大会ロードレースは28日、U23(男子23歳未満)のレースが173.8kmで争われ、徳田鍛造(鹿屋体育大学)が4時間38分11秒で優勝した。昨年に続く同カテゴリー2連覇を、実弟の徳田優(同)との2人逃げという、ドラマチックなレース展開で飾った。(文・写真 米山一輝)

兄弟2人での逃げとなった。弟・優が兄・鍛造を引っ張る兄弟2人での逃げとなった。弟・優が兄・鍛造を引っ張る

弟が挙げた兄の手には「V2」のサイン

徳田鍛造がU23全日本2連覇を達成。すぐ横で弟・優が祝福徳田鍛造がU23全日本2連覇を達成。すぐ横で弟・優が祝福

 最高のゴールだ。レース後半に決まった兄弟2人での逃げ。残り2周から降り始めた強い雨をものともせず、最後まで逃げ切った2人は、手をとって並んでゴールイン。弟が握って高々と挙げられた兄の左手には、2連覇をアピールするVサインが作られた。ゴール直後、兄の鍛造は「最高の親孝行ができた」と感激の面持ちで語った。

 レースは15.8kmの周回コースを11周で争われた。150kmを超える距離は、国内で行われる同年代カテゴリーのレースとしては格別に長い。

スタートに並んだU23の選手たち。昨年優勝の徳田鍛造をはじめ、鹿屋体育大学勢が中央に並ぶスタートに並んだU23の選手たち。昨年優勝の徳田鍛造をはじめ、鹿屋体育大学勢が中央に並ぶ

 スタート直後から大学自転車競技界の王者、鹿屋体育大学を中心に展開された。下りのニュートラル区間が終わってリアルスタートが切られてすぐ、ディフェンディングチャンピオンの徳田がアタック。これは決まらなかったものの、アタック合戦となり、1周目終了時には4人の逃げが形成された。鹿屋体大はここに前日の個人タイムトライアルでU23王者に輝いた石橋学が入り、強力なペースで逃げを主導する。

1周目から形成された逃げ集団。湊諒(法政大)、石橋学(鹿屋体大)、倉林巧和(日体大)、新城雄大(那須ブラーゼン)1周目から形成された逃げ集団。湊諒(法政大)、石橋学(鹿屋体大)、倉林巧和(日体大)、新城雄大(那須ブラーゼン)
1周目を終えたメーン集団。一瞬静観するが、すぐに鹿屋体大を中心に追走の動きが始まった1周目を終えたメーン集団。一瞬静観するが、すぐに鹿屋体大を中心に追走の動きが始まった
2周目に形成された第1追走グループ。徳田鍛造が入る2周目に形成された第1追走グループ。徳田鍛造が入る
岩手山をバックに走る先頭グループ岩手山をバックに走る先頭グループ
レース中盤、先頭集団は7人になったレース中盤、先頭集団は7人になった
メーン集団メーン集団

 メーン集団からもすぐに追走の動きが始まり、いくつかの小さなグループが形成された。これらが離れたり合流したりを繰り返しながら、4周目には7人の先頭集団となった。鹿屋体大からは徳田鍛造、優の兄弟と石橋学、また日本大学の吉田悠人、久保田元気、そして湊諒(法政大学)、倉林巧和(日本体育大学)といった大学勢による集団だ。

 一方、1分半差のメーン集団では、上りで堀孝明(宇都宮ブリッツェン)らが攻撃を見せるが、有力大学が前の逃げに入っていることで、まとまった追撃の動きとはならない。中盤で一時、追走グループも形成されたが、すぐにメーン集団に飲み込まれてしまった。

5周目、倉林、久保田が遅れて先頭は5人に5周目、倉林、久保田が遅れて先頭は5人に
メーン集団で積極的に動きを見せた堀孝明(宇都宮ブリッツェン)だが、決定的な追走とはならずメーン集団で積極的に動きを見せた堀孝明(宇都宮ブリッツェン)だが、決定的な追走とはならず

「行くしかない、行ける!」 励まし合って“兄弟で独走”

 レースが半分を過ぎた6周目、倉林と久保田が遅れ、先頭は5人となる。続く7周目には、下りで先頭が分裂。前2人となった徳田兄弟が一気に後続に差を付け、“兄弟で独走”状態となった。コースは緩い下りが長く、集団が有利とされる。まだレースを1/3以上残した中での2人の逃げは、賭けのように思われた。しかしレース終盤になるにつれて、逆にメーン集団との差は広がることに。

 この時、先頭では、「行くしかない、行ける!」とお互いを励まし合いながら走っていたという。兄弟の絶妙なコンビネーションでペースを保った先頭に対し、一定した追走体制を築けなかったメーン集団は徐々に自滅していく形となった。

残り1周に入る先頭の2人。この少し前から強い雨が降り始めた残り1周に入る先頭の2人。この少し前から強い雨が降り始めた
残り1周に入る2分半差の第2集団。前の2人を捕えるには至らない残り1周に入る2分半差の第2集団。前の2人を捕えるには至らない

 残り2周から、コースには突然の強い雨が降り始めた。しかしこの雨も、「暑くて辛かったので、逆にありがたかった」というように、逃げる兄弟にとって恵みの雨になったという。追走の第2集団と2分半の差を持って残り1周に突入し、ようやく先頭の2人は勝利を確信。最後はスプリントで争うかとも思われたが、実は残り1周直前に、コース脇に立つ監督から「2人で手をつないで帰って来い」と言われていた。弟が兄に勝ちを譲る形で、兄弟仲良くゴールを切った。

最終周回、何度も握手を交わした兄弟。ゴールラインはるか前から、弟が兄の腕を高々と掲げた。至福の瞬間最終周回、何度も握手を交わした兄弟。ゴールラインはるか前から、弟が兄の腕を高々と掲げた。至福の瞬間
ゴール後、黒川剛監督とがっちり握手ゴール後、黒川剛監督とがっちり握手
この日先頭集団で走った鹿屋体大の3人。(左から)徳田鍛造、黒川剛監督、徳田優、石橋学この日先頭集団で走った鹿屋体大の3人。(左から)徳田鍛造、黒川剛監督、徳田優、石橋学

インカレでは弟・優の2連覇サポートへ

 ゴール後、兄の鍛造は「僕よりも(弟の)優が強かった。今回はあいつの男気に助けてもらいました」と弟を称えた。徳田兄弟は昨年、兄が全日本U23、弟がインカレ個人ロードを制している。最終周回に入って弟の優から「お前に全日本の2連覇をやるから、その代わり俺をインカレ2連覇させろ」と言われたという。「わかった」と応えた兄は、インカレでの弟の2連覇へのサポート、そして鹿屋体育大学のインカレ総合2連覇に向けて闘志を燃やす。

 昨年、全日本のU23で優勝した際には、「今度はインカレで総合優勝をして、黒川監督を男にしたい」と宣言し、見事それを叶えた徳田鍛造。男気あふれるチャンピオンは、大学最後のインカレに再び“男の約束”をもって臨む。

U23表彰。(左から)2位の徳田優、優勝の徳田鍛造、3位の秋田拓磨U23表彰。(左から)2位の徳田優、優勝の徳田鍛造、3位の秋田拓磨
徳田兄弟に加え、この日ジュニアカテゴリーを制した松本祐典(右)も、京都・北桑田高校出身だ徳田兄弟に加え、この日ジュニアカテゴリーを制した松本祐典(右)も、京都・北桑田高校出身だ


U23結果(173.8km)
1 徳田鍛造(鹿屋体育大学) 4時間38分11秒
2 徳田優(鹿屋体育大学) +0秒
3 秋田拓磨(朝日大学) +1分35秒
4 広瀬樹(中央大学) +1分38秒
5 鈴木龍(SEKIYA) +1分52秒
6 石橋学(鹿屋体育大学) +2分00秒

この記事のコメント

利用規約順守の上ご投稿ください。

関連記事

この記事のタグ

全日本ロード2014 全日本ロード2014・レース詳報

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

e-BIKE最新特集

スペシャル

自転車協会バナー

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載