将来性豊かな選手たちが活躍ヨーロッパで経験を積んだ松本祐典が男子ジュニア王者に 全日本ロード ジュニア・U17・U15詳報

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 全日本選手権ロードレース2日目の6月28日、アンダー23やジュニアといった若い選手たちのカテゴリーが争われた。男子ジュニアは、大学生の松本祐典(明治大)が勝負どころでアタックを決めて逃げ切り優勝。男子U17+U15は先行する選手がガッツポーズする脇でハンドルを投げた沢田桂太郎(東北高校)が写真判定で劇的勝利をつかんだ。女子ジュニア+U17は梶原悠未(筑波大付属坂戸高)が独走で圧勝。澤田、梶原は前日の個人タイムトライアルに続き全日本2冠を獲得した。(文・福光俊介、写真・田中苑子)

男子ジュニアでは松本祐典(明治大)が後続を引き離して優勝した男子ジュニアでは松本祐典(明治大)が後続を引き離して優勝した

ゴール前500mでアタック 大学生の意地を見せた松本

 1周15.8kmの周回コースは、今年の全日本選手権ロードで全カテゴリー共通。スタートからしばらくは、細かいアップダウンが続くものの、おおむね下り基調。ラスト3.5kmで高低差にして約200mを一気に上る。岩手山から吹き降ろす風と、コース距離の半分以上を占める下りでのスタミナ配分が、最後の上りにどう影響するかがポイントだ。

 男子ジュニア(1996-1997年生まれ)は8周回、126.4kmで争われた。106人がスタートラインに並び、11時5分の号砲とともにコースへと飛び出した。

男子ジュニアのスタート。126.4kmのレースに臨んだ男子ジュニアのスタート。126.4kmのレースに臨んだ

 2周目に入り、3名の逃げ集団が形成されたことをきっかけに、2~3人程度で追走を試みる選手が出始める。3周目に入ってから、逃げが6人にまで膨らんだものの、いまひとつまとまらず、4周目にはメーン集団に飲み込まれてしまった。しばらくは一団のまま、レースを進めていった。

男子ジュニアの序盤、いくつものアタックがかかる男子ジュニアの序盤、いくつものアタックがかかる
のどかな田園風景のなかで開催されている2014年の全日本選手権ロードレースのどかな田園風景のなかで開催されている2014年の全日本選手権ロードレース

 レースが動いたのは5周目。安田開(京都・北桑田高校)が単独アタックを決め、メーン集団から約30秒先行。安田を追う意思を見せる選手が次々と現れ、メーン集団の前方では3つのグループが形成。やがて、これらのグループが1つにまとまり、13人の先頭集団が作られた。

男子ジュニア、終盤に形成された10人の先頭集団男子ジュニア、終盤に形成された10人の先頭集団

 逃げ狙いのにしては人数が多いものの、快調にペースを刻む先頭集団。選手同士で協調しながらゴールを目指す。

 決定的な動きがないまま勝負は最終周回へ。優勝争いに加わった10人は、単発のアタックを繰りかえしたが、いずれも成功にはいたらない。そしてゴールに向かう上りに入ると、優勝争いは松本祐典(明治大)と、水谷翔・冨尾大地の南大隅高校コンビに絞られた。数的優位に立つのは南大隅高の2人だ。

 だが、最後の最後に会心の走りを見せたのは松本だった。残り500mでアタックを成功させると、あとはゴールに向かってペースを保つだけ。最後は2位の水谷に8秒差をつけて逃げ切り勝利を決めた。

男子ジュニアで優勝した松本祐典(明治大)男子ジュニアで優勝した松本祐典(明治大)

 大学1年生の松本は1996年2月生まれであることから、今年までジュニアカテゴリーに属する。ライバルたちより1学年上であることから、中盤の逃げグループに加わった時は積極的にローテーションをするよう呼びかけたという。「脚のある約10人のメンバーで抜け出せたことは、結果的に理想的な展開になった」と振り返る。ラスト500mでの仕掛けについては、「ジュニア強化合宿などで水谷がスプリントに強いことを知っていたので、何とか先に仕掛けなければならないと思っていた」と述べた。

男子ジュニア表彰台。優勝は松本祐典(明治大)、2位水谷翔(左、南大隅高)、3位冨尾大地(南大隅高)男子ジュニア表彰台。優勝は松本祐典(明治大)、2位水谷翔(左、南大隅高)、3位冨尾大地(南大隅高)

 松本は2012年大会のU17カテゴリーでも優勝しており、この年代でトップを走っていることを改めて証明した。今年は全日本の前にドイツへ遠征しており、そこで得た経験が今回の優勝に生かされた。今後は、世界の同年代が集まるネイションズカップでのUCIポイント獲得、さらには世界選手権ジュニアへの出場を目標とする。

男女のU17を制した沢田、梶原はトラックでの活躍を誓う

 男子U17+U15(79.0km)は、6人によるラスト勝負に。最終コーナーをトップで抜けた吉岡衛(奈良・奈良北高校)がスプリントを制したかに思われた。しかし、ガッツポーズを見せる吉岡の右側からハンドルを投げ出したのは、前日の個人タイムトライアルを制した沢田桂太郎(宮城・東北高校)。写真判定にもつれ込んだ優勝争いは、沢田の先着が認められた。

男子U17+U15のレース終盤。登坂区間でアタックがかかる男子U17+U15のレース終盤。登坂区間でアタックがかかる
5選手のゴールスプリントとなった男子U17+U15カテゴリー5選手のゴールスプリントとなった男子U17+U15カテゴリー
男子U17+U15カテゴリーでは、勝利を確信してガッツポーズする吉岡衛(右、奈良北高)の脇を沢田桂太郎(左、東北高校)が差しきって優勝した男子U17+U15カテゴリーでは、勝利を確信してガッツポーズする吉岡衛(右、奈良北高)の脇を沢田桂太郎(左、東北高校)が差しきって優勝した

 日頃から「最後まで諦めないこと」を信条にしているという沢田。その思いが結実し、劇的な逆転勝利となった。トレーニングはロードがメインだが、得意とする独走やスプリントを活かすチャンスの多いトラック・オムニアムでの活躍を誓う。

女子ジュニア+U17、逃げ切り優勝を決めた梶原悠未(筑波大付属坂戸高)女子ジュニア+U17、逃げ切り優勝を決めた梶原悠未(筑波大付属坂戸高)

 女子U17+U15(63.2km)は、梶原悠未(埼玉・筑波大学付属坂戸高校)が2周回目途中から独走態勢に持ち込み、2位に4分53秒差をつけて圧勝。こちらも個人タイムトライアルとの2冠を達成した。レースでは1周目から仕掛けていたものの、厳しいマークにあい、常に先頭を牽かされる状況だったという。他選手との協調が難しいと見るや、一気にペースアップ。ライバルの追随を許さなかった。

 梶原は1歳から水泳を始め、現在も競泳と自転車競技の二足のわらじを履く万能選手。自転車競技は1年のキャリアでカテゴリーのトップに立った。こちらも将来はトラック・オムニアムでの活躍を目指している。独走力に自信を持つ一方で、スプリントが課題。トラックでの成功のカギは、スプリント強化にあると考えているようだ。

男子U17+U15カテゴリーで優勝した沢田桂太郎(中央、東北高校)はタイムトライアルとのダブル優勝を達成。2位は吉岡衛(左、奈良北高)、3位は日野竜嘉(松山聖陵高)男子U17+U15カテゴリーで優勝した沢田桂太郎(中央、東北高校)はタイムトライアルとのダブル優勝を達成。2位は吉岡衛(左、奈良北高)、3位は日野竜嘉(松山聖陵高)
女子ジュニア+U17の表彰台。優勝は梶原悠未(中央、筑波大付属坂戸高)、2位大谷杏奈(左、桜丘高)、3位細谷夢菜(浦和工高)女子ジュニア+U17の表彰台。優勝は梶原悠未(中央、筑波大付属坂戸高)、2位大谷杏奈(左、桜丘高)、3位細谷夢菜(浦和工高)


●男子ジュニア(126.4km)
1 松本祐典(京都・明治大) 3時間29分9秒
2 水谷翔(鹿児島・南大隅高校) +8秒
3 冨尾大地(鹿児島・南大隅高校) +12秒
 
●男子U17+U15(79.0km)
1 沢田桂太郎(宮城・東北高校) 2時間16分18秒
2 吉岡衛(奈良・奈良北高校) +0秒
3 日野竜嘉(愛媛・松山聖陵高校) +1秒
 
●女子ジュニア+U17(63.2km)
1 梶原有未(埼玉・筑波大学付属坂戸高校) 1時間57分33秒
2 大谷杏奈(愛知・桜丘高校) +4分53秒
3 細谷夢菜(埼玉・浦和工業高校) +4分54秒

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