男女とも欧州組が地力を発揮別府史之は絶妙のペースで快勝、萩原麻由子は大差で昨年の雪辱果たす 全日本タイムトライアル詳報

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 27日に開幕した全日本選手権。初日は個人タイムトライアル(TT)種目が開催され、終日晴天のもと、各クラスで熱戦が繰り広げられた。エリートカテゴリーでは、男子は別府史之(トレック ファクトリーレーシング)、女子は萩原麻由子(ウィグル・ホンダ)と、ともにヨーロッパの第一線で活躍する選手が勝利を掴んだ。(文・写真 田中苑子)

力強いフォームで疾走する別府史之(トレック ファクトリーレーシング)。下馬評とおり男子エリートを制した力強いフォームで疾走する別府史之(トレック ファクトリーレーシング)。下馬評とおり男子エリートを制した

男子エリート優勝の別府は「力に余裕があった」

 別府の3年ぶりの参戦で注目を集めたエリート男子は、アップダウンのある周回コースを3周回する40.2kmで争われた。全参加選手が3つのウェーブ(パート)に分かれて出走し、有力選手は最終ウェーブでの勝負となった。第2ウェーブを終えて、暫定首位は阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)だったが、やはり第3ウェーブでは次々にベストタイムが塗り替えられた。

ウォーミングアップに励む別府史之(トレック ファクトリーレーシング)ウォーミングアップに励む別府史之(トレック ファクトリーレーシング)
ウオーミングアップを行う佐野淳哉(那須ブラーゼン)ウオーミングアップを行う佐野淳哉(那須ブラーゼン)
スタートを待つ別府史之(トレック ファクトリーレーシング)スタートを待つ別府史之(トレック ファクトリーレーシング)
エリート男子4位の阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)エリート男子4位の阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)
エリート男子の土井雪広(チームUKYO)は9位エリート男子の土井雪広(チームUKYO)は9位

 第3ウェーブで好タイムをマークしたのは佐野淳哉(那須ブラーゼン)。しかし、優勝候補の別府は下馬評どおりに佐野から徐々にリードを奪っていく。佐野も力走し、2周回目では別府に8秒差まで詰め寄ったが、最終周回になって再び両者の差が広がった。

男子エリートの部3位の山本元喜男子エリートの部3位の山本元喜
スタート直前、集中する別府史之(トレック ファクトリーレーシング)スタート直前、集中する別府史之(トレック ファクトリーレーシング)
疾走する別府史之(トレック ファクトリーレーシング)疾走する別府史之(トレック ファクトリーレーシング)

 別府はレース前、「ロードレースとの両種目優勝を狙っているので、疲れを残さないために力の分配が難しい」と話していたが、レース後には「下りで大きなアドバンテージを稼げたので、上りは自分のペースでしっかりと走りました。2周回目は力をセーブして6、7割程度で走っていたので、力には余裕がありました。最後の上りで力を出せば勝てると思っていました」と振り返る。

男子エリートの表彰台に立つ(左から)2位の佐野淳哉、優勝の別府史之、3位の山本元喜男子エリートの表彰台に立つ(左から)2位の佐野淳哉、優勝の別府史之、3位の山本元喜

 3年ぶり、3回目の全日本TTチャンピオンに輝き、「まずは日曜日のロードレースに向けて、少し気持ちがリラックスしました。スタート前は国内選手のレベルがわからず、不安に思うこともありましたが、しっかりと自分の力を出せば勝てるということがわかりました」と心境を語る。また、29日に開催されるロードレースに向けて、「どんな展開になるかわかりませんが、自分の力を発揮して、自分の走りができれば勝利が見えてくると思います。日曜日まで集中して調整したいと思います」と抱負を語った。

與那嶺との一騎打ちでグングン差を広げた萩原

 2周回で開催された女子エリートのレースは、ディフェンディングチャンピオンの與那嶺恵里(サクソバンクFX証券)と、一昨年までのチャンピオンで現在日本唯一のUCIチームに所属する萩原の一騎打ちとなった。「自己ベストを更新する走りで、自分のもっている力をすべて出し切った」と話す與那嶺だったが、萩原は與那嶺からグングンと差を広げていった。

ハイペースを刻み続けた萩原麻由子(ウィグル・ホンダ)ハイペースを刻み続けた萩原麻由子(ウィグル・ホンダ)

 結果、約50秒の大差を付けて萩原が優勝し、昨年の雪辱を果たした。「日本チャンピオンジャージをヨーロッパに持って帰れることがすごく嬉しい。この結果はTTに強いというアピールになると思うので、今後、世界選手権などのチームTT種目で、チームのメンバーに選ばれればいいと思う」と話した。

エリート女子2位の與那嶺恵理(サクソバンクFX証券)エリート女子2位の與那嶺恵理(サクソバンクFX証券)
エリート女子で優勝を決めてクーリングダウンを行う萩原麻由子のもとへ、恩師の黒川剛・鹿屋体育大監督が祝福に駆けつけたエリート女子で優勝を決めてクーリングダウンを行う萩原麻由子のもとへ、恩師の黒川剛・鹿屋体育大監督が祝福に駆けつけた
エリート女子表彰式。(左から)2位の與那嶺恵理、優勝の萩原麻由子、3位の上野みなみエリート女子表彰式。(左から)2位の與那嶺恵理、優勝の萩原麻由子、3位の上野みなみ

 昨年と比較すると、ヨーロッパでのレース生活や、日本との往復に慣れたという萩原。今年は余裕をもってレースへの調整ができたことも、勝利の一因だと言う。「よく脚が回って調子がいいので、明後日のロードレースでも勝ちにいきます」と笑顔で話した。ヨーロッパでプロ生活を送って2年目。厳しい経験を通じて、以前より一回りも二回りも成長したように感じられる。

男子U23、ジュニアは鹿屋体育大勢が制覇

 男子ジュニア、U23カテゴリーでは鹿屋体育大勢が圧巻の走りを見せた。ジュニアは、今春に鹿屋体育大へ入学した1年生の山本大喜が優勝。U23では、このカテゴリーで最後の全日本となる石橋学(ヴィーニファンティー二・デローザ/鹿屋体育大)が11秒の僅差で倉林巧和(日本体育大学)を下し、自身初となるビッグタイトルを掴んだ。

男子U23の部1位の石橋学(鹿屋体育大) 男子U23の部1位の石橋学(鹿屋体育大)
男子ジュニアの部で優勝した山本大喜(鹿屋体育大)男子ジュニアの部で優勝した山本大喜(鹿屋体育大)

 石橋は「とても嬉しい。風が強くて進まない感じがしたが、最後まで諦めないで踏み続けたら勝つことができた。上りと下りがある自分好みのコースだったので、自信もあったし、狙っていた」と喜びを語った。

男子U23の表彰台。(左から)2位の倉林巧和、優勝の石橋学、3位の小林泰正男子U23の表彰台。(左から)2位の倉林巧和、優勝の石橋学、3位の小林泰正
男子ジュニアの表彰台。(左から)2位の草場啓吾、優勝の山本大喜、3位の安田開男子ジュニアの表彰台。(左から)2位の草場啓吾、優勝の山本大喜、3位の安田開
男子U17+U15の部の表彰台。(左から)2位の大町健斗、優勝の沢田桂太郎、3位の渡辺慶太男子U17+U15の部の表彰台。(左から)2位の大町健斗、優勝の沢田桂太郎、3位の渡辺慶太
女子ジュニアの部1位の梶原悠未(筑波大附属坂戸高)女子ジュニアの部1位の梶原悠未(筑波大附属坂戸高)
女子U17の部優勝の細谷夢菜(浦和工高) 女子U17の部優勝の細谷夢菜(浦和工高)
男子U17+U15の部1位の沢田桂太郎(東北高校)男子U17+U15の部1位の沢田桂太郎(東北高校)

 朝8時にスタートした女子ジュニア+U17カテゴリーで優勝したのは梶原悠未(筑波大附属坂戸高)。2位、3位には坂口聖香(日本体育大)、坂口楓華(パナソニックレディース)の坂口姉妹が続いた。男子U17+U15では、沢田桂太郎(東北高校)が優勝した。

 28日(土)にはロードレースのジュニア男女とU23カテゴリー、29日(日)にはエリート男女が開催される。

◇         ◇

 今年から併催となった日本パラサイクリング選手権・ロード大会も27日に始まり、この日はハンディキャップをもつ12選手・組が力走した。

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