title banner

はらぺこサイクルキッチン<15>「ヒルクライム・イン・おんたけ」24kmに初挑戦 私たちの優勝を支えた植物性の食生活のメリット

by 池田清子 / Sayako IKEDA
  • 一覧

 長野県王滝村で6月22日、「ヒルクライム・イン・おんたけ」が開催され、夫のプロMTB選手、池田祐樹さんとともに私も参戦してきました。春から秋にかけて行われる「キング オブ MTB王滝」シリーズの2戦目となる今大会は、祐樹さんにとって重要なレースです。折しも、前回紹介した、アスリートのための肉・魚・乳製品を摂らない菜食生活「プラントベースダイエット」を続けて4週間が経過。この食生活がどんな結果につながるかを知る大切な機会でした。今回は、プラントベースダイエットの継続状況やレースの結果についてお伝えします。

池田祐樹選手と清子さん、夫婦揃って優勝した「第10回 ヒルクライム・イン・おんたけ」池田祐樹選手と清子さん、夫婦揃って優勝した「第10回 ヒルクライム・イン・おんたけ」

宿泊先でも貫いたベジタリアン

フィニッシュまで全力で追い込んだ(写真提供 Powersports)フィニッシュまで全力で追い込んだ(写真提供 Powersports)

 まずは、結果から報告。MTB部門で、夫婦でダブル優勝を果たしました! 祐樹さんはMTB部門優勝、ロードバイクを含む総合でも準優勝。私は女子のMTB部門優勝、総合では9位でした。

 実は、棄権した選手がいたため、当日MTBで出走した女性は私ひとり。ゆえに「完走=優勝」となったラッキーな結果でした。しかし、理由はどうあれ表彰台の1番高いところに立つ日が来るなんて、たった4週間前には思いもよらなかったことです。純粋に嬉しいですし、「食生活の成果だろうか」と気持ちが高ぶりました。

 さかのぼること1週間、実際のレースコースを走るために1泊2日の合宿を決行しました。勝つため、トレーニングのため、そしてビギナーの私はまずは完走するため。

 合宿には食事の問題がありました。いつもお世話になっている王滝村の宿「藤屋」に、あらかじめ相談をしたところ「すべて植物性というご要望は初めてですが、作ってみますね」とありがたい答えをいただきました。

合宿時の「藤屋」での夕食は、トレーニングの疲れも吹き飛ぶ豪華さ合宿時の「藤屋」での夕食は、トレーニングの疲れも吹き飛ぶ豪華さ
定宿「藤屋」のご家族と定宿「藤屋」のご家族と

 そんな合宿でテーブルにところ狭しと並んだのは、見事なプラントベースの食事の数々! 豆腐ステーキやトマトスープ、具沢山のサラダなどすべて植物性の食事を用意してくださいました。ドレッシングもオリーブオイルで手作りしてくださるなど。細部まで行き届いた心遣いと、予想以上のレパートリーに感激しました。

 見た目も華やか、かつ栄養バランスの整った食事に物足りなさはまったくなく、野菜の扱いなど勉強になることもありました。宿のご主人は「野菜だけで本当にできるかな、と思ったけど、やってみたら案外できるものですね。色々調べて作ってみました」とおっしゃっていました。

 MTB初心者の私は、合宿では「一度も足を着かずに登頂する」という目標を連日クリアしました。疲労しているかと思われた2日目のタイムは、前日に比べて4分短縮。祐樹さんもコースを2本上っていて「不思議と昨日の疲れがないね」と話していました。

半年ぶりの再会に「ものすごく痩せた」

 レース2~3日前からの食事では、カーボローディングを意識して炭水化物を少し増加。脂肪燃焼スープも継続して摂取しました。

グルテンフリーの豆乳味噌パスタ。たんぱく質はパスタの具に加えた豆で、鉄分はサラダに入れたヒジキで補給グルテンフリーの豆乳味噌パスタ。たんぱく質はパスタの具に加えた豆で、鉄分はサラダに入れたヒジキで補給
早朝移動の車中食も、ヘルシーな野菜スティックや発芽玄米のおむすびで抜かりなく早朝移動の車中食も、ヘルシーな野菜スティックや発芽玄米のおむすびで抜かりなく

 レース前日、半年ぶりに再会したエリートライダーが、祐樹さんを見るなり「ものすごく痩せた」と驚いていました。特に上半身がスッキリした印象だそうで「この短期間でこれだけ身体って変わるもの!?」とまで言っていました。もしや、食事の成果?

 レース前夜は再び藤屋へ宿泊。メニューは植物性で、湯豆腐や野菜鍋、納豆とオクラ、そしてとろろのネバネバ丼に冷製パスタ、豆腐ハンバーグ、ワラビ、お揚げの野菜詰めなど。気温が低かったので身体が芯から温まりました。一緒に泊まるトップライダーたちも同じ食事でした。みなで鍋をつつき、楽しい時間を過ごしました。

 お腹いっぱい食べても、就寝時には既に小腹が空いていました。眠りも深く、目覚めも清々しかったです。

レース前夜の夕食。湯豆腐、野菜鍋、豆腐ハンバーグなど。ワラビは前日に摘んでくださった新鮮な地場産レース前夜の夕食。湯豆腐、野菜鍋、豆腐ハンバーグなど。ワラビは前日に摘んでくださった新鮮な地場産
ヘルシーで栄養価が高いネバネバ丼。粘り強い走りを目指して!ヘルシーで栄養価が高いネバネバ丼。粘り強い走りを目指して!
レース当日の朝食。レースが始まった2時間後には、程よく消化されていましたレース当日の朝食。レースが始まった2時間後には、程よく消化されていました

 当日朝の天気はあいにくの雨でしたが、雨の中トレーニングを積んできたので抵抗はありませんでした。高まる気持ちを抑えて、リクエストした朝食をいただきました。内容は、卵・牛乳・バターを使用していないバゲット、豆乳、バナナ、グレープフルーツ。栄養のバランスよりも消化を第一にセレクトしました。

走行中にジェルを取りやすいとっておきの方法

当日の天候は雨。急遽スタート前にシューズカバーを購入しました。乗車時間が2時間を超す私はかなり助かりました当日の天候は雨。急遽スタート前にシューズカバーを購入しました。乗車時間が2時間を超す私はかなり助かりました

 ヒルクライム・イン・おんたけは、走行距離24km、勾配の平均は5.3%。標高はスタート地点890m、ゴール地点は2180mというコースでした。

 レース中の補給食として、祐樹さんは濃度を濃くしたスポーツドリンクを200mlとジェルを1つ携帯。ただし、ジェルに口をつけることはなく、ドリンクもレース中たったのひと口しか飲まなかったと言います。理由は「飲む時間も惜しいから」で、その結果タイムは1時間7分33秒で走り切りました。

MTB部門男子・表彰式にてMTB部門男子・表彰式にて
“ウロコスタイル”で重ねたジェル。飲む順番も考慮して貼りました“ウロコスタイル”で重ねたジェル。飲む順番も考慮して貼りました

 私は試走タイムの約2時間半を参考に、ドリンクにハイドレーションで1L背負い、ジェルはスタート15分前に1つ、そして4つをバイクのトップチューブにテープで貼付け、30分毎に摂取しました。

 バイクにジェルをセットするこの貼り方は“ウロコスタイル”というそうです。取ると同時にパッケージの口が切れ、切った先もテープに付いたままなのでゴミとして落ちません。走りながらでも非常に取りやすい方法でした。

ゴール後は予想もしなかった涙が…

ゴール直後。感極まって思わず涙ゴール直後。感極まって思わず涙

 レースは雨で気温もかなり下がりましたが、これがレースのなせる技、なのでしょうか。本番では、2日目の試走からさらに20分近く縮めることができました。かなり苦しい時も、地元の方々の応援がペダルを漕ぐエネルギーに変換されました。応援は、こんなにもパワーになるのですね。

 フィニッシュラインを越えたところでは、夫以外にも表彰台のトップライダーらが勢揃いで祝福してくれました。“1mm”も後悔しないほどにやりきったことや、疲労と安心感が折り重なって、予想もしなかった涙となって感情があふれてしまいました。タイムは2時間12分25秒でした。

色んな感情が混ざり合って泣き笑いの表情。「Good job!」と祐樹さん色んな感情が混ざり合って泣き笑いの表情。「Good job!」と祐樹さん

 今回の挑戦は、「選手を支えるための参考にしたい」という目的から始まりました。その結果、「厳しさ」や「楽しさ」も味わってしまいました。身体を動かす気持ちよさ、食べることでの反応、回復の速度、改めて感じたプロの意識の高さ――。疲労の有無・回復の速度などをプロと一緒に体感した経験は、食事作りの面でも確実に生かされていくことと思います。

プラントベースで「とにかく身体が内側から軽い」

 そして、プラントベースダイエットを始めてから最初のレースを終えた感触は? 祐樹さんに尋ねると、「消化がいいからお腹に溜まっていない感じがして、とにかく身体が内側から軽い。また風邪もひかず、身体の回復の速さを感じている。順調に行えたトレーニングとの相乗効果で、レースの朝はいいコンディションで迎えられた」と好調さをうかがわせました。

とある日の夕食。メインにはベジタブル生春巻きを。具材にはズッキーニ・人参・ヤングコーン・春雨・アボカド・シソ・ニラ・サニーレタスなど。手前のスイートチリソースもアガベシロップ・豆板醤・リンゴ酢・片栗粉で手作りとある日の夕食。メインにはベジタブル生春巻きを。具材にはズッキーニ・人参・ヤングコーン・春雨・アボカド・シソ・ニラ・サニーレタスなど。手前のスイートチリソースもアガベシロップ・豆板醤・リンゴ酢・片栗粉で手作り
とある日の夕食、その2。ビタミンたっぷりのサラダを中心に沢山の野菜と。納豆に生のニラを混ぜて食べるのが最近のお気に入りとある日の夕食、その2。ビタミンたっぷりのサラダを中心に沢山の野菜と。納豆に生のニラを混ぜて食べるのが最近のお気に入り

 祐樹さんは、南アフリカで6月29日に行われる「MTBマラソン世界選手権」に向けても「いい感じに仕上がっている」と話しています。いま、私たちは南アフリカへ遠征中。ここでも、プラントベースダイエットを続行していきますよ。次回はその世界選手権の結果と共に、初めて訪れた南アフリカの食事情をレポートします。お楽しみに!

池田清子池田清子(いけだ・さやこ)

アスリートフード研究家。モデル事務所でのマネージャー経験を生かし2013年夏よりトピーク・エルゴンレーシングチームUSA所属ライダー、池田祐樹選手のマネージメントを開始、同秋結婚。平行して「アスリートフードマイスター」の資格を取得。アスリートのパフォーマンス向上や減量など、目的に合わせたメニューを日々研究している。ブログ「Sayako’s kitchen」にて情報配信中。

関連記事

この記事のタグ

MTBレース ニュートリション はらぺこサイクルキッチン

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

ショップナビ

スペシャル

自転車協会バナー

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載