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子育て満点バイク in アジア<6>変わりゆくバリの自転車旅行事情 家族で挑戦したツーリングの心地よさは、温かい人たちのおかげ

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 前回の連載記事に引き続き、インドネシアのバリ島へ私と夫、2人の息子とともに自転車旅行へ出かけた時の話をお届けします。

山田家4人、バリ島7日間約350kmの自転車旅へ山田家4人、バリ島7日間約350kmの自転車旅へ

消えた“自転車の楽園”

眠る息子たちを起こさないように準備眠る息子たちを起こさないように準備

 午前6時、寄り添って眠る息子たちを起こさないようそっと出発の支度を開始。すべての準備が完了したところで、そっと息子たちのオムツを替えてチャリオットに乗せました。「眠い―」と少しぐずった長男も、「はいはい、寝ていいよー」とチャリオットに乗せると、少し走ったところで眠りに落ちました。次男は眠ったままです。

 まだあたりは薄暗く、7時を過ぎたころようやく明るくなってきました。都市部を抜けたので、もう交通量も減るだろうと思いきや…朝の通勤通学ラッシュに巻き込まれてしまいました。「いったい何歳?」とびっくりするくらい小さい子がオートバイに乗せられていたばかりか、2人、3人乗り、そして逆走も。バリのラッシュタイムは恐ろしい…。

 5年前に私が自転車でバリを旅した時のように、交通量が少ない道での安全なサイクリングを期待していたので、「明日こそは、田舎道だから…」という思いを毎日抱いていましたが、結局、ゴールまでそんな日は訪れませんでした。

人生初、ペダルが回せない坂&荷物

 「アナーッ!」(インドネシア語で「赤ちゃん」という意味)

 チャリオットに乗った息子たちを見ては、地元の人たちから驚きの声があがりました。すれ違うバイクやクルマからも「赤ちゃんが乗っているのか!」とわざわざ声をかけてくれましたが…怖いから前を見て運転してください(笑)。道路脇の売店や食堂で私たちが休憩していると、誰かがやってきては、ひょいと次男を抱き上げてあやしてくれました。

ペダルが回せない!ペダルが回せない!
やっとのことで辿り着いたホテルは別世界でしたやっとのことで辿り着いたホテルは別世界でした

 今回の旅の宿は、ほとんどルート上にあるところを選びましたが、1カ所だけメーンロードから4kmほど山へ入ったところにありました。上りだけど大した距離ではないので、大丈夫だろうと思っていたのですが、甘かった! 自転車人生で初めて、ペダルが回らない経験をしました。

 それまでは、荷物を積んだ自転車を降りて押すと重いので、ギアを軽くしてどんな坂でもこいでいました。今回は、チャリオットに息子たち2人を乗せて、さらに全荷物を積んでいたため総重量は40kg以上。坂にさしかかるとびくとも動かなかったのです。長男に「こうちゃん手伝って」とヘルプを頼みながらチャリオットから降ろし、汗だくになりながら一緒に押して上りました。

 やっとのことで辿り着いたホテルは、緑が深く静かで、まるで別世界。バリの民族衣装を着たスタッフは皆、とても感じがよく、それぞれのコテージは森の小路を歩いて向かうように配置されていました。

 夜、畑で採れた有機野菜やフルーツを使った料理に舌鼓を打ったあとには、満点の星空が広がっていました。とにかく居心地がよく、長期滞在する人がとても多いというのもうなずけます。坂を上った甲斐がありました!

15kmの上りを前にヒッチハイク

2009年にひとりでバリ島を走った時に出会った風景2009年にひとりでバリ島を走った時に出会った風景

 旅も終盤を迎え、ティルタ・ガンガという遺跡へ。この日の走行距離は50kmほどだったのですが、アップダウンが多く、日差しもかなりきつくなってきたので、スタートから30km走った頃、小さな村の商店で休憩をとりました。

 ティルタ・ガンガはかつての王族の別荘地で、私たちが目指すホテルもその中にありました。向かう道は、世界遺産に登録されている美しい棚田地帯を抜けていきます。5年前に同じ場所を走ったことがある私の記憶が確かならば、ここから先のすごい山の上にあるはずでした。猛スピードで追い抜いていくクルマを横目で見やりながら考えていたことは、ただひとつ。ヒッチハイクでした。

 夫に話すと「俺も同じこと思ってた」とのこと。ならば話は早い。英語が通じなかったので、身振り手振りで商店のおばちゃんに聞いてみたところ、やたら早口で(そう聞こえるだけ)他のおばちゃんたちと話し合ったかと思うと、たちまちトラックに乗ったぽっこりお腹のおっちゃんがやってきました。そして私たちの自転車とチャリオットを手際よく積み、出発!

アップダウンが多いバリの道アップダウンが多いバリの道
トラックに積み込んで15km上りをクリアトラックに積み込んで15km上りをクリア

 「トラックだよ、やったー!」と長男も大喜びしていました。素早い判断とアレンジのおかげで、15kmほどの上りの道のりもあっという間に移動することができました。やれやれ。

◇         ◇

 翌日は旅の最終日。スタート地点のクタから50kmほど離れたチャンディダサという町でゴールしました。山田家4人が、チャリオット2人乗りで初めて挑戦した海外自転車旅は、全行程7日間で約350kmとなりました。真っ黒に日焼けした息子たち。長男は、言葉の通じない地元の子たちと遊ぶのに初めはもじもじしていましたが、友達の輪の中へ入っていけるようになりました。次男は、いつでもどこでも、老若男女いろんな人に抱っこされました。

 交通量が多く、もはや自転車の楽園ではなかったというのは、かなりの計算違いでしたが、バリの温かい人たちのおかげで、とても心地よい旅になりました。テレマカシ(ありがとう)!

山田美緒山田美緒(やまだ・みお)

サイクリストとして世界中を旅した経験から一般社団法人コグウェイを設立し、「四国ディスカバリーライド」「コグウェイin台湾」などを主催。著書に、アフリカ大陸縦断記をまとめた『マンゴーと丸坊主』、女性サイクリストたちとの旅や交流の体験記『満点バイク』がある。2014年3月よりシンガポール在住。ブログURL(http://mantem.exblog.jp/

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