全日本選手権ロードへの前哨戦畑中勇介がJプロツアー「西日本ロード」2連覇 鈴木真理と僅差のスプリント争いを制す

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 ロードレース「Jプロツアー」の今シーズン第9戦「JBCF 西日本ロードクラシック 広島大会」が22日、広島県の中央森林公園サイクリングコースで行われ、畑中勇介(シマノレーシング)が4人の先頭集団によるゴールスプリントを制し、昨年に続いて大会2連覇を飾った。

ゴールラインを過ぎ、喜びの顔を見せたのは畑中勇介(シマノレーシング)。広島のレースは2連覇だゴールラインを過ぎ、喜びの顔を見せたのは畑中勇介(シマノレーシング)。広島のレースは2連覇だ

 広島空港の周囲を回る12.3kmのコースを12周する、147.6kmのレース。途中、何度もコース真上の低空を飛行機が離着陸していく。ちょうど1週間後に全日本選手権ロードレースが控えており、各チームにとっては“日本一決定戦”の前哨戦とも言えるレース。あいにくの小雨模様のなか、111人がスタートした。

1周目終盤、阿部‎嵩之(宇都宮ブリッツェン)が単独抜け出す1周目終盤、阿部‎嵩之(宇都宮ブリッツェン)が単独抜け出す
集団で遅れてしまったブリヂストンアンカー。後方集団で隊列を組んで追走集団で遅れてしまったブリヂストンアンカー。後方集団で隊列を組んで追走

アンカー勢が後方に取り残される波乱

 スタート直後、周回コース前半の狭いアップダウン区間で波乱が起こった。ペースアップから自然に分かれたメーン集団の後方集団に、ブリヂストンアンカーがほぼ丸々チームで入ってしまったのだ。まだレースの展開としては何も動いていない段階だが、アンカー勢は大きなビハインドを負ってしまった。

 一方、前方のメーン集団では、上り頂上を過ぎた下り基調の部分で阿部‎嵩之(宇都宮ブリッツェン)が単独での抜け出しに成功。集団を30秒ほど引き離し、一人周回を重ねていく。メーン集団では、追走のまとまった動きは生まれず、シリーズ総合首位のルビーレッドジャージを着るリカルド・ガルシア(スペイン)を擁するチームUKYOの狩野智也が、ほぼ単独で集団をコントロールし続けている。

下りを快調に飛ばす阿部‎嵩之下りを快調に飛ばす阿部‎嵩之
メーン集団は狩野智也がほぼ先頭固定で牽引メーン集団は狩野智也がほぼ先頭固定で牽引
ブリヂストンアンカーはエース清水都貴のために追走を続けるブリヂストンアンカーはエース清水都貴のために追走を続ける

 阿部は快調に逃げ、6周目には集団との差を1分ほどにまで広げる。一方、集団では狩野に加えマトリックスパワータグも徐々に追走の動きに加わり、その差を本格的に縮めにかかる。降ったり止んだりを繰り返した天候は、徐々に回復傾向となる。しかし路面は濡れたままだ。

 アンカー勢が引く後方集団は、一時は前に追い付くことは困難かとも思われたが、8周目から一気に追い込み、エース清水都貴をメーン集団に復帰させることに成功した。この動きに乗じて、同じく後方集団に沈んでいた佐野淳哉(那須ブラーゼン)、入部正太朗(シマノレーシング)もメーン集団に追い付くことに成功。これがレースを動かすことになった。

6周目、アンカーが引く後方集団。清水都貴(右)の目はまだ鋭い6周目、アンカーが引く後方集団。清水都貴(右)の目はまだ鋭い
メーン集団は先頭牽引にマトリックスパワータグが加わるメーン集団は先頭牽引にマトリックスパワータグが加わる
ブリヂストンアンカーは、力を使い果たした選手が徐々に遅れ始めるブリヂストンアンカーは、力を使い果たした選手が徐々に遅れ始める
8周目、後方集団から少人数の追走グループが形成。清水都貴、入部正太朗、佐野淳哉ら8周目、後方集団から少人数の追走グループが形成。清水都貴、入部正太朗、佐野淳哉ら
9周目の上りを走る阿部‎嵩之。100km近くを単独で逃げ続けた9周目の上りを走る阿部‎嵩之。100km近くを単独で逃げ続けた
9周目、後方からの追走がメーン集団に合流。すぐに佐野、清水らが積極的な動きを見せる9周目、後方からの追走がメーン集団に合流。すぐに佐野、清水らが積極的な動きを見せる

シマノ vs ブリッツェンのマッチレースに

 9周目にメーン集団に合流した清水、佐野らがすぐに上りでアタック。集団は大きく活性化し、10周目には逃げていた阿部‎を飲み込んだ。さらに上りでアタック合戦が続き、上り頂上を過ぎて抜け出したのは、シマノの入部と増田成幸(宇都宮ブリッツェン)の2人だった。これを追う集団は8人の有力選手に絞られ、レースは最終局面へと突入した。

 先頭の2人は追走8人に23秒の差を持って最終周回に突入。追走グループからコース中盤で野中竜馬(シマノレーシング)が先頭に合流し、これを追った鈴木真理(宇都宮ブリッツェン)とシマノ畑中も同じく先頭に追い付いた。シマノ3人対ブリッツェン2人となり、シマノがやや有利のマッチレースの様相。

10周目の上り。逃げは吸収され、アタック合戦となった10周目の上り。逃げは吸収され、アタック合戦となった
残り1周へと向かう先頭の2人。増田成幸と入部正太朗残り1周へと向かう先頭の2人。増田成幸と入部正太朗
追走は佐野淳哉ら8人の小集団追走は佐野淳哉ら8人の小集団

 まず上りでアタックを仕掛けたのは、シマノ入部だった。しかしブリッツェン増田が強力なカウンターアタックで、逆に単独先頭に抜け出すことに成功した。上り頂上を過ぎて先頭が増田、少し遅れて畑中、鈴木、入部が追う展開となる。増田の独走逃げ切りを許さなかったのは、入部の追走だ。下り基調で持ち前のスピードを発揮し、再度増田を捕えて集団を一つにすることに成功した。勝負はシマノ対ブリッツェン、2対2のイーブンでのゴールスプリントに委ねられた。

 ホームストレートに現れた4人の隊列は、増田、入部、鈴木、畑中の順番。まず入部が増田をパスしてスピードを上げ、しかし次の瞬間に横によける。この動きに押し出された形で鈴木が先行するスプリントとなった。鈴木の後ろに付ける畑中は、粘る鈴木にゴール直前で並びかけ、最後はハンドルを投げ合う僅差の勝負。ラインを越えて手を挙げたのは畑中だった。

ゴールスプリント、鈴木真理と畑中勇介が並ぶ。入部の頭脳的な仕掛けも功を奏したゴールスプリント、鈴木真理と畑中勇介が並ぶ。入部の頭脳的な仕掛けも功を奏した
両者ゴールラインにハンドルを投げる。僅差の争いだ両者ゴールラインにハンドルを投げる。僅差の争いだ

体調不良を乗り越えた畑中 29歳の誕生日を自ら祝福

 畑中は昨年に続いて2連覇。前日に29歳の誕生日を迎えており、自らバースデープレゼントをもぎ取った形だ。実は畑中、直前のツール・ド・韓国では体調を崩してリタイアしていた。40度の熱を出して回復に時間がかかり、この日のレースもベストの調子ではなかったという。

 序盤は集団後方に沈んでいたが、徐々に調子を取り戻し、勝負どころでは「死ぬほど辛かったんですけど、キツい選手とか行ける選手とかが、自然と見えてくるんですよ」と広島のコースとの相性の良さを発揮した。1週間後の全日本ロードはもちろん優勝を狙う。「コースが単調なのでチームでレースを動かしたい」と意気込みを語った。

1周目、集団内の畑中勇介。強度を上げるのは3週間ぶりだったという1周目、集団内の畑中勇介。強度を上げるのは3週間ぶりだったという
序盤は不調だったという畑中。メーン集団後方で少し離れて体調を整える序盤は不調だったという畑中。メーン集団後方で少し離れて体調を整える
10周目、勝負どころでアタックに反応する畑中勇介10周目、勝負どころでアタックに反応する畑中勇介
P1の上位3人。(左より)2位の鈴木真理、優勝の畑中勇介、3位の入部正太朗P1の上位3人。(左より)2位の鈴木真理、優勝の畑中勇介、3位の入部正太朗

 Jプロツアーリーダーはガルシア、U23リーダーは堀孝明(宇都宮ブリッツェン)でともに変わらず。完走はわずか52人と、完走率50%を割りこむ厳しいレースとなった。Jプロツアーの次戦・第9戦「東日本ロードクラシック」は、全日本ロードを挟んで7月6日に静岡県伊豆市の日本サイクルスポーツセンターで開催される。

(文・写真 米山一輝)

ゴール直後、ドロドロの鈴木真理(宇都宮ブリッツェン)。「先行させられて自分のタイミングで行けなかった」と敗因を語るゴール直後、ドロドロの鈴木真理(宇都宮ブリッツェン)。「先行させられて自分のタイミングで行けなかった」と敗因を語る
ゴール直後の増田成幸(宇都宮ブリッツェン)。上りのキレはピカイチで、全日本に向けて好調さをうかがわせるゴール直後の増田成幸(宇都宮ブリッツェン)。上りのキレはピカイチで、全日本に向けて好調さをうかがわせる
結果は出なかったが組織的な連携を見せたブリヂストンアンカーの清水都貴。全日本の250kmのレースに向け、この日もあと100kmトレーニングするという結果は出なかったが組織的な連携を見せたブリヂストンアンカーの清水都貴。全日本の250kmのレースに向け、この日もあと100kmトレーニングするという
Jプロツアーリーダーを守ったリカルド・ガルシア(左)とU23リーダーの堀孝明(右)Jプロツアーリーダーを守ったリカルド・ガルシア(左)とU23リーダーの堀孝明(右)

P1結果
1 畑中勇介(シマノレーシング) 3時間45分21秒
2 鈴木真理(宇都宮ブリッツェン) +0秒
3 入部正太朗(シマノレーシング) +3秒
4 増田成幸(宇都宮ブリッツェン) +6秒
5 鈴木譲(宇都宮ブリッツェン) +30秒
6 佐野淳哉(那須ブラーゼン) +31秒
7 吉田隼人(シマノレーシング) +31秒
8 リカルド・ガルシア(チームUKYO) +32秒
9 ロイック・デリアック(チームJBCF) +33秒
10 野中竜馬(シマノレーシング) +37秒

Jプロツアーリーダー(ルビーレッドジャージ)
リカルド・ガルシア(スペイン、チームUKYO)

U23リーダー(ピュアホワイトジャージ)
堀孝明(宇都宮ブリッツェン)

F結果
1 ジル・パターソン(Team Asahi) 1時間06分16秒
2 吉川美穂(Team Asahi) +1分38秒
3 星川恵利奈(Team Asahi) +1分39秒

Jフェミニンリーダー
棟近陽子(EURO-WORKS Racing)

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