田中苑子のツール・ド・シンカラ2014レポート<前編>インドネシア・スマトラ、赤道直下のステージレース 勝利を求め奮闘する日本ナショナルチーム

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 内間康平(日本ナショナルチーム)の鮮やかな勝利で幕開けした今年のツール・ド・シンカラ(UCI2.2)。レースは6月7日から9日間の日程でスタート。連日、炎天下で開催され、11日の第5ステージを終えて折り返しを迎えた。(写真・文 田中苑子)

美しいインドネシア・スマトラ島を駆け抜けるツール・ド・シンカラ美しいインドネシア・スマトラ島を駆け抜けるツール・ド・シンカラ

 ツール・ド・シンカラはインドネシア、スマトラ島の西スマトラ州パダン周辺で2009年から開催されているステージレース。年々、規模や開催エリアを拡大しながら今年で6回目を迎えた。途中、2009年9月に起きたスマトラ島沖地震で、開催地は甚大な被害を被ったが、翌年からも地域の復興を兼ねて開催され、「スポーツ&ツーリズム」をコンセプトすっかり地元に定着。老若男女を問わず多くの人に愛される大会へと成長した。

第2ステージ、スタート前。イエロージャージを着用する内間康平と日本ナショナルチーム第2ステージ、スタート前。イエロージャージを着用する内間康平と日本ナショナルチーム

 今年のツール・ド・シンカラは全9ステージ、総走行距離1250kmで争われている。2011年から13年まで、ツール・ド・フランスを主催するA.S.O.が運営に協力したが、今年はインドネシア人の主催者がこれまでのノウハウを活かして大会運営に当たっている。いくつか新しい試みも取り入れ、第2ステージでは赤道上に引かれたスタートラインから北上。選手たちは南半球から北半球へと走り抜けた。主催者は「世界で唯一の赤道をまたぐレース」だと胸を張る。

第3ステージに登場した「ケロック9」の登坂区間。向こうに見える橋を渡り、ここでUターンをする第3ステージに登場した「ケロック9」の登坂区間。向こうに見える橋を渡り、ここでUターンをする
赤道上からスタートした第2ステージ。写真の右側が南半球で、左側が北半球となる赤道上からスタートした第2ステージ。写真の右側が南半球で、左側が北半球となる
第3ステージ、序盤から逃げに乗った内間康平(日本ナショナルチーム)。1級山岳で頂上をめざす第3ステージ、序盤から逃げに乗った内間康平(日本ナショナルチーム)。1級山岳で頂上をめざす

 第1ステージでレースリーダーとなり、イエロージャージを着て第2ステージのスタートラインに立った内間康平。第2ステージは122km、中盤に2つのカテゴリー山岳が続くコースプロフィールで、序盤こそ日本ナショナルチームがレースをコントロールしたが、山岳が始まると主導権はアジアトップの登坂力を誇るイランチームが握った。今大会、タブリーズペトロケミカルをはじめ3つのイランチームが出走しているが、彼らは登坂区間で3チームからそれぞれ選手を送り込む形で逃げ集団を形成。結果的に、ホセイン・アリザデー(タブリーズシャルダリ)を筆頭に6人のイラン人選手がメーン集団から6分強のリードをもって逃げ切った。

第3ステージで3位に入った初山翔(日本ナショナルチーム)。弟5ステージ終了時点で個人総合成績9位につける第3ステージで3位に入った初山翔(日本ナショナルチーム)。弟5ステージ終了時点で個人総合成績9位につける

 翌第3ステージでも、イランのラミン・メルバニアザール(ピシュガマン・ヤード)が逃げ切りを決めるが、初山翔(日本ナショナルチーム)が3位でゴールした。

 初山は「前日の上りを終えたところ良い感触を掴んだので、この日最後の1級山岳で勝負しようと決めていました。逃げに乗っていた内間選手にパーフェクトなタイミングで合流でき、2人で全力で下っていきました。途中、先行する選手が下りで転んだこともあり、自分たちにとってラッキーな展開で3位でゴールすることができて良かったです」とステージを振り返った。

第3ステージの表彰式は西スマトラの伝統的建造物である王宮前で行われた第3ステージの表彰式は西スマトラの伝統的建造物である王宮前で行われた
内間康平(左)と初山翔(右)。活躍する2人はブリヂストンアンカーに所属する同い年コンビ内間康平(左)と初山翔(右)。活躍する2人はブリヂストンアンカーに所属する同い年コンビ
登坂区間で大きな存在感を見せる初山翔(日本ナショナルチーム)。後半戦は総合順位のジャンプアップを狙う登坂区間で大きな存在感を見せる初山翔(日本ナショナルチーム)。後半戦は総合順位のジャンプアップを狙う
レース前にミーティングをする日本ナショナルチーム。真剣な表情で浅田顕監督の話を聞くレース前にミーティングをする日本ナショナルチーム。真剣な表情で浅田顕監督の話を聞く
アタックを試みる清水太己。連日、日本ナショナルチームは積極的なレースを展開しているアタックを試みる清水太己。連日、日本ナショナルチームは積極的なレースを展開している

 大会のクイーンステージとなる第4ステージは、1級山岳の直後に山頂ゴールが控える難関コース。もちろんここでもリードしたのはイラン人選手たちだ。2012年の総合優勝者、オスカル・プジョル(スペイン、スカイダイブドバイ)が果敢にステージ優勝を狙うも、ゴールまでの激坂区間で失速し、ラヒム・エマミ(イラン、ピシュガマン・ヤード)が優勝。2位に続いたアミール・ザルガリ(イラン、ピシュガマン・ヤード)が総合成績トップをキープした。そして、初山翔が2分21秒差の13位でゴール。初山は連日の力走と確かな登坂力で、この日に総合順位を9位まで上げ、UCIポイント圏内となる総合8位以内をめざす。

第4ステージに登場したツール・ド・シンカラ名物の「ケロック44」。44のヘアピンカーブが続く1級山岳第4ステージに登場したツール・ド・シンカラ名物の「ケロック44」。44のヘアピンカーブが続く1級山岳
クイーンステージ、第4ステージの山頂ゴールを制したラヒム・エマミ(イラン、ピシュガマン・ヤード)クイーンステージ、第4ステージの山頂ゴールを制したラヒム・エマミ(イラン、ピシュガマン・ヤード)
急勾配の「ケロック44」を前方で登る初山翔(日本ナショナルチーム)急勾配の「ケロック44」を前方で登る初山翔(日本ナショナルチーム)

 山頂ゴールでは、ゴールラインを越えた瞬間に倒れ込んでしまったプジョルだったが、その屈辱を晴らすかのように第5ステージでは3選手で逃げ切り、念願のステージ優勝を挙げる。後続ではステージ優勝を狙う内間康平がメーン集団から飛び出して必死に先行する3選手を追うも、この日は追いつくことができなかった。

 前半戦はイラン人選手の圧倒的な強さが目立ち、一時は「なんでイランチームを3つも招待するんだ!?」なんて文句も聞かれたが、そんな中で日本ナショナルチームをはじめ、多くの選手が勝利のチャンスを掴もうと闘志を燃やしている。勝利を狙う選手たちは口を揃えて「イラン人選手の弱点は下り!」だと言う。第2ステージで総合上位は絞られてしまっているように思われるが、最後まで何が起こるかわからないのがレース。後半戦も灼熱の太陽に負けない、熱い戦いを期待したい。

※<後編>へ続く 

シーズン勝利を挙げたオスカル・プジョル(スペイン、スカイダイブドバイ)シーズン勝利を挙げたオスカル・プジョル(スペイン、スカイダイブドバイ)
第5ステージはレース名になっているシンカラ湖畔を駆け抜けた第5ステージはレース名になっているシンカラ湖畔を駆け抜けた
小さなマーケットの前を通り抜ける選手たち小さなマーケットの前を通り抜ける選手たち
第5ステージで先頭グループを追う内間康平(日本ナショナルチーム)第5ステージで先頭グループを追う内間康平(日本ナショナルチーム)
田中苑子
田中苑子(たなか・そのこ)

1981年、千葉生まれ。2005年に看護師から自転車専門誌の編集部に転職。2008年よりフリーランスカメラマンに転向し、現在はアジアの草レースからツール・ド・フランスまで、世界各国の色鮮やかなサイクルスポーツを追っかけ中。


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