コリドーレ中田真琴社長インタビューOEM専門の“職人集団”が挑んだ自社ブランド「SARTO」立ち上げ テーラーメイド自転車よ届け

  • 一覧
「サルト」の創業者アントニオ・サルトの名前が刻まれたトップチューブ「サルト」の創業者アントニオ・サルトの名前が刻まれたトップチューブ

 「SARTO」(サルト)は、世界の自転車業界で言わずと知れた名前だという。創業から55年の歴史のうち、54年間は各自転車メーカーへのOEM供給を専門に扱う企業として、技術・デザインの一端を担ってきた。そんなサルトが今年、自社ブランド製品の展開に乗り出した。新しい歩みを始めた同社と、1月からブランド立ち上げに携わり、日本国内でのブランド展開を受け持つコリドーレの中田真琴社長に話を聞いた。

ライバルが台頭する中、技術力を生かせる自社ブランドを

コリドーレの中田真琴社長コリドーレの中田真琴社長

 イタリアの工場で16人の職人が腕を振るうサルト。競技用のロードバイクばかりでなく、タンデム自転車や、アスリートから一般用途までカーボン製車いすのフルオーダー製作も手がけている。年間の自転車フレーム総生産数は2千500本。OEM市場ではアジアのライバル企業に押され、受注が減少傾向にあることが課題だった。

 中田さんは2013年まで別のブランドを取り扱う企業の社員だったが、サルトには一目置いていた。「大手に淘汰されずに続いて欲しい」と願っていたのは、そう思わずにはいられない技術力があったからだという。

 サルトの内部でも、社員らがオリジナルブランドを立ち上げようとする動きはあった。ところが、自転車作りに関しては「プロ中のプロ」であっても、マーケティングやブランディングといった領域では分からないことだらけだった。

サルト「DINAMICA」(ダイナミカ)のヘッド部分サルト「DINAMICA」(ダイナミカ)のヘッド部分
イタリアのサルト工場内に並ぶフレーム(コリドーレ提供)イタリアのサルト工場内に並ぶフレーム(コリドーレ提供)

 中田さんは前職を辞して会社をおこし、サルトの新展開にも力を貸すことになった。「カタログはどんなデザインがいいのか、ユーザーがどんな情報を知りたいのか、はたまたホームページはどのようなものが必要なのか―などの点で、当時のサルト社員は素人だった。今年の初めから彼らのブランド立ち上げを手伝いました」。これがコリドーレ社長としての初仕事となった。

“乗り手に作り手の顔が分かるブランド”

サルト「DINAMICA」(ダイナミカ)。フレームセット価格は税別46万円サルト「DINAMICA」(ダイナミカ)。フレームセット価格は税別46万円

 サルトブランドの初めてのラインナップは、「DINAMICA」(ダイナミカ)、「ASOLA」(アソラ)などロードバイク6種とマウンテンバイク2種。乗り味は、例えば「ダイナミカはパリっとした乗り心地で、アソラは返りの早いしなやかさを実感できる」といった性能の違いがある。日本や韓国を中心とするアジアをはじめ、アメリカ、オーストラリア・ニュージーランドで販売され、フレームセットは37万円から65万円の価格帯に設定されている。

 価格の違いは「工法ではなく、素材の値段の違いにある」と話す中田さん。サルトブランドにフルモノコック(一体成型)の製品はなく、すべてのグレードでジオメトリーのオーダーなどカスタマイズが可能だ。規定サイズは10サイズ展開となる。カラーオーダーはプラス2万円、特殊なカラーはさらに追加料金でオーダーができる。

 またブランドとしての特長は、衣類のテーラーメイドスーツを意識した販売方法をとることだ。販売店任せではなく、各店舗に配備した専任スタッフが、まるでスーツを仕立てる時にようにユーザーに最適なバイクを作り上げていくという。

サルト「ASOLA」(アソラ)。フレームセット価格は税別65万円(60万円+カラーオプション5万円)サルト「ASOLA」(アソラ)。フレームセット価格は税別65万円(60万円+カラーオプション5万円)
コリドーレ社長としてサルトブランド立ち上げ携わった中田真琴さんコリドーレ社長としてサルトブランド立ち上げ携わった中田真琴さん

 「現在製作中の日本語ウェブサイトでは、ショップリストではなく専任スタッフのプロフィールを載せ、その人の所属店を併記するというように“人”にフォーカスしたデザインを意識しています。サルトの工場では、いろいろな形状のカーボンのパイプが並び、トップチューブ、ダウンチューブ、シートピラーを各々選ぶことも可能です。もちろん、ブレーキ位置やワイヤーのはわせ方、電動変速機ユーザーの細かな希望などすべて対応できます。目指すのは、乗り手に作り手の顔が分かるようなブランド。いずれは、フルオーダーを受けることができる体制を整えたいですね」

 サルトは、全国で6月中旬ごろから受注が始まる予定だ。

この記事のタグ

インタビュー サルト

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

e-BIKE最新特集

スペシャル

自転車協会バナー

ソーシャルランキング

サイクリストTV

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載