ジロ・デ・イタリア2014 第21ステージキンタナが初のグランツール総合優勝、別府史之・新城幸也も完走 最終ステージはメズゲッツが制す

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 ジロ・デ・イタリアは1日、最終第21ステージが行われ、周回コースでのスプリント勝負をルカ・メズゲッツ(スロベニア、チーム ジャイアント・シマノ)が制した。総合上位勢の順位に変動はなく、ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム)が自身初の総合優勝を飾った。日本の別府史之(日本、トレック ファクトリーレーシング)と新城幸也(日本、チーム ヨーロッパカー)も無事に完走を果たした。

総合表彰、左から2位のリゴベルト・ウラン、1位のナイロアレクサンデル・キンタナ、3位のファビオ・アール総合表彰、左から2位のリゴベルト・ウラン、1位のナイロアレクサンデル・キンタナ、3位のファビオ・アール

 全21ステージ、3つの休息日をはさんだ24日間で開催された2014年のジロ最終日は、イタリア北東部のジェモーナ・デル・フリウリをスタートしてスロベニア国境に近いトリエステへ向かう172kmの平坦ステージで行われた。

各賞ジャージを着て走る4選手各賞ジャージを着て走る4選手

 レースは序盤、グランツール最終日では恒例のパレード走行となり、リラックスしたムードで進行。個人総合、ポイント、山岳、新人の4賞ジャージが集まっての記念撮影や、テレビカメラ向けのアピール、チームの垣根を越えたコミュニケーションなど、数あるレースのなかでも独特な、お祭りのような雰囲気に包まれた。アタックもなく、ソックスとハンドルのバーテープをマリアローザカラーで統一したモビスターが集団先頭を走った。

 21km地点の4級山岳では、第6ステージまで山岳賞のマリアアッズーラを着用していたマールテン・チャリンギ(オランダ、ベルキン プロサイクリングチーム)、初日のチームタイムトライアルで総合首位に立ったスヴェイン・タフト(カナダ、オリカ・グリーンエッジ)の2人が飛び出した。大会序盤を思い起こさせるような計らいを見せた2人は、山頂を通過してからまた集団に戻っていった。

 集団は7kmを8周するトリエステの周回コースへ。総合と山岳はほぼ確定しているため、このレースでの注目はステージ優勝と、ナセル・ブアニ(フランス、エフデジ ポワン エフエル)、ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、トレック ファクトリーレーシング)によるポイント賞争いの行方だ。スプリント勝負を狙えるのは第13ステージ以来のチャンスだが、周回の途中で登坂距離約1km、平均勾配4.7%を上る丘が設けられており、ここでのアタックがスプリンターたちにとって難しい展開を生み出した。

レース中盤、高速展開のなかでの別府史之レース中盤、高速展開のなかでの別府史之

 山岳ポイントで動いたタフトが残り45kmでアタックし、再び存在感を見せた。これにラースユティング・バク(デンマーク、ロット・ベリソル)が続き、2人でのエスケープが始まった。タイム差は40秒前後で推移していった。

 4周目の中間スプリントポイントでは、メーン集団でも前方で通過すればポイントが加算される状況。ところがポイント賞で2位につけるニッツォーロは、あえてこれを獲りにいかなかった。一方で首位のブアニは先頭で通過し、10位以内でゴールすればポイント賞獲得というところまでリードを広げた。ここまでステージ2位が3回のニッツォーロは、念願のステージ優勝に全力を傾ける判断だ。

 6周目の丘の上りでアタックした3人が先頭に合流し5人の逃げ集団を形成するが、最終周回に向けてペースアップしたメーン集団にあっという間に吸収された。7、8周目でもアタックした選手を捕まえながら、メーン集団は残り1kmへ。

 トレックとジャイアント・シマノのアシストがそれぞれニッツォーロ、メズゲッツを引き連れてゴールへ向かうなか、セバスティアン・シャヴァネル(フランス、エフデジ ポワン エフエル)が強力な走りでブアニを前方へと引き上げた。メズゲッツは勢いよく上がるブアニに進路を塞がれ、他の選手に囲まれてしまった。

 最後の直線、ロベルト・フェラーリ(イタリア、ランプレ・メリダ)を先頭に、ニッツォーロ、タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・シャープ)、その後方からブアニがスプリントを開始。伸びの足りないフェラーリをニッツォーロらが左側からかわしていくなか、ぽっかりと空いた右側をメズゲッツが真っ直ぐに突き進み、ゴールラインをトップで駆け抜けた。

集団ゴールスプリントを制したのはルカ・メズゲッツ(左)集団ゴールスプリントを制したのはルカ・メズゲッツ(左)

 メズゲッツは3月のステージレース、カタルーニャ一周で3勝を挙げた成長株の25歳。チームのエーススプリンターであるマルセル・キッテル(ドイツ、チーム ジャイアント・シマノ)が第2、3ステージを連勝した後にリタイアしてからは、それに代わる活躍も期待されたが振るわなかった。母国スロベニア国境の近くで行われた周回コースで、ようやく自身初のステージ優勝を手にした。

 ブアニは4位でゴールし、危なげなくポイント賞を確定させた。今大会ステージ3勝を挙げる活躍とポイント賞の受賞で、スプリンターとしてトップクラスの実力を証明した。一方、ニッツォーロは3度敗れたブアニにようやく先着したものの、またもステージ優勝には届かず4度目の2位となった。

ゴールした新城幸也ゴールした新城幸也

 そして、マリアローザのキンタナもメーン集団で歓喜のゴール。普段はあまり表情を変えないキンタナが、満面の笑みで自身初の総合優勝を祝い、強力にアシストしてくれたチームメートと喜びを分かち合った。その他の総合上位勢も大きなタイム差はつかず、総合トップ10は前日と同じ順位となった。

 2人の日本人選手もメーン集団でゴールし、別府は総合82位で自身3度目のジロ完走。新城は総合127位で2度目の完走を果たした。

家族と登場したキンタナ家族と登場したキンタナ

 コロンビア人として初のジロ・デ・イタリア総合優勝者となったキンタナ。表彰式ではマリアローザ色の服をまとった妻子も顔を見せた。受け取った総合優勝のトロフィーに口付けする時も、チームメートやスタッフとともに登壇した際も、満面の笑顔を絶やさなかった。コロンビア国家の斉唱が始まると、会場に集まったコロンビア人ファンたちの歌声が響いた。

 リゴベルト・ウラン(コロンビア、オメガファルマ・クイックステップ)は、2年連続の総合2位となった。雪と雨の第16ステージで飛び出したキンタナにマリアローザを明け渡した際、主催者側からレースをニュートラル扱いにするという指示があったかどうかで主張がぶつかり合い、大会全体に険悪なムードが漂った。しかし表彰台では、今大会に巨大な旋風を巻き起こしたコロンビア人同士、笑顔で抱擁を交わし、健闘を讃え合った。

 総合3位のファビオ・アール(イタリア、アスタナ プロチーム)は、山岳ステージでの勝利や山岳タイムトライアルでの活躍で強烈なインパクトを残し、一気にイタリア国内での人気者となった。

 そして今大会で大活躍したコロンビア人選手の1人、山岳賞のジュリアン・アレドンド(トレック ファクトリーレーシング)はマリアアッズーラを獲得し、母国のファンから大きな声援を受けた。

 ジロ終了後、ロードレース界の関心は7月5日に開幕するツール・ド・フランスへと向かう。また別府と新城は、6月29日に岩手県で開催される全日本選手権ロードレースで、日本チャンピオンの証である日の丸ジャージをかけて真剣勝負に挑む。

(文 平澤尚威/写真 砂田弓弦)

第21ステージ結果
1 ルカ・メズゲッツ(スロベニア、チーム ジャイアント・シマノ) 4時間23分58秒
2 ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、トレック ファクトリーレーシング)+0秒
3 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・シャープ)
4 ナセル・ブアニ(フランス、エフデジ ポワン エフエル)
5 ロベルト・フェラーリ(イタリア、ランプレ・メリダ)
6 レオナルドファビオ・ドゥケ(コロンビア、コロンビア)
7 ルーカ・パオリーニ(イタリア、チーム カチューシャ)
8 トッシュ・ヴァンデルザンド(ベルギー、ロット・ベリソル)
9 ボルト・ボジッチ(スロベニア、アスタナ プロチーム)
10 イイヨ・ケイス(ベルギー、オメガファルマ・クイックステップ)
52 新城幸也(日本、チーム ヨーロッパカー) +9秒
78 別府史之(日本、トレック ファクトリーレーシング)

個人総合(マリアローザ)
1 ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) 88時間14分32秒
2 リゴベルト・ウラン(コロンビア、オメガファルマ・クイックステップ) +2分58秒
3 ファビオ・アール(イタリア、アスタナ プロチーム) +4分4秒
4 ピエール・ローラン(フランス、チーム ヨーロッパカー) +5分46秒
5 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +6分32秒
6 ラファウ・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ) +7分04秒
7 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキン プロサイクリングチーム)+11分0秒
8 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMC レーシングチーム) +11分51秒
9 ライダー・ヘシェダル(カナダ、ガーミン・シャープ) +13分35秒
10 ロベルト・キセルロウスキー(クロアチア、トレック ファクトリーレーシング) +15分49秒
82 別府史之(日本、トレック ファクトリーレーシング) +2時間58分07秒
128 新城幸也(日本、チーム ヨーロッパカー) +4時間5分01秒

ポイント賞(マリアロッソパッショーネ)
1 ナセル・ブアニ(フランス、エフデジ ポワン エフエル) 291pts
2 ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、トレック ファクトリーレーシング) 265pts
3 ロベルト・フェラーリ(イタリア、ランプレ・メリダ) 186pts

山岳賞(マリアアッズーラ)
1 ジュリアン・アレドンド(コロンビア、トレック ファクトリーレーシング) 173pts
2 ダリオ・カタルド(イタリア、チーム スカイ) 132pts
3 ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) 88pts

新人賞(マリアビアンカ)
1 ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム)88時間14分32秒
2 ファビオ・アール(イタリア、アスタナ プロチーム) +4分04秒
3 ラファウ・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ) +7分04秒

チーム総合
1 アージェードゥーゼール ラモンディアル 264時間30分55秒
2 オメガファルマ・クイックステップ +19分32秒
3 ティンコフ・サクソ +27分12秒

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