ジロ・デ・イタリア2014 第20ステージ“魔の山”モンテ・ゾンコラン頂上ゴールはロジャースが制する キンタナが初の総合優勝に王手 

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 ジロ・デ・イタリアは31日、第20ステージが167kmの距離で争われた。大人数の逃げで始まったレースは、マイケル・ロジャース(オーストラリア、ティンコフ・サクソ)が1級山岳モンテ・ゾンコランの頂上ゴールにトップで飛び込み、21日の第11ステージに続く今大会2勝目を挙げた。また、注目の総合優勝争いは、ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム)がライバルに先着。最終ステージを残し、個人総合優勝をほぼ手中に収めている。

ゾンコランを上るマイケル・ロジャース。最後は独走で今大会2勝目を挙げたゾンコランを上るマイケル・ロジャース。最後は独走で今大会2勝目を挙げた

 イタリアを主な戦いの場とした3週間のレースは、いよいよ大詰め。今大会最後となる山岳ステージのトリを飾ったのは、“魔の山”モンテ・ゾンコラン。これまで数多くの名勝負、名シーンを生んだ山の頂上がライダーたちを待ち受けた。

 大会終盤にかけて争いが白熱している個人総合争いは、キンタナから2位リゴベルト・ウラン(コロンビア、オメガファルマ・クイックステップ)までが3分7秒差。キンタナにとっては、第20ステージで大きく遅れない限り、安全圏ともいえるタイム差となっていた。一方で、ウランと総合3位ファビオ・アール(イタリア、アスタナ プロチーム)までが41秒、さらに1分38秒差でピエール・ローラン(フランス、チーム ヨーロッパカー)が続き、総合表彰台争いは混沌とした状態。

逃げ集団に入った新城幸也逃げ集団に入った新城幸也

 そんななか、マニアーゴをスタートしたレースは、まず19人がエスケープ。最終の第21ステージが周回コースでのスプリント勝負が予想されるため、実質最後の逃げチャンスでもあった。大きなグループとなった逃げメンバーの中には、新城幸也(チーム ヨーロッパカー)の姿も見られた。新城は中盤以降に逃げ集団から遅れたものの、このステージ2つ目の山岳である2級セッラ・ラッツォの下りでメーン集団に控えたローランのポジション確保に従事。度重なる落車のダメージを感じさせない力強い走りを見せた。

 逃げ集団は、上りで遅れる選手が出る一方で、後方から追い上げてきた選手が加わるなど、15人前後で増減を繰り返しながらゴールを目指した。メーン集団との差は6分から7分で推移していたが、ゾンコラン上りの入口となる残り10km地点では7分50秒にまで差を広げ、ゴールまでの登坂に入っていった。

 ゾンコランの上りは、最大勾配22%、コンスタントに15%前後の勾配が続く激坂。中盤ですでに2つの山岳を越えてきた選手たちは、さすがに消耗の色を隠せない。逃げメンバーでは、フランコ・ペッリツォッティ(イタリア、アンドローニジョカットリ・ベネズエラ)がペースアップを図ると、これに対応できたのはロジャースとフランチェスコマヌエル・ボンジョルノ(イタリア、バルディアーニ・CSF)の2人だけ。続いてボンジョルノが先頭に出ると、ペッリツォッティが遅れ始め、ロジャースとの一騎打ちの様相となった。

 プロ2年目での初勝利がかかったボンジョルノは、再三にわたってアタックを繰り返したものの、ロジャースも一歩も引かない。一進一退の攻防が繰り広げられたが、残り3kmで思わぬハプニングが。選手と併走する観客に後ろから押されたボンジョルノがバランスを崩し、左足を地面についてしまった。これでボンジョルノはタイムロスし、ロジャースが単独先頭に立った。

 1人になってからもペースが落ちなかったロジャースが、そのままゾンコラン山頂のゴールへトップで飛び込んだ。グランツール初のステージ優勝となった第11ステージでは、メーン集団から残り20kmで飛び出し僅差の争いを制しての勝利だったが、今回はロングエスケープでの逃げ切り勝利。昨年10月のジャパンカップでのドーピング検査でクレンブテロールの陽性反応を示し、暫定的な出場停止にあったが、おおよそ復帰レースと言える今回のジロで2勝を挙げる活躍を見せている。

 予期せぬトラブルに見舞われたボンジョルノは、ラスト1kmを切ってペッリツォッティに逆転を許してしまう。結果、ペッリツォッティが2位、ボンジョルノは悔しい3位に終わった。

ゾンコランでのマリア・ローザグループゾンコランでのマリア・ローザグループ

 メーン集団は、リーダーチームのモビスター チームがゾンコランの上りにかけてペースアップ。一時はキンタナを含むモビスター勢3選手が集団から抜け出てしまう場面があったほど、このステージではキンタナの脇を固めるアシスト陣の強さが際立った。

 そして、イゴール・アントン(スペイン)がキンタナのために牽引を開始すると、総合上位陣の走りにも差が生まれた。先行したのはキンタナとウラン。そこにヴァウテル・プールス(オランダ、オメガファルマ・クイックステップ)が加わり、ウランのためにペースメイク。その後方ではアールやローラン、ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼール ラモンディアル)、ラファウ・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)と、総合3位から6位の選手が上位進出をを目指し最後の争いを繰り広げた。

ゾンコランを行くファビオ・アールら総合上位勢ゾンコランを行くファビオ・アールら総合上位勢

 結果的にキンタナとウランの2人に大きな動きはなく、それぞれロジャースから4分45秒遅れのステージ17位、18位でゴール。この瞬間、マリアローザのキンタナはジロ初出場で初の総合優勝に王手をかけた。また、アールらのグループもゴールでは4選手の間に数秒単位の差がついたものの、総合成績を大きく変動させるまでにはいたらず、アールの総合3位は濃厚になった。

 最終となる第21ステージは、スタートからしばらくはパレード走行となり、総合争いにかかわるような動きが行われないのが慣例。今回はトリエステの周回コースでクライマックスを迎えるが、それまでは逃げやスプリントトレインが稼働することはないとみられる。

事実上、総合優勝を確定させたナイロアレクサンデル・キンタナ 事実上、総合優勝を確定させたナイロアレクサンデル・キンタナ<br />

 したがって、4賞のうち3賞がほぼ決定的に。キンタナは個人総合時間賞のマリアローザと新人賞のマリアビアンカの2冠。山岳賞のマリアアッズーラはジュリアン・アレドンド(コロンビア、トレック ファクトリーレーシング)が初のグランツールで初受賞の可能性が高まっている。また、ポイント賞のマリアロッソパッショーネは、ナセル・ブアニ(フランス、エフデジ ポワン エフエル)がトップに立っているが、こちらは第21ステージでの優勝争いで獲得者が確定する。

 2人の日本人選手もモンテ・ゾンコランを上りきり、完走まであと少しと迫った。別府史之(トレック ファクトリーレーシング)が12分46秒遅れのステージ69位、新城は20分51秒遅れのステージ113位でこのステージを終えている。

(文 福光俊介/写真 砂田弓弦)

第20ステージ結果
1 マイケル・ロジャース(オーストラリア、ティンコフ・サクソ) 4時間41分55秒
2 フランコ・ペッリツォッティ(イタリア、アンドローニジョカットリ・ベネズエラ) +38秒
3 フランチェスコマヌエル・ボンジョルノ(イタリア、バルディアーニ・CSF) +49秒
4 ニコラ・ロッシュ(アイルランド、ティンコフ・サクソ) +1分35秒
5 ブレント・ブックウォルター(アメリカ、BMCレーシングチーム) +1分37秒
6 ロビンソンエドゥアルド・チャラプド(コロンビア、コロンビア) +1分46秒
7 ゲオルク・プライドラー(オーストリア、チーム ジャイアント・シマノ) +1分52秒
8 マキシム・モンフォール(ベルギー、ロット・ベリソル) +2分12秒
9 ダリオ・カタルド(イタリア、チーム スカイ) +2分24秒
10 シモン・ゲシュケ(ドイツ、チーム ジャイアント・シマノ) +2分37秒
69 別府史之(日本、トレック ファクトリーレーシング) +12分46秒
113 新城幸也(日本、チーム ヨーロッパカー) +20分51秒

個人総合(マリアローザ)
1 ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) 83時間50分25秒
2 リゴベルト・ウラン(コロンビア、オメガファルマ・クイックステップ) +3分7秒
3 ファビオ・アール(イタリア、アスタナ プロチーム) +4分4秒
4 ピエール・ローラン(フランス、チーム ヨーロッパカー) +5分46秒
5 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +6分41秒
6 ラファウ・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ) +7分13秒
7 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキン プロサイクリングチーム)+11分9秒
8 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMC レーシングチーム) +12分0秒
9 ライダー・ヘシェダル(カナダ、ガーミン・シャープ) +13分35秒
10 ロベルト・キセルロウスキー(クロアチア、トレック ファクトリーレーシング) +15分49秒
82 別府史之(日本、トレック ファクトリーレーシング) +2時間58分7秒
128 新城幸也(日本、チーム ヨーロッパカー) +4時間5分1秒

ポイント賞(マリアロッソパッショーネ)
1 ナセル・ブアニ(フランス、エフデジ ポワン エフエル) 251pts
2 ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、トレック ファクトリーレーシング) 225pts
3 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、キャノンデール) 173pts

山岳賞(マリアアッズーラ)
1 ジュリアン・アレドンド(コロンビア、トレック ファクトリーレーシング) 173pts
2 ダリオ・カタルド(イタリア、チーム スカイ) 132pts
3 ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) 88pts

新人賞(マリアビアンカ)
1 ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム)83時間50分25秒
2 ファビオ・アール(イタリア、アスタナ プロチーム) +4分4秒
3 ラファウ・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ) +7分13秒

チーム総合
1 アージェードゥーゼール ラモンディアル 251時間19分1秒
2 オメガファルマ・クイックステップ +19分23秒
3 ティンコフ・サクソ +26分54秒

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