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201cmのサイクリスト 山本隆弘<3>ロードバイクをさらに好きになった瞬間 初参加の「佐渡ロングライド」130kmコースを完走!

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 なんとか宣言通り130km完走しました! 初のロングライド挑戦で何回もくじけそうになったけれど、元アスリートとして半分以上は意地で走り切りました。今回はその激走の模様をお伝えしていきます。

ゲスト参加した(左から)益子直美さん、山本雅道さん、山本隆弘さんゲスト参加した(左から)益子直美さん、山本雅道さん、山本隆弘さん

実は珍しく緊張

 5月18日の日曜日、新潟県の佐渡島で開かれた「2014スポニチ佐渡ロングライド210」は3188人の参加者で賑わい、午前5時30分から順番にスタートを切っていった。

 まず210kmコースが3グループに分かれ、続いて130km、100km、40kmコースの順にスタート。僕は、元プロ・ロードレーサーの山本雅道さん、バレーボールの先輩である益子直美さん夫妻と一緒にゲストとして参加したため、順番が来るまで参加者の皆さんと会話を楽しみながら笑顔で見送りをした。

参加者の握手に応える参加者の握手に応える
スタート前の参加者のみなさんをお見送りスタート前の参加者のみなさんをお見送り
準備を整えスタートを待つ準備を整えスタートを待つ

 笑顔を作ってはいたものの、実は珍しく緊張していた。普段はそんなに緊張しないけれど、今回は様々な不安が出てきたからだ。周りの人たちには僕が緊張していることは伝わっていなかったはずですが…。こんなに大勢でスタートして接触や転倒はしないのだろうか? ビンディングシューズはスムーズに装着できるか? 練習不足で今まで50kmが最長のライドだけれど、130km持つのか?

 人間は少しでも不安があると緊張したり身体が硬くなったりしますよね。そんな不安を抱えながら、いざスタートの時がやってきた。

 サングラスを掛け、右足をビンディングペダルに装着して準備を整え、ゴーサインと同時にスタートした。まずは周りとの接触を回避し、そして左足をビンディングペダルへ装着するという2つの不安を一気にクリアしなくてはならなかったが、慎重にやることで、何事もなく走りだすことができた。そこからゆっくりと、雅道さんを中心とする「TEAM MASAMICHI」で列を形成し、景色を楽しみながら僕のロングライド初挑戦が始まった。

スタート前、珍しく緊張したという山本隆弘さん(左)スタート前、珍しく緊張したという山本隆弘さん(左)
130kmのロングライドがスタート130kmのロングライドがスタート

励ましの言葉と追い風に乗って

 時には鼻歌を歌いながらペダルを回し、会話も楽しみながら最初のエイドステーションに寄った。そこで、有名なお蕎麦をいただき、急きょ密着取材に来てくれたサイクリストのH記者とも記念撮影をし、思い出の1ページを作ることができた。

(左から)山本雅道さん、益子直美さん、「Cyclist」記者H、山本隆弘さん(左から)山本雅道さん、益子直美さん、「Cyclist」記者H、山本隆弘さん

 そして再び走り出した僕は、佐渡ロングライドの素晴らしさと出会った。沿道の至る所で住民の方々が家から出てきて「頑張って~」と声を掛けてくれたのだ。さらには、急な下り坂やカーブの手前には必ず看板を持ったスタッフがいて注意喚起してくれた。初めて走る僕にとっては、ものすごく助かったし、住民の方々の温かさを感じた。

 励ましの言葉と追い風に乗って、いいペースで2つ目のエイドステーションに到着したら、トイレを済ませて再スタート。左側には日本海が広がり、波の音や潮のにおいをからだ全体で感じられる。空を飛ぶ鷹の鳴き声を聞きながら、それまで僕のライド最長距離であった50kmを通過していった。

景色を楽しみながら坂を上る

 ここからは未知の世界のライドとなるわけだが、あっという間に過ぎてしまったなという印象だった。順調にコースを進んで行くと、佐渡ロングライド名物の地点にやってきた。

名物「Z坂」に挑戦!名物「Z坂」に挑戦!

 これが名物のZ坂で、傾斜が最大で11%あるらしい。写真撮影のために止まろうとしたところ、坂に圧倒され、左足のビンディングを外すのを忘れてしまった。おかげさまで膝から転んでしまい、名物の坂を目の前にしてロードバイク生活2回目の転倒を記録しちゃうことに。転倒したショックはあったけれど、一気に上りきるために気合を入れ直し、再びペダルを回していった。

 上り坂でのコツは、大きな筋肉を使ってペダルを踏むのではなく、軽いギアを回し続けること。そう頭の中で言い聞かせて、ゆっくり上っていった。

 そして、前方ばかりでなく景色を楽しもうと横を見たら、絶景が広がっているではありませんか!

軽いギアで、ゆっくりと上った軽いギアで、ゆっくりと上った
視線を海に向ければ、美しい景色が広がる視線を海に向ければ、美しい景色が広がる

 この景色と晴れ渡った天候に助けられながら、名物のZ坂を無事にクリア。その後はしばらく下り坂が続くので、クルマや周りの選手にも注意を払いながら走った。下り終えると、また大野亀坂という上りが待ち受けていたが、頂上にあった売店のソフトクリームが最高のご褒美で、坂の疲れを吹き飛ばしてくれた。

大野亀の巨岩に向かう上り大野亀の巨岩に向かう上り
大野亀坂の全景大野亀坂の全景
大野亀の売店で食べたソフトクリーム大野亀の売店で食べたソフトクリーム

お尻が悲鳴を上げた

 ここから、風との戦いが始まった。朝から少し肌寒かったこの日、風も例年より強かったらしい。そして島の外周コースを走っているうちに、いつのまにか追い風から向かい風に変わっていた。戦いといっても、僕にとっては風とどのように友達になるかという戦いですよ。

強風だったため、常に風の影響を受けながら走った強風だったため、常に風の影響を受けながら走った

 少し走ると3つ目のエイドステーションがあったので、おにぎりを2個食べ、さらに持っていたエネルギーゼリーで補給を済ませて、次の「弁当ステーション」に向かった。余力を残していた足を徐々に使い始め、速度を上げて進んで行くものの、なかなか風が友達になってくれない。気まぐれのように時として強くなるので、ギアの切り替えで調整を図りながら走ったけれど、今回は風が友達になってくれることはありませんでした…。

 苦境はさらに続き、95km付近からお尻が悲鳴を上げ、裂けているような感覚に陥った。速度を上げることもできず、お尻を少しだけ浮かせながら走ることしかできない。弁当ステーションのある両津港まで5kmという標識が出てきたので耐えながら走っていたのに、なかなか辿り着かなかった。この時だけは頭の中がクルマの感覚になっていて、5kmなんてすぐに着くと思っていたけれど、そんなわけがないですよね。

ラスト30kmは海沿いの道を離れ、島の内陸部を走ったラスト30kmは海沿いの道を離れ、島の内陸部を走った

 何とか弁当ステーションに着いたのは良かったものの、頻繁にアナウンスが流れていて「130kmコースの方は13時30分までに出発できなければリタイアとなります」とのこと。僕が着いた時間が13時10分だったので、20分後までには出発しないと挑戦が終わってしまう。

 急いで弁当をほお張り、慌てて出発した。あまり休めなかったので、案の定、すぐにお尻が悲鳴を上げ始めた。さらには、残り30kmは島の内側を走るので、ほとんどがアップダウンだった。

アスリート魂が僕の背中を押してくれた

 疲労がたまったのか自転車を引いて歩いている選手も多く見受けられたが、アスリート魂が僕の背中を押してくれた。歩くことなく、ゴールに向かってペダルを回し続けて…けれどお尻の痛みには耐えることができず、休憩を2回入れてしまった。

アップダウンの激しい山間部で一休みアップダウンの激しい山間部で一休み
山間部を抜け、少しずつ海が見えてきた。ゴールは近い山間部を抜け、少しずつ海が見えてきた。ゴールは近い

 かなり疲れてきていたが、自分自身に負けないようにゴールを目指し、ついにフィニッシュゲートが見えてきた。実況アナウンスの方が「山本隆弘選手、ゴール」とコールしてくれたことが、最高に気持ちいい。こうして、ロングライド初挑戦を何とか完走することができた。

ゴールした瞬間、疲れを忘れるほどの達成感を味わったゴールした瞬間、疲れを忘れるほどの達成感を味わった

 ゴール後は疲れが吹っ飛び、達成感に満ちあふれていた。苦しかったことを忘れ、楽しかったことしか思い浮かばない。ロードバイクをさらに好きになった瞬間だった。だけど後半は風と友達になることができなかったし、景色を楽しむ余裕すらなくなっていたので、来年も挑戦したいな。

オーダーメードバイクで130kmを走りきったオーダーメードバイクで130kmを走りきった

◇         ◇

前夜祭で登壇した山本隆弘さん(右)。借り物の長袖ジャージは丈が足りず前夜祭で登壇した山本隆弘さん(右)。借り物の長袖ジャージは丈が足りず

 ちなみに前夜祭での一コマですが、予想以上に気温が低く、持ってきていた服は半袖しかなかったので、メーカーさんと雅道さんに長袖をお借りしました。

 こんな格好を見て笑う方も多いと思いますが、身長が規格外で何を買うにしても困っている僕の一面でした。

(文 山本隆弘)

山本隆弘山本隆弘

元バレーボール選手。201cmの長身サウスポーとしてスパイクやサーブを武器に、Vプレミアリーグのパナソニック・パンサーズや全日本でエースとして活躍。2008年には北京オリンピックに出場した。2013年に現役引退してからは解説者、タレントとして活動。身長に合わせたオーダーメードのロードバイクで、初めてのスポーツ自転車に挑戦中。山本隆弘オフィシャルブログ「志」http://ameblo.jp/takahirokokorozashi/

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