Cyclist的エンタメ観戦記「撮影のあと自転車を買ってしまいました」 映画『南風』主演の黒川芽以さんインタビュー

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 台湾の美しい湖「日月潭」(にちげつたん)や、瀬戸内海の広島~愛媛間を結ぶ「しまなみ海道」の魅力を詰め込んだ自転車ロードムービー『南風(なんぷう)』が今年7月から公開される。主人公の雑誌編集者、風間藍子を演じるのは、舞台や映画で活躍する黒川芽以さん(27)。映画の公開を前にCyclistの単独インタビューに応じ、劇中と変わらぬ屈託のない笑顔で、スポーツサイクルに乗っての撮影の様子や台湾の魅力について語った。(文 柄沢亜希、写真 瀧誠四郎)

Cyclistのインタビューに答える黒川芽以さんCyclistのインタビューに答える黒川芽以さん

風を感じて走ることができるクロスバイク

 「実は撮影のあと自転車を買ってしまって。やられたな、と思いました」

 開口一番、こう打ち明けた。

「自転車を買ってしまいました」と打ち明けた黒川芽以さん「自転車を買ってしまいました」と打ち明けた黒川芽以さん

 ストーリーは、不本意な異動でファッション担当を外れた藍子が単身台湾に渡り、台北から台湾中部の日月潭まで約300kmを自転車で走り、そして日月潭でのサイクリングイベントを取材する――という内容。およそ2週間の台湾ロケで、実際にその道のりをたどって撮影していったという。

 以前はスポーツタイプの自転車に乗った経験がないという黒川さん。しかし撮影では、さっそうと駆けるシーンから、倒れる場面でのハンドルさばきまで自然に乗りこなすことができ、自転車好きの萩生田宏治監督から褒められるほどだったという。

 もともと「風を感じて走りたくてオートバイに乗りたいと思ったこともある」というほど、乗り物のスピード感が好き。ママチャリからクロスバイクに乗り換えた藍子が、その軽やかなペダリングに感動するシーンは、黒川さんの気持ちそのものだ。

 「(クロスバイクは)こんなに楽なのかと驚きました。それに、自転車をこぐことで景色がどんどん流れて『前に進む』という感覚は、精神的に疲れている時にも効果的だと感じました」

藍子の悩みや成長過程が自身にリンク

 出演を決めた理由のひとつは、ロードムービーに興味があったから。

 「藍子が旅をしていくことで自分も旅をする気持ちになれる。クルマではなく自転車でというところも珍しい。今しかできないことだし、いい経験になるだろうな、と」

映画『南風(なんぷう)』のサイクリングシーン ©2014 Dreamkid/好好看國際影藝映画『南風(なんぷう)』のサイクリングシーン ©2014 Dreamkid/好好看國際影藝

 黒川さんが演じた藍子の年齢は、当初28~29歳の設定だったが、監督と対話する中で、黒川さんの撮影時の実年齢である26歳に変更された。より演じやすくなるとともに、藍子の悩みや成長過程が黒川さん自身とリンクするようになった。

 例えば、海外での映画撮影が初めてだった黒川さんにとって、「藍子が初めて台湾に到着した場面は、私にとっても本当にスタート地点。不安と期待が入り混じった雰囲気はそのままです」と振り返った。

映画『南風(なんぷう)』では数々のグルメも登場する ©2014 Dreamkid/好好看國際影藝映画『南風(なんぷう)』では数々のグルメも登場する ©2014 Dreamkid/好好看國際影藝

 日本語が通じない撮影現場では、日本のお笑いの動画を片言の英語で解説して楽しむなど、共演者とのコミュニケーションに努めた。特に、モデルを夢見る台湾の少女・トントンを演じたテレサ・チーさんは、妹のような存在で、サイクリング場面の撮影中には黒川さんから「大丈夫?」と声をかけるなど気遣ったという。

 そんな気持ちで臨んだ撮影は、「全部のシーンに語れることがある」と言うほどに思い出深いものとなった。その中で、やはり特別なのは「自転車で電車を追いかけるシーン」だという。

 「実際に電車が通過するのを待って、『レッツゴー!』と全力疾走で撮影しました。叫びながら走るのは大変だったし、実は坂道だったんです。あんな経験、なかなかできません。本当に死ぬかと思いましたが、気持ちよかった」

 『南風』のラストには、しまなみ海道の愛媛県側の発着地点、今治市でのサイクリングイベントのシーンが登場する。そのシーンを「最高でした。また走りたい」と振り返り、島をつなぐ大橋を走る爽快感に想いを馳せた。

『南風』の撮影シーンを振り返る黒川芽以さん『南風』の撮影シーンを振り返る黒川芽以さん

愛車のカスタマイズに興味津々

 プライベートで手に入れた愛車は、「街中を走りやすいものを」と選んだクロスバイク。かわいい水色のフレームがお気に入りだ。

機械が好きな“ガジェッター”。自転車のカスタマイズにも関心があるという黒川芽以さん機械が好きな“ガジェッター”。自転車のカスタマイズにも関心があるという

 購入前にはインターネットでリサーチを重ねたものの、「実際に見てみないと分からないので、いくつもショップを訪ね、詳しい店員さんがいれば相談もしました」。お気に入りの自転車に出会うまでの時間も楽しんでいた様子だ。

 さらに「自転車は自分にとって大きな買い物。カメラを買う時と同じです」。聞けば、カメラを含めて機械が好きな“ガジェッター”だといい、撮影で藍子が使っていたカメラも私物なのだそうだ。

 愛車についても、「タイヤの色を変えたかったけれど、目立ちすぎるのでやめた」と打ち明けるなど、早くもカスタマイズに興味津々。「空気を入れるバルブや、ケーブルの色まで変えられるなんて、自己満足の世界ですよね。私もそういうのが大好き。カスタマイズ、たまらないですね。そのうちに前後違う色のタイヤにも挑戦してみたい」と弾んだ声で語った。

ほかの国にはない台湾の魅力

 今回初めて訪れた台湾では、「海が開けていたり山の見晴らしがいい場所だったりすると、日差しが強くて暑かった。湿度や汗でメイクがどんどん落ちて大変でした」と苦労も多かったそうだ。

 一方、タイトなスケジュールの中でも時間を見つけては訪れたのが、マッサージ。台湾の魅力のひとつだという。また、肉を中心とした台湾の料理も、「甘辛い独特の醤油の味付けがおいしかった」と気に入ったそうで、体力勝負のロケに備えてしっかり食べたという。

台湾の魅力について語る黒川芽以さん台湾の魅力について語る黒川芽以さん

 そして、台湾の一番の魅力は「人の優しさ」と断言する。台湾以外にも、これまでマウイ、サイパン、ニューヨーク、ロンドン、パリ、香港など多くの国を訪れたことがある黒川さんだが、他の国と比較して「日本人のことをこんなに大好きで、日本語をたくさん話す人たちはいない」と指摘。台湾への愛着は、すでに藍子という役柄を超えて黒川さんの中に染み入っているようだ。

(スタイリスト 井田正明、ヘアメイク 鷲塚明寿美) 

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