ジロ・デ・イタリア2014 第16ステージ大激戦のチマコッピステージ 頂上ゴールへ羽ばたいたキンタナが優勝、マリアローザも奪取

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 ジロ・デ・イタリア第16ステージが27日に行われ、雨と雪に苦しめられたチマ・コッピ(最高標高地点)ステージの頂上ゴールを、ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム)が独走で制して優勝した。主要選手のグループに約4分の差を付けてゴールしたキンタナは個人総合で首位に立ち、マリアローザに初めて袖を通した。

ゴールに向けて独走体制に入ったキンタナ。総合優勝へ近づく大きな勝利を挙げたゴールに向けて独走体制に入ったキンタナ。総合優勝へ近づく大きな勝利を挙げた

 最後の休養日から明けたジロは、怒濤の最終週へと突入する。ポンテ・ディ・レーニョからヴァル・マルテッロに至る第19ステージは、距離は139kmと短いものの、スタートしてすぐに標高2618mのガヴィア峠を上り、下りきってまたすぐに今年のチマ・コッピ(標高2758m)のステルヴィオ峠を上り、これを下って最後に標高2059mの頂上ゴールへ22kmの上りをこなす。

 実は昨年のジロでも、第19ステージにクライマックスとして用意されたコース。しかし昨年は悪天候のため、ガヴィアとステルヴィオが回避となってしまっていた。今年も雨と雪が降りレースキャンセルが懸念されたが、予定通りのコースでレースは決行された。

 選手たちは冬場のトレーニングばりの防寒着を着込んでレースに出走した。最初のガヴィア頂上は雪模様のなか、ロビンソンエドゥアルド・チャラプド(コロンビア、コロンビア)が先頭通過。山岳賞首位の青いジャージを着るジュリアン・アレドンド(コロンビア、トレック ファクトリーレーシング)が2位通過し、山岳ポイントを積み重ねる。

雪の壁が残るガヴィア峠を行くメーン集団雪の壁が残るガヴィア峠を行くメーン集団

 ステルヴィオを上り始めた時点で、先頭は9人のグループが2分半先行する形に。これを追うメーン集団も人数はすでに40人ほどと少ない。選手たちを濡らす雨は頂上が近づくにつれ次第に雪へと変わる。空の色は真っ白。コース脇の雪の壁も2mを超える高さだ。

 頂上まで約3km地点で、逃げグループからダリオ・カタルド(イタリア、チーム スカイ)が単独アタック。そのまま今年のチマ・コッピをトップ通過した。メーン集団は1分半ほどの差。多くの選手が頂上で一旦ストップし、上着を着込んでから下りをスタートした。

 雪と雨のなか狭く険しい峠道を一気に25kmも下るダウンヒルは、集団の状態に変化をもたらした。先行するカタルドと、これを追う3人はステルヴィオで逃げたグループのままだが、その後ろにはメーン集団から抜け出したキンタナとピエール・ローラン(フランス、チーム ヨーロッパカー)が、それぞれアシスト選手を1人伴って追走。マリアローザのリゴベルト・ウラン(コロンビア、オメガファルマ・クイックステップ)らに約2分のリードを奪うことに成功した。

 天候は回復し、選手たちが上着を脱ぐと、本来のカラフルなチームジャージが姿を現す。キンタナらのグループは、最後の上り口を前に、前を行くグループに合流。このグループには2012年のジロ覇者、ライダー・ヘシェダル(カナダ、ガーミン・シャープ)も入っている。

ステージ3位、総合でも4位に浮上したローランステージ3位、総合でも4位に浮上したローラン

 いよいよヴァル・マルテッロへの上りに突入。キンタナのためにゴルカ・イサギレ(スペイン、モビスター チーム)がハイペースを維持したあと、満を持してキンタナがアタック。ローラン、ヘシェダルを連れて先頭のカタルドに追い付き、さらにペースアップを図る。急勾配区間でカタルドは脱落し、ローラン、ヘシェダルも差を付けられるが、斜度が緩やかになると再び合流して3人の先頭グループとなる。

 一方、後方のメーン集団は、下りで数十人に膨れ上がったが、上りに入って再び10人ほどに絞られた。各チームのアシストが力を使い果たし、それでも先頭との差は約2分半。このままではウランはマリアローザを失ってしまう。ついに自ら先頭に立って前を追うが、その差は広がる一方だ。総合上位の選手たち全てが余裕のない表情で、まさに死闘となっている。

ウランはこの日でマリア・ローザを失ったウランはこの日でマリア・ローザを失った

 先頭では残り5kmでローランが遅れ、粘ったヘシェダルも残り1.5kmからの最後の急勾配区間でキンタナから遅れた。キンタナはポーカーフェースのまま軽やかなダンシングで加速。後続に最大限のタイム差を付けるために、最後もガッツポーズをせずにフィニッシュラインを駆け抜けた。粘ったヘシェダルは8秒差の2位、ローランは1分13秒差の3位と、先頭からは遅れたものの、総合ではそれぞれ順位を上げることに成功した。

 追走集団も最後はバラバラとなり、マリアローザのウランは4分11秒差の9位ゴール。個人総合でキンタナに逆転を許したばかりか、1分41秒もの大差を付けられた。今大会で本命の一人と目されながら、ここまで目立った強さを発揮してこなかったキンタナだが、最難関の山岳ステージでついに牙を剥いた。

ついにマリアローザを着たキンタナついにマリアローザを着たキンタナ

 日本人選手は、別府史之(トレック ファクトリーレーシング)がトップから39分33秒遅れの大集団で、新城幸也(チーム ヨーロッパカー)は44分7秒遅れの最終集団で、それぞれ無事にゴールしている。

 翌第17ステージは、サルノーニコからヴィットーリオ・ベネトに至る208kmのレース。高低差は少ないが、細かいアップダウンがあり、逃げに有利なステージだ。総合争いは小休止で、ここまでチームのために力を使ってきたアシスト選手がチャンスを得るステージになるだろう。

(文 米山一輝/写真 砂田弓弦)

第16ステージ結果
1 ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) 4時間42分35秒
2 ライダー・ヘシェダル(カナダ、ガーミン・シャープ) +8秒
3 ピエール・ローラン(フランス、チーム ヨーロッパカー) +1分13秒
4 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキン プロサイクリングチーム) +3分32秒
5 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼール ラモンディアル ) +3分37秒
6 ファビオ・アール(イタリア、アスタナ プロチーム) +3分40秒
7 ラファウ・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ) +4分08秒
8 セバスティアン・エナオ(コロンビア、チーム スカイ) +4分11秒
9 リゴベルト・ウラン(コロンビア、オメガファルマ・クイックステップ)
10 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMC レーシングチーム) +4分48秒
86 別府史之(日本、トレック ファクトリーレーシング) +39分33秒
158 新城幸也(日本、チーム ヨーロッパカー) +44分07秒

個人総合(マリアローザ)
1 ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) 68時間11分44秒
2 リゴベルト・ウラン(コロンビア、オメガファルマ・クイックステップ) +1分41秒
3 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMC レーシングチーム) +3分21秒
4 ピエール・ローラン(フランス、チーム ヨーロッパカー) +3分26秒
5 ラファウ・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ) +3分28秒
6 ファビオ・アール(イタリア、アスタナ プロチーム) +3分34秒
7 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼール ラモンディアル ) +3分49秒
8 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキン プロサイクリングチーム) +4分06秒
9 ライダー・ヘシェダル(カナダ、ガーミン・シャープ) +4分16秒
10 ロベルト・キセルロウスキー(クロアチア、トレック ファクトリーレーシング) +8分02秒
88 別府史之(日本、トレック ファクトリーレーシング) +2時間23分37秒
131 新城幸也(日本、チーム ヨーロッパカー) +3時間15分02秒

ポイント賞(マリアロッソパッショーネ)
1 ナセル・ブアニ(フランス、エフデジ ポワン エフエル) 251pts
2 ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、トレック ファクトリーレーシング) 225pts
3 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、キャノンデール) 173pts

山岳賞(マリアアッズーラ)
1 ジュリアン・アレドンド(コロンビア、トレック ファクトリーレーシング) 95pts
2 ロビンソンエドゥアルド・チャラプド(コロンビア、コロンビア) 69pts
3 ダリオ・カタルド(イタリア、チーム スカイ) 62pts

新人賞(マリアビアンカ)
1 ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) 68時間11分44秒
2 ラファウ・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ) +3分28秒
3 ファビオ・アール(イタリア、アスタナ プロチーム) +3分34秒

チーム総合
1 アージェードゥーゼール ラモンディアル  204時間19分48秒
2 オメガファルマ・クイックステップ +36分50秒
3 ティンコフ・サクソ +45分09秒

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