ジロ・デ・イタリア2014 第15ステージイタリアの新星アールがプロ初勝利 パンターニゆかりの峠で才能を発揮し、頂上ゴールへ独走

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 ジロ・デ・イタリアの第15ステージが25日に行われ、1級山岳の頂上ゴールを制したファビオ・アール(イタリア、アスタナ プロチーム)がプロ初勝利となるステージ優勝を遂げた。個人総合で首位のリゴベルト・ウラン(コロンビア、オメガファルマ・クイックステップ)はアールから42秒遅れたが、マリアローザを守っている。別府史之(トレック ファクトリーレーシング)は19分17秒遅れの76位、前日に落車した新城幸也(日本、チーム ヨーロッパカー)も出走して29分7秒遅れの139位で無事にゴールし、日本勢2人はそろって最終週に臨む。

プロ初勝利となるステージ優勝を挙げたファビオ・アールプロ初勝利となるステージ優勝を挙げたファビオ・アール

 ヴァルデンゴからモンテカンピオーネまでの225kmで行われた山岳ステージ。イタリア北西部からミラノの北側を通過して東へと向かう直線的なルートで、205kmに及ぶ平坦路と、登坂距離19.4km、平均7.6%の1級山岳で構成される。前日の第14ステージに続き、この日もジロ・デ・イタリアにおけるマルコ・パンターニの足跡を辿るコース。頂上ゴールのモンテカンピオーネは、1998年のジロ第19ステージで登場し、パンターニがライバルのパヴェル・トンコフに1分近い差をつけて大会2勝目を挙げ、総合優勝を決定づけた峠だ。

 新城は前日に落車して出走が危ぶまれていたが、この日もスタートを切った。第5ステージでの落車によるけがからようやく回復してきた矢先に2度目の落車に巻き込まれたが、ひとまずリタイアの危機を乗り越えた。

 レースが始まると、前日に逃げ切り優勝が決まったこともあり、激しいアタックの応酬が繰り広げられ、ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・メリダ)、アダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ベリソル)ら12人が逃げ集団を形成した。

モンテカンピオーネで走りながら無線で話すリゴベルト・ウランモンテカンピオーネで走りながら無線で話すリゴベルト・ウラン

 メーン集団は、今大会未勝利のプロコンチネンタルチーム、ネーリソットーリが主にコントロールした。逃げに選手を送り込めなかったため、ステージ優勝を狙うにはまず逃げ集団を捉えなくてはならない。トレック ファクトリーレーシングも、山岳リーダーのジュリアン・アレドンド(コロンビア)のために集団の牽引に加わった。それが功を奏し、逃げとのタイム差は、モンテカンピオーネの上りを前にして約2分にまで縮まった。

 上りに入ると、逃げ集団からまずはハンセンが抜け出した。それにアンドレフェルナンドサントス・カルドソ(ポルトガル、ガーミン・シャープ)らが合流。その他に逃げていた選手たちはメーン集団に吸収されていった。

 そして、ステージ優勝や山岳ポイントの上積みを狙うアレドンドが、狙い通りにアタックを仕掛けた。残り12kmでハンセンを抜き去ると、カルドソとともに先頭へ。しかしメーン集団との差は20秒台で推移し、リードはなかなか広がらない。

攻撃に出たフィリップ・デイグナン攻撃に出たフィリップ・デイグナン

 すると残り10km、メーン集団からフィリップ・デイグナン(アイルランド、チーム スカイ)がアタックし、先行する2人を一気にパス。デイグナンに続き、各チームのエース級で構成された15人ほどの集団がアレドンドらをのみ込んだ。

 ラスト5kmからは集団での争いが激化した。ピエール・ローラン(フランス、チーム ヨーロッパカー)、続いてマリアローザのウランがアタックし、カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMC レーシングチーム)ら総合上位勢がすかさず食らい付く。いったん集団が落ち着くと、こんどはローランとファビオアンドレス・ドゥアルテ(コロンビア、コロンビア)が抜け出し、デイグナンをパスして先頭に立った。

 次に仕掛けたのは、総合7位のアール。するとウランがすかさず追いかけた。ローランのアタックを容認したウランだが、総合成績がより上位のアールは見過ごすわけにはいかなかった。さらにナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム)もアールとウランを軽快に追走。一方でエヴァンスやラファウ・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)らは取り残されてしまった。

 アールはローランとドゥアルテをあっという間に捉え、もう一度ペースアップ。これが勝利の決め手になった。単独で先頭に立つと、力強いダンシングでゴールへと突き進んだ。キンタナやローランが追走していくなか、ウランだけは少し距離を置いてマイペースで上っていく。その姿は、追えなかったようにも、あえて無理に追わなかったようにも見えた。

上りで苦しむカデル・エヴァンス(右)、ダニエル・モレノ(左)ら上りで苦しむカデル・エヴァンス(右)、ダニエル・モレノ(左)ら
モンテカンピオーネを行くナイロアレクサンデル・キンタナ(手前)とピエール・ローランモンテカンピオーネを行くナイロアレクサンデル・キンタナ(手前)とピエール・ローラン

 最後まで気迫の走りを見せたアールは、歓喜のガッツポーズとともにゴールラインへ。パンターニゆかりの地での鮮烈な初勝利は、新たなスター選手の誕生を感じさせた。アールはボーナスポイントの10秒も獲得し、総合順位を7位から4位に上げた。キンタナら3人は20秒ほど遅れてゴール。ウランはアールから42秒遅れとなったが、個人総合成績では2位のエヴァンス、3位マイカへのリードを広げることができた。

 2012年にアスタナ入りしたアールは、昨年のジロでエースのヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア)をアシストしながら、新人賞を争いにも名を連ねた。ニバリのツール・ド・フランス出場を受けて今年のジロでエースに指名されたミケーレ・スカルポーニ(イタリア)が不調に陥るなか、将来の有望株として期待されるアールが早くもエース級の実力を示した。単年契約の多いサイクルロードレース界において2016年までの契約をアスタナと結んでおり、彼に対するチームからの期待は高い。

 26日は休息日。一休みした選手たちは、27日の第16ステージでドロミテ山塊の争いに突入する。このステージは、大雪によって中止された昨年の第19ステージと同じコースだ。距離は139kmと短いが、1級山岳のガヴィア、そして大会の最高標高地点“チマ・コッピ”となるステルヴィオ峠を越え、最後に1級山岳ヴァル・マルテッロ/マルテルタルの頂上ゴールへと向かう、総合争いにおいて重要な1日だ。

(文 平澤尚威/写真 砂田弓弦)

第15ステージ結果
1 ファビオ・アール(イタリア、アスタナ プロチーム) 5時間33分06秒
2 ファビオアンドレス・ドゥアルテ(コロンビア、コロンビア)  +21秒
3 ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) +22秒
4 ピエール・ローラン(フランス、チーム ヨーロッパカー) +22秒
5 リゴベルト・ウラン(コロンビア、オメガファルマ・クイックステップ) +42秒
6 ラファウ・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ) +57秒
7 フランコ・ペッリツォッティ(イタリア、アンドローニジョカットリ・ベネズエラ) +1分08秒
8 ダニエル・モレノ(スペイン、チーム カチューシャ) +1分08秒
9 ライダー・ヘシェダル(カナダ、ガーミン・シャープ) +1分13秒
10 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMC レーシングチーム) +1分13秒
76 別府史之(日本、トレック ファクトリーレーシング) +19分17秒
139 新城幸也(日本、チーム ヨーロッパカー) +29分07秒

個人総合(マリアローザ)
1 リゴベルト・ウラン(コロンビア、オメガファルマ・クイックステップ) 63時間26分39秒
2 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMC レーシングチーム) +1分03秒
3 ラファウ・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ) +1分50秒
4 ファビオ・アール(イタリア、アスタナ プロチーム) +2分24秒
5 ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) +2分40秒
6 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +2分42秒
7 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキン プロサイクリングチーム) +3分04秒
8 ピエール・ローラン(フランス、チーム ヨーロッパカー) +4分47秒
9 ロベルト・キセルロウスキー(クロアチア、トレック ファクトリーレーシング) +5分44秒
10 ヴァウテル・プールス(オランダ、オメガファルマ・クイックステップ) +6分32秒
89 別府史之(日本、トレック ファクトリーレーシング) +1時間46分34秒
136 新城幸也(日本、チーム ヨーロッパカー) +2時間33分25秒

ポイント賞(マリアロッソパッショーネ)
1 ナセル・ブアニ(フランス、エフデジ ポワン エフエル) 251pts
2 ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、トレック ファクトリーレーシング) 225pts
3 ロベルト・フェラーリ(イタリア、ランプレ・メリダ) 173pts

山岳賞(マリアアッズーラ)
1 ジュリアン・アレドンド(コロンビア、トレック ファクトリーレーシング) 75pts
2 ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ベリソル) 57pts
3 ディエーゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ) 39pts

新人賞(マリアビアンカ)
1 ラファウ・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ) 63時間28分29秒
2 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキン プロサイクリングチーム) +34秒
3 ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) +50秒

チーム総合
1 オメガファルマ・クイックステップ 189時間51分36秒
2 アージェードゥーゼール ラモンディアル  +1分54秒
3 BMC レーシングチーム +8分15秒

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