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ツアー・オブ・ジャパン2014 第6ステージ【詳報】最終ステージでついに輝いたランプレ・メリダ 20歳の新人ボニファジオはプロ初勝利

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 ツアー・オブ・ジャパン(TOJ)は25日、最終ステージとなる東京ステージが行なわれ、集団スプリントを制したニッコロ・ボニファジオ(イタリア、ランプレ・メリダ)が優勝した。全6ステージを通した個人総合成績では、ミルサマ・ポルセイェディゴラコール(イラン、タブリーズペトロケミカル)が総合優勝を果たした。日本人選手は、このステージで吉田隼人(シマノレーシング)が7位、個人総合で増田成幸(宇都宮ブリッツェン)が10位に入ったのが最高だった。

第6ステージを制し、表彰台で歓声に応えるランプレ・メリダのニッコロ・ボニファジオ。右は橋本聖子・日本自転車競技連盟会長第6ステージを制し、表彰台で歓声に応えるランプレ・メリダのニッコロ・ボニファジオ。右は橋本聖子・日本自転車競技連盟会長

有力スプリンター不在 わずか41人でスタート

 東京都心の空が気持ちよく晴れ渡ったTOJ最終日。レースは日比谷シティ前をスタートし、1.2kmのパレード走行のあとリアルスタート。大井埠頭までの14.7kmと、大井埠頭の1周7kmの周回コースを14周する、112.7kmの平坦なスピードレースだ。南信州から富士山、伊豆へと続いた激しい上りのステージを耐え抜いたスプリンターたちが、華やかなバトルを繰り広げるのが例年の流れだが、今年は前日の伊豆ステージで先頭グループがあまりに速く、多くの有力スプリンターやスピードマンが周回遅れのタイムアウトとなって失格に。

スタートラインに並ぶ各賞ジャージを着た選手たちスタートラインに並ぶ各賞ジャージを着た選手たち
パレードランの先導を努めた来賓やゲストたちパレードランの先導を努めた来賓やゲストたち

 その結果、今大会の目玉選手だったフィリッポ・ポッツァート(イタリア、ランプレ・メリダ)をはじめ、昨年のTOJでステージ2勝を挙げた西谷泰治(愛三工業レーシングチーム)、元ロード全日本チャンピオンの宮澤崇史(ヴィーニファンティーニ・NIPPO)、若手有望株の内間康平(ブリヂストンアンカー)らが最終日に出走できなかった。この日のスタートに並んだのはわずか41人と、やや寂しいステージとなった。

日比谷通りにチームカーが並ぶ日比谷通りにチームカーが並ぶ
スタートの号砲を鳴らしたのは橋本聖子・日本自転車競技連盟会長スタートの号砲を鳴らしたのは橋本聖子・日本自転車競技連盟会長
スタートしてパレードランに臨む選手達スタートしてパレードランに臨む選手達

モニエ、トリビオらの強力な逃げが先行

 しかし号砲が鳴ると、例年にもまして激しいバトルが繰り広げられることに。周回コースに入る前から、次々にアタックが掛かっては吸収される。積極的に仕掛けるのは、OCBCシンガポール、宇都宮ブリッツェン、ラファ・コンドールJLTの選手たち。またチームUKYOは、総合4位につけるホセヴィセンテ・トリビオ(スペイン)を逃げグループに送り込もうと、組織的な動きを見せた。

 大井埠頭の周回コースに入ってからは、トム・モーゼス(イギリス、ラファ・コンドールJLT)とインホン・ヤング(香港、OCBCシンガポール)の2人がまとまって逃げる展開に。メーン集団に20~30秒差をつけて先行する。一方、メーン集団ではセオリー通り、リーダーチームのタブリーズペトロケミカルがコントロール。総合首位のグリーンジャージを着るポルセイェディゴラコールも先頭交替に加わった。

モーゼスとヤングが飛び出すモーゼスとヤングが飛び出す
メーン集団を総合リーダージャージを着るポルセイェディゴラコールが自ら牽引メーン集団を総合リーダージャージを着るポルセイェディゴラコールが自ら牽引

 途中、モーゼスが集団に下がり、ヤングの単独逃げが2周回ほど続いたあと、こんどはメーン集団からUKYOのトリビオとブリヂストンアンカーのダミアン・モニエ(フランス)が先頭へブリッジを敢行。逃げはヤングとトリビオ、モニエの3人に再構成された。

大柄なモニエが力強く逃げを牽引大柄なモニエが力強く逃げを牽引

 総合4位に付けるトリビオは、逃げ切りからのステージ優勝を狙うとともに、総合順位アップも見据えての動きだ。またモニエは、ジロ・デ・イタリアでのステージ優勝や、フランス選手権におけるU23個人タイムトライアル、トラック個人追抜での優勝経験をもつスピードマン。2人が加わることで、逃げは一気に強力なものとなった。

ついにランプレ・メリダが動いた!

 40秒だったメーン集団との差が少しずつ広がる。メーン集団をコントロールするタブリーズ勢の表情は、明らかに余裕を失い、苦悶を浮かべるようになった。残り5周回、タイム差が50秒になった時点で、ついにランプレ・メリダが集団牽引に乗り出した。

残り4周に入る逃げ。先頭はトリビオ残り4周に入る逃げ。先頭はトリビオ
メーン集団のコントロールにランプレ・メリダが加わったメーン集団のコントロールにランプレ・メリダが加わった

 ここまでTOJのステージで1勝もできていないランプレ・メリダは、何としてでもこの日のレースで勝利が欲しいところだ。エーススプリンターのボニファジオのために、2人のアシスト選手がタブリーズの先頭ローテーションに参加。この動きにより、逃げとの差は再び減少に転じた。

オーロラビジョン前を通過するメーン集団オーロラビジョン前を通過するメーン集団
いよいよ残り1周。ランプレ・メリダが、前に出るいよいよ残り1周。ランプレ・メリダが、前に出る

 残り1周に入る時点でタイム差は10秒。メーン集団の先頭は完全にランプレ・メリダが掌握した状態となり、そのまま一気に逃げの3人を飲み込んだ。途中から一時、宇都宮ブリッツェンが先頭に集まって集団を牽引するが、他チームに打撃を与えるまでには至らない。いよいよゴールスプリントへ。

ゴールスプリント。先にアシストのパリーニが満面の笑顔で両手を挙げたゴールスプリント。先にアシストのパリーニが満面の笑顔で両手を挙げた
先頭でゴールラインを切ったボニファジオ。ランプレ勢は3人がバンザイをする喜びようだ先頭でゴールラインを切ったボニファジオ。ランプレ勢は3人がバンザイをする喜びようだ

 残り300mで集団先頭をリードするのは、ランプレ・メリダのアンドレア・パリーニ(イタリア)。その後ろに付けたボニファジオが残り200mから勢いよく飛び出すと、早々にその優勝を確信したパリーニが満面の笑顔で両手を挙げた。そのまま先頭でゴールラインを越えたボニファジオも両手を挙げた。ランプレ・メリダはTOJ出場2年目にして、この最終ステージで待望の勝利を手に入れた。

重責果たしたネオプロのボニファジオ

 優勝したボニファジオは弱冠20歳のネオプロ(新人)で、プロのレースではこれが初勝利だという。「最後に、このステージで勝てて良かった。ここまで勝てなかったのを取り返すことができた。まだまだ練習や経験を積む段階だが、今回の結果でもっと他のレースへの出場機会が増えると嬉しい」と淡々と語った。今大会で唯一、グランツールやクラシックなど世界のトップレースで活躍するUCIプロチームとして出場したランプレ・メリダ。多くのファンから勝利を期待され、その重責を果たした安堵感は、若いボニファジオの言葉からもにじみ出ていた。

 総合各賞ジャージは前ステージまでと変わらず、ポルセイェディゴラコールがリードを守って個人総合の優勝を飾った。「リーダージャージを取るのは簡単だが、守ることは難しい。昨日はとても疲れたので、今日は大変だった」と、自ら集団先頭に立って総合トップを守ったレースを振り返った。今後は地元イランでのツアー・オブ・イラン、また昨年総合優勝を果たしたツアー・オブ・チンハイレイクが目標になるという。

個人総合優勝のグリーンジャージを着て表彰されるミルサマ・ポルセイェディゴラコール(イラン、タブリーズペトロケミカル)個人総合優勝のグリーンジャージを着て表彰されるミルサマ・ポルセイェディゴラコール(イラン、タブリーズペトロケミカル)
ポイント賞のブルージャージを着て表彰されるグレガ・ボーレ(スロベニア、ヴィーニファンティーニ・NIPPO)ポイント賞のブルージャージを着て表彰されるグレガ・ボーレ(スロベニア、ヴィーニファンティーニ・NIPPO)
山岳賞のレッドジャージを着て表彰されるヒュー・カーシー(イギリス、ラファ・コンドール・JLT)山岳賞のレッドジャージを着て表彰されるヒュー・カーシー(イギリス、ラファ・コンドール・JLT)
ヒュー・カーシーは新人賞も獲得。ホワイトジャージを着て再び表彰台に立ったヒュー・カーシーは新人賞も獲得。ホワイトジャージを着て再び表彰台に立った
チーム総合1位は、申し分のない強さを発揮したイランのタブリーズペトロケミカルチーム総合1位は、申し分のない強さを発揮したイランのタブリーズペトロケミカル

 コース沿道には12万6000人が集まり、目の前で繰り広げられるプロの自転車ロードレースを楽しんだ。日本人選手に目立った活躍は見られなかったが、公園の広場で行なわれた表彰式では、大勢の観客から上位入賞の海外選手に惜しみない拍手が送られた。

(文・写真 米山一輝)

第6ステージ結果
1 ニッコロ・ボニファジオ(イタリア、ランプレ・メリダ) 2時間22分14秒
2 グレガ・ボーレ(スロベニア、ヴィーニファンティーニ・NIPPO・デローザ) +0秒
3 ウィリアム・クラーク(オーストラリア、ドラパック プロフェッショナル サイクリング)
4 ジャック・ベッキンセール(オーストラリア、アヴァンティ レーシングチーム)
5 アンドレア・パリーニ(イタリア、ランプレ・メリダ)
6 ベンジャミン・プラド(スペイン、マトリックス・パワータグ)
7 吉田隼人(シマノレーシング)
8 トム・モーゼス(イギリス、ラファ・コンドールJLT)
9 鈴木譲(宇都宮ブリッツェン)
10 アイラン・フェルナンデス(スペイン、マトリックス・パワータグ)

個人総合順位
1 ミルサマ・ポルセイェディゴラコール(イラン、タブリーズペトロケミカル)15時間5分1秒
2 グレガ・ボーレ(スロベニア、ヴィーニファンティーニ・NIPPO)+1分51秒
3 ガーデル・ミズバニ・イラナグ(イラン、タブリーズペトロケミカル)+3分48秒
4 ホセヴィセンテ・トリビオ(スペイン、チームUKYO) +4分15秒
5 トマ・ルバ(フランス、ブリヂストンアンカー サイクリングチーム) +5分13秒
6 ヒュー・カーシー(イギリス、ラファ・コンドール・JLT) +5分48秒
7 アミール・コラドゥーズハグ(イラン、タブリーズペトロケミカル) +5分54秒
8 キャメロン・ベイリー(オーストラリア、OCBCシンガポール コンチネンタルサイクリングチーム) +6分59秒
9 ベンジャミン・プラド(スペイン、マトリックスパワータグ) +7分28秒
10 増田成幸(宇都宮ブリッツェン) +8分32秒

ポイント賞
1 グレガ・ボーレ(スロベニア、ヴィーニファンティーニ・NIPPO) 64pts
1 ニッコロ・ボニファジオ(イタリア、ランプレ・メリダ) 51pts
4 ジャック・ベッキンセール(オーストラリア、アヴァンティ レーシングチーム) 41pts

山岳賞
1 ヒュー・カーシー(イギリス、ラファ・コンドール・JLT) 32pts
2 ミルサマ・ポルセイェディゴラコール(イラン、タブリーズペトロケミカル) 27pts
3 アイラン・フェルナンデス(スペイン、マトリックスパワータグ) 15pts

新人賞
1 ヒュー・カーシー(イギリス、ラファ・コンドール・JLT) 15時間10分49秒

チーム総合順位
1 タブリーズペトロケミカル チーム 45時間24分59秒
2 チームUKYO +19分25秒
3 ラファ・コンドール・JLT +21分08秒

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