ジロ・デ・イタリア2014 第14ステージスプリンターのバッタリーンが山頂ゴールで劇的勝利 総合上位勢はタイム差縮まる

  • 一覧

 ジロ・デ・イタリアの第14ステージは24日、アリエからオローパの164kmで行われ、若手スプリンターのエンリーコ・バッタリーン(イタリア、バルディアーニ・CSF)が、1級山岳の頂上ゴールで繰り広げられた激闘を制した。総合首位のリゴベルト・ウラン(コロンビア、オメガファルマ・クイックステップ)はマリアローザを守ったが、ライバルたちから20秒ほど遅れてゴールしたため、総合上位勢のタイム差は縮まった。

ダリオ・カタルドをゴール直前でかわしたエンリーコ・バッタリーンがステージ優勝ダリオ・カタルドをゴール直前でかわしたエンリーコ・バッタリーンがステージ優勝

 1998年にジロとツール・ド・フランスの両方を制する“ダブルツール”を達成したイタリアの英雄マルコ・パンターニが、この世を去ってから今年で10年。それを受け、第14、15ステージは彼が劇的な活躍を見せた峠をコースに組み込んだ山岳2連戦となる。

 この日のコースは、序盤に3級山岳のラ・セッラを通過すると、85.4km地点から過酷な山岳が3連続で登場。1級アルペ・ノヴェイスは勾配が最大16%もの厳しい上りが10km続く。次の2級ビエルモンテは、18kmの長い上りと30kmもの下りが特徴だ。最後の1級オローパは、前半から後半にかけて勾配がきつくなり頂上ゴールへ。1999年のジロ第15ステージ、チェーントラブルで後退したパンターニが、50人ほどの選手をごぼう抜きして奇跡的な勝利を挙げた峠だ。

 レースでは序盤、21人の比較的大規模な逃げ集団が形成された。全22チーム中の18チームから選手が送り込まれ、なかにはイヴァン・サンタロミータ(イタリア、オリカ・グリーンエッジ)、ダリオ・カタルド(イタリア、チーム スカイ)、ニコラ・ロッシュ(アイルランド、ティンコフ・サクソ)といったエースナンバーをつけた選手たちも含まれていた。30.5km地点の3級山岳は、ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ベリソル)がトップで通過した。

落車し、ドクターカーから薬を受け取る新城幸也落車し、ドクターカーから薬を受け取る新城幸也

 8~9分ほどの差でコントロールしていたメーン集団では、けがから復調しつつあった新城幸也(チーム ヨーロッパカー)が落車に巻き込まれるハプニングが起きた。地面に横たわり、すぐにリスタートできない新城。1度は集団に戻ることができたが、その後の山岳でメーン集団についていけず、苦しいステージとなった。

 レース中盤、1級山岳アルペ・ノヴェイスでは逃げ集団、メーン集団ともに大きな動きはなく、再び山頂をトップ通過したウェレンスが山岳賞争いで2位に浮上した。2番手は先の3級山岳を3位通過していたヨナタンアレハンドロ・モンサルベ(ベネズエラ、ネーリソットーリ)で、この2人は山岳ポイントを積極的に狙っている。

 2級山岳ビエルモンテに入ると、メーン集団から総合12位のピエール・ローラン(フランス、チーム ヨーロッパカー)がビョルン・トゥーラウ(ドイツ、チーム ヨーロッパカー)のアシストを受け、集団から抜け出した。これに総合16位のライダー・ヘシェダル(カナダ、ガーミン・シャープ)らが合流して5人の追走集団になった。ローランとヘシェダルの狙いは総合争いでのジャンプアップで一致している。

 マリアローザのウランを擁するオメガファルマ・クイックステップは、マイペースで集団をコントロールする構えだ。

オローパの上り口でのマヌエル・クインツィアートとアルベルト・ティッメル。クインツィアートはこのあとパンクで脱落オローパの上り口でのマヌエル・クインツィアートとアルベルト・ティッメル。クインツィアートはこのあとパンクで脱落

 逃げ集団からはロッシュが単独で抜け出し、頂上を1位通過。後続とのタイム差は、ローランのグループが4分25秒遅れ、メーン集団は5分48秒だ。

 下りでロッシュを吸収した逃げ集団では、マヌエル・クインツィアート(イタリア、BMC レーシングチーム)とアルベルト・ティッメル(オランダ、チーム ジャイアント・シマノ)が抜け出し、先頭は2人に。そして残り9km、最後の山岳オローパを上り始めて間もなく、クインツィアートがバイクトラブルで遅れ、ティッメルが単独先頭となった。

オローパを上るティッメルオローパを上るティッメル

 しかし勾配が厳しくなると、ティッメルのペースが落ち始める。一方で、逃げ集団からカタルドとハリンソン・パンタノ(コロンビア、コロンビア)が追走を開始した。ラスト5kmを通過した時点で先頭からメーン集団までは4分15秒差。逃げ切りの可能性が高まった。

 その頃、メーン集団はドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼール ラモンディアル)のアタックで活性化。ポッツォヴィーヴォとナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム)の軽量級クライマー2人が抜け出し、少し離れてウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキン プロサイクリングチーム)、さらに後ろにウラン、カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMC レーシングチーム)、ラファウ・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)、ファビオ・アール(イタリア、アスタナ プロチーム)といった総合上位勢が続いた。

ゴール直前でカタルドが先頭に立ったゴール直前でカタルドが先頭に立った

 ステージ優勝を争う先頭は、目まぐるしい展開に。残り2km、先頭のティッメルを捉えたカタルドがアタック。パンタノがすかさずマークし、逆にアタックで応戦する。しかしそれも決まらず、残り1.2kmでヤン・ポランチ(スロベニア、ランプレ・メリダ)が先頭に踊り出ると、ロッシュら逃げ集団にいた他の選手たちも次々に迫ってきた。

 そして残り500mでバッタリーンが追いつき、先頭は4人に。力を使い果たしたポランチが遅れ、カタルド、パンタノ、少し離れてバッタリーンの順でラスト125mの上りストレートに突入した。パンタノが前に出るが、すぐに失速。カタルドの勝利かと思われたが、力強く踏み続けたバッタリーンがゴール前10mでついにカタルドを捉えて逆転。劇的な勝利を収めた。

 バッタリーンは、スプリンターとしてチームの中核を担う24歳で、昨年のジロ第4ステージではゴールスプリントを制してジロ初優勝。ところが第14ステージで肋骨を骨折してリタイアして以降、どのレースでも勝ち星に恵まれなかった。鮮烈な勝利から1年が経ち、再び巡ってきたジロの大舞台で、今度は山頂ゴールを制覇してみせた。バルディアーニ・CSFは、これでステージ2連勝。

 バッタリーンのゴールから2分以上遅れてローランとヘシェダルがゴール。それから20秒ほどで、キンタナを先頭に上位勢がゴールしていったが、ウランとエヴァンスはさらにその後ろだ。総合トップ10の順位は、ローランが9位に浮上した以外に変動はなかったが、マリアローザのウランとキンタナらとのタイム差は25秒縮まり、上位争いは混戦の度を増した。

 日本勢は、別府史之(トレック ファクトリーレーシング)が21分58秒遅れのステージ116位でゴール。落車の影響が心配された新城幸也はグルペット(最後尾の集団)でゴールまで辿り着き、32分4秒遅れの165位となった。

 25日の第15ステージは、ヴァルデンゴからモンテカンピオーネまでの225kmで争われる。ほぼ平坦のコースを進み続け、選手たちは残り20kmから1級山岳モンテカンピオーネを一気に駆け上る。パンターニが1998年にジロ総合優勝を決定づけた“チャンピオンの山”がゴールだ。

(文 平澤尚威/写真 砂田弓弦)

第14ステージ結果
1 エンリーコ・バッタリーン(イタリア、バルディアーニ・CSF) 4時間34分41秒
2 ダリオ・カタルド(イタリア、チーム スカイ) +0秒
3 ハリンソン・パンタノ(コロンビア、コロンビア) +7秒
4 ヤン・ポランチ(スロベニア、ランプレ・メリダ) +17秒
5 ニコラ・ロッシュ(アイルランド、ティンコフ・サクソ) +22秒
6 アルベルト・ティッメル(オランダ、チーム ジャイアント・シマノ) +26秒
7 エマヌエーレ・セッラ(イタリア、アンドローニジョカットリ・ベネズエラ) +28秒
8 マッティーア・カッタネオ(イタリア、ランプレ・メリダ) +33秒
9 ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ベリソル) +39秒
10 イヴァン・サンタロミータ(イタリア、オリカ・グリーンエッジ) +54秒
116 別府史之(日本、トレック ファクトリーレーシング) +21分58秒
165 新城幸也(日本、チーム ヨーロッパカー) +32分04秒

個人総合(マリアローザ)
1 リゴベルト・ウラン(コロンビア、オメガファルマ・クイックステップ) 57時間52分51秒
2 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMC レーシングチーム) +32秒
3 ラファウ・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ) +1分35秒
4 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +2分11秒
5 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキン プロサイクリングチーム) +2分33秒
6 ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) +3分04秒
7 ファビオ・アール(イタリア、アスタナ プロチーム) +3分16秒
8 ヴァウテル・プールス(オランダ、オメガファルマ・クイックステップ) +4分01秒
9 ピエール・ローラン(フランス、チーム ヨーロッパカー) +5分07秒
10 ロベルト・キセルロウスキー(クロアチア、トレック ファクトリーレーシング) +5分13秒
89 別府史之(日本、トレック ファクトリーレーシング) +1時間27分59秒
135 新城幸也(日本、チーム ヨーロッパカー) +2時間05分

ポイント賞(マリアロッソパッショーネ)
1 ナセル・ブアニ(フランス、エフデジ ポワン エフエル) 251pts
2 ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、トレック ファクトリーレーシング) 225pts
3 ロベルト・フェラーリ(イタリア、ランプレ・メリダ) 173pts

山岳賞(マリアアッズーラ)
1 ジュリアン・アレドンド(コロンビア、トレック ファクトリーレーシング) 75pts
2 ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ベリソル) 57pts
3 ディエーゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ) 39pts

新人賞(マリアビアンカ)
1 ラファウ・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ) 57時間54分26秒
2 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキン プロサイクリングチーム) +58秒
3 ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) +1分29秒

チーム総合
1 オメガファルマ・クイックステップ 172時間57分49秒
2 アージェードゥーゼール ラモンディアル  +4分47秒
3 BMC レーシングチーム +15分15秒

関連記事

この記事のタグ

ジロ・デ・イタリア2014 ジロ2014・レース詳報

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

e-BIKE最新特集

スペシャル

自転車協会バナー

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載