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田中苑子のTOJフォトレポート<前編>自転車レースのスピードと魅力を体感 ツアー・オブ・ジャパンの沿道を盛り上げる地元の人々

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 5月18~25日の日程で開催中のツアー・オブ・ジャパン(TOJ)は、21日の南信州ステージで折り返しを迎えた。ドラパックの2連勝に続き、雨の信州・飯田での山岳決戦を終え、レースはますます白熱している。ロードレースの醍醐味のひとつに、選手と観客の距離の近さがある。大阪、岐阜、長野、静岡、東京と各地を巡ってレースを行うTOJでは、沿道や観客の楽しみ方もそれぞれだ。22日以降の後半3連戦を前に、フォトグラファーの田中苑子さんによる前半戦の沿道風景のレポートをお届けします。

美濃ステージのスタート前。たくさんの人垣ができているものの、選手と観客の距離は近い美濃ステージのスタート前。たくさんの人垣ができているものの、選手と観客の距離は近い

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 5月18日に大阪府堺市で開幕したツアー・オブ・ジャパン。きょう22日の移動日をもって、レースはちょうど折り返しを迎えました。堺ステージのあと、移動日を1日を挟んで開催された美濃ステージ(岐阜県)と南信州ステージ(長野県)。私の個人的な意見ですが、“公道”を使って開催される自転車ロードレースが好きです。もちろん、堺ステージや富士山ステージ、東京ステージも公道を使って開催されるのですが、美濃と飯田(南信州)こそ、ツアー・オブ・ジャパンの中で2つだけ、地元の方々の生活道路を使って開催されており、とくに私の好きなコースです。

雨のなかで開催された南信州ステージ。小さな街の生活道路を使ってレースは開催される雨のなかで開催された南信州ステージ。小さな街の生活道路を使ってレースは開催される

 なぜ、公道を使ったロードレースが魅力的なのか。大きな理由の一つは、誰でも無料で気軽に観戦できるから。家々の前を選手たちが通り抜けるので、スポーツに興味がない人も、遠くの開催地へ足を運ぶことが難しい高齢者や子どもたちも、たくさん沿道に駆けつけることができます。今年も美濃ステージと南信州ステージでは、大勢の住民の方々が選手たちに声援を送る姿が見られ、自転車ロードレースのルールはわからなくても、目の前を通り過ぎる選手たちのスピードを体感。「頑張れ〜!」「うわ〜〜っ、すごい速い!」―そんな歓声がたくさん聞かれました。

美濃ステージで優勝したワウテル・ウィッパート(ドラパック)がチームメイトから祝福を受ける美濃ステージで優勝したワウテル・ウィッパート(ドラパック)がチームメイトから祝福を受ける
南信州ステージでレースを動かしたラファコンドール・JLTチーム。雨が降りしきるなか、果敢に走った南信州ステージでレースを動かしたラファコンドール・JLTチーム。雨が降りしきるなか、果敢に走った
雨雲を見ながらスタート準備を進めるフィリッポ・ポッツァート(ランプレ・メリダ)雨雲を見ながらスタート準備を進めるフィリッポ・ポッツァート(ランプレ・メリダ)

伝統的な街並みを駆ける国際色豊かな選手たち

スタートを待つフィリッポ・ポッツァート(ランプレ・メリダ)。「サングラス外して」というリクエストに、「だってオークリーはスポンサーなんだよ」と言いつつも渋々応えてくれるスタートを待つフィリッポ・ポッツァート(ランプレ・メリダ)。「サングラス外して」というリクエストに、「だってオークリーはスポンサーなんだよ」と言いつつも渋々応えてくれる

 20日に行われた第2ステージ(美濃ステージ)は、美濃市の中心部にある「うだつの街並み」がスタート地点でした。“うだつ”と呼ばれるのは、屋根に取り付ける独特の装飾で、防火壁も兼ねているのだとか。そんな伝統的な街並みが保存されている地区で毎年、美濃ステージがスタートします。いかにも“日本らしい”街並みと、カラフルなウエアに身を包んだ国際色豊かな選手たち。非日常的なその光景を写真に収めようと、このスタート地点には、いつも地元のカメラ愛好家たちが駆け付けています。「ちょっと写真撮らせてね、はい、コッチ向いて!」なんて日本語で半ば強引に外国人選手に声をかける姿に、選手たちも思わず苦笑い。でも堺ステージであった、チームエリアを取り囲む柵はここにはありません。誰もが選手たちに気軽に声をかけられる距離感って、いいですよね?

自宅の2階からレース観戦を楽しむ。年に1度の大きな楽しみなのだそう。美濃ステージにて自宅の2階からレース観戦を楽しむ。年に1度の大きな楽しみなのだそう。美濃ステージにて
美濃ステージ。スタートラインの前にたくさんの愛好家たちのカメラが並んだ美濃ステージ。スタートラインの前にたくさんの愛好家たちのカメラが並んだ
美濃ステージの沿道で出会った地元の方々。家の前にパイプ椅子を並べて観戦を楽しんでいる美濃ステージの沿道で出会った地元の方々。家の前にパイプ椅子を並べて観戦を楽しんでいる

レースでご近所が親睦を深める南信州ステージ

飯田駅から南信州ステージがスタート。厳しいレースがここから始まった飯田駅から南信州ステージがスタート。厳しいレースがここから始まった

 そして21日の第3ステージは、自転車好きで有名な飯田市民が心待ちにする南信州ステージ。あいにくの雨となってしまいましたが、それでもスタート地点の飯田駅周辺にはたくさんの幼稚園児や保育園児たちが集まり、山岳部の周回コースに入ると、ご近所さん同士でテーブルを囲み、焼き肉をしたり、食べ物を持ち寄ってレース観戦を楽しんでいる姿がたくさんみられました。

南信州ステージのスタート地点、飯田駅に駆け付けた地元の子どもたち。雨にも負けず、精一杯応援した南信州ステージのスタート地点、飯田駅に駆け付けた地元の子どもたち。雨にも負けず、精一杯応援した
南信州ステージのスタート地点に昨年の写真をもって駆け付けたファンとディフェンディングチャンピオンのピエールパオロ・デネグリ(ヴィーニファンティーニ・NIPPO・デローザ)南信州ステージのスタート地点に昨年の写真をもって駆け付けたファンとディフェンディングチャンピオンのピエールパオロ・デネグリ(ヴィーニファンティーニ・NIPPO・デローザ)
保温効果のあるオイルを塗る、グリーンジャージのウィリアム・クラーク(ドラパック)。“ビッグホース”のあだ名をもつだけあり、脚の大きな筋肉に驚く保温効果のあるオイルを塗る、グリーンジャージのウィリアム・クラーク(ドラパック)。“ビッグホース”のあだ名をもつだけあり、脚の大きな筋肉に驚く
南信州ステージのスタートを飯田駅バス停で待つ、ランプレ・メリダのルカ・ワッケルマン(左)とニッコロ・ボニファジオ(右)南信州ステージのスタートを飯田駅バス停で待つ、ランプレ・メリダのルカ・ワッケルマン(左)とニッコロ・ボニファジオ(右)
沿道でテーブルを囲んで観戦を楽しんでいた地元の方々。自転車ロードレースがご近所の親睦にも一役買う沿道でテーブルを囲んで観戦を楽しんでいた地元の方々。自転車ロードレースがご近所の親睦にも一役買う

 カメラを抱えて沿道を歩いていると、何回も何回も「ねーちゃん、ちょっと食べていきなよ!」と声をかけてくれます。ここで立ち止まって食事しながら観戦できたらどんなに楽しいことか! 私は毎回、泣く泣くお誘いを断って次の撮影ポイントに移動するのですが、沿道で出会うすべての人が温かい南信州ステージ。彼らと言葉を交わすことも、私のツアー・オブ・ジャパン取材の大きな楽しみになっています。(レポート 田中苑子)

南信州ステージ名物、山岳ポイント付近の焼き肉コーナー。カンパ制で誰でも焼き肉を楽しむことができる南信州ステージ名物、山岳ポイント付近の焼き肉コーナー。カンパ制で誰でも焼き肉を楽しむことができる
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田中苑子
田中苑子(たなか・そのこ)

1981年、千葉生まれ。2005年に看護師から自転車専門誌の編集部に転職。2008年よりフリーランスカメラマンに転向し、現在はアジアの草レースからツール・ド・フランスまで、世界各国の色鮮やかなサイクルスポーツを追っかけ中。


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TOJ2014・サイドレポート ツアー・オブ・ジャパン2014 田中苑子

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