ジロ・デ・イタリア2014 第11ステージ下りでアタックしたロジャースが20km独走で復活の勝利 アレドンドが山岳ポイントを重ねる

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 ジロ・デ・イタリア第11ステージは21日、コッレッキオからサヴォーナまでの249kmで行われ、残り20kmから単独アタックしたマイケル・ロジャース(オーストラリア、ティンコフ・サクソ)がゴールまでを独走で逃げ切って優勝した。個人総合成績首位(マリアローザ)は変わらずカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMC レーシングチーム)が守っている。

マイケル・ロジャースが独走で区間優勝。個人としてはジロ初勝利だマイケル・ロジャースが独走で区間優勝。個人としてはジロ初勝利だ
最初の山の下りでの集団落車最初の山の下りでの集団落車

 この日のコースは、ブーツ型をしたイタリア半島の“ひざ”の部分を走る。途中、ジェノヴァを通過して地中海沿いを走り、ゴールとなるサヴォーナの街を一度通過した後に、ナーゾ・ディ・ガット(猫の鼻)と呼ばれる峠を越え、再びサヴォーナの街に戻ってゴールを迎える。序盤と終盤に2級山岳が設定された長距離ステージだ。

 このステージでは、第1週にマリアローザを着続けたマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)が、落車のケガの影響でスタートせず。前半大活躍したオリカ・グリーンエッジだが、9人出場したうちの4人がこの日までにリタイアとなっている。天気に恵まれたこの日も、何度か集団落車が発生した。

 レースはスタート直後から逃げを狙うアタックが続いてハイペースの展開となった。最初の山岳ポイントでは、現在山岳賞トップ(マリアアッズーラ)のジュリアン・アレドンド(コロンビア、トレック ファクトリーレーシング)が抜け出して先頭で通過。その後アレドンドはメーン集団に戻るが、14人の逃げ集団が形成された。

最初の上りで形成された逃げ集団。先頭は山岳賞ジャージのアレドンド最初の上りで形成された逃げ集団。先頭は山岳賞ジャージのアレドンド

 逃げ集団にはニコラ・ロッシュ(アイルランド、ティンコフ・サクソ)、モレーノ・モゼール(イタリア、キャノンデール)ら有力選手も含まれるが、いずれも個人総合では大きく遅れをとっており、狙いはあくまでステージ優勝。このためメーン集団では、リーダーチームのBMCレーシングが積極的に追走することはなく、集団の先頭荷立ったのは逃げに乗り損ねたアンドローニジョカットリ・ベネズエラの選手たちだ。

 地中海を横目にジェノヴァを抜け、最初のサヴォーナ通過を目前にして、逃げとメーン集団の差は約2分。メーン集団ではアンドローニジョカットリの列車は崩壊したが、上り口を前に各チームの位置取り争いでペースが上がり、まもなく逃げとのタイム差は約1分にまで縮まる。

 上りに入り、逃げ集団ではフランチェスコマヌエル・ボンジョルノ(イタリア、バルディアーニ・CSF)がチームメートのペースアップをきっかけにアタック。ここで4人の先頭グループが形成されるが、時を同じくしてメーン集団からアレドンドが単独アタック。ほどなく先頭に追い付き、さらにこれをパスして単独で先頭に立った。

 アレドンドを追うのは逃げ集団にいたロッシュと、ゲオルク・プライドラー(オーストリア、チーム ジャイアント・シマノ)の2人。ロッシュは一度アレドンドに追い付くが脱落し、プライドラーが追いすがる。アレドンドは余力を見せながらも、山頂を越えてからの同行者が欲しいのか、プライドラーを完全には突き放さないペースで上り続ける。

チームメートに援護されて走る、マリアローザのカデル・エヴァンスチームメートに援護されて走る、マリアローザのカデル・エヴァンス

 メーン集団はアレドンドから30秒ほど後方。山頂を目前にエドアルド・ザルディーニ(イタリア、バルディアーニ・CSF)ら数人が追走のアタックをして抜け出した。アレドンドは山頂をトップ通過し、この日の山岳ポイントの1位を独占。山岳賞争いでリードを広げた。アレドンドは追走と合流して6人の先頭グループとなるが、下りに入ってほどなくメーン集団に吸収された。

 残り約25km弱、集団は逃げを吸収したハイペースのまま、下りのテクニカルなコーナーを抜けていく。そのなかで、残り20kmを前にアタックを仕掛けたのはロジャースだ。勢い良く飛び出すと、いくらか牽制気味となった集団に対し、一気にその差を40秒にまで広げた。

 かつて個人タイムトライアルの世界王者に3度輝いているロジャースは、美しいフォームを保って単独で逃げ続ける。一方メーン集団は、エヴァンスを引き連れたBMC勢が先頭付近に陣取るが、ロジャースを追うことには興味を示さない。前に追い付きたいチームの選手が散発的に集団先頭に出るが、BMCが実質的に集団のペースを上げさせない“フタ”の役割を果たし、間接的にロジャースの逃げを助ける形となった。

 残り1kmを約20秒差で通過したロジャースは、何度も後ろを振り返って勝利を確信。噛み締めるように両拳を突き上げてゴールした。チームタイムトライアルでの優勝経験はあるが、個人としてはグランツール初勝利だ。

 昨年秋に開催されたジャパンカップ・サイクルロードレースを独走で優勝したロジャースだったが、このレースのドーピング検査で、禁止薬物のクレンブテロール陽性となり、暫定的な出場停止状態に長く置かれていた。今年4月になって、直前に出場した中国のレースでの汚染食物が原因であるという主張が認められ、ようやくレースに復帰。ジャパンカップでの勝利は取り消しとなったが、ジロの大舞台での新たな栄光をつかんだ。

マリアローザを手堅く守ったエヴァンスマリアローザを手堅く守ったエヴァンス

 個人総合ではエヴァンスがマリアローザを手堅くキープ。ステージ2勝を挙げて総合7位に付けていたディエーゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ)がこの日遅れて順位を下げ、イヴァン・バッソ(イタリア、キャノンデール)が総合10位に顔を出した。

 日本勢は別府史之(トレック ファクトリーレーシング)がステージ93位、新城幸也(チーム ヨーロッパカー)が126位と、それぞれ後方集団でゴールした。

 続く第12ステージは、バルバレスコからバローロまで41.9kmの個人タイムトライアルが行われる。緩やかなアップダウンを描くコースは、上りを踏む力と下りを踏む力の両方が必要。個々のあらゆる力が試される、総合争いの選手たちにとって、非常に重要な戦いとなる1日だ。

(文 米山一輝/写真 砂田弓弦)

第11ステージ結果
1 マイケル・ロジャース(オーストラリア、ティンコフ・サクソ) 5時間48分07秒
2 シモン・ゲシュケ(ドイツ、チーム ジャイアント・シマノ) +10秒
3 エンリーコ・バッタリーン(イタリア、バルディアーニ・CSF)
4 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキン プロサイクリングチーム)
5 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、オメガファルマ・クイックステップ)
6 モレーノ・モゼール(イタリア、キャノンデール)
7 ライダー・ヘシェダル(カナダ、ガーミン・シャープ)
8 マッテーオ・ラボッティーニ(イタリア、ネーリソットーリ)
9 ファビオアンドレス・ドゥアルテ(コロンビア、コロンビア)
10 アレクシー・ヴェイエルモーズ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル )
93 別府史之(日本、トレック ファクトリーレーシング) +14分44秒
161 新城幸也(日本、チーム ヨーロッパカー) +18分14秒

個人総合(マリアローザ)
1 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMC レーシングチーム) 48時間39分04秒
2 リゴベルト・ウラン(コロンビア、オメガファルマ・クイックステップ) +57秒
3 ラファウ・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ) +1分10秒
4 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼール ラモンディアル ) +1分20秒
5 スティーヴ・モラビト(スイス、BMC レーシングチーム) +1分31秒
6 ファビオ・アール(イタリア、アスタナ プロチーム) +1分39秒
7 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキン プロサイクリングチーム) +1分44秒
8 ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) +1分45秒
9 ロベルト・キセルロウスキー(クロアチア、トレック ファクトリーレーシング) +1分49秒
10 イヴァン・バッソ(イタリア、キャノンデール) +2分01秒
84 別府史之(日本、トレック ファクトリーレーシング) +1時間3分03秒
126 新城幸也(日本、チーム ヨーロッパカー) +1時間30分43秒

ポイント賞(マリアロッソパッショーネ)
1 ナセル・ブアニ(フランス、エフデジ ポワン エフエル) 220pts
2 ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、トレック ファクトリーレーシング) 196pts
3 ロベルト・フェラーリ(イタリア、ランプレ・メリダ) 156pts

山岳賞(マリアアッズーラ)
1 ジュリアン・アレドンド(コロンビア、トレック ファクトリーレーシング) 75pts
2 ディエーゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ) 39pts
3 ステファノ・ピラッツィ(イタリア、バルディアーニ・CSF) 26pts

新人賞(マリアビアンカ)
1 ラファウ・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ) 48時間40分14秒
2 ファビオ・アール(イタリア、アスタナ プロチーム) +29秒
3 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキン プロサイクリングチーム) +34秒

チーム総合
1 オメガファルマ・クイックステップ 145時間14分30秒
2 アージェードゥーゼール ラモンディアル  +56秒
3 BMC レーシングチーム +1分11秒

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