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ツアー・オブ・ジャパン2014 第3ステージマッチスプリントを制したデネグリが南信州ステージ連覇 リーダージャージも獲得

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終盤に抜け出し、最後はマッチスプリントを制したピエールパオロ・デネグリ(イタリア、ヴィーニファンティーニ・NIPPO)<福光俊介撮影>終盤に抜け出し、最後はマッチスプリントを制したピエールパオロ・デネグリ(イタリア、ヴィーニファンティーニ・NIPPO)<福光俊介撮影>

 ツアー・オブ・ジャパン(TOJ)は21日、長野県飯田市で第3ステージ(南信州ステージ)が行われ、終盤に抜け出した2選手によるスプリント勝負の結果、ピエールパオロ・デネグリ(イタリア、ヴィーニファンティーニ・NIPPO)がトマ・ルバ(フランス、ブリヂストン・アンカー サイクリングチーム)をかわしてステージ優勝を飾った。デネグリは昨年の南信州ステージも制しており、2連覇となった。日本勢トップは7位の清水都貴(ブリヂストン・アンカー サイクリングチーム)だった。

(レポート 福光俊介)

難コース、悪天候でも選手達はリラックス

 第3ステージのコースは、JR飯田駅前をスタートし、7.3kmのパレード走行を経て、1周12.2kmの周回コースへ。周回の初めから3km地点までは上り坂で、頂上付近は最大で10%もの勾配となり、山岳ポイントが設けられる。頂上通過後は南信州名物のヘアピンカーブ“TOJコーナー”が登場。アップダウンによるペースの上げ下げに加え、バイクコントロールも要求される難コースだ。12周回の後、ラスト1.6kmは周回コースを外れ、ゴールのある飯田市松尾総合運動場前を目指す。

 この日は前夜からの雨が降ったりやんだりと不安定で、ときおり強風も吹く悪天候に。選手たちは長袖ジャージやベストを着こむなど防寒対策に余念がない。また、テクニカルなコーナーや下り坂があることから、タイヤの空気圧を下げ、グリップを確保するなどの対策も必要となった。

スタート直前、バス停でくつろぐランプレ・メリダの選手たち<福光俊介撮影>スタート直前、バス停でくつろぐランプレ・メリダの選手たち<福光俊介撮影>
リーダーチームとしてスタートしたドラパックの3選手。右からウィリアム・クラーク、ジョーダン・ケルビー(ともにオーストラリア)、ワウテル・ウィッパート(オランダ)<福光俊介撮影>リーダーチームとしてスタートしたドラパックの3選手。右からウィリアム・クラーク、ジョーダン・ケルビー(ともにオーストラリア)、ワウテル・ウィッパート(オランダ)<福光俊介撮影>

 ただ、レース前はリラックスしている選手が多かった。個人総合首位のウィリアム・クラーク(オーストラリア、ドラパック プロフェッショナルサイクリング)は「どこまで走ることができるか分からないけれど、リーダージャージの防衛に挑戦してみる」とコメント。フィリッポ・ポッツァート(イタリア、ランプレ・メリダ)は「こんな天気だからタイヤに9気圧は入れた。これで良い走りができそうだ。ほら、確かめてみて!」と前輪を指さして笑った。もちろん、雨天時には高すぎる数値であり、彼なりのジョークだ。

自らもサイクリストである牧野光朗・飯田市長の開会宣言でスタートを切る<福光俊介撮影>自らもサイクリストである牧野光朗・飯田市長の開会宣言でスタートを切る<福光俊介撮影>
JR飯田駅前から選手がスタート (C) TOUR OF JAPAN 2014JR飯田駅前から選手がスタート (C) TOUR OF JAPAN 2014
牧野光朗飯田市長が先頭でパレード走行 (C) TOUR OF JAPAN 2014牧野光朗飯田市長が先頭でパレード走行 (C) TOUR OF JAPAN 2014

4人が同時にアタックしたラファコンドール・JLTの奇襲

 レース序盤はアタックと吸収を繰り返し、慌ただしい時間帯を送る。そのうちに5選手が先行して2周回目へ。さらに1人が加わり、6人が逃げ集団を形成した。

 逃げのメンバーは、エドワード・レイヴラック(イギリス、ラファコンドール・JLT)、ウィリアム・シミット(南アフリカ、ヴィーニファンティーニ・NIPPO)、内間康平(ブリヂストン・アンカー)、エリック・シェパード(オーストラリア、OCBCシンガポールコンチネンタル)、トマス・ラボウ(オランダ、OCBCシンガポールコンチネンタル)、入部正太朗(シマノレーシング)。しかしメーン集団との差は1分から1分半で、大きなリードを築くことができないまま進んだ。この中では、第2ステージで山岳ポイントを集めたラボウが、この日も山岳ポイントを稼ぎ、結果的に山岳賞ジャージを獲得した。

フィリッポ・ポッツァート(イタリア、ランプレ・メリダ)を中心に、メーン集団は落ち着いたペースを刻む<福光俊介撮影>フィリッポ・ポッツァート(イタリア、ランプレ・メリダ)を中心に、メーン集団は落ち着いたペースを刻む<福光俊介撮影>
雨脚が強まるなか、集団で様子をうかがうリーダージャージのウィリアム・クラーク(オーストラリア、ドラパック、中央)と、ポイント賞ジャージのワウテル・ウィッパート(オランダ、ドラパック、左)<福光俊介撮影>雨脚が強まるなか、集団で様子をうかがうリーダージャージのウィリアム・クラーク(オーストラリア、ドラパック、中央)と、ポイント賞ジャージのワウテル・ウィッパート(オランダ、ドラパック、左)<福光俊介撮影>
南信州ステージでおなじみの“TOJコーナー”。各選手とも慎重にクリアしていった<福光俊介撮影>南信州ステージでおなじみの“TOJコーナー”。各選手とも慎重にクリアしていった<福光俊介撮影>

 レースが大きく動いたのは6周目。ラファコンドール・JLTの4選手が同時にメーン集団から飛び出し、逃げグループへブリッジを図る奇襲作戦に出た。活性化されたメーン集団からは1人、また1人と前方のグループに加わろうとする動きがみられる。追走集団は10人にまで増え、やがて逃げの6人に合流。この動きは結局、後方から追い上げたメーン集団にキャッチされてしまうが、ラファコンドール・JLTはその後もハイペースで牽き続けた。

 8周目に入るころには、メーン集団が30人へと絞られた。リーダージャージのクラークや、このステージでも集団を引っ張ったポッツァートが脱落。後方で早々にグルペットが形成されたほか、ハイペースに対応できずリタイアを喫する選手も現れた。

ラスと200m、デネグリが一気にスプリント

 9周目の上りではヒュー・カーシー(イギリス、ラファコンドール・JLT)がアタック。ラファコンドールの攻撃的な走りが目立つ。10周目に入るとデネグリ、ルバ、ジャック・ベッキンセール(オーストラリア、アヴァンティ レーシングチーム)の3人がカーシーを追走し、11周目を前に捕えた。

終盤にアタックするヒュー・カーシー(イギリス、ラファコンドール・JLT)<福光俊介撮影>終盤にアタックするヒュー・カーシー(イギリス、ラファコンドール・JLT)<福光俊介撮影>
レース終盤の先頭グループ。先頭は優勝したピエールパオロ・デネグリ(ヴィーニファンティーニ・NIPPO) (C) TOUR OF JAPAN 2014レース終盤の先頭グループ。先頭は優勝したピエールパオロ・デネグリ(ヴィーニファンティーニ・NIPPO) (C) TOUR OF JAPAN 2014
ピエールパオロ・デネグリ(ヴィーニファンティーニ・NIPPO)が昨年に続いて南信州ステージ2連覇 (C) TOUR OF JAPAN 2014ピエールパオロ・デネグリ(ヴィーニファンティーニ・NIPPO)が昨年に続いて南信州ステージ2連覇 (C) TOUR OF JAPAN 2014

 ゴールまであと2周。まず、長時間独走してきたカーシーが力尽き、さらにベッキンセールも脱落。デネグリとルバによる一騎打ちとなった。

 12周目を終えた2人は、周回コースを離れてラスト1.6kmへ。前を牽く時間が長いのはルバか。残り200m、このときを待っていたかのようにデネグリがスプリント。ルバをかわすと早くも勝利を確信し、ゴールの数十メートル手前からガッツポーズをみせてフィニッシュした。

ヴィーニファンティーニ・NIPPO狙い通りの勝利 ルバは総合優勝を見据える

 デネグリが昨年の南信州ステージを制したときに所属していたのは、当時プロ・コンチネンタルチームだったヴィーニファンティーニ・セッレイタリア。現チームとはメインスポンサーこそ同じものの、まったく異なる体制であり、事実上、チームを替えての2連覇となった。レース後の記者会見では、「残り3~4周から動く作戦だった。カーシーが飛び出した時、チーム内で最初に追う役目だったので、2周ほどハードに前を追った。そのうちにトマ(・ルバ)との一騎打ちになり、スプリントになればクライマーの彼に勝つことができるだろうと思っていた」と振り返った。

個人総合首位のグリーンジャージを身にまとったピエールパオロ・デネグリ(イタリア、ヴィーニファンティーニ・NIPPO)<福光俊介撮影>個人総合首位のグリーンジャージを身にまとったピエールパオロ・デネグリ(イタリア、ヴィーニファンティーニ・NIPPO)<福光俊介撮影>
個人総合ポイントリーダーのグレガ・ボーレ(ヴィーニファンティーニ・NIPPO) (C) TOUR OF JAPAN 2014個人総合ポイントリーダーのグレガ・ボーレ(ヴィーニファンティーニ・NIPPO) (C) TOUR OF JAPAN 2014
個人総合山岳リーダーのトマス・ラボウ(OCBCシンガポールコンチネンタルサイクリングチーム) (C) TOUR OF JAPAN 2014個人総合山岳リーダーのトマス・ラボウ(OCBCシンガポールコンチネンタルサイクリングチーム) (C) TOUR OF JAPAN 2014
狙い通りの走りで勝利を収めたヴィーニファンティーニ・NIPPOの大門宏監督。「総合2位とステージ優勝ではインパクトが全く違う。日本のレースにおいてはステージ優勝することが一番」と語った<福光俊介撮影>狙い通りの走りで勝利を収めたヴィーニファンティーニ・NIPPOの大門宏監督。「総合2位とステージ優勝ではインパクトが全く違う。日本のレースにおいてはステージ優勝することが一番」と語った<福光俊介撮影>

 ヴィーニファンティーニ・NIPPOの大門宏監督も、この結果には満足そうだ。「序盤はペースが落ち着きすぎていたので、どこかのチームに動いてほしいと思っていたところ、ラファコンドール・JLTがレースを活性化させた。チームとしてはこの動きに慌てることなく、終盤勝負の姿勢だった。ラファの選手たちはヨーロッパでも組織的な戦いぶりで勝利を収めていたが、今回は若さが出てしまったかもしれない。その点、デネグリは勝負どころを知っていた。コース全体のバランスや駆け引きといった部分で、南信州は最も難しいステージ。そこで勝てたことは大きい」と述べた。残る3ステージについては、「富士山ではアレッサンドロ・ビソルティ(イタリア)がどこまでやれるか次第。富士山ステージばかりは山岳適性が大きく左右する。宮澤(崇史)も集中しているので、東京で狙わせる」と語った。

トップから5分25秒遅れでゴールしたメーン集団は、ニッコロ・ボニファジオ(イタリア、ランプレ・メリダ)を先頭にゴール<福光俊介撮影>トップから5分25秒遅れでゴールしたメーン集団は、ニッコロ・ボニファジオ(イタリア、ランプレ・メリダ)を先頭にゴール<福光俊介撮影>

 スプリントを争った2人の後続が、数十秒ごとに1人か2人ずつゴールしたことも、このステージの難しさを物語っている。有力選手が多く含まれるメーン集団は、トップから5分25秒もの差が開いた。

 日本勢トップの7位となった清水は、チームメイトのルバの好走に手ごたえをつかんだ様子だ。「自分の走りは悔しいが、チームとしては収穫があった。トマはクライマーでもあるので、富士山で総合トップに立つイメージができている。彼で総合上位を狙うのが自然な流れだ」と、勝負のときを見据えている。

日本勢トップの7位となった清水都貴(ブリヂストン・アンカー)を、一緒にゴールしたミルサマ・ポルセイェディゴラコール(イラン、タブリーズ ペトロケミカルサイクリング)が称えた<福光俊介撮影>日本勢トップの7位となった清水都貴(ブリヂストン・アンカー)を、一緒にゴールしたミルサマ・ポルセイェディゴラコール(イラン、タブリーズ ペトロケミカルサイクリング)が称えた<福光俊介撮影>
日本勢トップの7位となった清水都貴(ブリヂストン・アンカー)は、「富士山ステージはトマ・ルバで狙うのが自然な戦い方」とコメントした<福光俊介撮影>日本勢トップの7位となった清水都貴(ブリヂストン・アンカー)は、「富士山ステージはトマ・ルバで狙うのが自然な戦い方」とコメントした<福光俊介撮影>

 このステージでは完走者の約半数がトップから21分遅れのグルペットでゴール。ポッツァートやクラークらもこのグループに含まれている。

◇         ◇

 TOJは22日、2度目の移動日となる。そして23日には、総合成績を占ううえで最大のポイントとなる第4ステージ(富士山ステージ)を迎える。距離こそ11.4kmと短いが、スタートから絶えず上りが続き、ゴール前500mで最後の壁ともいえる急坂区間が待ち受ける。日本のシンボルでもある富士山頂を制した選手が、今大会の総合争いでも大きなアドバンテージを築くことだろう。

第3ステージ結果
1 ピエールパオロ・デネグリ(イタリア、ヴィーニファンティーニ・NIPPO) 3時間55分16秒
2 トマ・ルバ(フランス、ブリヂストン・アンカー サイクリングチーム) +2秒
3 グレガ・ボーレ(スロベニア、ヴィーニファンティーニ・NIPPO) +1分13秒
4 ジャック・ベッキンセール(オーストラリア、アヴァンティ レーシングチーム) +1分55秒
5 ホセヴィセンテ・トリビオ(スペイン、チームUKYO) +1分55秒
6 アレッサンドロ・ビソルティ(イタリア、ヴィーニファンティーニ・NIPPO) +2分33秒
7 清水都貴(ブリヂストン・アンカー サイクリングチーム) +3分32秒
8 ミルサマ・ポルセイェディゴラコール(イラン、タブリーズ ペトロケミカル) +3分32秒
9 内間康平(ブリヂストン・アンカー サイクリングチーム) +4分57秒
10 ニッコロ・ボニファジオ(イタリア、ランプレ・メリダ) +5分25秒

個人総合順位
1 ピエールパオロ・デネグリ(イタリア、ヴィーニファンティーニ・NIPPO) 7時間46分11秒
2 トマ・ルバ(フランス、ブリヂストン・アンカー サイクリングチーム) +12秒
3 グレガ・ボーレ(スロベニア、ヴィーニファンティーニ・NIPPO) +1分12秒
4 ジャック・ベッキンセール(オーストラリア、アヴァンティ レーシングチーム) +1分55秒
5 ホセヴィセンテ・トリビオ(スペイン、チームUKYO) +2分1秒
6 アレッサンドロ・ビソルティ(イタリア、ヴィーニファンティーニ・NIPPO) +2分43秒
7 ミルサマ・ポルセイェディゴラコール(イラン、タブリーズ ペトロケミカル) +3分42秒
8 清水都貴(ブリヂストン・アンカー サイクリングチーム) +3分45秒
9 ニッコロ・ボニファジオ(イタリア、ランプレ・メリダ) +5分26秒 
10 ヴァレリオ・コンティ(イタリア、ランプレ・メリダ) +5分27秒

ポイント賞
1 グレガ・ボーレ(スロベニア、ヴィーニファンティーニ・NIPPO) 30pts
2 ニッコロ・ボニファジオ(イタリア、ランプレ・メリダ) 26pts
3 ピエールパオロ・デネグリ(イタリア、ヴィーニファンティーニ・NIPPO) 25pts

山岳賞
1 トマス・ラボウ(オランダ、OCBCシンガポール コンチネンタルサイクリングチーム) 21pts
2 アイラン・フェルナンデス(スペイン、マトリックス パワータグ) 15pts
3 入部正太朗 8pts

チーム総合順位
1 ヴィーニファンティーニ・NIPPO 23時間22分37秒
2 ブリヂストン・アンカー サイクリングチーム +4分54秒
3 チームUKYO +9分7秒

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