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つれづれイタリア~ノ<27>土地のうまみを詰め込んだイタリアのB級グルメ万々歳! ジロ・デ・イタリア“グルメ編”(下)

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ミラノ風リゾットをはじめとする料理はジロ・デ・イタリア第15ステージのエリアの名物ミラノ風リゾットをはじめとする料理はジロ・デ・イタリア第15ステージのエリアの名物

 ジロ・デ・イタリアがスタートし、イタリア中の人々がテレビの前に釘付けです。生中継で見られないファンのために、イタリア国営テレビは深夜や早朝にも各ステージを再放送しています。なんという優しい国。

 ジロが始まると、日本では放映されない面白い広告が流れます。メインスポンサーであるフェレロ社の主力商品「エスタテ」のテレビコマーシャルです。ちょっとセクシーな金髪のリポーターが登場し、3分間に渡って各ステージを代表するB級グルメを紹介してくれます。もちろん、アイスティー「エスタテ」との抜群の相性をうったえる内容です。わざとらしい演出の前でいつも笑えます。せっかくですのでジロ・デ・イタリア“グルメ編”パート2では、イタリアが誇るB級グルメを紹介しましょう。

第11ステージ(5/21) コッレッキオ~サヴォーナ

 生ハムの産地のエミリア・ローマニャ州から、香ばしいフォカッチャの産地、リグリア州へ…この第11ステージはまさにB級グルメ万々歳の地域を通過します。リグリア州といえば、伊豆半島のような険しい地形で、レモンとアンチョビも特産。ふわふわのフォカッチャに塩の利いたアンチョビを乗せ、「チンクエテッレ」という白ワインとともに食せば、この世の全てのストレスが吹っ飛んでしまうほど幸福感に包まれると思います。

フォカッチャに塩の利いたアンチョビをのせて…フォカッチャに塩の利いたアンチョビをのせて…

 さらにジェノヴァ市まで足を伸ばすと、あの緑色で特徴的なフレッシュバジリコのジェノヴェゼソースのパスタが楽しめます。

第12ステージ(5/22) バルバレスコ~バローロ

ピエモンテ名産のスプマンテピエモンテ名産のスプマンテ

 Vino, vino, vino! バルバレスコとバローロという地名は、ピエモンテ州でもっとも人気のある赤ワインの名前でもあります。「山の麓」を意味するピエモンテは、土壌が豊かで柔らかく、ポルチーニ茸や白トリュフなど食通を虜にする食材が多く採れるのが特徴です。

 ピエモンテ州は赤ワインのほか、スプマンテ(発泡酒)の産地で、キャンティで有名なトスカーナ州とワイン生産量トップの座を争っています。私はどちらかというと、野性的なトスカーナワインよりも、大人っぽい味わいのピエモンテ州のワインのほうが好みです。

第13ステージ(5/23) フォッサーノ~リヴァローロ・カナヴェーゼ

 このステージは、甘党も、ワイン好きでも、キノコの香ばしい匂いの好きな人も絶対見るべきステージです。アスティ・スプマンテ、ポルチーニ茸、そしてヌテッラのステージですから。

イタリア人はヌテッラを食べて育つ?(アラルディカワイナリー提供)イタリア人はヌテッラを食べて育つ?(アラルディカワイナリー提供)

 ヌテッラは、ジロのメインスポンサー、フェッレーロ社の有力商品です。パンにぬるチョコクリームのようなもので、イタリアのどのホテルにもおいてあります。このチョコクリームのパニーニは子どもの大好物で、「イタリア人はヌテッラを食べて育つ」と言っても過言ではありません。

 原材料にはピエモンテ州特産のヘーゼルナッツが使われ、全体的にナッツの味が目立ちます。元となるレシピは、サヴォイ王家御用達の伝統のチョコ、ジャンドゥヤ。日本を含め、全世界で売られています。ちなみに、ヌテッラの味はどこへ行っても同じですが、クリームの硬さは微妙に異なります。各国のパンの堅さに合わせるため、レシピが変えられているためだそうです。

第14ステージ(5/24) アリエ~オロパ

 まだピエモンテ州に居座りますが、ここでは工業地帯を通過。登場するのは、ポレンタとヴィテッロ・トンナートです!

 ポレンタは、イタリア北部でよく食べられているトウモロコシの粉で作られた伝統的なお粥です。かつては貧しい人々と農民の代表的な主食でした。個人的においしいと思えなませんが、消化に非常に時間がかかるのでダイエット効果があるとして再評価されています。癖のあるチーズやソーセージと合わせると、割とおいしく食べることができます。

 しかし、この地域の王者はヴィテッロ・トンナートでしょう。茹でた仔牛肉にツナ、アンチョビ、ケイパー、マヨネーズのソースをかける夏の定番料理で、非常に上品な一皿です。

第15ステージ(5/25) ヴァルデンゴ~モンテカンピオーネ

ゴルゴンゾーラチーズゴルゴンゾーラチーズ
熱々のソースをかけたピッツォッケリ熱々のソースをかけたピッツォッケリ

 このステージでは、ミラノを州都とするロンバルディア州に入ります。ミラノ料理といえば、ゴルゴンゾーラチーズ、ミラノ風カツレツ、ミラノ風のリゾットなどを思い浮かべますが、ステージはミラノの北部を通るので、料理は意外にもシンプルです。

 実はこの地域は日本とおなじみの食材が盛んに食べられています。それは、蕎麦。ミラノの北部にはアルプス山脈が広がり、土地が非常に痩せているので、小麦よりも蕎麦に適しています。

 ただしイタリアでの食べ方はまったく異なります。この地域の蕎麦料理といえば、そば粉のパスタ、ピッツォッケリです。幅の広いパスタに、バター、にんにく、ほうれん草でできた熱々のソースをかけるだけ。シンプルだけど、高エネルギー。山の仕事をする人にぴったりのメニューです。

第16ステージ(5/27) ポンテ・ディ・レーニョ~ヴァル・マルテッロ

 ロンバルディア州を出て、トレンティーノ・アルト・アディジェ州に入ります。この地域のほとんどがアルプスですので、パスタではなく、パン、スープ、チーズとソーセージが主食です。アルプスの少女の世界のようなものです。

 ここではモエナ村の地チーズ「プッツォーネ・ディ・モエナ」を紹介します。あまりにも匂いが強烈なため、一般の食料品店やスーパーでの販売は禁止となっています。チーズの見た目は普通ですが、3カ月間熟成させた表面は本当に臭い。食べれば癖が少なくとてもおいしいチーズです。モエナ村を訪れたら、ぜひ挑戦してみてください。

ぜひ、強烈なチーズをお試しあれ!(プッツォーネ・ディ・モエナ協会提供)ぜひ、強烈なチーズをお試しあれ!(プッツォーネ・ディ・モエナ協会提供)

第17ステージ(5/28) サルノニーコ~ヴィットリオ・ヴェネト

山盛りのイカスミパスタ(砂田弓弦撮影)山盛りのイカスミパスタ(砂田弓弦撮影)

 ジロはやっとヴェネト州に入ります。ヴェネトと言えば、イカスミのパスタ、ライトで飲みやすい白ワイン(日本料理によく合う)、リゾットなど。

 ヴィットリオ・ヴェネトはピナレロの本拠地、トレヴィーゾに近く、トレヴィーゾといえば、ティラミスが誕生した土地です。ティラミス発祥のレストランが、後継者不足により50年の歴史を経て今年クローズしたというのは、寂しい話です。

第18ステージ(5/29) ベッルーノ~リフジョ・パナロッタ

 再びアルプスに突入。ベッルーノは、イタリアの主要なサイクルウエアブランドのひとつ、スポルトフルの本拠地がある地域です。ここベッルーノ市からさらに山奥地に入ります。

 日本で山のごちそうといえば、山菜や蕎麦、キノコが挙げられますが、イタリアでは、乳製品やソーセージ、スープです。パスタの味付けは熱々のバター。ベッルーノの山々ではカスンツィエイ(赤カブのピューレを包んだラビオリ)がおすすめです。ただし非常に高カロリーですので、ダイエットの方はご注意を。

第19ステージ(5/30) バッサーノ・デル・グラッパ~チマ・グラッパ

イタリアの蒸留酒、グラッパイタリアの蒸留酒、グラッパ

 テーマは、グラッパでしょう! グラッパは、ワインを作る過程で廃棄物として残るブドウの絞り粕で作られた蒸留酒です。アルコール度数が高く味もワイルド。ヴェネト州では、ストレートで飲むのが一般的ですが、エスプレッソコーヒーに入れて飲む人もよく見かけます。その名は「カフェ・コッレット・コン・グラッパ(グラッパで調整されたコーヒー)」。食後にどうぞ、大人の味です。

第20ステージ(5/31) マニアゴ~モンテ・ゾンコラン

おすすめはフリウリの白ワイン(フェッルーガ社提供)おすすめはフリウリの白ワイン(フェッルーガ社提供)

 ヴェネト州を離れ、フリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州に入ります。悪名高きゾンコラン山が選手たちを待ち構えている、ジロきっての山岳コースです。

 フリウリ州といえば、かなり貧しい地域だったので特産という特産はありません。豆料理、サラミとポレンタ…ともあれやはりここは、ワインでしょう。

 フリウリのワインはライトで飲みやすいのが特徴。特に白ワインのピノー・グリージョ、シャルドネーがおすすめです。値段が安い点も人気の理由です。

第21ステージ(6/1) ジェモナ・デル・フリウリ~トリエステ

 いよいよラストステージ。スロヴェニアとの国境に近いトリエステ市にたどり着きます。この街は、長い間オーストリア帝国の支配下にあったため、イタリアというよりドイツっぽい料理が目立ちます。加えて豊かな海に恵まれ、ウニをはじめとする海の幸がよく獲れます。

 ここで忘れてはならないのが、サンダニエーレの生ハム。パルマ産の生ハムは確かに有名ですが、イタリア各地に独自の生ハムが生産されており、フリウリ州の生ハムとしてやはりサンダニエーレを見逃せません。肉の強い甘みが特徴です。

サンダニエーレの生ハムも美味(サンダニエーレ協会提供)サンダニエーレの生ハムも美味(サンダニエーレ協会提供)

◇      ◇

 前回に続いてイタリアが誇るほんのわずかな料理や特産品しか紹介できませんでしたが、みなさんには、できることならイタリアまで足を運んでもらいたい。何もを考えずに各地の安い食堂に入って、イタリア人のオーナーが勧めるままに地元のごちそうを味わってほしいと思います。

 ダイエットは日本に帰ったら考えましょう。みなさまに、よい食の旅を!

文 マルコ・ファヴァロ

マルコ・ファヴァロMarco FAVARO(マルコ・ファヴァロ)

イタリア語講師。イタリア外務省のサポートの下、イタリアの言語や文化を世界に普及するダンテ・アリギエーリ協会で、自転車にまつわるイタリア語講座「In Bici」(インビーチ)を担当する。サイクルジャージブランド「カペルミュール」のモデルや、Jスポーツへ「ジロ・デ・イタリア」の情報提供なども行なう。東京都在住。ブログ「チクリスタ・イン・ジャッポーネ

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