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日本最大のステージレース 5月18日スタート開幕目前のツアー・オブ・ジャパン「生で観戦して迫力に触れて」 大会副ディレクターの栗村修さんに聞く

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 5月18~25日に開催される日本最大のステージレース「ツアー・オブ・ジャパン」(TOJ)。大阪、岐阜、長野、静岡、東京の5都府県を転戦し、全6ステージ、総走行距離581.85kmで争われる、国内のステージレースでは最も高いカテゴリー(UCIアジアツアー2.1)の国際大会だ。開幕を目前に控え、今年から大会副ディレクターに就任した栗村修さんにレースの見どころや観戦のポイントを聞いた。(聞き手 米山一輝)

栗村修(くりむら・おさむ) ツアー・オブ・ジャパン大会副ディレクター。選手時代はポーランドのチームと契約するなど国内外で活躍。引退後はTV解説者として、ユニークな語り口でサイクルロードレースの魅力を多くの人に伝え続けている。2014年、4年間務めた国内プロチーム「宇都宮ブリッツェン」の監督を退き、現職に就任した。栗村修(くりむら・おさむ) ツアー・オブ・ジャパン大会副ディレクター。選手時代はポーランドのチームと契約するなど国内外で活躍。引退後はTV解説者として、ユニークな語り口でサイクルロードレースの魅力を多くの人に伝え続けている。2014年、4年間務めた国内プロチーム「宇都宮ブリッツェン」の監督を退き、現職に就任した。

逆襲のランプレ・メリダに注目 アジアナンバーワンチームも参戦

――まず、今年のツアー・オブ・ジャパンの見どころを教えてください。

ランプレ・メリダは、フィリッポ・ポッツァートの参戦が急遽決定。ミラノ~サンレモを制した経験もある、イタリアのスター選手だ(砂田弓弦撮影)ランプレ・メリダは、フィリッポ・ポッツァートの参戦が急遽決定。ミラノ~サンレモを制した経験もある、イタリアのスター選手だ(砂田弓弦撮影)

 やはりランプレ・メリダ。昨年の大会では、出場チームの中で唯一のワールドツアーチームとして期待されつつ、各ステージで1勝もできなかったので、相当に悔しかったようですね。今年は自ら出場を志願してきたくらいです。また、クラシックレースの優勝経験があり、世界的にも有力選手として名を馳せるフィリッポ・ポッツァートの参戦が決まりました。ランプレ・メリダのような強豪チームがやる気をみせてくれるのは、非常に嬉しいことです。

 あと注目されるのは、アジアランキング1位であるイランのタブリーズペトロケミカルです。TOJはUCI(国際自転車競技連合)のカテゴリー1クラスのレースなので、アジアツアーのランキング上位3チームを呼ぶことになっています。タブリーズペトロケミカルのエース、ポルセイェディゴラコール選手は、昨年のツアー・オブ・チンハイレイク、今年のツール・ド・ランカウイと、アジアの超級レースを連覇中です。ランカウイでは山頂ゴールのゲンティンハイランドを制して優勝しているので、その実力通りにTOJの富士山ステージを上ったら、その時点で総合優勝が決まってしまうかも知れないほど強力です。

 ここに日本勢がどれだけ挑めるかがカギとなります。

――日本勢の活躍は期待できますか?

 2020年の東京オリンピック開催が決まった昨秋以降、初めてのTOJです。東京オリンピックへ日本人選手が確実に出場するためには、UCIポイントを毎年、安定して獲得していくことが必要なので、まずは今回のTOJでもUCIポイントを獲得してほしいですね。昨年からカテゴリーが1クラスに上がったことで、獲得できるUCIポイントが増え、総合12位にまでポイントが付きます。昨年日本人のトップ3だった西薗、土井、飯野選手のうち、土井選手以外の2人が引退してしまったのはネガティブな要素ですが、2020年に向けた日本勢の奮起を見たいです。

昨年ステージ2勝、東京ステージ2連覇と気を吐いた西谷泰治(愛三工業レーシングチーム)昨年ステージ2勝、東京ステージ2連覇と気を吐いた西谷泰治(愛三工業レーシングチーム)

 個人総合成績だけでなく、ステージ順位も6位までUCIポイントがあります。昨年は西谷選手がステージで2勝したのが記憶に新しく、今年も期待していいと思います。

 東京五輪という意味では、日本のナショナルチームにも注目です。浅田監督が若い選手たちを率いて、ネイションズカップ(23歳未満の国別対抗戦)を転戦しています。このヤングジャパン、東京五輪世代の活躍というのも期待したいです。

総合争いは富士山ステージがカギに

――日本人選手が総合優勝するにはどうしたらいいですか?

 富士山ステージで健闘することですね。

――日本人選手を勝たせたいなら、主催者は外国人選手と差がつきやすい富士山ステージを廃止するべきだという声もあります

 それは一理あると思うし、僕もチーム側にいた時にはその意見だったのですが、そこは日本人選手に力を付けてほしいという主催者の思いがあるということです。

昨年の富士山ステージで、初めて40分を切る、39分47秒のタイムを叩き出したベンジャミン・ディボール(オーストラリア、ヒューオンサーモン・ジェネシスウェルスアドヴァイザーズ)昨年の富士山ステージで、初めて40分を切る、39分47秒のタイムを叩き出したベンジャミン・ディボール(オーストラリア、ヒューオンサーモン・ジェネシスウェルスアドヴァイザーズ)

 例えば、今オリカ・グリーンエッジで活躍しているマイケル・マシューズ選手は、スプリンターですが、2010年の富士山ステージを4位で上ってるんですね。だからしっかり準備をしてくれば、逆に総合優勝が近くなるステージでもあるんです。

 ただ実際、日本人選手が富士山でタイムを失っているのは事実です。いま日本人選手のベストタイムが増田成幸選手らの42分台ですが、昨年の富士山ステージで優勝したベンジャミン・ディボール選手は40分を切っています。日本のトップ選手ですら2分、3分を失うんですね。だから、それをどこで挽回するかという話になり、どのチームも工夫してくると思います。

――例えばどんなことができるでしょう?

 清水都貴選手(ブリヂストンアンカー)が3月の大会開催発表記者会見の際にメールで寄せてくれたコメントがとても面白くて、ちょうど僕がいま、レースの公式ツイッターに掲載しているところです。それは都貴選手なりの勝ち方の妄想なのですが、堺ステージから順に各ステージを戦い、富士山ステージを終わって都貴選手的には20秒差の総合2位に付けている。続く伊豆ステージでブリヂストンアンカーの総攻撃によりステージ優勝を果たし、リーダージャージも奪うと。

 今年はここ2年大暴れしたフォルッナート・バリアーニ選手とジュリアン・アレドンド選手(ともに昨年までNIPPO・デローザ)が出場せず、昨年の富士山ステージで40分を切ったディボール選手も、手首の骨折で出場できないんですね。だから、もしかすると富士山をもの凄いタイムで上る外国人選手がおらず、優勝タイムが意外に下がるかもしれません。日本人選手が富士山で失うタイムを数十秒に留められれば、チャンスが広がります。

――やはり分単位の差がついてしまうと厳しいですか?

 厳しいですね。ただ、富士山ステージで良いタイムを出す選手が、展開によっては南信州ステージで大きく遅れているのですよ。昨年のディボール選手もそうで、総合成績は下のほうでした。だから、南信州ステージの結果次第で、富士山で失うタイムも補えるかも知れません。

 あとは日本人選手が、ホームゲームという意識を持つことでしょうか。あからさまに手を組むことは無いにせよ、日本のチーム同士で潰しあうことは避けてほしい。

「大会副ディレクター」の仕事

――今年、ツアー・オブ・ジャパンの大会副ディレクターに就任されましたが、どのような仕事に携わっていますか?

 特にこの業務を、という分担はないのですが、選手や監督スタッフとしての経験があるので、現場の知識、現場の価値観というものを大会運営に注入するようにしています。オブザーバーとかアドバイザー、というイメージだと思います。

3月にお台場のフジテレビで行なわれた出場チーム発表記者会見では、栗村さんが自ら司会進行役を務めた3月にお台場のフジテレビで行なわれた出場チーム発表記者会見では、栗村さんが自ら司会進行役を務めた

――大会運営の裏方に回って、何か見えたことはありますか?

 日本でロードレースを開催することの難しさですね。例えば東京ステージは、日曜日に日比谷をスタートして大井埠頭を周回するのですが、“大井じゃなくて日比谷で周回してくれよ”という要望があるわけです。でも、予算が今の状態では、大会の開催自体がとても困難なのです。そうした中、数少ない選択肢の中で辛うじて開催できているのがいまの形なんだと、様々なプロセスに触れて痛感しました。

 日本ではマイナーな存在のサイクルロードレースが、あそこ(日比谷)をスタートしているってことは、よく考えると凄いことなんだなあと。

――大会の将来について考えていることはありますか?

 早いうちに、国内の大会同士で横のつながりを作りたいと考えています。例えばジャパンカップ、ツール・ド・北海道などUCIレースの主催者とは、取り組みの中で共通している部分もあり、手を取り合えるところは取り合ってやっていかなくてはいけないと思います。

 主催者側に回って気付いたのは、TOJは海外のチームにすごく評判のいいレースということです。UCIポイントがたくさん取れるということもあるのですが、もの凄い量のオファーが世界中のチームから届きます。それだけ世界的に注目され、海外の選手たちから評判が高い国際レースなんです。だから、いい形で発展させたいですね。

テレビで見るのとは全然違うレースの躍動感

――最後に、ファンの皆さんにアピールをお願いします

 TOJは国内のステージレースでUCIランクが一番高いですし、出場メンバーやチームもレベルが高いです。

 スポーツチャンネル「J SPORTS」で自転車レースを見たことがあるけれど、実際に生で見たことがないという方や、秋に国際レース「ジャパンカップ」が開かれる宇都宮にはなかなか行けないという方、関西圏の方とか、お近くの方はぜひ生で自転車レースの迫力に触れていただきたいと思います。

――生観戦の魅力とは何でしょうか。

 テレビで見るのと生とでは、全然違います。会場の雰囲気であったり、レースだけじゃなくて、目の前にいる選手の肉体とかもそうです。実際に見る選手の体は、テレビで見るよりも全然細くて華奢だけれど、本当に絞れていて、凄く躍動感があるのです。そんな選手に話しかけたり、一緒に写真を撮ったり、サインももらったり、そういうところを楽しんでほしいです。

 自転車レースって、沿道のお客さんもレースの一部なのです。皆さんもぜひレース会場に来て、レースの一部になってください。昨年からはレースの総集編の映像を国際配信もしているので、ぜひ映り込んでくださいね(笑)

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