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はらぺこサイクルキッチン<12>欧州レースでフィードを単独初体験 選手にエネルギーとモチベーションを授ける補給地点での奮闘記

by 池田清子 / Sayako IKEDA
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国外での選手へのフィードを単独初挑戦した池田清子さん国外での選手へのフィードを単独初挑戦した池田清子さん

 マウンテンバイクアスリートである夫池田祐樹に同行した海外転戦は、5週間にもおよぶ長旅でした。アメリカののちに渡航したヨーロッパでは、5月4日にベルギー・ウッファリーズで開催された「ROC D’ARDENNE」(82km)、そして翌週11日にドイツ・ジンゲンで行われた「Rothaus Hegau Bike Marathon」(100km)に参戦しました。どちらもベスト40位以内はUCI(国際自転車競技連合)のポイントが獲得できるというだいじなマラソンワールドシリーズでした。

 今回は、レース中に選手にドリンクや食べ物を渡す「フィード」がテーマです。ひとりでクルマを走らせフィードエリアを巡ることは、私にとって初めての挑戦でした。両レースでの経験をまとめた奮闘記をどうぞご覧ください!

事前準備を怠りなく

あらかじめルートを登録しておけるので、全体の所要時間も把握できて便利。日本語で案内してくれるカーナビにかなり助けられましたあらかじめルートを登録しておけるので、全体の所要時間も把握できて便利。日本語で案内してくれるカーナビにかなり助けられました

 今回は遠征先ヨーロッパでのフィードということで、日本での準備が必要でした。そのひとつが、日本語で案内してくれるカーナビゲーションシステムです。持ち運びが可能な装着式のカーナビとヨーロッパ地図のSDカードを購入しました。そこへ、主催側が用意するフィードポイントとチーム向けのフィードゾーンの座標を登録しておきます。これは、移動にかかる所要時間も表示されるので助かりました。

 この座標は、私がチェックした時は公式ウェブサイトには公開されていませんでしたが、大会スタッフへメールで問い合わせると予想以上に早い返答をもらうことができましたよ。

 ところが、実は私、今年の2月に運転免許を取得したばかり。ヨーロッパでは交通ルールが違うことはもちろん、レンタカーの車体が大きい・マニュアル車・山道が狭い・規制速度が速い・経験のないラウンドアバウト(円形交差点)が多い…などと不安は尽きませんでした。レース直前には「やっぱり無理」と辞退を申し出たほどです。

ベルギーにて下見。既に看板が設置されていましたベルギーにて下見。既に看板が設置されていました
ドイツのフィードエリアの下見。この田舎道も、数日後にはまったく違う風景に変わりますドイツのフィードエリアの下見。この田舎道も、数日後にはまったく違う風景に変わります

 それでも、いつかは通らなければいけない試練! 現地に着いたら、運転を猛特訓するとともにフィードエリアを周る順番通りに、入念に試走をしました。ベルギーでは2回、ドイツでは3回。試走時のポイントは、フィードエリアへクルマでどこまで行けるかや付近に駐車が可能かどうか、また当日レースのため閉鎖される道のチェックも欠かせません。

 実際に走らせてみると時間がタイトであったり、クルマでは入りづらい場所であったりと細かい注意点も把握することができました。そのほか、およその受け渡し場所を確認し、実際にボトルを持って渡し方の練習もしました。

フィードフードにベルギーワッフルを発見

ベルギーワッフルやはちみつ! イベントに参加している選手はフィードフードも楽しみにしている様子でしたベルギーワッフルやはちみつ! イベントに参加している選手はフィードフードも楽しみにしている様子でした

 ベルギーでは、試走日にはすでにイベントがスタートしていたので、大会が用意していたフィードフードをじっくり見ることができました。定番のフルーツのほか、ご当地もののベルギーワッフルが用意されていました。プロ選手は一瞬で駆け抜けるので見る余裕すらありませんが、この日イベントで参加していたライダーはウォーターステーションに駆け込んだり、ワッフルだけでなくはちみつ、フルーツを試したりとじっくり堪能しているようでした。スポーツドリンクの試飲コーナーもありましたよ。

 自前で準備する場合はレース前日または当日朝に、ドリンクやジェルを作ります。フィードの間隔によってはドリンクの量を減らすことができるため、選手に確認をとりながら量を決めていきます。ゴール後のリカバリードリンク・フードには、プロテインドリンクとバナナを用意しました。

ベルギーのフィードエリアに並んだレーズン・杏・オレンジ・バナナベルギーのフィードエリアに並んだレーズン・杏・オレンジ・バナナ
前日準備したフィードの数々。渡す地点によってドリンクの量が異なります前日準備したフィードの数々。渡す地点によってドリンクの量が異なります

 今回は持参していなかったのですが、可能な限りクーラーボックスなどで保管し、冷やし過ぎないようにするなど適温を保つことも重要です。一般に水分は、温度が低いと胃を早く通過し、小腸で多く吸収されるため、冷蔵庫のポケット部分に保管した時のような5~15℃くらいがよいとされています。反対に、いくらバイクを漕いでいるとはいえキンキンに冷えていると身体を冷やし過ぎてしまいます。ベルギーのレースでは、当日朝の気温が3℃とかなり冷え込んでいたので、常温保管でOKでした。

フィードエリアは情報と元気を渡す場所

フィードエリアに向かう眼差しは真剣フィードエリアに向かう眼差しは真剣

 ベルギーでは本番、4カ所あるフィードエリアを2カ所に絞ることにしました。時間の余裕ができたため、気持ちがラクになりやる気もアップ。まずは早朝に会場へ行き、駐車場を確保するところから始まりです。スタート位置に近いほどフィードへ向かう移動がスムーズなので、スタート3時間前に到着してとっておきの場所を確保しました。

 スタート時の写真を撮るのも私の大事な役目です。池田選手を見送ったあとは、駐車場へダッシュ。ドキドキしながら、私の挑戦もスタートしました。

 フィードエリアでは、スタッフが誘導してくれる所もあれば全くいないこともありました。またUCIレースだった今回、フィードエリアの中でもOKな場所NGな場所が細かく範囲が定められていました。

フィードをしながら大声で情報を伝達しますフィードをしながら大声で情報を伝達します

 フィードは、ドリンクだけでなく情報と元気を渡す場所でもあります。トップ選手が通過するとストップウォッチで計測を開始し、同じようにフィードを待機している人たちと「今の選手で何位だよね」などと協力し合いながら選手を待ちます。祐樹さんの姿が見えたら大きな声で名前を叫んで存在をアピールし、補給ドリンクを渡しながら順位、トップとのタイム差、ポイント獲得となるTOP40とのタイム差、直前の集団とのタイム差といった重要な情報を瞬時に伝達していきました。

 背中を見送りながら最後に「がんばれー、前の選手辛そうだったよ!」などとカツを入れつつ、順位やタイムの記録も忘れずに。さらに落としたボトルは拾って、飲んだ量をチェック。気温やレース展開によっては半分以上残っていることもあるので、次回以降の参考になるのです。

ドリンク・ホイール・工具をフィードエリアに広げてスタンバイドリンク・ホイール・工具をフィードエリアに広げてスタンバイ
順位やタイム差をメモ。通過予定時刻との比較もします順位やタイム差をメモ。通過予定時刻との比較もします

 最後のフィードを終えたら、激混みの駐車場をクリアしてフィニッシュの撮影をするために急いでゴールへ向かいます。約4時間、あっという間にレースが終了しました。

チーム力に磨きをかけて次の闘いへ

ドイツのスタート地点にて。梨絵さんも応援に駆けつけてくれました!ドイツのスタート地点にて。梨絵さんも応援に駆けつけてくれました!

 池田祐樹選手は、ベルギーでは惜しくも47位とUCIポイント獲得に届きませんでしたが、ドイツでは36位と無事ポイントを獲得することができました。フィードエリアでは、選手の状態を把握することができ、逆にフィードや情報によって選手へモチベーションを与えられるということが分かりました。

 ドイツではなんと、MTBオリンピアンの小田島(旧姓片山)梨絵さんがミラノからわざわざ応援の為に駆けつけてくれる嬉しいサプライズもありました! 一部フィードエリアにも同行いただき、「もう少し前に出て渡してあげて」などアドバイスをくれてとても心強く、また勉強にもなりました。

 今回の2カ国でのフィードは、自信に繋がる経験となりました。選手の立場に立って考えるいい機会でもあります。これを生かしてチーム力をさらにアップさせ、次の闘いの場でも共に頑張ります!

レースお疲れさまでした。パートナーとしてこれからも共に頑張りますレースお疲れさまでした。パートナーとしてこれからも共に頑張ります
池田清子池田清子(いけだ・さやこ)

アスリートフード研究家。モデル事務所でのマネージャー経験を生かし2013年夏よりトピーク・エルゴンレーシングチームUSA所属ライダー、池田祐樹選手のマネージメントを開始、同秋結婚。平行して「アスリートフードマイスター」の資格を取得。アスリートのパフォーマンス向上や減量など、目的に合わせたメニューを日々研究している。ブログ「Sayako’s kitchen」にて情報配信中。

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