欧州現地レポート<中>料理、洗濯、トレーニング! 「ブリヂストン アンカー サイクリングチーム」のフランス拠点に潜入取材

  • 一覧

 プロ・ロードレースチーム「ブリヂストン アンカー サイクリングチーム」が欧州での活動拠点とする仏クレルモン・フェランの「ブリヂストンアンカーベース」では、井上和郎、清水都貴、伊丹健治、初山翔、内間康平、寺崎武郎、椿大志の7人の日本人選手たちとメカニックの金田正さんが共同生活を送っている。その拠点に数日間、潜入取材し、選手たちのトレーニングの様子や暮らしぶりを追った。(柄沢亜希)

ブリヂストン アンカー サイクリングチーム。後列左からダミヤン・モニエ、清水都貴、伊丹健治、初山翔、内間康平、寺崎武郎、金田正(メカニック)、前列左からミシェル・シャンペ(マッサー)、井上和郎、椿大志、水谷壮宏監督ブリヂストン アンカー サイクリングチーム。後列左からダミヤン・モニエ、清水都貴、伊丹健治、初山翔、内間康平、寺崎武郎、金田正(メカニック)、前列左からミシェル・シャンペ(マッサー)、井上和郎、椿大志、水谷壮宏監督

ゆとりある“城”で共同生活

ブリヂストンアンカーベースのリビングとソファースペースブリヂストンアンカーベースのリビングとソファースペース

 ブリヂストンアンカーベースは、庭やガレージを備えた、ゆとりある佇まいが魅力的な一軒家。淡いオレンジの建物がかわいらしい。建物内には大きなリビングを中心に、2人部屋、バスルーム、キッチン、洗濯機置き場などが広がっている。

 今年3月からここで暮らす寺崎と椿は、共に1991年生まれで、U23時代から海外でレースや寝食を共にしてきた。「もう腐れ縁で、話すことは何もない」とお互いに笑い合うほど、意思疎通は完璧。2人ともチーム期待の若手だ。

 「彼女、ほしいですね」と明かす椿は、新しいベースを気に入っている様子だ。近所にあるお気に入りのパン屋でバゲットを買うと、ジャージのポケットに入れ、時にかじりながら帰ってくるという。寺崎はフランス語を滑らかに話し、フランス人のチームメートのダミヤン・モニエ、トマ・ルバやスタッフらと積極的にコミュニケーションをとっていた。チームに加入してからは「間隔が空いても2週間というように、ほとんど毎週末にレースがある」と、充実した選手生活を話してくれた。

同室の椿(左)と寺崎同室の椿(左)と寺崎
「かじりながら帰ってくることもあります」と椿「かじりながら帰ってくることもあります」と椿
リビングの隅に設けられたスペースが井上用リビングの隅に設けられたスペースが井上用
2014年4月にチームに合流した内間2014年4月にチームに合流した内間

 内間は3月、「ツール・ド・台湾」に日本ナショナルチームのメンバーとして参戦し、アジア人選手1位の証、アジアンリーダージャージを獲得。4月からチームに合流した。3年間所属した前チームの拠点はイタリア。「生ハムは断然イタリアがおいしかった」と懐かしみつつも、自炊のランチタイムを一番楽しんでいた。「雨の山の下りが得意」と話す内間だが、新チームになってから再び任されるようになったゴール前のスプリント勝負に話題を振ると、表情は少し陰った。「タイミングがうまくつかめなくて」

 「長らくアシストを多く担当していた選手にはよくあることです。スプリンターは最後の瞬間まで待ち、耐えてから飛び出さなければいけませんから」と横からフォローをしたのは、チームのキャプテンを務める井上だ。33歳、同じ年に生まれた清水より誕生日を早く迎え、最年長となった。気分をアゲる曲は「さゆりちゃん」。メンバーひとりひとりに気を配ってチームを支える。「アドバイスはするけれど、正解はその人にしかない。本人が納得するしかない」と、個を尊重する姿勢だ。

レース前にチームで揃って試走するレース前にチームで揃って試走する

山に囲まれた街はトレーニングに好環境

「あの丘もトレーニングスポットのひとつ」と指差す清水「あの丘もトレーニングスポットのひとつ」と指差す清水

 トレーニングは基本的に週末のレースを見据えて平日に実施。インターバルトレーニングは、心拍レベルごとに「1~7番」と強度を決めて行なわれる。例えばレース向けなら4番で、「15~20分の高強度を4回程度繰り返す」のだという。ベースから10分も走れば、トレーニングにぴったりの丘にたどり着く。

 ちょうどレース後のオフ日だったこの日、軽くチームで流しながら走る様子を見せようと選手たちが準備に取りかかったとたん、雨が降り始めた。4月のフランスは、まだ天気が落ち着かない。「残念ですね」と話す井上の顔がほころんで見えたのは記者だけだろうか…。

監督に雨のため「走行なし」の確認をとるキャプテンの井上監督に雨のため「走行なし」の確認をとるキャプテンの井上
室内では「汗の湖ができる」と軒先へセッティングしてローラー室内では「汗の湖ができる」と軒先へセッティングしてローラー
山に囲まれたクレルモン・フェランの街山に囲まれたクレルモン・フェランの街
ガレージでフェンダーをセットする椿ガレージでフェンダーをセットする椿

 水谷監督に練習の中止を確認した後、三々五々に解散。「少し(20分)回す」という伊丹と、レース前にポジションの最終調整をしたい寺崎が軒先へ持ち出したローラーへ。同じく調整のために井上が、また今回のレースメンバーではない椿が、それぞれガレージに置かれたブリヂストン アンカーの「RIS9」「RMZ」に泥除けフェンダーを取り付け、外へ飛び出していった。

 いつもならば朝8時に起床し、10時から最長で夕方4時ごろまでがライド時間。帰宅してシャワーを浴び、夕飯を済ませたら一日が終了だ。「僕らっていつも疲れてるんですよ」とリラックスタイムをリビングで過ごしていた初山がぽつり。ただ、ローラーを回すチームメートを冷やかしに行くことも忘れなかった。

乗り込んだトレーニングのログをチェックする伊丹乗り込んだトレーニングのログをチェックする伊丹
メンバーが集まれば話もはずむメンバーが集まれば話もはずむ
ローラーを回す伊丹を室内から覗く初山ローラーを回す伊丹を室内から覗く初山

キッチンでは行列も

昼時にはキッチンの待ち行列も昼時にはキッチンの待ち行列も

 お昼時になると、選手たちがキッチンに集まってきた。みっちりと乗り込んで疲労困憊の日には、炊飯器にたたえられた白米に卵をぶっかけてかき込むこともあるというが、この日はクッキングを楽しんだ。

 真っ先に調理に取りかかった内間は、150~200gのパスタを茹で始めた。清水、井上も手慣れた様子で野菜をカットしていく。あっという間にキッチンに待ち行列ができた。「時間が重なるのを避けて遅く来たりすると、逆に混んでいることもあります」

 買い出し日は主に月曜か金曜。中型と小型の冷蔵庫はそれぞれ常に満杯で「もうひとつ欲しい」というのが選手たちの共通の意見だ。ナマ物以外のストックの食材は、各自のボックスに収納されている。清水の“マストアイテム”は「コーヒー」だそうだ。大切なストックの中から記者にもおいしい1杯を淹れてくれた。

食材ストックスペースでは各自のボックスが用意されている食材ストックスペースでは各自のボックスが用意されている
自身のボックスを紹介する清水自身のボックスを紹介する清水
パスタを調理中の清水(奥)に並び、手早く卵をかき混ぜる井上はオムレツ作りパスタを調理中の清水(奥)に並び、手早く卵をかき混ぜる井上はオムレツ作り

 「セロリが安い」「ジャムを買うならあのブランド」など、コンディションに直結する食べ物の話題は尽きない。フランス人選手も「食いしん坊」という単語はマスターしている。レースの日の朝食は、スライスパン8枚に山盛りのパスタ、あるいはたっぷりの蜂蜜を溶かしたコーヒーというように、かなりのハイカロリー。活躍を期待できるような、頼もしい食いしん坊っぷりだった。

ブリヂストン アンカー サイクリングチームのライド風景ブリヂストン アンカー サイクリングチームのライド風景

関連記事

この記事のタグ

チームブリヂストン

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

e-BIKE最新特集

スペシャル

自転車協会バナー

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載