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つれづれイタリア~ノ<26>ジロをおいしく観戦しよう! 各ステージは名物料理の宝庫 ジロ・デ・イタリア“グルメ編”(上)

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 今年もやってきました、ジロ・デ・イタリアの季節! 気分はもうドロミテの山脈まで飛んでいます。ジロは初夏のイタリア最大のイベントで、5月はサッカーの視聴率も下がると言われています。そんなジロの高視聴率を支える要因の一つに、実はグルメも関わっているのです。

第6ステージのカンパニア州は、モッツァレッラチーズなど日本人が愛するイタリア料理の宝庫第6ステージのカンパニア州は、モッツァレッラチーズなど日本人が愛するイタリア料理の宝庫

ジロ高視聴率の秘訣

 昨年行われたジロの平均視聴率は、ヴィンチェンツオ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム)が総合優勝を飾っただけあって19%を超えました。雪が降る中で行われたガリビエの第15ステージの瞬間最高視聴率は37.9%(イタリアビデオリサーチAuditel調べ)でした。視聴率は年々上昇中です。

総合優勝したヴィンチェンツオ・ニバリ(ジロ・デ・イタリア2013)総合優勝したヴィンチェンツオ・ニバリ(ジロ・デ・イタリア2013)

 本国イタリアでのジロ関連番組の放送時間は、日本でのレース中継、さらにはほかのスポーツとも比較にならないほど長くなります。

 国営テレビのスポーツ専門チャンネルRai Sport 2だけでなく、一般地上放送局、Rai 3でも同時放映。スタートからゴールまでほぼ全ステージが見られます。そしてレースが終わってからのディベートタイム(かなり過熱する場面も)や、深夜にはジロにまつわるトリビア特集番組など、放送は毎日10時間を超えます!

 そんなに長い時間を放送したら、話題が尽きるのではないかと思うかもしれませんが、心配は要りません。高い視聴率の秘訣として、5人の解説員の努力があり、数多くのゲストが登場し、絶妙なタイミングで観光や特産、そしてグルメの情報が流れます。こうなるとテレビ画面から目が離せません。ジロがもたらす経済効果は絶大なので、全国の町がこぞってステージのスタート地とゴール地を誘致します。

 さて今回は、ジロを面白くするイタリアのグルメ情報についてお話しします。

ピザ、スパゲッティ、生ハムだけでないイタリアのグルメ

マジパンでできたスイーツ。美しいが、甘すぎるマジパンでできたスイーツ。美しいが、甘すぎる

 イタリアは誰もが認める美食の国。新鮮な野菜と魚介類、サラミや生ハムの加工品、チーズにオリーブオイル、ワインとエスプレッソコーヒー。甘みや苦み、うまみに酸味。日本人の舌を魅了する味は、イタリア料理に詰まっています。唯一欠ける料理といえば、スイーツだけ。でもそれはフランス人に譲っておきましょう。

 日本と同様に、イタリア料理にも大きな地域差あります。それぞれ風土、歴史、食文化、味付けが異なり、なかなか面白いものです。今回のジロはヨーロッパ北部アイルランドからスタートします。もちろん、アイルランドのウィスキーとジャガイモもおいしいのですが、イタリアの料理にはかなわないので、第4ステージから解説しましょう。

第4ステージ(5/13) ジョヴィナッツォ~バーリ

 イタリア国内で最初のステージとなりますが、実に危険な地域です。プリア州は長靴の形をしたイタリアの“かかと”に当たる地域で、小麦粉とオリーブオイルの生産においては国内ナンバーワン。とりわけパスタとパンは極めて美味しいのです。パスタには「オレッキエッテ」。そのモチモチ感がたまりません。菜の花に似た味の「チーメ・ディ・ラーパ」と一緒に食べると、もう文句なし。

 さらに、フワフワとしたフォカッチャは、プリア産の小麦粉を100%使っているので、とても香ばしく感じられます。味付けはオリーブとローズマリーではなく、かためのトマトの酸味とエキストラバージンオリーブオイルの絶妙な組み合わせ。海に囲まれただけあって、魚介のフリットは安くて豪快!

フォカッチャフォカッチャ
魚介のフリット魚介のフリット

第5ステージ(5/14) タラント~ヴィッジャーノ

大きな魚の丸焼き大きな魚の丸焼き

 ブリア州を離れ、バズィリカータ州に入ります。雨量が少なく強い太陽に焼かれたこの不毛の地は、イタリアでもっとも古い伝統的な料理が残っています。海岸沿いは海の幸のリゾット、ムール貝のカヴァテッリ(この地域の独特なパスタ)、または豪快な魚のオーブン焼きがおすすめです。

 内地だと、ワイルドな料理が多いのも特徴といえます。ヤギ肉のバーベキュー、カッテージチーズの詰め物パスタ「カズン」などがおすすめです。

第6ステージ(5/15) サッサーノ~モンテカッスィーノ

日本人も愛するピザ日本人も愛するピザ

 カンパニア州を横断するステージですが、日本人が愛してやまないイタリア料理がここにあります。モッツァレッラチーズ、ピザ、酸味の効いたトマトソース。ささっと調理し、ささっと食べるスタイルで食材のうまみを生かすのが、この地域の料理の特徴です。

 豊富な魚介類に恵まれ、それを支えるパンチの利いたワインとリモンチェッロ酒もあるので、ダイエット中の人は避けてほしい地域です。カンパニア州のおいしい料理を求め、ドイツのアンゲラ・メルケル首相も毎年ナポリを訪れるほどです。

第7ステージ(5/16) フロズィノーネ~フォリニョ

黒トリュフ(イタルプレス提供)黒トリュフ(イタルプレス提供)

 イタリアの首都ローマのあるラツィオ州からウンブリア州に入ります。この地域の料理の特徴は、惣菜をとにかく長い時間煮込むこと。固い肉や豆を使うので、甘みを最大限に生かすための知恵なのです。

 特に、ジビエのミートソースはおすすめ。ヤギ、野ウサギやイノシシの独特の臭みがトマトの働きで緩和され、味が絶妙に絡み合います。世界三大珍味、黒トリュフの産地でもあり、パスタとリゾットによく合います。羊の乳でできたペコリーノチーズもぴりっとする味で、赤ワインと一緒に楽しみたいですね。パスタにはトマトソースのマッカローニ。これ以上の幸せはありません。

第8ステージ(5/17) フォリニョ~モンテコピオーロ

 ウンブリア州の中でもアップダウンが激しいアペンニーニ山脈に入ります。特にゴール地点は、イタリア人の誰もが知っている名選手、マルコ・パンターニがトレーニングしていた場所。彼はこの地域を知りつくし、ボトルを持っていかなくてもいいほど、水の飲めるポイントを全部記憶していたといいます。

 この地域で活躍する食材は、キノコと黒トリュフ、それにペコリーノチーズ。パンターニの大好きなパスタだった、クリーミーなカペッレッティもぜひとも味わってもらいたい一品です。さらに、ピザに似た地元料理「クレーシャ・スフォリアータ」は、おやつとしてもおすすめです。

パンターニが大好きだったというカペッレッティパンターニが大好きだったというカペッレッティ
クレーシャ・スフォリアータクレーシャ・スフォリアータ

第9ステージ(5/18) ルーゴ~セストーラ

強烈なインパクトの巨大なサラミ強烈なインパクトの巨大なサラミ

 エミリア・ロマーニャ州に突入します。先ほど「これ以上の幸せはない」と書きましたが、ここで早くも撤回せざるをえません。ラザーニャ、生ハム、バルサミコ酢、生パスタ…とにかくおいしいものがいっぱい! ミラノからボローニャにまたがらう古代エミリア街道は「グルメ街道」と呼ばれ、今回のジロは、そのグルメ街道の南の地域を走ります。ダイエット中の方はここにも寄らないでほしい。誘惑に負けてしまいますよ。

 肉が好きな方には、カストラート(去勢された羊)の丸焼き、トリッパ(トマト煮込みのモツ)、サラミ類がおすすめ。パスタに目がない方は、「ロッシーニ風のカンネッローニ」と「ミートソースのタリアテッレ」をぜひ味わってください。

目を眩ませるほどのサラミ類目を眩ませるほどのサラミ類
生パスタの盛り合わせ生パスタの盛り合わせ

第10ステージ(5/20) モデナ~サルソマッジョーレ

バルサミコ酢はモデナの名物(アチェタイアヴァレーリ社提供)バルサミコ酢はモデナの名物(アチェタイアヴァレーリ社提供)

 あぁ、とうとうエミリア・ロマーニャ州のグルメ街道に到着。厳しいウエイトコントロールで食事を我慢している選手たちにとって、もっとも残酷な地域でしょう。レストランから漂ってくる、料理のおいしい匂いは戦意を低下させるに違いありません。

 生パスタにパルメザン・チーズ、ニョッキ、トルテッリーニ、生ハム、クラテッロ(サラミの一種)など、13世紀にも歌われた名料理の数々が、現代の人々をも楽しませています。しかも、このおいしい料理たちは一般家庭の食卓を飾ります。スタート地点のモデナではバルサミコ酢、コースの沿線ではランブルスコというワインが待ち構えています。

 ここで紹介できる料理はわずかですので、一緒にイタリアへ行って食い倒れのツアーをやりたいぐらいです。さて、次回も楽しみにしていてください。第11ステージから第21ステージまで一気に紹介します。

文 マルコ・ファヴァロ

マルコ・ファヴァロMarco FAVARO(マルコ・ファヴァロ)

イタリア語講師。イタリア外務省のサポートの下、イタリアの言語や文化を世界に普及するダンテ・アリギエーリ協会で、自転車にまつわるイタリア語講座「In Bici」(インビーチ)を担当する。サイクルジャージブランド「カペルミュール」のモデルや、Jスポーツへ「ジロ・デ・イタリア」の情報提供なども行なう。東京都在住。ブログ「チクリスタ・イン・ジャッポーネ

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