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100回目にして初めてタイトルが南半球へゲランスのスプリントが炸裂 混戦のリエージュ~バストーニュ~リエージュを制す

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 春のクラシックの最終戦となるリエージュ~バストーニュ~リエージュ(UCIワールドツアー)が4月27日、ベルギー・ワロン地方で開催された。実力者たちによる力のぶつかり合いとなったレースを制したのは、サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)。初優勝を飾ると同時に、南半球の選手で初めての同大会ウイナーとなった。

登坂力とスプリント力を兼ね備えたサイモン・ゲランスが、オーストラリア人として初の優勝を挙げた登坂力とスプリント力を兼ね備えたサイモン・ゲランスが、オーストラリア人として初の優勝を挙げた

1892年に始まった世界最古のクラシック

クラシックのなかでは獲得標高が多く、オールラウンダーやクライマーが活躍できるレースクラシックのなかでは獲得標高が多く、オールラウンダーやクライマーが活躍できるレース

 リエージュ~バストーニュ~リエージュは1892年に第1回大会が行われ、中断期間などを経ながら、今年で第100回目を迎えた。世界最古のクラシックレースとされ、別名“Doyenne(ドワイエンヌ=最古参)”とも呼ばれている。

 今回のコース距離は263km。リエージュをスタートしてからは南へ進路を取り、バストーニュで折り返し。リエージュ近郊のアンスのゴールを目指すルートだ。おおよそ八の字にルートが設定され、その間は絶えずアップダウンが繰り返される。獲得標高は4000mを超え、なかでも重要とされる10カ所の頂上には山岳賞が設けられた。

 例年、グランツールで活躍するオールラウンダーやクライマーが強さを発揮しており、アルデンヌクラシックの他の2レース(アムステル・ゴールドレース、ラ・フレーシュ・ワロンヌ)のように、パンチャーやアタッカーが有利とは限らないのもポイントだ。

アムステル・ゴールドレースで10位に入った新城幸也が出場アムステル・ゴールドレースで10位に入った新城幸也が出場
2年ぶりの出場となった別府史之2年ぶりの出場となった別府史之

コート・ド・ラ・ルドゥットでレースが活性化

 レースはまず、12km地点でのミヒェル・コッホ(ドイツ、キャノンデール)らを中心としたアタックが決まり、6選手による逃げ集団が形成された。メーン集団との差はたちまち大きくなり、75km地点では15分45秒にまで広がった。

 100km地点となるバストーニュには、スプリントポイントが設けられた。トップ通過した選手には、スプリント賞として5000ユーロの賞金が出るとあって、逃げる6選手は真剣勝負。ここはコッホが制した。

メーン集団を牽引するチーム ヨーロッパカーのペリグ・ケムヌールメーン集団を牽引するチーム ヨーロッパカーのペリグ・ケムヌール

 ゴールを見据えるメーン集団も、徐々にペースをアップする。オメガファルマ・クイックステップ、BMCレーシングチーム、モビスター チームのアシストたちが集団を牽引し始めた。チーム ヨーロッパカーも前方に位置し、その中には新城幸也の姿もあった。

 レースが本格的に動き出したのは、残り44.5km地点のコート・ド・ラ・ルドゥット(登坂距離2km、平均勾配8.9%)からだった。逃げ集団内でも脚力の差が出始め、マッテーオ・ボーノ(イタリア、ランプレ・メリダ)が単独で先頭へと躍り出る。一度はヤコブス・フェンター(南アフリカ、MTN・クベカ)が合流するも、後にボーノに引き離されてしまう。

 メーン集団は、残り85kmを切ってから一気にペースアップし、コート・ド・ラ・ルドゥットに到達するころには、逃げメンバーをいつでも捕まえられる情勢となっていた。そうしたなか、ワレン・バルギル(フランス、チーム ジャイアント・シマノ)がアタックすると、ジュリアン・アレドンド(コロンビア、トレック ファクトリーレーシング)、ヤン・バークランツ(ベルギー、オメガファルマ・クイックステップ)が反応。3kmほど先行して集団にキャッチされたが、これを機に集団全体の動きが活性化することとなる。

 メーン集団では単発のアタックがたびたび起こるものの、決定的な動きに至らないまま、残り19.5km地点のコート・ド・ラ・ロッシュ・オウ・フォーコン(登坂距離1.5km、平均勾配9.3%)へ。今回からコースに復活したこの上り坂で、独走となっていたボーノを捕まえると、アレドンドが再びアタック。これにはドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼール ラモンディアル)が加わりペースアップを図る。それまで淡々と走っていたフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)ら優勝候補もアタックを見せるなど、レースは激しさを増す。

アタックするワレン・バルギルアタックするワレン・バルギル
集団から抜け出したドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(左)とジュリアン・アレドンド集団から抜け出したドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(左)とジュリアン・アレドンド

 アレドンド、ポッツォヴィーヴォを追う集団では、ロマン・クロイツィゲル(チェコ、ティンコフ・サクソ)、ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム)、ラーシュペッテル・ヌールハウ(ノルウェー、ベルキン プロサイクリングチーム)が立て続けに仕掛けたものの失敗。アタックと牽制を繰り返した末、残り11kmでようやく集団が先行した2人に追いつき、レースを振り出しに戻した。

最終局面で前年覇者マーティンが落車、躍り出たゲランス

 ゴールまで10kmを切ると、モビスター チームがペースメイクを開始。アレハンドロ・バルベルデ(スペイン)は、いつ勝負に出るか。約40人が一団となって、最後の難所であるコート・ド・サン・ニコラ(登坂距離1.2km、平均勾配8.6%)へと向かった。

逃げ切りを図るドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(右)とジャンパオロ・カルーゾ逃げ切りを図るドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(右)とジャンパオロ・カルーゾ

 上りが始まってすぐにステファン・デニフル(オーストリア、イアム サイクリング)が飛び出した。しばらくしてジャンパオロ・カルーゾ(イタリア、チーム カチューシャ)とポッツォヴィーヴォが追走を開始。デニフルに追いつき、そのままパスをすると、2人はゴールに向かって逃げ切り態勢に入った。

 一方のメーン集団は、バルベルデやジルベールといったエースクラスが自らアタックし、前を行く2人を追うが、なかなか差が縮まらない。その差は10秒前後で推移する。

 このまま逃げ切るかと思われた2人だったが、徐々に勢いが衰えてきた。代わってメーン集団では、ピーテル・ウイーニング(オランダ、オリカ・グリーンエッジ)が牽引し、2人に迫ろうと試みる。そのままラスト1kmのフラムルージュを通過。逃げ切りか、メーン集団が追いついてゴールスプリントとなるのか、予断を許さない展開に。

 すると、カルーゾが残り500mでアタック。ポッツォヴィーヴォを引き離すことに成功した。とはいえ、集団も一気に迫ってきた。ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・シャープ)が2番手へと上がり、2連覇のゴールを目指す。残り400mのコーナーを左折すれば、そのままゴールまで一直線。

 その瞬間だった。カルーゾを目の前に捉えたマーティンがコーナーでまさかの落車。2連覇の夢が潰えてしまった。それを上手くかわし、猛然とスプリントを開始したのはゲランス。カルーゾの前に出ると、あとはゴールまでまっしぐら。ライバルの追撃をものともせず、高らかに両拳を掲げてゴールラインを通過した。

オーストラリア人初のリエージュ制覇

 リエージュ~バストーニュ~リエージュ100回の歴史上、初めてのオーストラリア人選手による優勝となった。同時に、南半球に初めてタイトルが渡ることに。ゲランスにとっては、2012年のミラノ~サンレモに続くモニュメント(とりわけ歴史のある、ミラノ~サンレモ、ツール・デ・フランドル、パリ~ルーベ、リエージュ~バストーニュ~リエージュ、イル・ロンバルディアの5レース)2勝目を挙げた。今年はオーストラリア選手権、ツアー・ダウンアンダーでのステージ1勝と総合優勝を果たしており、これらに続くシーズン4勝目。登坂力もさることながら、ピュアスプリンター顔負けのスプリント力、そして決定的なチャンスをものにする勝負強さを武器に、数々のビッグレースを制してきたゲランスが今回、新たな勲章を手に入れた。

(左から)アレハンドロ・バルベルデ、サイモン・ゲランス、ミハウ・クフィアトコフスキーが表彰台に上がった(左から)アレハンドロ・バルベルデ、サイモン・ゲランス、ミハウ・クフィアトコフスキーが表彰台に上がった

 2位にはバルベルデが入った。ラ・フレーシュ・ワロンヌに続く勝利とはならなかったが、終盤に自ら仕掛ける場面があるなど、敗れたものの強さを十分に証明する走りだった。3位に食い込んだミハウ・クフィアトコフスキー(ポーランド、オメガファルマ・クイックステップ)も、ラ・フレーシュ・ワロンヌに続いて表彰台へ。アムステル・ゴールドレース5位も含め、23歳にして完全にワールドクラスのライダーへ仲間入りを果たした。

 日本勢は、新城、別府史之(トレック ファクトリーレーシング)ともに、勝負どころを前にメーン集団から脱落。最終的にリタイアとなっている。

 春のクラシックシーズンが終わりを告げ、次なる戦いはステージレースへ。同日開幕のツアー・オブ・ターキー(UCI2.HC)や29日開幕のツール・ド・ロマンディ(UCIワールドツアー)を経て、今年最初のグランツールであるジロ・デ・イタリアへと向かっていく。

(文 福光俊介・写真 砂田弓弦)

リエージュ~バストーニュ~リエージュ結果
1 サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) 6時間37分43秒
2 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +0秒
3 ミハウ・クフィアトコフスキー(ポーランド、オメガファルマ・クイックステップ) +0秒
4 ジャンパオロ・カルーゾ(イタリア、チーム カチューシャ) +0秒
5 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +3秒
6 トムイェルト・スラフトール(オランダ、ガーミン・シャープ) +3秒
7 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、ティンコフ・サクソ) +3秒
8 フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム) +3秒
9 ダニエル・モレノ(スペイン、チーム カチューシャ) +5秒
10 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +5秒
DNF 別府史之(日本、トレック ファクトリーレーシング)
DNF 新城幸也(日本、チーム ヨーロッパカー)

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