イエローカードの効果は川崎市が制服姿の「指導員」制度導入へ マナー向上に本腰

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自転車での走行禁止を呼びかける看板の横を自転車で通過する人=23日、川崎市川崎区の商店街「銀柳街」自転車での走行禁止を呼びかける看板の横を自転車で通過する人=23日、川崎市川崎区の商店街「銀柳街」

 多発する自転車事故をマナー向上を通じて減らそうと、川崎市が来年度から新たな対策を導入する。マナー違反者に対し、制服姿の「自転車マナーアップ指導員」が、違反を指導する「イエローカード」を交付してマナー向上を呼びかける。県内初の取り組みに「一件でも違反を減らしたい」と市の担当者は期待を寄せている。(今仲信博、山田泰弘)

 ■マナー無視横行

 川崎市川崎区のJR川崎駅東口にある「銀柳街」。約230メートルの商店街には、1日約2万5千人が訪れる。午前10時から午前0時までは歩行者天国で、自転車走行の禁止を看板6基などで呼びかけている。ところが、商店街を歩いてみると、買い物客らが当然のように自転車で走っている光景が目に飛び込んできた。

 「大きな事故はまだないが、いつ起きてもおかしくない」。川崎銀柳街商業協同組合の星野雄一さん(64)は心配する。昨夏には、中年男性が運転する自転車が、歩行者の男性に衝突するのを間近で目撃。歩行者の男性は大きくはね飛ばされたが、幸いにも大きなけがはなかったという。

 同商店街では、救急車を呼ぶような事故は発生していないが、ベルを鳴らしながらわがもの顔で走行する高齢者や、2人乗りの若者など、マナーを無視した自転車が、ここ数年目立つようになってきたという。「警察官が注意すると自転車を降りるが、組合の人が注意しても無視されたり、相手にされない場合が多い」と星野さんは頭を抱える。

 ■県内ワースト

 神奈川県警交通総務課によると、昨年の市内で発生した交通事故は4526件。そのうち、自転車絡みは1396件と事故比率で30・8%を占め、県内平均の24・3%を大きく上回る。特に川崎区では39・2%と県内全市町村でワースト。県交通安全対策協議会は同区をはじめ、事故比率が30%を超える幸、中原、高津の4区を今年度の「自転車交通事故多発地域」に指定した。

 県くらし安全交通課は「平地が多い川崎市内では、便利な自転車利用者の多さに伴い、事故も絶えないのでは」と推測。また、県警交通総務課は「自転車が絡む交通事故の約8割が、自転車側に何らかの過失がある。安全運転の意識向上が必要」と指摘する。

 ■県警OBらが指導

 市が新設する自転車マナーアップ指導員は、県警OBら4人で構成される。事故多発地域の4区を中心に、午前8時から午後7時まで巡回活動を行う。市の担当者は「交通安全教室などの対策はやり尽くした感じがある。より実践的な指導が必要」と強調する。

 指導員は「信号を守らなかった」「2人乗りをしていた」など10項目が書かれたイエローカードを持ち、違反行為を見つけたら呼び止め、項目にチェックを入れて違反者に交付する。自転車が歩行者に重傷を負わせ、横浜地裁で数千万円の損害賠償が命じられた事例なども載せたパンフレットを一緒に配る予定だ。

 「自転車は手軽な乗り物だが、大きな事故につながる危険性がある。ルールを守らずに乗る人が多いので、イエローカードで注意を呼びかけたい」と市の担当者。今後、県警と連携し、巡回場所などを決めていくという。

 効果への期待の一方で、イエローカードが何枚交付されても罰金などの罰則がないことから、銀柳街の衣料品店の男性従業員(30)は「まじめな人は注意に応じるだろうけど、効果はどうなのか」との疑問の声も出ている。

 こうした指摘に対し、市の担当者は「制服姿の指導員が注意をするだけでも、効果が見込まれる」と反論。その上で「一過性でなく恒常的な啓発活動としていきたい。今回の対策の結果を踏まえ、さらに対策を考えていく」と話している。

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