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栗村修の“輪”生相談<21>20代女性「ロードレースに携われる仕事にはどんなものがありますか?」

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昨年のツール・ド・フランスから自転車ロードレースの面白さに気付き、転がり落ちるようにはまっていった者です。自分自身が自転車に乗ったりすることに余り関心は無いのですが、ロードレース運営やチーム運営など、自転車レース関係の仕事に興味があります。

 そこで、ロードレースに携われる仕事にはどんなものがありますか? また、どのようにしたらなれるものなのでしょうか?

(20代女性)

 こういった質問は、本当にうれしいです。今、僕が力を入れていることのひとつが、サイクルロードレース関連の雇用を増やすことだからです。チームが増えれば運営会社も必要になりますし、レースが増えればスタッフも必要になるでしょう。

 まず、選手がいますよね。次に監督、メカニック、マッサー。これで一応はレースが成り立つように見えますが、これは末端にすぎません。

 チームと選手はレースがなければ活動できません。だから、レース運営のお仕事が大切です。レースとは、要するにイベントなので、つまるところはイベント運営のお仕事です。その中に審判団や、メディアへの発信、お客さん対応など、あらゆるパーツが含まれます。イベント運営会社は、そういうパーツを組み合わせて、ひとつのイベントであるレースを完成させます。

レース運営で世界的に知られるのが、ツール・ド・フランスを運営するASO(アモリ・スポル・オルガニザシオン)。社長のアモリ氏は日本でもおなじみの顔になったレース運営で世界的に知られるのが、ツール・ド・フランスを運営するASO(アモリ・スポル・オルガニザシオン)。社長のアモリ氏は日本でもおなじみの顔になった

 もちろん、これはビジネスですから、スポンサーやお客さんからお金を集めて、そこからスタッフにお給料を支払い、その収支が黒字でなければいけません。これがイベントの大枠です。

 次に、個々のパーツですね。具体的なレースに関わる仕事です。

 まずは審判。ところが、日本にはプロの審判はいません。食えないからです。これは問題です。経済的なバックボーンがある人がやってくださっているのが実態です。何とかプロ化できるようにしたいのですが…。他には、レースを伝えるカメラマンさんや、あまり数は多くありませんが、ライターさんがいます。しかしメジャースポーツではないサイクルロードレースの世界で食っていくのは簡単ではないでしょう。

 次にチームに話を移すと、運営会社のスタッフが必要です。宇都宮ブリッツェンだと4人ほど。そこにプラスして、経理の方やデザイナーさんもいます。

 メカニックは、自転車屋さんが手伝ってくれるパターンが多いですね。専属のメカニックで食っていける人は極めて少ないのが現状です。マッサーも同じ。そもそも、日本にはレース帯同だけで食えるほど、レースの数がありません。

栗村さんも今年から“レースを売る側”として、ツアー・オブ・ジャパン(TOJ)のイベント副ディレクターの仕事を務めている栗村さんも今年から“レースを売る側”として、ツアー・オブ・ジャパン(TOJ)のイベント副ディレクターの仕事を務めている

 ここまででおわかりかもしれませんが、日本ではサイクルロードレース関連の仕事で食っていくのは、簡単ではないんです。でも、各イベント(レース)とチームをまとめるリーグができれば、話は変わってくるでしょう。リーグに価値を付ける仕事、つまり各レースやチームの価値を高める、広告代理店的な仕事が必要になりますし、その営業がうまくいけば、リーグの下にあるチームやレース関係の仕事も増えるはずです。

 レースに価値を付けてテレビ局に売る。チームに価値を付けて、スポンサーをつける…。もし、そういうお仕事に興味がおありならば、ぜひ入ってきてください。今、求められているのは、日本のサイクルロードレースに価値を付けられる人だと思います。

(編集 佐藤喬・写真 米山一輝)

回答者 栗村修(くりむら おさむ)

 「宇都宮ブリッツェン」テクニカルアドバイザー、「J SPORTS」サイクルロードレースレース解説者、「ツアー・オブ・ジャパン」副イベントディレクター。選手時代はポーランドのチームと契約するなど国内外で活躍。引退後はTV解説者として、ユニークな語り口でサイクルロードレースの魅力を多くの人に伝え続けている。著書に『栗村修のかなり本気のロードバイクトレーニング』『栗村修の100倍楽しむ! サイクルロードレース観戦術』(いずれも洋泉社)など。

※栗村さんにあなたの自転車に関する悩みを相談してみませんか?
ml.sd-cyclist-info@sankei.co.jpまでお寄せください。

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