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つれづれイタリア~ノ<25>イタリア人に好評なバイクシェアリングの魅力 使い方次第ではレンタサイクルよりもお得

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イタリアで空前のブームとなっているバイクシェアリングイタリアで空前のブームとなっているバイクシェアリング

 いよいよゴールデンウィークが近づいてきました。今年の連休は短いですが、最近はイタリア航空が新規路線を開拓し、日本からフィレンツェやヴェネツィアまでのアクセスがよくなりました。乗り換え時間がないと、やはり旅行がスムーズに進みます。

 さて、前回のレンタルバイクに引き続き「イタリアを自転車で楽しもう」というテーマでお話ししたいと思います。今回紹介するのは、バイクシェアリング制度です。ケースとしてパドヴァ市の取り組みを紹介します。

 なぜ日本人になじみの薄いパドヴァ市なのか。この中型都市はとても面白く、美術的にも優れているし、サイクリングにおいてもとても魅力的な街だからです。

バイクシェアリングとレンタルの違い

 まずはイタリアのバイクシェアリング事情を紹介します。ヨーロッパの主要な都市と比べて自転車所有率の高いイタリアの各地でも、この数年でバイクシェアリングが空前のブームとなっています。ミラノ、トリノ、レッコ、ブレーシャ、パルマ、ジェノヴァ、パドヴァ、ピサ、ローマ、サレルノ、バーリなど、多くの都市がバイクシェアリングを導入しています。しかし、前回紹介したバイクレンタルとは制度が大きく違うので、サービスを利用する前に、その違いを知っておきましょう。

・バイクレンタルの特徴
レンタル期間内は、いつでもどこでも使える。
借りられる場所:ホテルかサイクリングショップ

・バイクシェアリングの特徴
基本的に公共の物。低価格だが、利用時間と利用範囲は非常に制限されている。
借りられる場所:市が運営するバイクステーション

 近年、イタリアの歴史的な都市では一般車両の進入が厳しく制限されています。クルマの振動によって古い建築物が傷むのを防ぐことで、修復工事の出費を抑えるとともに、違法駐車が減るため景観の保全にも役立っています。さらに、排気ガスと有害物質を軽減できます。

 こうしてクルマが制限されたことで、市民の移動のために、市バスや振動の少ない路面電車が復活しています。そして、バス路線がカバーしきれない場所や短い移動のために、公共交通手段としてバイクシェアリングサービスが導入されました。つまり、観光目的ではなく、市民の足としてバイクシェアリングがあるわけです。そのため、ほとんどのサイトに掲載されている説明は全部イタリア語になっています。

シェアバイク利用の仕組み

パドヴァ市のバイクシェアリングサービス「グッドバイク」パドヴァ市のバイクシェアリングサービス「グッドバイク」

 それでは、パドヴァ市の取り組みがどんなものなのかを見てみましょう。基本的な仕組みは、他の都市も同じです。

 パドヴァ市内でシェアバイクを利用するには、事前登録が必要です。サービスは「グッドバイク」と呼ばれています。ウェブサイト上の専用ページに名前、住所、電話番号、クレジットカードのデータを記入し、サービス期間を選びます。16歳未満の方は利用できません。審査をクリアした登録者の自宅には磁気カードが送られます。このカードがないと、バイクステーションからバイクを取り出すことすらできません。

 利用できる自転車は(1)普通のママチャリのような自転車(赤色)、(2)電動アシスト自転車(白色)の2種類。パドヴァ市内に限られますが、24時間利用できます。鍵がついていない自転車のため、路上駐車や寄り道などはできません。出発地点のバイクステーションから、目的地の最寄りバイクステーションまでの移動手段として使うのが基本です。盗難に遭った場合や撤去された場合は、300ユーロの違反金が科せられます(自動引き落とし)。

シェアバイクの利用時間と延滞料金の絶妙な仕組み

 バイクシェアリングサービスは、30分以内の利用を基本としています。また、回数制限がないので、1日に何回でも使えます。しかし30分を過ぎると、延滞料金がかかります。時間が経つにつれて、金額は跳ね上がるように増えていきます。利用時間に気をつけなければなりません。

 サービス期間は4種類。選択した期間によっては、プリペイドチャージが付いてきます。期間が過ぎたカードは30日以内に更新しないと、チャージが消滅します。

パドヴァ市「グッドバイク」料金システム

■サービス期間
1年間:25ユーロ+5ユーロのプリペイドチャージ
1カ月:10ユーロ+2ユーロのプリペイドチャージ
1週間:5ユーロ+2ユーロのプリペイドチャージ
4時間乗り放題:8ユーロ(1日のみ有効)
※対人傷害保険(任意):5ユーロ(100万ユーロまで)
 
■延滞料金
30~60分まで:0.5ユーロ
61~120分以内:2ユーロ
121分以降:1時間当たり2ユーロ追加

 24時間返却せずに利用していると、46ユーロ以上の延滞料金が科せられます。レンタルバイクの2倍以上の値段です。延滞料金は自動的にクレジットカードから引き落としされつづけます。それでも、パドヴァ市はまだ安いほうです。他の都市では、3時間を超えると、1時間当たり6ユーロが加算されます。24時間だと140ユーロ近くになります。

 さらに、1カ月以内に3時間を超える利用が3回以上あった場合、カードが自動的に停止される罰則もあります。延滞料金やこういった仕組みによって、誰かがシェアバイクを長時間独占するような状態を抑制しています。

インターネットでのリアルタイム情報が便利

 バイクシェアリングのメリットは、いったいなんでしょう。それはバスを待たずに素早く街の中心を移動できることです。ある程度の土地勘が必要ですが、イタリアの都市は小さいので、すぐ慣れます。パドヴァ市では現在27のステーションが運営されていますし、そのリアルタイム情報がすべてネットで公開されています。

 どのステーションで何台のバイクが利用できるか、開いている駐輪スペースがあるか、故障車があるか、リアルタイムでわかるようになっています。例えば、30分の期限が迫った場合、返却スペースが空いてないと返却とみなされないので、延滞料金がかかってしまいます。そんな時はネットを使えば、最寄のステーションの空き状況がすぐにわかります。

 イタリアのバイクシェアリング制度は制限が多いサービスでありますが、最新のデータによれば、好評のようです。パドヴァにおいては2年で1600人以上がバイクシェアリングに登録しています(2013年10月時点)。平均利用時間16分、利用件数3万6千件、盗難件数は0件でした。2012年に16だったステーションは27カ所に増え、現在も増設中。イタリア人のような滞在型の休みを計画している方には、とても便利なサービスです。ぜひご利用ください。

◇         ◇

パドヴァ市はどんな街?

 パドヴァは人口25万人、イタリアの平均的な大きさの地方都市です。ルネッサンス初期の巨匠、ジョットのフレスコ画を見られることや、ガリレオ・ガリレイが天文学者として活躍した大学(世界で2番目に古い大学)が。さらに、聖アントニオ大聖堂(12世紀)や世界最古の植物園(1997年に世界遺産登録)がメーンの観光スポット。北にはアルプス、南には温泉地帯の休火山地帯。東には水の都ヴェネツィアやブレンタ側のフラットな地帯。自転車愛好家なら十分に楽しめる街です。

 パドヴァ市がとても便利なウェブサイトを展開しています(英語対応)。ここでは、パドヴァ観光協会主催のサイクリングツアーに申し込めます。個人的なお勧めコースはコッリ・エウガネイ地区のワイン街道。走るのに適度な山と美しい景色とおいしいトラットリアがたくさんありますよ。

コッリ・エウガネイには、おいしいものがたくさんありますコッリ・エウガネイには、おいしいものがたくさんあります
観光でもサイクリングでも楽しめるコッリ・エウガネイ観光でもサイクリングでも楽しめるコッリ・エウガネイ

文 マルコ・ファヴァロ、写真 イタリア・パドヴァ・エウガネオ温泉地区観光協会

マルコ・ファヴァロMarco FAVARO(マルコ・ファヴァロ)

イタリア語講師。イタリア外務省のサポートの下、イタリアの言語や文化を世界に普及するダンテ・アリギエーリ協会で、自転車にまつわるイタリア語講座「In Bici」(インビーチ)を担当する。サイクルジャージブランド「カペルミュール」のモデルや、Jスポーツへ「ジロ・デ・イタリア」の情報提供なども行なう。東京都在住。ブログ「チクリスタ・イン・ジャッポーネ

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