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RENの「自転車のススメ」<4>大学に一日体験入学? 「法政MTBパーク」で“共存型”マウンテンバイク道を究めよう

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さぁこれからトレイルライドです! 木々に包まれているので、外よりほんの少し気温が高くなりますさぁこれからトレイルライドです! 木々に包まれているので、外よりほんの少し気温が高くなります

 関東地方はすっかり春の陽気。自転車に乗るには最適なシーズンになってきましたね。山や森に潜んでいた昆虫達も活発に動き回る時季に…実はマウンテンバイク好きだけど虫はキライというRENです。さてさて、ヤツらがウヨウヨ出てくる前に山を楽しみましょう(笑) 4月に入り、東京都のとある場所を走ってきました。今回はそのレポートをお届けします!

中央線を西へ

 前回はとても揺れる船(汗)でしたが、今回は座っているとなぜか眠気に襲われる電車で輪行です。JR中央線、土日だけ運行される臨時快速電車。189系「ホリデー快速富士山号」に乗車しました。

189系M50編成「ホリデー快速富士山」。新型車両によって「あずさ」から追い出された国鉄特急。懐かしい!と感じる人も多いのでは?189系M50編成「ホリデー快速富士山」。新型車両によって「あずさ」から追い出された国鉄特急。懐かしい!と感じる人も多いのでは?
高尾の駅前で自転車を組み立てます。駅の西側には本格的な峠が続いていて、輪行ロードバイカーにとっても拠点になっているようです高尾の駅前で自転車を組み立てます。駅の西側には本格的な峠が続いていて、輪行ロードバイカーにとっても拠点になっているようです

 昭和の国鉄時代の特急車両を使った車内は、少し混雑していました。ハイキングへと向かうお客さんに交じり、マウンテンバイクが入った輪行袋と私を乗せて、電車は目的地へ向かって快調に飛ばします。中央線は直線が多いので速いですね。降りたったのは高尾駅。近くには高尾山があり、ハイキングの拠点にもなっている駅です。

 駅を出ると自転車を組み立て、たくさんのハイカーに別れを告げて、さぁトレイルへ向かいましょう!

 走り始めるとすぐに小高い丘が現れ、多摩丘陵のなだらかな山が続きます。のんびり走ること30分、大きな敷地の中に白い校舎が見えてきました。

 ここは…「法政大学多摩キャンパス」です。

この日、法政大学は新入生歓迎祭が行われていました。ナウでヤングな大学生たちに囲まれ、かなり場違い感が出ていますが、ドンマイ!この日、法政大学は新入生歓迎祭が行われていました。ナウでヤングな大学生たちに囲まれ、かなり場違い感が出ていますが、ドンマイ!

大学敷地内のトレイル

グラウンド横にあるMTBパークの看板。様々な思いが詰まっています。ここを使わせて貰っていることに感謝しなくちゃね!グラウンド横にあるMTBパークの看板。様々な思いが詰まっています。ここを使わせて貰っていることに感謝しなくちゃね!

 そう。この日ライドした場所は、大学の敷地内なのです! その名も「法政MTBパーク」。

 特定非営利活動法人「法政クラブ」が、「スポーツと文化活動を存分に楽しめるコミュニティを!」をスローガンに、法政大学多摩キャンパス城山地区で運営しているトレイルなのです。全国的にみても大変珍しい場所といえるのではないでしょうか?

法政クラブ:http://www.hosei-club.org
法政クラブMTB:http://www.hosei-club.org/class/6.html

 利用の年会費は2000円で、会員になると1日500円で走れます。土、日、祝日がコースオープン日となっていますが、大学敷地内のため、入学試験などの日はクローズとなります。パークの利用には毎月1回開催される安全講習会への参加が義務づけられていて、こちらは無料で参加できます。今回は安全講習会を取材しました。

渡辺さん(通称ジャンボさん)の身長は192cm。正にジャンボさん! 乗るバイクは、私と一緒で、やはり29er。納得渡辺さん(通称ジャンボさん)の身長は192cm。正にジャンボさん! 乗るバイクは、私と一緒で、やはり29er。納得

 早速、このトレイルのパークキーパーとして活動されている渡辺さん(通称:ジャンボさん)にお話を聞いてみましょう。

REN「よく大学が敷地の使用許可を出してくれましたね!」

ジャンボさん「今年で4年目。地道な活動が実を結びつつあります。ここは単なるMTBパークではなく、MTBのコミュニティと考えてください」

REN「お。なるほど。場所の提供ではなく、一歩踏み込んだ考え方なのですね」

ジャンボさん「そうです。初心者からベテラン、フリーライダーやレーサー、digger(コースを作成する人)…様々なライダー達が集まり、それぞれのスタイルで楽しみ、またお互いを受け入れています」

ユーザーが共存するトレイル

 ここでキーワードとなってくるのが、「お互いを知り共存する」ということ。山でマウンテンバイクに乗るときに最も大切にしなければならないことなのです。

 最新のマウンテンバイクは29erだったり、前後のホイールにサスペンションが付いていたりと、その走破性の高さから様々な場所を縦横無尽に走ることができます。だからこそ、乗り方・遊び方・楽しみ方の幅が広い。僕がこの自転車を好きな理由です!

コースは老若男女楽しめる。トレイル走行日の土日祝日は必ず走れるということはない(天候や大学のイベント)ので、事前にHPやFacebookにてチェックすべし!コースは老若男女楽しめる。トレイル走行日の土日祝日は必ず走れるということはない(天候や大学のイベント)ので、事前にHPやFacebookにてチェックすべし!

 でも、よく考えると…その走破性の高さはトラブルにつながる危険性も高いのです。

 走る場所には様々なシーンがあります(ここ重要です!)。例えば、通勤や通学に使用したり、生活道だったり。

 大勢のサイクリストがトレイルを走ることで山を荒らしてしまったり、ハイカーとの良好な関係が保てなくなって閉鎖されたりと、全国的に様々な問題が起こってきました。

ジャンボさん「法政MTBクラブは、MTBが今後、発展的に普及して行き、地域社会にマッチして、MTBを永続的に楽しめる環境つくりのラボ(実験台)というスタンスなのです」

 つまり、共存するという気持ちを持ったライダーを育てる場所となっているのですね。大学という学びの場にピッタリな取り組み。実に素晴らしい!

ライディング講習会でバイクの扱いを学ぶ

グラウンドを使用しての、基本レクチャー。トレイルに入る前のウォームアップにも最適だ。乗り方に変な癖がついていないか再確認しようグラウンドを使用しての、基本レクチャー。トレイルに入る前のウォームアップにも最適だ。乗り方に変な癖がついていないか再確認しよう

 春らしい柔らかな光が降り注ぐグラウンド。真のマウンテンバイカーになるべく、この日の講習会には20人ほどの参加者が集まりました。男性と小学生に交じって若い女性の姿も。ライダーは、トレイルを走る前に、みっちりライディング講習を受けます。

 メニューは以下の通り。

・滑りやすい場所での急停車、スラローム
・極めて低速でのバランス感覚を身につける一本橋渡り
・前輪と後輪の内輪差の感覚を覚える、8の字コース
・丸太越え、ステアケース(段差に乗り上げる)

 こんな感じで、マウンテンバイクに乗る時の、前後の重量配分について身体で覚えていきます。

意外と難しいぞ…。低速での8の字ターン。前後ホイールの通る場所を感覚で覚えよう。トレイルでの乗車率がグッと上がる意外と難しいぞ…。低速での8の字ターン。前後ホイールの通る場所を感覚で覚えよう。トレイルでの乗車率がグッと上がる
前転しないように重心移動を心がける。ロードバイクに乗っているときにもこの姿勢は有効。制動距離がグッと短くなる前転しないように重心移動を心がける。ロードバイクに乗っているときにもこの姿勢は有効。制動距離がグッと短くなる
最初は怖いかもしれないが徐々に高くして慣れていこう。小さい男の子も果敢にチャレンジ。その姿にグッとくる最初は怖いかもしれないが徐々に高くして慣れていこう。小さい男の子も果敢にチャレンジ。その姿にグッとくる
一本橋。かなりの難易度だ。スピードを上げてクリアするのは邪道! 長い時間をかけて見事に渡り切ればヒーローだ。この一本橋。とあるパークキーパーさんのMy一本橋! すご!一本橋。かなりの難易度だ。スピードを上げてクリアするのは邪道! 長い時間をかけて見事に渡り切ればヒーローだ。この一本橋。とあるパークキーパーさんのMy一本橋! すご!
パークキーパー(インストラクター)にライディングテクニックを教わる。新しい発見はあったかな?パークキーパー(インストラクター)にライディングテクニックを教わる。新しい発見はあったかな?

 感覚的には、自転車の邪魔をしないように身体を動かすといった感じ。リラックスしてクリアしていきましょう。すでに自転車に乗れる人も、「走る」「曲がる」「止まる」という基本をもう一度見直す良いきっかけとなります。

 「僕は乗れているから大丈夫」と思っていても、自転車の走破性に頼って、ごまかしていることや、気がついていないことがたくさんあるのです。講習会は、自転車乗りの真の姿を浮かび上がらせる、リトマス試験紙のようです…

 マウンテンバイクで走るトレイルは、土、砂、泥など路面状況が刻々と変化します。これに対応していくことで、普段見逃していた自転車の走行テクニックを、再確認していくことになるのです。

準備万端、いざコースへ!

 昼食を挟み、さぁパークキーパーを先頭に、外周約1.2kmの周回コースへ入って行きます。

 木漏れ日がコースを照らしています。新緑がとても眩しい。無機質な建物に囲まれた日常ではなく、非日常の世界が目の前に広がっている…。

 コースは人が一人通れる幅のシングルトラックで構成されています。獣道みたいなものをイメージすると分かりやすいかもしれませんね。

 「パキッ」

 「ガサガサッ」

 落ちている木の枝や葉を踏みしめる音が、森の中に響きます。

 山っていえば凄い坂ばかりで疲れると思いますか? いえいえ、丘陵に広がるコースなので、ダラダラと続く長い登坂区間はなく初心者でも安心。こういったコースは、体力、そしてスキルがレベルアップすると、下り坂のスピードを生かして登り返せるので、ドンドンと楽しさが増していきます。「じわっ」と心地の良い汗がにじんできます。

 バイクの後輪の位置と車幅感覚を気にしつつ、ちょっとした崖の側や木々の中を進んでいきます。皆、刻一刻と変化する路面状況に、グラウンドで教わった乗り方で対処していきます。

アスファルトに囲まれた生活。久々に土を走る感覚はどうだろう? 大人も子供に戻れる瞬間ですアスファルトに囲まれた生活。久々に土を走る感覚はどうだろう? 大人も子供に戻れる瞬間です
低い山ではあるが、ダイナミックな景色が楽しめる。そして周回コースなので自分のペースで走ることができる低い山ではあるが、ダイナミックな景色が楽しめる。そして周回コースなので自分のペースで走ることができる
ジャンボさんの息子さんをパチリ。たまに乗りにくるそうです。親子でライド楽しいそうですね!ジャンボさんの息子さんをパチリ。たまに乗りにくるそうです。親子でライド楽しいそうですね!
パンプトラックで隊列を組んで走ります(トレインと呼びます)。ブランコを漕ぐ感じで、重心を移動させるとペダルを漕がなくても加速していきますパンプトラックで隊列を組んで走ります(トレインと呼びます)。ブランコを漕ぐ感じで、重心を移動させるとペダルを漕がなくても加速していきます
私もパンプトラックにチャレンジ! 29erのクロスカントリーバイクでも遊べます。全身をムチの様に撓らせ、スムーズに走ることがポイント私もパンプトラックにチャレンジ! 29erのクロスカントリーバイクでも遊べます。全身をムチの様に撓らせ、スムーズに走ることがポイント

 スキルが向上すると、自分が走りたいと思う道筋(ライン)がたくさん見えてくるようになります。この感覚は、実際に乗ってみないと分からないかもしれません。是非、MTBを体験して感じてください!

 派手なアクションやスピードは必要ありません。乗りこなすのが難しい場所を走っているだけで、ニヤニヤと笑みがこぼれてしまうのです。

 「クリアできたぞ」という達成感! トレイルでは「速いライダーがカッコいい」のではなく、「環境を愛し、美しく乗りこなすライダー」がカッコいいのです。

 んー素敵!

 そして、休憩中は皆さんとのライド情報交換。日が傾くまで、マウンテンバイクの話しかしていない。それほど充実した楽しい一日でした。

マウンテンバイクで、体だけでなく「心」も育てよう

 近年、閉鎖的でアンダーグラウンド的になっているマウンテンバイクのスタイルをオープンにし、地域社会にマッチしたかたちで展開する一つの見本となる場所だと感じました。こういった活動が他にも生まれると嬉しいですね。

 マウンテンバイクは、「武道」「書道」に似た奥の深い乗り物なのかもしれません。私は、マウンテンバイクが「心を育てる乗り物」になるのではないか?と思っています。今後ともこの魅力をお伝えしていきたいと思っています。

 共存のスタイルで、これからも自転車に乗り続けよう!

日が暮れてきました。様々なバイクが集まります。ファットバイク、26er、29er、そして注目を集めている27.5er。セットアップの情報交換の場所にもなっています日が暮れてきました。様々なバイクが集まります。ファットバイク、26er、29er、そして注目を集めている27.5er。セットアップの情報交換の場所にもなっています
今回のライドに集まった皆さん。小さい子から大きな子まで!(笑) 法政MTBパークは、皆で一緒に遊べる&学べる場所なのです今回のライドに集まった皆さん。小さい子から大きな子まで!(笑) 法政MTBパークは、皆で一緒に遊べる&学べる場所なのです

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帰りは「ホリデー快速ビューやまなし」215系。オール2階建て列車です。レアな電車も沢山味わえて最高な休日となりました帰りは「ホリデー快速ビューやまなし」215系。オール2階建て列車です。レアな電車も沢山味わえて最高な休日となりました

 さて、次はどこへ行こうかな?

 まだ乗ったことのないタイプの自転車のコミュニティへ行ってみるのも良いし、仲間と旅をするのもいいな!

小林 廉(こばやし・れん)/REN小林 廉(こばやし・れん)/REN

数々のCM・雑誌・ファッションショーで活躍するトップモデル。08年より本格的にスポーツサイクルに乗り始める。毎月発行される自転車雑誌に見ない月はないというほどの“乗れるモデル”。日本マウンテンバイク協会公認インストラクター。特技はウィリー(映像を見る)。身長188cm、体重74kg。東京都在住。オフィシャルブログ「RENのすすめ」。取材のお問い合わせは info.studioren@gmail.com まで

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