日本には無いスピードを経験ニールプライドチームがツール・ド・パース出場 ハイレベルな戦いを繰り広げる豪州シリーズ

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 3月26日から29日にオーストラリア西部のパースで「Tour de Perth」(ツール・ド・パース)が開催され、日本からJプロツアーチーム「ニールプライド・メンズクラブ プロサイクリング」が出場した。同チームのキャプテンである松尾修作選手のレポートで、レースの模様をお伝えする。

◇      ◇

舞台となった街Perth。西オーストラリアの州都であり、豪州第4の都市舞台となった街Perth。西オーストラリアの州都であり、豪州第4の都市

 3月にオーストラリアで行われたTour de Perthに参戦した。UCIレースではなくJプロツアーのように独立したシリーズ戦の一部だが、プロコンチネンタルチームのドラパックをはじめ、豪国内のコンチネンタルチームは全て参加するレベルの高いレースだ。ニールプライドチームからは私・松尾修作と菅野正明選手、フランス人のマキシム・マルタンの3選手が出場。さらに地元オージーの選手が3人合流し、計6人のチームでレースを戦った。

 レースは全4ステージで総合成績が争われ、1日目からクリテリウム、ロードレース、個人TT、最終日はロードレースというプロフィール。全てが公道でのレースなので、開催規模は大きかった。

猛烈なスピードのナイトクリテリウム

 初日のクリテリウムのスタート時間は午後6時半。日は傾き、空の半分は既に暗かった。ヨーロッパで夏の期間で行われる“ナイトクリテ”そのままの雰囲気だ。平日ではあったが、仕事帰りの地元客に加えて観光客も集まり、ビールや軽食を片手に選手達にエールを送っていた。

夜の街を走るナイトクリテ夜の街を走るナイトクリテ
落車リタイア後に集団を見送る落車リタイア後に集団を見送る

 レースはスタートすると同時に、強豪チームが主導権を握るため先頭に集まり、集団の速度は一気に60km/h以上にまで上がった。前週に参戦した宇都宮クリテリウムよりも、明らかにペースが速い。脚のベースが違うのはもちろんかもしれないが、戦術としてふるいにかける意味でも、序盤から意図的に最高出力で踏んでいるように感じた。狭いコース内で150人以上が、前の選手の背中もかすむ暗いコーナーに入る事で、落車が連発する。私も巻き込まれてしまい、コース中でストップしなければならず、ニュートラル(猶予周回)を申請したが何故か降ろされてしまった。結局、この日の完走は全体の3分の1程で、総合成績には反映されないステージとなった。

 オーストラリアは現在秋に入り、涼しくなったとはいえ、日中は20度台後半にまで気温が上昇し、日差しも厳しい。地元の選手は1月からシーズンインしているとのことで、気候に順応して身体もできている。以降のステージでは、コンディションに差を感じることとなった。

地力の差を痛感するステージ

TTのコースとなった「ロットネス島」TTのコースとなった「ロットネス島」
TTスタート台に立つ松尾選手。装備はノーマルTTスタート台に立つ松尾選手。装備はノーマル

 第2ステージは上りが多いコースプロフィールなので、現地の選手に比べて体重が軽い私たちには期待が持てたが、緩い斜度が延々と続く登りには苦戦を強いられた。ダンシングを駆使してトルクをかけるようなスタイルではなく、シッティングのままグリグリと体幹を使ってペダルを回していくスタイルは、オージーが得意とするトラック競技を連想させた。日本のように斜度がありつづら折りのコーナーが続くコースとは、違う走り方が必要だった。

 第3ステージはパースからフェリーで30分程のロットネス島での個人TT。島の周囲20kmを巡る見晴らしの良いコースは、同国内外の観光客もサイクリングを楽しむ名所だ。TTバイクとDHバーの使用は禁止だったため、各チームはディスクホイール、TT用ヘルメットを装備してタイムを狙った。ここで感じたのはロードバイク、TTバイク共に、チームの機材に対する意識の高さであった。

 ほぼ全ての選手のコンポーネントは最新のハイエンド・グレード。ホイールからウェア類まで、常に気を使っている印象だ。Jプロツアーのレースより、ハード面での質は高く感じた。私と菅野選手は圧倒的な力不足でタイムが伸びず、後ろからすぐに数えられる順位で終了。翌日の最終日に向けては、完走に伴って得られる経験を目標とし、フェリーでパースまで戻った。

TTコース内に多く生息している野生のクアッカワラビーTTコース内に多く生息している野生のクアッカワラビー
ロットネス島への選手とバイクの移動はフェリーを利用ロットネス島への選手とバイクの移動はフェリーを利用
レース前の食事は素パスタとパンレース前の食事は素パスタとパン

日本でもおなじみのチームが激しい総合争い

 最終ステージは公園の周囲8kmを周回する114km。総合成績ではアヴァンティチームがバジェットフォークリフトに、4秒のみの総合タイム差をもってスタートした。ドラパックを含めると4選手が総合優勝の可能性があったため、序盤から上位チームを中心にアタックが連発された。

最終ステージにて総合を激しく争う3チーム。前からドラパック、バジェットフォークリフト、アヴァンティ最終ステージにて総合を激しく争う3チーム。前からドラパック、バジェットフォークリフト、アヴァンティ
逃げグループ内のトラヴィス・メイヤー(ドラパック)逃げグループ内のトラヴィス・メイヤー(ドラパック)
総合リーダーを抱えるアヴァンティがメーン集団をハイスピードでコントロール。見慣れたオレンジのウェアを今シーズン、メーンスポンサーの変更によりブルーに模様替えした総合リーダーを抱えるアヴァンティがメーン集団をハイスピードでコントロール。見慣れたオレンジのウェアを今シーズン、メーンスポンサーの変更によりブルーに模様替えした

 単純なコースプロフィールだったため、スピードが上がり、集団後方を走っていた時は棒状一列状態。65km/hをスピードメーターが示していた。もちろん前方では50km/h台後半程度のスピードかもしれないが、ここまでスピードが上がるレースは経験した事がなかった。私は頭では集団前方の方が楽であると分かっていながら前に上がる事ができず、レース中盤でリタイアとなってしまった。

 結局、アヴァンティチームが総合を守りきり、ジョセフ・クーパーが総合優勝。アヴァンティは昨年までジェネシス・ウェルス・アドバイザーズとして活動していた、日本でもおなじみのUCIコンチネンタルチーム。5月のTOJ(ツアー・オブ・ジャパン)にも来日予定だ。チームではマキシムの総合47位が最高位だった。

今後の日豪の交流にも期待

チームメンバー。左よりマキシム・マルタン、松尾修作、菅野正明、現地でジョインしたマット・キングチームメンバー。左よりマキシム・マルタン、松尾修作、菅野正明、現地でジョインしたマット・キング

 今回このツアーでは結果的に惨敗なってしまったが、日本には無いスピードを経験できたことは、国内で強みになり必ず結果に活きるだろう。また、コーナーや下りでのテクニックは日本人の方が上手に感じ自信にもなった。

 現在、比較的馴染みもあり参戦しやすいアジア諸国のレースへ春先に参加する日本チームが多いと思うが、敢えてコンディションが既に上がり、格上と言っても過言ではない地域のレースへ積極的に参戦する事も良いのではないかと思う。

 オーストラリアのチームがTOJをはじめ国内のレースに参加するように、日本のチームが頻繁に文化とレベルの違う現地でレースに参戦可能な体制があれば、チームとしても選手としてもレベルが向上するはずだ。レース内容はもちろんであるが運営面など様々な価値観を養うことで、国内レースの発展にも寄与するだろう。

 次回開催の際にも参加し、是非リベンジしたい。

(レポート 松尾修作)

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