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栗村修の“輪”生相談<20>40代男性「選手はレース中に何を考えて走っているんでしょうか?」

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時には6時間近く走る長丁場のレース。選手はレース中に何を考えて走っているんでしょうか? チームオーダー、位置取り、展開の読みなど色々考えることはあるでしょうが、ずっとそればかり考えているというわけではないと思います。

 私などは仕事の振り返りから、BIGで6億円あたったらという妄想、はたまたAKBとか様々な曲が何度もローテーションしたり。逆を言えば集中を切らさない方法などもあればお教え下さい。

(40代男性)

 おっしゃる通り、ロードレースには緩急があります。タイムトライアルや、気の抜けないワンデーレース、あとは極端に距離の短いクリテリウムなどは例外ですが、ふつうは「ゆるい時間」が生じます。

 ただ、今のレースはチーム単位で戦略的に戦う傾向が昔よりも強くなっているので、それに伴って考えなければいけないことも増えています。たとえば、「君はレース前半のアタック担当ね」と指示を受けた若手選手が飛び出して、けれど5km走ったところで捕まってしまったとしましょう。集団は活性化していますから、速度差が大きい。吸収されて、集団の後ろまで下がってしまったタイミングで決定的な逃げが決まってしまったら、先輩に怒られちゃいます。

 したがって、逃げに乗れても安心できません。すぐに吸収されるときのことを考えながら走らなければいけません。力をセーブしつつローテーションを回すとか、抜け駆けを狙う選手がいないか、ギアチェンジの音に耳を澄ませるとか。逃げが決定的になり、集団が落ち着くまではかなり忙しいんですよ。

 しかし、やがて逃げとメーン集団とのタイム差が広がれば、まったりとしてきます。選手も人間ですから、考えることは皆さんとあまり変わりません。気になるあの子、彼氏はいるのかなあ、とか、来季の契約は大丈夫なんだろうか、とか。脳内にAKBの曲が流れてくることもあるでしょう。まあ、レース中は雑念は消えやすいですが、トレーニング中は特にいろいろ考えました。

 集中を切らさない方法ですか。これはちょっと難しいですね。お答えになっていなければ申し訳ないのですが、人間の集中力って、生まれ持ったものだと思うんです。仕事をしていても、1時間で集中力が切れる人がいれば、4時間持つ人もいる。1時間しか持たない人が濃いコーヒーでドーピングをするなど無理をして、生まれ持った以上のパフォーマンスを発揮したとしても、どこかでその反動が来るでしょう。借りを返さなければいけない。

 しかし、そもそも、集中力って切れるものなのではないでしょうか。それが1時間か、4時間か、1日かの違いです。

 だから自分自身を知って、1時間しか持たないならば持たないなりのやりかたを追求すればいいのだと思います。雑念が湧くときは、無理をせず雑念に身をゆだねたほうがよいのかもしれません。

(編集 佐藤喬・写真 砂田弓弦)

回答者 栗村修(くりむら おさむ)

 「宇都宮ブリッツェン」テクニカルアドバイザー、「J SPORTS」サイクルロードレースレース解説者、「ツアー・オブ・ジャパン」副イベントディレクター。選手時代はポーランドのチームと契約するなど国内外で活躍。引退後はTV解説者として、ユニークな語り口でサイクルロードレースの魅力を多くの人に伝え続けている。著書に『栗村修のかなり本気のロードバイクトレーニング』『栗村修の100倍楽しむ! サイクルロードレース観戦術』(いずれも洋泉社)など。

※栗村さんにあなたの自転車に関する悩みを相談してみませんか?
ml.sd-cyclist-info@sankei.co.jpまでお寄せください。

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