Cyclist記者が試乗UKYOというレジェンドと共に走る喜び ビギナーにこそふさわしい新ロードバイク「レブ」

by 上野嘉之 / Yoshiyuki KOZUKE
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荒川河川敷道路で「チームUKYO レブ」を試乗荒川河川敷道路で「チームUKYO レブ」を試乗

 国内最強のプロ・ロードレースチームの名を冠したロードバイク「Team UKYO Rêve」(チーム ウキョウ レブ)が、ゼンリンデータコムから2月に発売された。Cyclist編集部では、さっそくレブの試乗車を借りて、性能や乗り味を試す機会を得た。その頃、チームを率いる片山右京さんが出演するイベント「荒川マナーアップミーティング」が開催されたので、記者はレブに乗って右京さんに会いに出かけた。東京都北区のイベント会場まで、片道20km余り。このビギナー向けロードバイクの試乗にはちょうど良い距離だ。晴れ渡った3月9日、レブで東京都内や荒川河川敷を快走した。

片山右京さんもお気に入り

 記者の試乗記の前に、まずは片山右京さん自身が所有するレブを紹介しよう。荒川マナーアップミーティングの会場に右京さんが持ち込んで展示し、注目を集めていた。ステージイベントが終了すると、たくさんのファンや来場者が右京さんとレブの周りに集まり、即席の撮影会が行われたほどだった。

 右京さんの愛車は、レブの2つのグレードのうち、メーンコンポにシマノ105を搭載した上位モデル。すでにいくつものパーツが交換されており、右京さんが“自分仕様”にカスタマイズして楽しんでいることが見てとれた。

片山右京さんと愛車「チームUKYO レブ」片山右京さんと愛車「チームUKYO レブ」

 ホイールは前後ともカーボン・ディープリム仕様。ハンドルバー、ステム、サドル、シートポストも、グレードの高いパーツに換装済みだ。

 右京さんは「入門者向けのレブに、シマノのデュラエースなど最高級のパーツを付けようとは思わない。でも、いろいろカスタマイズして楽しめる本格的なバイクであることは、僕が証明したい」と笑顔でアピールした。

右京さんのレブは、コンポーネントにシマノ105を採用した上位モデル。さらにカーボン・ディープリムホイールを装着していた右京さんのレブは、コンポーネントにシマノ105を採用した上位モデル。さらにカーボン・ディープリムホイールを装着していた
フロントもカーボン・ディープリムホイールに換装フロントもカーボン・ディープリムホイールに換装

 さらに、右京さんはCyclistの取材に対し、開発の狙いについても語ってくれた。なぜチームUKYOというトップクラスの名を冠したロードバイクが、入門者向けなのか?

 そんな質問に対し右京さんは、主宰する野外活動教室「チームUKYO チャレンジスクール」で多くの子供たちと挑戦を共にしてきた経験をもとに、次のように語った。

「チームUKYO レブ」開発の背景について語る片山右京さん「チームUKYO レブ」開発の背景について語る片山右京さん

 「スポーツバイクに乗りたくても乗れない子がいる。例えば、お父さんがいない家庭の中高生は、高価な自転車を買うのはなかなか難しいよね。そんな子たちでもロードバイクに触れる機会ができないか? そういう考えもあって、このレブを作ったんだ」

 単にレースに勝つためでなく、あるいは嗜好品を愛でる道楽のためでもない。恵まれない環境の子も含め、誰もがロードバイクに触れて、楽しみを味わってほしい。そんな切なる願いが込められたバイクなのだという。

 片山右京さんといえば、かつてF1レーサーとして世界を舞台に戦い、現在もカーレースのチームを率いてサーキットに参戦。また、趣味として始めたロードバイクでは、自身が実業団レースに出場したほか、2012年からはチームUKYOを結成してトップカテゴリー「Jプロツアー」に挑み、2013年には個人とチームの年間総合優勝を勝ち取った。さらに、右京さんは本格的な登山にもチャレンジしており、今年4月にはエベレスト登頂を目指す。まさに“生きるレジェンド”といえる挑戦者なのだ。

 そんな右京さんの思いやこだわりが詰まったロードバイク「チームUKYO レブ」に乗るということは、まさにレジェンドと共に走るということ。右京さんと話していて、記者はそんな風に感じた。

カーレースを想起させるカラーリング

 記者が試乗したレブは、メーンコンポにシマノSORAを搭載した、より普及型のモデル。完成車で10万円(税別)というプライスは、市場に出回るロードバイクの中でもかなり低廉といえるだろう。

トップチューブとダウンチューブは極太の異型断面形状。大胆な曲線が艶かしいトップチューブとダウンチューブは極太の異型断面形状。大胆な曲線が艶かしい

 アルミ製のフレームは上位モデルと共通で、黒をベースに赤、黄、白のさし色が入った派手なカラーリングが目を引く。この配色は、最近の自転車界のトレンドを追ったものではなく、どちらかと言えばサーキットを走るカーレースのイメージを想起させる。そこが、元F1レーサーが率いるチームUKYOらしさか。自転車にドップリ漬かる前のビギナーには、レブのようにはっきりしたカラーの方がスポーツイメージを感じやすいことだろう。

ヘッドチューブとトップチューブ、ダウンチューブの接合部。剛性は極めて高そうだヘッドチューブとトップチューブ、ダウンチューブの接合部。剛性は極めて高そうだ

 フレーム形状はかなり凝っている。トップチューブ、ダウンチューブは五角形に近い異型断面で、特に極太のダウンチューブは大きく湾曲しているのが特徴的。その太さや接合部の大きさを見ると、いかにも頑丈そうだ。フロントフォークもアルミ製。軽くて振動吸収性のよいカーボンフォークでないのは、コストの制約かも知れないが、転倒などのトラブル時を含め、耐久性はアルミに分がある。

 試乗をして感じたことは、とにかくしっかりとした走りであること。フレームとフォークの剛性が高く、また最近のロードバイクの中では重い方なので、ややどっしりとした乗り味になっている。

イエローのアクセントが効いた「レブ」のカラーリングはレーシーな印象イエローのアクセントが効いた「レブ」のカラーリングはレーシーな印象

 率直に言って、フレームは硬い印象で、それは右京さん自身も認めている。その分、乗り味をマイルドにするためには、タイヤの空気圧を低めにしたり、場合によっては幅の広いタイヤに換装するなどカスタマイズをすればいいかも知れない。

 初心者向けのバイクなのに剛性が高いことに、異議を唱える人もいるだろう。しかし、この剛性はフレームが頑丈に作られた証であり、右京さんは「これなら倒れても落としても、簡単には壊れない」と胸を張る。耐久性や実用性の高さは歓迎すべきであり、若者が最初に乗って街乗りやサイクリングに使い倒すバイクにはピッタリだろう。

初心者が楽しめるさまざまな工夫

 ほかにも、初心者向けのロードバイクとして記者が「なるほど」と思ったことがある。一つは、フロントのチェーンリングがトリプル(3枚ギア)になっていること。一般的にロードバイクのフロントギアは2枚であり、トリプルギアはツーリング車やマウンテンバイクに多い。自転車マニアから見れば、トリプルは邪道かも知れない。

 しかし、そのトリプルギアを変速してみて、記者自身が小学生で始めてドロップハンドルのスポーツサイクルを買ってもらった時のことを思い出した。とにかく変速が楽しくて、ガチャガチャといじりながら走り続けた。特に、フロントギアは変速が難しく、何度も練習したものだった。そして高校生で、通学用に再び買ってもらったスポーツサイクルは、フロントがトリプル仕様。ギアが2枚から3枚に増えただけで、すいぶん高級になった気がした。やはり何度も何度も変速をして楽しんだ…

試乗車は主なコンポーネントにシマノSORAを採用したモデル。フロントはトリプルギア仕様試乗車は主なコンポーネントにシマノSORAを採用したモデル。フロントはトリプルギア仕様
リアは9段変速の仕様。性能や使い勝手は十分リアは9段変速の仕様。性能や使い勝手は十分

 思い出話になってしまったが、初心者はそういう部分からスポーツサイクルに親しむものだろう。試乗したレブのフロントギアを変速しながら、この楽しみをより多くの人に感じてもらいたいと思った。

 もう一点、初心者向けに考えられていると感じたのは、身体に直接触れる部品であるハンドルバーとサドルだ。ハンドルは湾曲部の奥行き(リーチ)と落差(ドロップ)がともに小さい仕様。そのおかげで、ハンドルを持つポジションをいろいろ変化させても、姿勢の変化はあまり大きくない。ライディングポジションが未熟な初心者でも、さまざまな乗り方を試しやすいことだろう。またサドルは、座面がフラットでクッション性もよく、これも初心者になじみやすい形状だと感じた。

この日の試乗では、スペアチューブや工具を入れたサドルバッグとビンディングペダルを装着したこの日の試乗では、スペアチューブや工具を入れたサドルバッグとビンディングペダルを装着した
「チームUKYO レブ」と筆者「チームUKYO レブ」と筆者

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 すでに20万円以上する高級なロードバイクを所有している方は、レブの購入を検討する必要はないだろう。また、これからレースに出場して勝利を目指すライダーも、レブを選択するのではなく、もともと本格レース仕様のバイクを探した方がいい。

 そんな自転車マニアや“通”を対象とするのではなく、あくまでビギナーのために、ビギナーの目線で作られたのがチームUKYOレブだ。大金を投じなくても、自転車の楽しみを思いっきり堪能できる。そして、片山右京さんの情熱と一緒に走ることができる。これからロードバイクを始めたい人にとって、レブはとても魅力的なバイクだといえるだろう。

フロントフォークに記された「Team UKYO」のロゴマークが誇らしいフロントフォークに記された「Team UKYO」のロゴマークが誇らしい
「チームUKYOレブ」のスペックシート「チームUKYOレブ」のスペックシート

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