思い思いのライドを満喫世界自然遺産の中を291人が快走!大感動! 笑顔あふれた「2014 サイクリング屋久島」
春の風を切って進む。推定樹齢3000年以上の縄文杉が自生する「世界自然遺産」の登録地を自転車で周回するイベント「2014 サイクリング屋久島」(主催・サンケイスポーツなど)が2月16日、鹿児島県熊毛郡屋久島町で開催された。気温14度を計測したこの日は、ペダルを踏むたびにうっすら汗がにじむ絶好のサイクリング日和。島1周(100km)とショートコース(50km)の部で、参加者291人が早春の柔らかな光を浴びて、エコライドを楽しんだ。(サンケイスポーツより)
屋久島って最高!
参加者は豊かな自然に抱かれた島をタイムや順位にこだわらず、思い思いに走破。本土よりひと足早い春を満喫した。

「10年前に初めて島を訪れ、自転車で走れたら最高だなと思っていました。もうやみつきです」。北海道から参加した米川末吉さん(69)は4年連続参加の理由を語った。
天候は快晴。午前中は少々肌寒さを感じたものの、午後には気温14度に。
島の中央部には、青空を突き抜けるように九州最高峰の宮之浦岳(1936m)が鎮座する。屋久杉自生林や手つかずの西部林道付近では木漏れ日が揺れる。なぎの海は日を浴びて宝石のようにきらめいた。
コース途中にはウミガメの産卵地として有名な「いなか浜」や日本の滝百選「大川(おおこ)の滝」があり、寄り道して記念撮影する参加者も。

「この日が主人の誕生日で還暦のお祝いを兼ねて参加しました。自然が素晴らしく町の人々が温かい」。宮崎県から参加の野瀬和美さん(60)、香弓さん(58)夫妻は2人の歴史に“特別な時間”を刻むことになった。
沿道の島民からは「頑張れ~」と声援が飛び交い、サイクリストたちを後押しした。
米国出身で東京から参加のトーマス・ウォードさん(69)は「沿道の人の励ましとエイドステーションでのもてなしが力になった。本当に楽しい大会で元気をもらった」と、すっかり屋久島のとりこになった。
「またこの地で再会したい」
西部林道では野生のサルやシカが出没する、うれしいハプニング。参加者を驚かせたり、和ませたりした。
大志田創太郎さん(24)は弘前大学の医学生。同期の鶴田覚さん、西田善郎さんと3人で参加。「国家試験の打ち上げを兼ねてやってきました。これから3人、勤務先がバラバラになるけど、休みを合わせて、またこの地で再会したい」と気持ちよさそうに額の汗をぬぐった。
上智大学4年の大田敦也さん、川本啓輝さん、澤井駿さんの3人は卒業旅行を兼ねて参加し、友情を深めた。
50kmの部では、大会最年少の武石鈴香ちゃん(11)が見事ゴールイン。「すごく疲れたけど、応援がうれしかった」と充実感いっぱいの表情。夫婦や親子、友人といった参加者たちは、それぞれに大自然を楽しみながら軽快にペダルを踏んだ。
道行く先には菜の花が咲き、サイクリストは花に導かれるようにして次々とゴールイン。フィニッシュ後は屋久島の杉を使った“世界にひとつ”の完走証を手に、満足感いっぱいの笑顔が並んだ。
■屋久島町・荒木耕治町長の話
「第1回の参加者は155人、4回目の今年は約300人が参加。島内参加者も100人を超えた。世界遺産の地・屋久島でサイクリング大会の参加者が毎年増えていくことはうれしい限り。タイムは関係なく、豊かな自然を存分に満喫していただくとともに、エイドステーションのもてなしや沿道の応援などで島民と交流をはかりながら、屋久島での一日を楽しんでもらいたい」
■サイクリング屋久島実行委員会・松本和則実行委員長(公益社団法人屋久島観光協会)の話
「天気に恵まれ、事故、けがなどもなく何よりだった。今回の大会ボランティアはおよそ500人。うち沿道警備だけでも200人です。参加者の『また参加したい』という声がうれしい。来年は記念の第5回大会。もっともっと参加の皆様に喜んでもらえるよう、いろいろ趣向をこらしていきたいと思っていますので、ぜひご期待ください」