山本幸平の「チェンライチャレンジ」参戦レポート<後編>アフターレースまで楽しい! 「チェンライ国際MTBチャレンジ2014」の“クセになる”魅力
2月8日、9日にタイで開催された「第15回チェンライ国際マウンテンバイクチャレンジ2014」に出場した、MTBクロスカントリー日本チャンピオンの山本幸平選手によるレポート後編です。山本選手のマネージメントを担当するアスリートバンクの中野裕二郎さんによる、スポーツクラス参戦レポートや、タイ・チェンライの情報も。
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ランチタイムに昼寝をして回復

レース2日目も、最初は前日と同じくコンボイの先導によって7km先のお寺へ移動しました。ここのトイレはお寺の中にあり、何段あるかわらない階段を登らないとたどり着けません。レース以外の大変なポイントかも。参加する方は覚悟してください。
そしてここで集合写真を撮影。また、初日のステージ優勝者に与えられるイエロージャージの着用メンバーだけでも記念カットが撮られました。

この日のレースは、ランチを挟んで約50キロのライド。午前中は、1日目と全く同じく4選手でトップ争いが展開されました。僕以外のメンバーは体調が良さそうで、自転車もよく走っていましたが、自分だけは体調が悪く、咳がひどくなり始め、坂では自転車を降りてしまいました。
ランチタイムは、滝がある観光地に用意されていました。日陰に入るととても気持ちよい場所です。僕は午後のスタートまで昼寝をして体力を回復させました。
そして休憩後、昨シーズンより少し上げていたバイクのサドルポジションを、去年までと同じ位置に設定し直しました。
午後は巻き返しに成功! 豪華で幻想的なアフターパーティー
午後のスペシャルステージは、上りも少しあるものの、ゴールまで下って下ってのハイスピードコース。僕は不調で普段のように走れず、上りでは(平野)星矢や斎藤亮さん、サンちゃん(ナ・サンフーン選手)を抜きかわすことができませんでした。かぜを治せなかったのが残念。しかし下りでは何とか全員を追い抜き、トップでこのステージを終えました。シート位置の調整は、この体調では結果的に良かった気がします。クラス総合では2位となりました。
オフィシャルホテルのプールサイドでの表彰式とパーティーは、この辛い2日間を忘れさせてくれるものです。レースでは大きなけが人もなく、各テーブルでは走り終えたばかりのレースについて話したり、もう来年のレースのことを話したりもしています。
表彰されるメンバーには拍手とフラッシュが浴びせられ、1位から3位までにそれぞれ3000バーツ、2000バーツ、1000バーツの賞金も贈られました。
クライマックスでは、タイ北部ではおなじみのコムローイ(天灯)が夜空に上がります。コムローイは熱気球の一種で、ローソクに灯をともし、その熱で上昇するというもの。幻想的なひとときを味わって終了を迎えました。
お待ちかね?のプール投げ
そして最後、これも毎年の恒例となっているのですが、優勝者がプールに投げ込まれる“儀式”が行われました。今年のインターナショナル優勝者のブリヂストンアンカーの星矢は、準備よく事前にスイミングパンツを履いてました。
各クラスの優勝者が、次々に投げ込まれていきます。女子だろうとお構いなし。おそらく日本的な儀式なのでしょうか? タイ人や韓国人に聞いてみたところでは、こんな儀式は歴史的にもないそうですよ。

振り返ると、コンディション調整ができなかったのは残念ですが、今回のレースで今シーズンに生かせる事を経験できた気がしました。この時期、日本のメンバーも交えて走れるのは、僕にとって非常に大事な機会だといま一度感じました。
僕はこのままタイで数週間、ワールドカップに向けての調整を行なっていきます。その前に、まずは自分の体調を元に戻さないといけませんね。
一緒にライドしてくれた皆様、ありがとうございました、そしてお疲れさまでした。レースのスタッフや多くのボランティアの方にも、本当に感謝の気持ちで一杯です。ありがとうござました。
また来年チェンライで会いましょう!
(レポート 山本幸平・写真 山中基嘉、中野裕二郎)
■スポーツクラス参戦レポート
スポーツクラスとファンクラス
スポーツクラスの走行距離は、午前はインターナショナルより短い18.3km、午後はインターナショナルと同じ9.7kmの合計28kmでした。もちろん参加者はタイムと順位を競いますが、自分はタイムを気にせずチェンライでのマウンテンバイクの走行を存分に楽しみました。
ちなみにファンクラスはなんと、スタート地点のホテルに隣接するボート乗り場から、川をボートで上って直接ランチポイントまで向かうんです。ランチを食べてから、午後は9.7キロの同じコースを走ります。
スポーツクラスと言えども

しかし、スポーツクラスだからといって侮ってはいけません。
たった28km?とはいえ、上り下りの厳しさは同じです。場所はタイ北部のチェンライですから、舗装道路も少ないですね。しかも赤土があり、土も乾燥してかちかちな状態で、ワダチも沢山です。ハンドルは取られるわ、スリッピーな所もあるわで、決して楽とはいえない感じでした。
正直、何度かリタイヤしたい気持ちにもなりましたが、辺りは誰もいない状態が続き、引き返す事もできず、ひたすら「▶」の方向へ無心にペダルを漕ぎ続けました。
孤独との戦いでもあり、日本で仕事をしている事など全てを忘れきれる時間です。ランチポイントに着いた時には、幸平や他のメンバーらと合流できてホントにほっとしました。
ランチ時間も十分に取れて午後のステージへ。残り約10kmを走ると、ゾウさんにも乗れて、ボートにも乗れてホテルへ帰れるのですが、しかしこの10kmもたっぷり長く感じました。
ゾウさん&ボートに乗るレースはここだけ

2階建ての高さくらいはあろうかとするドでかいゾウの背中に乗るのは、人生で初体験でした。このチェンライチャレンジの醍醐味の1つであることがわかりますよね。
乗“象”時間10分かからないくらいで、川を横断してくれます。2階の高さからの景色は壮観で、意外と乗り心地はいいんです。川に入る手前は下りなので、しっかりとカゴにつかまっていないと落ちそうになります。ぶっとい足がノシノシしと動いて川を横切るんですね。自分の自転車はタイ人がゾウさんの操縦をしながら持ってくれます。日本ではまずこんな体験はできないでしょう。
続いての乗り物は、ホテルまでののんびりしたボートです。豪華クルーザーなんかではなく、中古車のエンジンをそのまま船に載せてスクリューを取り付けた、見た目はカヌーみたいな船。4人+4台の自転車でいっぱいとなり、まあ1日走って疲れ果てた身体が一気にこの30、40分の船旅で、全てを忘れさせてくれる程のリラックスした時間が与えられるんです。急流でもないので川は波も立たず、ホント気持ちいいですよ。
リピーターが多いワケ

さて、このチェンライチャレンジに来て感じたのが、参加者にリピーターがとても多いということ。つまり、一度参加すると、また来たくなるんですね。
このチェンライという場所は、人を魅了する場所。それに、こうして日本のトップ選手と一緒にライドができるところもなかなか無いでしょう。今年はロード選手の参加はなかったですが、いまプロチームで走っている選手も、かつてこの大会に出場したそうです。
タイ・スマイルへ、来年は是非参加を

日本にも負けないくらいのオモテナシが、ここタイのチェンライでも沢山あります。
日本とタイは歴史においても戦争をしたことがなく、親日・親タイの関係が続いています。タイでは、街でもお店でも、いつでも微笑みを返してくれます。首都バンコクでは政府内でのもめ事もありますが、ここチェンライではそんなニュースも聞こえてきません。
さあ、来年もこのチェンライチャレンジが開催されるので、ぜひ皆さんも参加して、この広大で自然たっぷりのチェンライへ来てください。お勧めします。
(中野裕二郎)
■チェンライ トピックス
バンコクから700キロも北にある町と聞いたらきっと田舎町なんではと思うでしょうが、確かにバンコクとは違って田舎ではありますが、生活にも全く困らないし、ここチェンライには何でもあります。

(1)カフェが沢山
スターバックスはもちろんのこと、チェンライにはオシャレでのんびりできるカフェが沢山あります。特におすすめは町の中心地にある、Doi Chaang Coffee(ドイチャーンコーヒー)、日本人の間では“土井ちゃんコーヒー”で通っている人気のカフェ。朝7時からやっていて、朝食もきっちり取れます。チェンライはコーヒー豆の産地でも有名なんです。Wi-Fiが店内はみんなフリーです。
(2)バイクショップ
スペシャライズドストアー、ジャイアントストアー、トレックストアーもあり、町にはプロショップも数店あり、年々増加しています。レンタルもあるし、バイクを持って行かなくても結構良いグレードのバイクをレンタルもできます。

(3)セブンイレブン
タイは日本、アメリカに次いでセブンイレブンの店舗数が多く、世界第3位の7千店舗を誇ります。チェンライだけでも何十かそれ以上もあります。24時間営業でなんでも売ってます。しかも安全。食べ物で困った時も安心して購入できますよ。
(4)ナイトバザール、ナイトマーケット

チェンライの毎週末の夜は歩行者天国となって、道路が露天商で覆い尽くされます。ナイトマーケットです。お土産、Tシャツ、北部民族服、バッグ、ローカルフードなど、また変わったところでは犬、猫も売ってます。
また毎晩開かれていて、夜になるローカルの人でもたくさんになってしまう、縮小版のナイトバザールといったものがあります。こちらでは高タンパクの幼虫の揚げ物も大人気の食べ物です。
(5)マッサージ
タイのマッサージはまあとにかく有名ですね、ここチェンライでもあちこちにマッサージ店舗があります。お気軽に足だけのフットマッサージから本格タイマッサージまで、2時間で200バーツくらいが相場ですので是非行ってください。

(6)シンボル時計台
チェンライの中心地にそびえ立つ、金ピカの時計台がサークル上にあります。仏教の国ですし、こういった建物、公共物は豪華で立派です。目印にもなっていて、朝晩は警官が交通整理をしています。
(7)シンハーパーク
今回のチェンライチャレンジの1日目の舞台でもあったのが、シンハービールが運営する、ブンロート・ブリュワリー。実はこの中には、マウンテンバイクで走れるコースもあるんです。
パークの大半はお茶畑。パーク内の展望レストランでは、ここでとれた新茶葉のフライチッップスが絶品です。またお茶だけではなく、イチゴなどフルーツもとれ、それになぜかキリンやシマウマまでがいるんですよ、このパークには。
まだまだ進化をするこのパークは見逃せない場所です。今年は12月6日にシンハーパークでサイクリングイベントがあるようですから、ウェブサイトをチェックしてみてください。
(中野裕二郎)