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福光俊介の「週刊サイクルワールド」<49>一体どんなチーム? ワイルドカードでツール出場を勝ち取った4チームを解説

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 前回のこのコーナーでお届けした、ツール・ド・フランス2014の出場チーム。18のUCIプロチームはご存知の方も多いかと思います。一方、ワイルドカード(主催者推薦)で出場権を得た4つのプロコンチネンタルチームについては、チーム名を初めて知ったなんて方もいらっしゃるかもしれません。そこで今回は、悲願のツール出場を勝ち取った4チームをフィーチャー。知っていれば決して損はしない注目ポイントを押さえます。

伝統と新興、両側面を備えた顔触れに

 ツールのワイルドカード選出を果たした4チームはいずれも、3月のパリ~ニースや6月のクリテリウム・ドゥ・ドーフィネ、さらには春のクラシック数レースの出場権を獲得しており、シーズンを通して見る機会が多いはずだ。これらのチームは、ビッグレースで逃げ集団に選手を送り込むほか、新鋭が登場することも少なくない。それだけに、しっかりとチームを押さえ、来たるシーズン本番に備えておきたい。

 それでは、チームを紹介していこう。

■コフィディス ソリュシオンクレディ(フランス)

コフィディスのエースライダーといえば、総合系のレイン・タラマエコフィディスのエースライダーといえば、総合系のレイン・タラマエ

 誰もが知る、ツールの常連チーム。1997年にチーム設立。2000年代中盤にかけては、若き日のブラッドリー・ウィギンス(イギリス)やシルヴァン・シャヴァネル(フランス)らが所属し、ビッグチームの1つだった。2010年以降は第2カテゴリー(プロコンチネンタルチーム)となったが、フランスを中心にビッグレースにはほぼ確実に出場する。コフィディス社がスポンサーを務めるブエルタ・ア・エスパーニャでは、ダヴィ・モンクティエ(2012年引退)が2011年まで4年連続山岳賞の偉業を達成した。

注目ライダー:レイン・タラマエ(エストニア)、ジェローム・コッペル(フランス)、ダニエル・ナバロ(スペイン)ら

■ブルターニュ・セシ アンヴィロンマン(フランス)

解散した2チームからフェイユー兄弟を獲得。兄・ロマン(写真)はヴァカンソレイユ・DCMから、弟・ブリースはソジャサンからの移籍解散した2チームからフェイユー兄弟を獲得。兄・ロマン(写真)はヴァカンソレイユ・DCMから、弟・ブリースはソジャサンからの移籍

 チームのルーツは1994年に設立されたアマチュアチーム。2005年からUCI登録を行い、ブルターニュ出身ライダーを中心に強化を進めてきた。ビッグレースでの戦績こそ少ないが、フランス国内のUCIレースを対象としたシリーズ戦「クープ・ドゥ・フランス」では2010年、2012年と2度の総合優勝を果たしている。2011年のプロコンチネンタル登録以降、悲願のツール出場。自転車熱の高いブルターニュから旋風を巻き起こせるか。

注目ライダー:ロマン・フェイユー(フランス)、ブリース・フェイユー(フランス)ら

■イアム サイクリング(スイス)

今年のツアー・オブ・カタールでは、マルティン・エルミガー(スイス)が活躍中。新ジャージはスイス色が強くなった今年のツアー・オブ・カタールでは、マルティン・エルミガー(スイス)が活躍中。新ジャージはスイス色が強くなった

 2013年に活動を開始した若いチーム。スイス財閥のイアム社が設立し、スイス自転車連盟をも含めた国家プロジェクトの色合いが強い。当初はツール・ド・ロマンディ、ツール・ド・スイス、クラシックでの活躍を狙ったチームだったが、その後グランツール出場を目指すと宣言。活動初年度のグランツール参戦はならなかったが、シャヴァネルやマティアス・フランク(スイス)らの獲得に成功し、今年のツールは文句なしの出場権獲得。

注目ライダー:シルヴァン・シャヴァネル(フランス)、ハインリッヒ・ハウスラー(オーストラリア)、トーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン)ら

■チーム ネットアップ・エンデュラ(ドイツ)

ネットアップの注目は、昨年ブレイクしたレオポルド・ケニッグネットアップの注目は、昨年ブレイクしたレオポルド・ケニッグ

 ドイツ籍チームとしては、2010年のチーム ミルラム以来のツール出場。とはいっても、ドイツ人選手は4人と少なく、11カ国から集まった20選手と国際色豊かなのが特徴。チーム ネットアップ時代の2012年にジロ・デ・イタリアでグランツールデビュー。イギリス籍だったエンデュラレーシングと合併した2013年には、ブエルタ・ア・エスパーニャに出場。レオポルド・ケニッグ(チェコ)が第8ステージを制し、総合9位と活躍した。

注目ライダー:レオポルド・ケニッグ(チェコ)、ヤン・バルタ(チェコ)、ティアゴ・マシャド(ポルトガル)ら

2月上旬のレースレビュー

 2月に入り、各地でレースがスタート。役者が揃い始めた。そこで、ここ数日で行われたレースの結果をまとめていこう。

 2月5日から8日まで行われたドバイ・ツアー(UAE、UCI2.1)は、今年が初開催。第1ステージの個人タイムトライアル(9.9km)をテイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシングチーム)が制すると、残る3ステージでもリーダージャージを守りきり総合優勝。終盤のアップダウンが注目された第3ステージでは、ペテル・サガン(スロバキア、キャノンデール プロサイクリング)、ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)らの攻撃に難なく対応する強さを見せた。

 また、この大会ではマルセル・キッテル(ドイツ、チーム ジャイアント・シマノ)が4ステージ中3ステージでスプリント勝利。マッチアップが注目されたマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファルマ・クイックステップ)は、スプリントトレインの崩壊やメカトラなど不運が続き、勝利を挙げることはできなかった。

テイラー・フィニーが初代総合優勝者に輝いた(ドバイ・ツアー2014)テイラー・フィニーが初代総合優勝者に輝いた(ドバイ・ツアー2014)
脅威の3連勝を飾ったマルセル・キッテル(ドバイ・ツアー2014)脅威の3連勝を飾ったマルセル・キッテル(ドバイ・ツアー2014)

 スペイン・マヨルカ島で行われるワンデーレース4連戦、マヨルカ・チャレンジは3レースが終了。初日のトロフェオ・パルマ(UCI1.1、116km)、2日目のトロフェオ・セス・サリネス(UCI1.1、183km)は、サーシャ・モドロ(イタリア、ランプレ・メリダ)が2連勝。5つのカテゴリー山岳を超えるトロフェオ・セッラ・デ・トラムンタナ(UCI1.1、153km)は、ミハウ・クフィアトコフスキー(ポーランド、オメガファルマ・クイックステップ)が制している。新城幸也(チーム ヨーロッパカー)も参戦中。トロフェオ・パルマはトップと同タイムの155位、トロフェオ・セス・サリネスはトップから52秒遅れの83位、トロフェオ・セッラ・デ・トラムンタナはトップから14分19秒遅れの84位でレースを終えている。

大会通算21勝目を挙げたトム・ボーネン。カタールでの強さは抜群(ツアー・オブ・カタール2014))大会通算21勝目を挙げたトム・ボーネン。カタールでの強さは抜群(ツアー・オブ・カタール2014))

 9日に開幕したツアー・オブ・カタール(UCI2.HC)は第3ステージまで終了。第1ステージ(135.5km)では4選手の逃げが決まり、ニキ・テルプストラ(オランダ、オメガファルマ・クイックステップ)が優勝。リーダージャージに袖を通している。続く第2ステージ(160.5km)では、カタール特有の強風によって集団が大きく分断。オメガファルマ・クイックステップが終始主導権を握ったレースは、トム・ボーネン(ベルギー)がスプリント締め。復活を目指すシーズン、早速元気な姿を披露している。

 なお、第3ステージは11日、10.9kmの個人タイムトライアルが行われ、マイケル・ヘップバーン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)がステージ優勝。総合トップはテルプストラが守っている。

今週の爆走ライダー-スティーヴン・カミングス(イギリス、BMCレーシングチーム)

「爆走ライダー」とは…

1週間のレースの中から、印象的な走りを見せた選手を「爆走ライダー」として大々的に紹介! 優勝した選手以外にも、アシストや逃げなどでインパクトを残した選手を積極的に選んでいきたい。

 決してスプリント力、登坂力に秀でているというわけではない。だが、平坦路の牽引なら誰にも負けない。集団の先頭に立てば、どこまでも牽き続ける。トラック・チームパシュートで2004年アテネ五輪銀メダル、翌年のトラック世界選手権同種目マイヨ・アルカンシエル獲得の脚は伊達ではない。

いくつものチームで必要とされてきた“アシストマン”スティーヴン・カミングス(ジロ・デ・イタリア2013)いくつものチームで必要とされてきた“アシストマン”スティーヴン・カミングス(ジロ・デ・イタリア2013)

 サイクルロードレースにおいては、リザルトからは見ることのできない、その選手への信頼度というものが存在する。保持するUCIポイントがゼロだったとしても、チームとして必要な選手。いわばアシストマンである。かつてのディスカバリーチャンネル、バルロワールド、スカイ プロサイクリング(現チーム スカイ)、そしてBMCレーシングチーム。いずれもカミングスの力を必要とした。

 ナショナルチーム化しているスカイを離れBMC入りした後も、イギリス代表チームがカミングスをロード世界選手権メンバーに選出しているあたりで、彼の重要度を計り知ることができる。

歓喜の逃げ切り勝利を挙げたカミングス(ブエルタ・ア・エスパーニャ2012)歓喜の逃げ切り勝利を挙げたカミングス(ブエルタ・ア・エスパーニャ2012)

 新たなチャレンジの場として選んだ現チームでは、2012年のブエルタ第13ステージで逃げ切り勝利。“縁の下の力持ち”が挙げた勝利は、観る者はもちろん、選手・関係者の間でも感動を生んだ勝利だったという。

 先のドバイ・ツアーではフィニーをアシストし、自らも総合2位。第3ステージでは、有力選手のアタックのほとんどをチェックする強さも見せた。多くのライダーを勝利に導いた彼のアシストは、今年も健在だ。

文 福光俊介・写真 砂田弓弦

福光俊介
福光俊介(ふくみつ・しゅんすけ)

自転車ロードレース界の“トップスター”を追い続けて十数年、気がつけばテレビやインターネットを介して観戦できるロード、トラック、シクロクロス、MTBをすべてチェックするレースマニアに。2011年、ツール・ド・フランス観戦へ実際に赴いた際の興奮が忘れられず、自身もロードバイク乗りになる。自転車情報のFacebookページ「suke’s cycling world」も充実。本業は「ワイヤーママ徳島版」編集長。

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