安全と利便性のバランスで賛否自転車規制も検討、見送りに 奈良市「小西通商店街」3月から車両通行禁止

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 奈良市の近鉄奈良駅の南側に延びる「小西通商店街」で、日中の一定時間に禁止されていた車の通行が3月1日から、全時間帯で禁止される。県警と商店街の事前協議では、自転車も含めた禁止が検討されていたが、周辺住民や商店主の間で賛否が分かれ、見送られた。一方、商店街ではこれまでも、自転車と歩行者の接触事故があり、商店街や奈良署にも苦情や改善の要望が寄せられていた。安全と利便性のバランスをどうすればいいのか。実際に商店街を歩いて、通行人の意見を聞いてみた。 (産経新聞奈良支局・山本考志)

取材中に自転車と接触

歩行者にまじって自転車も通行する小西通商店街=奈良市歩行者にまじって自転車も通行する小西通商店街=奈良市

 商店街の通りは幅約5m。日中は、沿道のスーパーや書店などに出入りする地元の買い物客や、大きなかばんを抱えた観光客も多く、人通りが途絶えることはない。

 道路は南に向けてわずかに下る勾配があり、南に走る自転車は、スピードをあげて歩行者の間を縫うように通り過ぎる。

 駅から南に向けて歩いていると、歩き始めてから数十メートルで後ろから近づいてきた自転車と接触した。

 幸い、互いにけががなかった。そのまま自転車に乗っていた奈良市の看護師の女性(55)に交通事情を尋ねてみた。

 女性は普段、この通りを通勤などのため自転車で通行しているという。

 商店街の西側には、片側1車線の車道と歩道が整備された「やすらぎの道」が走っているが、女性は「あの道は車の通行量が多く、路肩には駐車スペースもあって通りにくい」と話す。

 一方、赤ちゃんを乗せたベビーカーを押して歩いていた奈良市の主婦(32)は「携帯電話を触ったり、スピードを出したりしながら走る自転車は怖い」としながらも、「ちゃんとマナーを守って走ってもらえれば問題ない」と容認する。

市内の商店街で2番目の交通量

 小西通商店街振興組合などによると、商店街には南北約300mのメーンストリートのほか、途中で東に枝分かれしているストリートがあり、115店舗が営業している。

 市中心市街地活性化協議会が昨年8月の日・月曜に、市内の商店街で実施した通行量調査によると、この商店街では両日の午前10時~午後6時に計約2万3千人が通行していた。東側に平行する東向商店街に次いで2番目に多い。

 こうした交通量の多さを踏まえ、これまでも午前11時~翌午前5時は車の進入を禁止していた。

 3月1日からは、許可車以外は全時間帯に禁止が適用される。ただし、歩行者と自転車は従来通り通行が可能だ。

「周囲への思いやりを」

 商店街では今回の規制変更に向けて、歩行者と自転車の接触事故が懸念されるとして、組合と奈良署が自転車の通行禁止を検討していた。

 組合や奈良署に禁止の要望が寄せられたほか、商店街に設置されたアンケートボックスにも同様の意見が投函されていたためだ。

 昨年春ごろには、歩行者と自転車が接触して転倒し、店舗の窓ガラスが割れる事故も起きている。

 ただ、商店街には民間の自転車預かり所があり、他の商店にとっても規制で人通りが減ると客足への影響が懸念されるため、禁止には反対意見もあり、実施は見送られた。

 自転車の強制的な排除は難しいため、組合は今後も事故防止のため、通行人に自転車を押して歩くよう音声で呼びかけるほか、路面の滑り止め防止整備や明るいLED街灯への変更などを続けていく方針だ。

 奈良署も「規制はないので自転車に乗るなとは言えない。混雑時にはなるべく自転車を押すなど周囲への思いやりを持ってほしい」と呼びかけている。

産経新聞・奈良版より)

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