難コースを飛ぶように駆けた選手たち雪と砂のお台場で輝いた世界の走り 「シクロクロス東京2014」エリートレース詳報

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 9日行われた「シクロクロス東京2014」のエリートレースは、男子はザック・マクドナルド(アメリカ、チーム ラファ・フォーカス)、女子はケイティ・コンプトン(アメリカ、トレック シクロクロスコレクティブ)が独走で優勝。ともに海外招待選手が、雪と砂の難しいコンディションとなった東京・お台場海浜公園で世界の力を見せつける形となった。

勝利を確信し、両手を広げて観衆に応えるケイティ・コンプトン勝利を確信し、両手を広げて観衆に応えるケイティ・コンプトン

 レースの舞台となったのは、舗装路と林間部、そして海辺の砂浜が組み合わせられたテクニカルな特設コース。この日は前日の大雪の影響で、例年よりさらに複雑なコンディションになった。コース上に積もった雪は、除雪作業と気温の上昇、そして午前中のエンデューロレースによってほぼ消えたものの、雪解け水がコース上に大量に残り、泥や水しぶきが飛び散る中でのレースとなった。交通混乱が次第に回復したこともあり、会場には多くの観客が詰め掛け、カウベルを鳴らして声援を送った。

都心のビル群を背景に悪路を突き進むザック・マクドナルド都心のビル群を背景に悪路を突き進むザック・マクドナルド
6位に入ったパナソニックレディースの坂口聖香6位に入ったパナソニックレディースの坂口聖香

ワールドカップ女王コンプトンが見せた異次元の走り

 女子のメーンイベントとなるエリート女子(Women’s L1、40分)は6周回で行われた。まずスタートで飛び出したのは、海外招待選手のウェンディ・シムズ(カナダ、コナ シクロクロスチーム)。注目のコンプトンは若干スロースタート気味で先頭に距離を置きつつも、1周目の後半には2番手に上がってシムズをうかがう走り。3番手には豊岡英子(パナソニックレディース)が付けた。

ステージ上で出走のサインをするケイティ・コンプトンステージ上で出走のサインをするケイティ・コンプトン
エリート女子がスタートエリート女子がスタート
與那嶺恵理(左)を追って宮内佐希子(中央)、豊岡英子が並んでシケインを越えていく與那嶺恵理(左)を追って宮内佐希子(中央)、豊岡英子が並んでシケインを越えていく
アグレッシブな豊岡英子のランアグレッシブな豊岡英子のラン
ロード日本チャンピオンの與那嶺恵理は足のけいれんで途中棄権ロード日本チャンピオンの與那嶺恵理は足のけいれんで途中棄権

 そして2周目、林間コースでコンプトンがシムズをかわし、早くもトップに立つと、そのまま後続との差を付けて独走体制に入った。また激しい泥のなか、シムズがシューズにトラブルを抱えてスローダウン。代わって豊岡が2位に浮上した。

女王コンプトンと並走する観客の女の子女王コンプトンと並走する観客の女の子
シューズに不調を抱えたウェンディ・シムズシューズに不調を抱えたウェンディ・シムズ
フライオーバーの急な下りでバイクに飛び乗る豊岡英子。そのテクニックはワールドクラスフライオーバーの急な下りでバイクに飛び乗る豊岡英子。そのテクニックはワールドクラス

 コンプトンは世界トップクラスの力を見せつける異次元の走り。深い砂地でもパワフルに踏み込んで、あっという間に6周回を走りきり、2位の豊岡に約1分半の大差を付けて優勝した。3位には最終周でシムズをかわした全日本チャンピオンの宮内佐季子(チーム チェーンリング)が入った。

雪だるまが並ぶ砂浜で、水辺のラインを走るケイティ・コンプトン。後続は、いない雪だるまが並ぶ砂浜で、水辺のラインを走るケイティ・コンプトン。後続は、いない

 優勝したコンプトンはレース後、「林間コースはとてもスリッピーなため技術が必要で、また長い砂のエリアはパワーが必要だったが、とても楽しいコースだった」と語った。2位の豊岡も「砂浜は水が含まれて走りやすかったが、林がドロドロで難しかった。テクニックの差が大きく出るので、落ち着いて走った」と振り返るなど、テクニカルなレースだったことをうかがわせた。

フィニッシュゲートをくぐるコンプトンフィニッシュゲートをくぐるコンプトン
レース後に談笑するケイティ・コンプトンと豊岡英子レース後に談笑するケイティ・コンプトンと豊岡英子
表彰台に立った優勝のケイティ・コンプトン(中央)、2位の豊岡英子(右)、3位の宮内佐希子表彰台に立った優勝のケイティ・コンプトン(中央)、2位の豊岡英子(右)、3位の宮内佐希子

マクドナルドが雪辱の独走 竹之内は「悔しい」2位

 エリート男子のレース(60分)は11周回。スタート直後から飛ぶようなスピードで砂浜を走る選手の姿に、観客からは大きなどよめきが起きた。

エリート男子のスタートシーン。ザック・マクドナルドが早くも飛び出したエリート男子のスタートシーン。ザック・マクドナルドが早くも飛び出した
先頭のマクドナルドを追う竹之内悠先頭のマクドナルドを追う竹之内悠
逃げるマクドナルドを追う竹之内悠逃げるマクドナルドを追う竹之内悠

 1周目でまずトップに立ったのは、ザック・マクドナルド。すぐ後ろに全日本チャンピオンの竹之内悠(ベランクラシック・ドルチーニ)が付ける。少し離れて3番手グループが沢田時(ブリヂストンアンカー)、バリー・ウィックス(アメリカ、コナシクロクロスチーム)、前田公平(チーム スコット)らの争いとなる。

2位争いを展開する竹之内悠とバリー・ウィックス2位争いを展開する竹之内悠とバリー・ウィックス

 マクドナルドは1周目中盤で竹之内に差を付けたものの、竹之内も終盤の砂浜と舗装路で差を詰め、テール・ツー・ノーズ状態で1周目を終えて2周目に突入した。しかし2周目、「ミスが重なった」という竹之内がペースダウンし、マクドナルドが独走体制を築いた。竹之内はじわじわ後退し、一時はウィックスに2位の座も明け渡してしまった。

2周目、立ち木に接触してしまった竹之内悠2周目、立ち木に接触してしまった竹之内悠
砂浜のコーナーで転倒してしまった竹之内砂浜のコーナーで転倒してしまった竹之内

 4位争いは沢田、前田、門田基志(チーム ジャイアント)、山本和弘(Cプロジェクト)らが激しい争いを繰り広げるが、「押しを多用したので後半、脚に来た」という前田が後退。そして単独でハイペースを維持するマクドナルドは、レース中盤を過ぎて、この4位争いグループをも早々に周回遅れにしてしまった。

門田基志(ジャイアント)を追う山本和弘(Cプロジェクト)門田基志(ジャイアント)を追う山本和弘(Cプロジェクト)
ウィックスを抜いて再び2位へ浮上した竹之内悠ウィックスを抜いて再び2位へ浮上した竹之内悠

 竹之内は後半にペースを取り戻し、ウィックスをパスして再び2位に浮上。さらに猛烈な勢いでマクドナルドを追走する。しかし「タイム差はスタッフから聞いていたので、110パーセントで走り続けた」というマクドナルドは竹之内の追い上げを許さず、独走のまま逃げ切って優勝を飾った。

バイクに乗ったままフライオーバーを上るザック・マクドナルドバイクに乗ったままフライオーバーを上るザック・マクドナルド
ギャラリーの声援に応えながらフィニッシュゲートを目指すマクドナルドギャラリーの声援に応えながらフィニッシュゲートを目指すマクドナルド

 37秒差の2位となった竹之内は、「悔しいとしか言えない。本来なら勝てない相手ではないが、焦りすぎた。もっと落ち着いて走れば良かった」と悔しがる。好調だったというが、砂浜での転倒やフェンスへの激突など、前半に細かいミスが重なって勝負を失ってしまった。「最高の状態でチームもスタッフもサポートしてくれたのに、それを形にできなかったのが申し訳ない。来年は雪辱を果たします」とコメントした。

 優勝したマクドナルドは、今シーズン前半にも来日して日本でのレースに参戦したが、この時は体調不良で今ひとつの結果に終わっていた。今回の再来日で、雪辱を果たした格好だ。表彰台の一番上に上り、「チャレンジングだが楽しめる素晴らしいコースだった。そして何より観客が素晴らしい。必ず来年ここに帰ってきます」と上機嫌。そして砂地を飛ぶように走るコツを聞かれ、「まずは沢山練習すること。そして自信を持って踏み込むことさ」と語った。

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