title banner

福光俊介の「週刊サイクルワールド」<46>世界各地でロードレースが開幕! ジロ・デ・イタリア2014出場チームも決定

  • 一覧

 19日にツアー・ダウンアンダーが開幕。真夏のオーストラリアから届くレース風景の写真などを目にすると、まるで日々の寒さが嘘のように思えてしまいますね。これからの熱い熱いレースに期待が膨らみます。ほかにも、世界各地でロードレースの開幕戦が行われています。今回はそのチェックと、16日に発表されたジロ・デ・イタリア2014の出場チームに触れてみたいと思います。

ダウンアンダーvsサンルイス!? UCIワールドツアーに匹敵する開幕戦

 オーストラリアと同じく南半球のアルゼンチンでは、20日にツール・ド・サンルイス(UCI2.1)がスタート。ここ数年は有力選手が多く参戦するようになり、大会への関心度も高まっている。

 このレースの特徴は、スプリント、山岳、個人TTとバランスよくステージ設定がなされている点。スプリンターやパンチャー向けのダウンアンダーと比較すると、ステージレースやグランツールを見据えた選手がこちらをセレクトする傾向にある。

チーム NIPPO・デローザのエースとしてツール・ド・ランカウイ2013で総合優勝を果たしたジュリアン・アレドンド。今季も早々に勝利を手にしたチーム NIPPO・デローザのエースとしてツール・ド・ランカウイ2013で総合優勝を果たしたジュリアン・アレドンド。今季も早々に勝利を手にした

 出場選手は「週刊サイクルワールド」第43回で紹介したが、そのメンバーを見れば、豪華さに驚くことだろう(※トル・フースホフトは欠場)。ヨーロッパのサイクルジャーナリストたちの間では、“ダウンアンダーvsサンルイス”との表現で、どちらが開幕戦にふさわしいかといったネタツイートやブログアップを行っているほど。現地取材に赴くにしても、どちらに行くべきか相当悩んだ関係者もいるようだ。

 20日の第1ステージでは、フィリップ・ガイモン(アメリカ、ガーミン・シャープ)がメーン集団に対し4分35秒差で鮮やかな逃げ切り勝利を決めた。昨年まではアメリカ国内のコンチネンタルチームを渡り歩き、27歳にして初のトップカテゴリーチーム入りを勝ち取った遅咲きのライダー。UCIレース初勝利となったが、国内では人気選手で、アメリカのサイクルポータルサイト・ヴェロニュース内のコンテンツ「フィル・ガイモンジャーナル」を執筆するライターとしても有名だ。

 続く第2ステージは、1級山岳の頂上ゴールが設けられた、大会最初のポイントステージ。ここをジュリアン・アレドンド(コロンビア、トレック ファクトリーレーシング)が制した。昨年はチーム NIPPO・デローザのエースとしてアジアのレースを席巻した、日本でもおなじみのライダーだ。ガイモン同様、トップシーンへと舞台を移し早くも大きな勝利をつかんだ。また、トレック ファクトリーレーシング体制になっての初勝利をもたらした。総合ではガイモンがトップを守っている。

 22日以降は、第4、6ステージの終盤に1級山岳が登場し(第6ステージは頂上ゴール)、第5ステージは19.2kmの個人タイムトライアルと、総合を争うステージが続く。ゴールスプリントが予想される第3、7ステージはマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファルマ・クイックステップ)、ペテル・サガン(スロバキア、キャノンデール プロサイクリング)らが中心となるだろう。

ヨーロッパカーの若手、ベルハネがステージレースを制したヨーロッパカーの若手、ベルハネがステージレースを制した

 そのほか、アフリカ中部のガボンでは、13日から19日までトロピカル・アミッサ・ボンゴ(UCI2.1)が開催された。フランス語圏の国とあって、アフリカ諸国のチーム以外にもフランスのトップチームが複数参戦した。

 7ステージで争われたレースは、ナトナエル・テウェルドメドヒン・ベルハネ(エリトリア、チーム ヨーロッパカー)、ルイスレオン・サンチェス(スペイン、カハルラル・セグロスRGA)、エゴイツ・ガルシア(スペイン、コフィディス ソリュシオンクレディ)による激しい総合優勝争いが展開され、最後は、中間スプリントボーナスを効果的に獲得したベルハネがサンチェスを1秒差で下し、アフリカでの開幕戦を制している。

ジロ・デ・イタリア2014出場チーム決定

 ジロ・デ・イタリアなどを主催するRCSスポルトは16日、今年のジロをはじめとした主催レースの出場チームを発表。プロコンチネンタルチームから選出するワイルドカード(主催者推薦)も明らかとなった。

ジロ・デ・イタリア常連のアンドローニジョカットリジロ・デ・イタリア常連のアンドローニジョカットリ

 今回出場チームが発表となったのはジロ、ティレーノ~アドリアティコ、ミラノ~サンレモ、イル・ロンバルディアの4レース。第1カテゴリーにあたる18のUCIプロチームはいずれのレースにも出場ができる。

 ジロのワイルドカードについては、昨年11月に申請状況を発表し、8チームが選出を目指していた。その後、数チームの申請入れ替えがあったと見られ、この発表の直前に改めて候補8チームの発表を行っていた。

 結果、ジロに出場するのは、バルディアーニ・CSF(イタリア)、コロンビア(コロンビア)、ネーリソットーリ・イエローフルオ(イタリア)に、コッパ・イタリア2013総合優勝により自動選出のアンドローニジョカットリ(イタリア)を加えた4チーム。ネーリソットーリ・イエローフルオは、昨年までのヴィーニファンティーニ・セッレイタリアの後継チーム。結果としては、2013年と同様の顔触れとなった。

2人のドーピング違反者を出したネーリソットーリ・イエローフルオが出場権を獲得した(写真は前身のヴィーニファンティーニ・セッレイタリア)2人のドーピング違反者を出したネーリソットーリ・イエローフルオが出場権を獲得した(写真は前身のヴィーニファンティーニ・セッレイタリア)

 この選出の背景には「イタリア自転車界の再発展」を目指す、大会テクニカルディレクターのマウロ・ヴェーニ氏の意向が強く働いている。また、4チームすべてが反ドーピング組織であるMPCCの会員であることも重要視。前回大会で2人のドーピング違反者を出したネーリソットーリ・イエローフルオについても、クリーンなチームに生まれ変わったと主催者は信用しているという。

 なお、ワイルドカード落選のチームは、イアムサイクリング(スイス)、カハルーラル・セグロスRGA(スペイン)、MTN・キュベカ(南アフリカ)、ワンティ・フロープホーベルト(ベルギー)、ユナイテッドヘルスケア プロサイクリングチーム(アメリカ)の5チーム。その他RCS主催3レースのいずれかには選出されており、「来年のジロに向けたロビー活動の場としてほしい」とヴェーニ氏は各チームに呼びかけている。

■ワイルドカード選出チーム
【ジロ・デ・イタリア2014】(5月9日~6月1日)
アンドローニジョカットリ(イタリア) ※コッパ・イタリア2013総合優勝により自動選出
バルディアーニ・CSF(イタリア)
コロンビア(コロンビア)
ネーリソットーリ・イエローフルオ(イタリア)
 
【ティレーノ~アドリアティコ2014】(3月12~18日)
バルディアーニ・CSF(イタリア)
イアムサイクリング(スイス)
MTN・キュベカ(南アフリカ)
チーム ネットアップ・エンデュラ(ドイツ)
 
【ミラノ~サンレモ2014】(3月23日)
アンドローニジョカットリ(イタリア)
バルディアーニ・CSF(イタリア)
イアムサイクリング(スイス)
MTN・キュベカ(南アフリカ)
ネーリソットーリ・イエローフルオ(イタリア)
チーム ネットアップ・エンデュラ(ドイツ)
ユナイテッドヘルスケア プロサイクリングチーム(アメリカ)
 
【イル・ロンバルディア2014】(10月5日)
アンドローニジョカットリ(イタリア)
バルディアーニ・CSF(イタリア)
カハルラル・セグロスRGA(スペイン)
コロンビア(コロンビア)
イアムサイクリング(スイス)
ネーリソットーリ・イエローフルオ(イタリア)
チーム ネットアップ・エンデュラ(ドイツ)

今週の爆走ライダー-ティージェイ・ヴァンガードレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)

「爆走ライダー」とは…

1週間のレースの中から、印象的な走りを見せた選手を「爆走ライダー」として大々的に紹介! 優勝した選手以外にも、アシストや逃げなどでインパクトを残した選手を積極的に選んでいきたい。

 名実ともに、カデル・エヴァンス(オーストラリア)のチームだったBMC レーシングチームは今年、世代交代の時を迎える。新たなチームの顔として任命されたのは25歳のアメリカンオールラウンダー。5~6年の長期計画でツール・ド・フランスの頂点を目指す。

マイヨブランを獲得して表彰台に上ったヴァンガードレン。今後は、長期計画でマイヨジョーヌを目指すマイヨブランを獲得して表彰台に上ったヴァンガードレン。今後は、長期計画でマイヨジョーヌを目指す
エヴァンスをアシストしながらツール総合5位とマイヨブランを獲得したヴァンガードレンエヴァンスをアシストしながらツール総合5位とマイヨブランを獲得したヴァンガードレン

 トップカテゴリーでのデビューとなったHTC・ハイロード(当時)では、ペーター・ヴェリトス(スロバキア)やマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)のアシストを経験。BMCレーシングチームへ移った2012年からはエヴァンスのアシストを務めながらも、同年のツール総合5位。マイヨブラン(新人賞)を獲得したばかりか、エースのエヴァンスよりも上位でフィニッシュし、高い潜在能力を示した。

 しかし、昨年のツールはまさかの総合45位。その2カ月前のツアー・オブ・カリフォルニアに傾倒するあまり、ピーキングを誤った。それでもチームは、「それも経験の1つ」と前向きに解釈。今年はカリフォルニアを回避し、ツールでいかに今の実力を発揮できるか追究する。かつて彼が支えたヴェリトスがアシストに就くのも心強い。

 エヴァンスが納得して世代交代のときを受け入れたのも、彼の将来性を認めているからこそ。クリーンな自転車界を目指し、早くからストレートな発言を繰り返していた男は、これから先、自らの実力をもってその世界を築こうとしている。

文 福光俊介

福光俊介
福光俊介(ふくみつ・しゅんすけ)

自転車ロードレース界の“トップスター”を追い続けて十数年、気がつけばテレビやインターネットを介して観戦できるロード、トラック、シクロクロス、MTBをすべてチェックするレースマニアに。2011年、ツール・ド・フランス観戦へ実際に赴いた際の興奮が忘れられず、自身もロードバイク乗りになる。自転車情報のFacebookページ「suke’s cycling world」も充実。本業は「ワイヤーママ徳島版」編集長。

この記事のコメント

利用規約順守の上ご投稿ください。

関連記事

この記事のタグ

ジロ・デ・イタリア2014 ジロ2014・その他 週刊サイクルワールド

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

e-BIKE最新特集

スペシャル

自転車協会バナー

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載