産経新聞大阪夕刊【銀輪の華に挑み】より五輪種目への夢、子供たちの「世界一になりたい」を叶えるために 「サイクルフィギュア」堀井和美さん<4>

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 自転車を使いアクロバティックな技を繰り広げる競技「サイクルフィギュア」の日本における第一人者、堀井和美さん(42)。世界選手権に13回出場するなど、長年にわたって“マイナースポーツ”を牽引し、昨年の引退後は指導者として子供たちに競技の魅力を伝えている。連載最終回は、競技生活での経験を指導に生かす様子や、五輪競技への夢を語った。

(聞き手・産経新聞大津支局 桑波田仰太)

◇         ◇

「できるだけ多くの人にサイクルフィギュアを知ってほしい」と活動を続ける堀井さん (松永渉平撮影)「できるだけ多くの人にサイクルフィギュアを知ってほしい」と活動を続ける堀井さん (松永渉平撮影)

――地元の滋賀県草津市にクラブチームがあるんですね

 サイクルフィギュアを長年続けていると、自分自身の競技力をアップさせたいと思う一方で、「この競技を普及させたい」という思いもずっとあり、地元の子供たちを対象にした「ブルーレイクエンジェル」というクラブチームを平成15年に設立しました。指導に集中するため、17年で世界選手権への挑戦はいったん区切りをつけ、さらに、昨年3月には競技生活から引退しました。今は、小・中学生8人の指導に当たっています。「日本から競技者がいなくなってしまうんじゃないか」という不安との戦いでもありますが。

――子供への指導で心がけていることは

 まずは子供にサイクルフィギュアを好きになってほしい、ということ。テレビで私の演技を見て興味を持ってくれた子もいるんですが、競技のことを好きにならないと技術の上達もありません。なので、初めは簡単な技を教えて「できる」という感覚を持ってもらう。楽しいと思えて初めて、練習に対して自発的に取り組めるようになりますからね。でも、「できない」と投げ出してしまう子ももちろんいます。技術習得のコツは教えるけど、強制はしない。自ら挑戦する姿勢を大切にしています。

「まずは子供にサイクルフィギュアを好きになってほしい」と指導に当たる堀井さん (松永渉平撮影)「まずは子供にサイクルフィギュアを好きになってほしい」と指導に当たる堀井さん (松永渉平撮影)

――その指導理論は自らの経験に基づくものですね

 そうですね。私自身、1つの技に1年間以上取り組んでも自分のものにできなかったこと、ドイツへ留学したのに日本での世界選手権で満足できる結果を出せなかったこと、競技生活はそんなことの繰り返しでした。でも、サイクルフィギュアが好きだったから、技が完成したときの喜びがあったから、多くの努力が結果として報われなくても頑張って続けてこられた。そこで諦めていたら何も残らない。すべての結果を受け入れて、次にどうすればいいのかを自分で考える。まだ無理かもしれないけど、子供たちにはクラブチームでの練習を通じてそんな姿勢をいつか学んでほしいですね。

――子供たちの成長ぶりはどうですか

 とにかく、吸収が早い。私が独学で試行錯誤しながら習得した技なんて、少しコツを教えると簡単にできてしまう。ちょっとうらやましいですよね。「私にも身近に指導者がいたら競技人生は違っていたかなぁ」って思うこともあります。昨年12月の日本選手権では、クラブチームで教えている中学2年の女の子が、私の持っていた日本最高得点を塗り替えて優勝してくれました。彼女は今、「世界一になりたい」という目標を掲げています。私も、ぜひこの思いを実現させてやりたいという思いで指導に当たっています。

――今後の目標は

 サイクルフィギュアをできるだけ多くの人に知ってもらうこと。まだ競技人口は全国で20人足らずですからね。それと「ブルーレイクエンジェル」から、世界で活躍できる選手を育てることです。この競技に関わる人たちは「オリンピック競技にしたい」という夢をずっと持っています。まだまだ先の話かもしれませんが、オリンピックという大舞台で活躍する日本の選手を見たい。その夢に向けて私が今、できることをやりたいですね。(おわり)

堀井和美(ほりい・かずみ)

 昭和46年、滋賀県草津市生まれ。龍谷大文学部(京都府伏見区)に入学し、サイクルフィギュアを始めた。全日本選手権では10連覇を含めて計16回の優勝を誇り、世界選手権にも13回出場した国内サイクルフィギュア界の第一人者。現在は、平成15年に自ら設立したクラブチーム「ブルーレイクエンジェル」の代表を務め、次代を担う小・中学生選手の指導に当たる。

産経新聞・大阪版より)

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