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豊岡英子と田中苑子の欧州シクロクロス遠征記 2013-14<3>欧州遠征前半戦が終了 往復3000kmの泥んこ遠征、ローマは一日にして成らず!

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 豊岡英子選手(パナソニックレディース所属、通称“姫”)と私(フォトグラファー田中苑子、通称“チュー”)の欧州シクロクロス遠征。年明けは1月6日に開催されたイタリアでのワールドカップ第6戦に参戦するため、ローマへと向かいました。

ワールドカップ、ローマ大会で入り組んだコースを走る豊岡選手。狭い敷地内に複雑なコースが造られていましたワールドカップ、ローマ大会で入り組んだコースを走る豊岡選手。狭い敷地内に複雑なコースが造られていました

 今シーズンは全7戦で開催されるUCIワールドカップ。ワールドカップという名前ですが、現状はヨーロッパ内での開催にとどまり、半数以上のレースは、競技熱の高いベルギーやオランダで開催されています。ただ、毎年、イタリアやスペイン、フランスなどでも大会は開催されるため、ベルギーやオランダに拠点を構える選手たちは、それぞれの方法ではるばる遠征に出かけます。

 遠征の基本スタイルは、スタッフがキャンピングカーなどの車両で陸路移動し(今回の移動距離は片道1500kmでした)、選手は飛行機で現地に入るという形。ヨーロッパ内は、格安航空会社によるフライトが充実しており、機材さえなければ、気軽に飛行機が利用できます。今回、私たちはベルギー南部の都市シャルルロワからローマへ飛びましたが、同じ飛行機にたくさんの選手たちが乗っていました。

テントをイタリアまで持って来られなかったため、雨のなか何もない場所にローラー台を置いてアップをします。「まるで初めて一緒にレースに行ったときみたい」と笑うランジット。5シーズン前はトラックや立派なテントなんてありませんでしたテントをイタリアまで持って来られなかったため、雨のなか何もない場所にローラー台を置いてアップをします。「まるで初めて一緒にレースに行ったときみたい」と笑うランジット。5シーズン前はトラックや立派なテントなんてありませんでした
夜な夜な機材トラックを走らせてローマまで来てくれたランジットたち。ほかにも頼み込んで機材を積んでもらう選手がいました夜な夜な機材トラックを走らせてローマまで来てくれたランジットたち。ほかにも頼み込んで機材を積んでもらう選手がいました
ローマ郊外の競馬場を使って開催されたワールドカップ第6戦。ここまで来ることができなかった選手も多く、少ない人数でのスタートでしたローマ郊外の競馬場を使って開催されたワールドカップ第6戦。ここまで来ることができなかった選手も多く、少ない人数でのスタートでした

 直前まで機材の運搬方法が決まらず、どうなるかと心配していましたが、無事に大手チームの機材トラックに便乗して積んでもらうことができ、サポートしてくれているランジットも同じトラックに同乗して、仲間のメカニックと協力して運転し、ベルギーからルクセンブルク、オーストリアと経由し、イタリア中部のローマまで来てくれました。

機材を運ぶ往復3,000kmもの長い移動を引き受けてくれたランジット。この日はピットを1人でこなしてくれました機材を運ぶ往復3,000kmもの長い移動を引き受けてくれたランジット。この日はピットを1人でこなしてくれました
降り続く雨で水浸しになったコース。晴れていた去年とは大きく違うコースコンディションでした降り続く雨で水浸しになったコース。晴れていた去年とは大きく違うコースコンディションでした
レース後に写真を撮る関係者。泥だらけのレースになりましたレース後に写真を撮る関係者。泥だらけのレースになりました

 当日の天気は時折強い雨が降るような大荒れでしたが、とくに大きなトラブルもなく、豊岡選手はワールドカップ自己最高位となる21位でレースを終えて、無事にベルギーへと戻ってきました。

 そして、1月13日は会場まで10km弱という地元オテヘムでのレース(C2)を走りました。結果は2周回目のオンロードでクラッシュしながらも11位でフィニッシュし、これで、なんとか私たちの遠征は前半戦のスケジュールをすべて終えることができました。

地元レースのオテヘムにて。競っている選手は近くに住むシンディ。フルタイムで仕事をこなし、2人の子どもたちを育てながらレースに参戦するミラクルウーマン地元レースのオテヘムにて。競っている選手は近くに住むシンディ。フルタイムで仕事をこなし、2人の子どもたちを育てながらレースに参戦するミラクルウーマン
オテヘムでは学校を“風邪”で休んだという練習仲間のマティアスがサポートしてくれましたオテヘムでは学校を“風邪”で休んだという練習仲間のマティアスがサポートしてくれました
オテヘムに住む10歳のランスくん。この地域の学校はレースの開催にともなって休校になるのだとか!オテヘムに住む10歳のランスくん。この地域の学校はレースの開催にともなって休校になるのだとか!

チュー「私が更新を怠っていたのもあるんだけど(苦笑)、ローマに行ったのがすっかり昔のことに感じるよね?」

「ほんまに! いや〜、イタリアは晴れて暖かいって聞いていたのに、行ってみたら毎日雨が降って、当日もドロドロのコンディション。どうして?って思ったな(笑)」

「まるで白いソックスを履いているみたい…」と笑いながら、レース後に汚れた靴やソックスを脱ぎます「まるで白いソックスを履いているみたい…」と笑いながら、レース後に汚れた靴やソックスを脱ぎます

チュー「ベルギーよりも気温はいくらか高かったけれど、本当に急に大雨が降ったりして、大変な天気だった!」

「ほんまに。ドライだとばかり思って、スリックタイヤをたくさん用意していたのにさ。レースが始まって、あまりの泥のひどさに、最初のピットでみんながサングラスを投げていたのには笑ったけどな。あんなの見たことがない!(笑)」

チュー「でもワールドカップで自己最高位となる21位をマーク。行って良かったよね? ランジットもすごく大変な思いをしてベルギーから駆け付けてくれたし」

「ベルギーから夜な夜なメカニック仲間とトラックを運転して来てくれたんだけど、オーストリアでは警察に捕まって6時間拘束されたらしいしな…」

チュー「なんか『捕まった』って言うと悪いことをしたみたいだけど、関税のチェックで足止めされたみたいだね。姫の分は150ユーロで済んだけど、機材を乗せてもらっていた大手チームは1000ユーロ以上もの税金を払ったとか…いろいろと大変だったよね。そんなこんなで、ランジットはほとんど寝ないでトラックを1500km走らせて、ローマまで来てくれた。そして、イヤな顔なんて一切せずにサポートしてくれてるなんて、すごいことだと思うよ」

オテヘムのレースで、レース前にたくさんの知り合いが集まってごった返す豊岡選手のトラックオテヘムのレースで、レース前にたくさんの知り合いが集まってごった返す豊岡選手のトラック
私たちに部屋を貸してくれている電車運転士のヨウくんも、オテヘムのレースを楽しみに待っていてくれました私たちに部屋を貸してくれている電車運転士のヨウくんも、オテヘムのレースを楽しみに待っていてくれました

「本当に感謝している。そんなサポートがあったから、泥がひどくて、何回も何回も続くヘアピンの連続に、心が折れそうになったけど、最後まで頑張ることができた」

チュー「うん。良かった! ほかにイタリアで、何か面白いことあったっけ?」

「そうだな〜、あっ、ホテルから歩いて行けるところ水道橋の遺跡があったよね。あんな近いところにあるなんて感激した! たくさんの選手がブログやSNSに同じ写真載せてたしな(笑)」

チュー「うん、昔の人の偉大さを感じることができる橋だったよね。まさに『ローマは一日にして成らず』という言葉を象徴しているようなもの! 何事も積み重ねが大切なんだよ。一生懸命にやったことは、こうして後世に残り、感動を与えられる。だから私たちもコツコツ、またベルギーで頑張ろうね」

「せやな!」

ランジットとともにオテヘムのピットに入ってくれたヨウくん。慣れない手つきでも一生懸命手伝ってくれましたランジットとともにオテヘムのピットに入ってくれたヨウくん。慣れない手つきでも一生懸命手伝ってくれました
オテヘムでは、トラックにビールが一箱積んでありました。みんな飲みながらの作業が当たり前。知人が来るとビールを振る舞って会話を楽しみますオテヘムでは、トラックにビールが一箱積んでありました。みんな飲みながらの作業が当たり前。知人が来るとビールを振る舞って会話を楽しみます

チュー「気がつけばもう今回の遠征も折り返しを過ぎて後半戦。残すところ、週末の2レースと、26日のフランスのワールドカップ最終戦、そして2月1日の世界選手権だね。残りの遠征期間、どうする?」

「これからは練習でも強度を上げていって、うまくレースも走りながら、世界選手権に向けたコンディションを作っていきたいと思う。やっぱり日本のファンやスポンサーは世界選手権での結果を期待しているから、頑張りたい!」

使われなくなって1500年以上経つという見事な水道橋をバックに記念撮影。ローマに来たって実感しました使われなくなって1500年以上経つという見事な水道橋をバックに記念撮影。ローマに来たって実感しました
ホテルの近くにある水道橋公園を散歩していると放牧中の羊たちにバッタリ!ホテルの近くにある水道橋公園を散歩していると放牧中の羊たちにバッタリ!
やっぱりイタリアといったら食事! 素材の味を生かしたシンプルで美味しいものが多かったですやっぱりイタリアといったら食事! 素材の味を生かしたシンプルで美味しいものが多かったです

◇         ◇

 今週末は18日にオランダ・ルクフェン(C2)、19日にベルギー・ルーヴェン(C1)と2連戦。そして翌週は日本から到着するナショナルチームと合流してフランス・ノメで開催されるワールドカップ最終戦に参戦する予定です。後半戦は世界選手権に向けて、大事な調整期間となります。引き続き、応援よろしくお願いします!

(写真・文 田中苑子)

豊岡英子
豊岡英子(とよおか・あやこ)

1980年、大阪生まれ。トライアスロンを経て自転車競技の選手に。シクロクロスでは2005年~11年まで全日本選手権で7連覇を達成し、2012年は2位、2013年は4位。ヒョウ柄のウエアとバイク、キラキラのヘルメットなど華やかなビジュアルが彼女のトレードマーク。


田中苑子
田中苑子(たなか・そのこ)

1981年、千葉生まれ。2005年に看護師から自転車専門誌の編集部に転職。2008年よりフリーランスカメラマンに転向し、現在はアジアの草レースからツール・ド・フランスまで、世界各国の色鮮やかなサイクルスポーツを追っかけ中。


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