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福光俊介の「週刊サイクルワールド」<45>いよいよロードレースシーズン開幕へ! ツアー・ダウンアンダー総展望 ブエルタ2014のコース発表も

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 いよいよロードレースシーズン開幕のときがやってきました! シーズン初戦としてすっかり定着した、ツアー・ダウンアンダーが19日に開幕します。例年同様、ビッグネームがオーストラリアに集結し、好スタートを切ろうと意気込んでいます。今回はダウンアンダー総展望として、コースや出場選手をチェックしていきたいと思います。

ロードレースシーズンの開幕を告げるツアー・ダウンアンダー。真夏のオーストラリアが舞台だロードレースシーズンの開幕を告げるツアー・ダウンアンダー。真夏のオーストラリアが舞台だ

グライペル、エヴァンス、ゲランス、新城らの競演 ツアー・ダウンアンダー

 真夏のオーストラリアで激しいバトルが繰り広げられるUCIワールドツアー開幕戦、サントス・ツアー・ダウンアンダー(通称ツアー・ダウンアンダー)。まずはコースを見ていこう。

■サントス・ツアー・ダウンアンダー2014

1月19日 ピープルズ・チョイス・クラシック(UCI非公認クリテリウム) 50km
1月21日 第1ステージ ヌリオートゥパ~アンガストン 135km
1月22日 第2ステージ プロスペクト~スターリング 150km
1月23日 第3ステージ ノーウッド~キャンベルタウン 145km
1月24日 第4ステージ アンリー~ビクター・ハーバー 148.5km
1月25日 第5ステージ マクラーレン・ベール~ウィランガ・ヒル 151.5km
1月26日 第6ステージ アデレード市街地周回コース 85.5km

一昨年のウィランガ・ヒルでは、アレハンドロ・バルベルデ(モビスター チーム)がサイモン・ゲランスとの争いを制した一昨年のウィランガ・ヒルでは、アレハンドロ・バルベルデ(モビスター チーム)がサイモン・ゲランスとの争いを制した

 スプリンターのためのステージレースと言われてきた大会だったが、昨年から難度の高い山岳ポイントが設定され、総合争いはパンチャーやアタッカー向きとなった。今回は、ゴール前約7.5kmにモンタキュートの丘が待ち受ける第3ステージが最初のヤマ場だろう。第2ステージ、スターリングの上りスプリントでもこれまで数多くのドラマが起こっており、この2日間で何らかの動きがあるはずだ。

 そして、おなじみのウィランガ・ヒルは第5ステージに登場。終盤に2回の上りが待ち受ける。特に2回目は、頂上ゴールを目指す戦いとなる。ここを制した選手が総合優勝を大きく手繰り寄せる、名実ともにクイーンステージにふさわしい舞台だ。

スプリントステージでの注目は、“ミスター・ダウンアンダー”グライペルだスプリントステージでの注目は、“ミスター・ダウンアンダー”グライペルだ

 スプリンターにとっては、顔見せの意味合いが強いピープルズ・チョイス・クラシックを含め、4回はゴールスプリントのチャンスがある。最大の注目は、アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)。大会通算14勝、総合優勝2回を誇る“ミスター・ダウンアンダー”。昨年、一昨年と4勝ずつを挙げており、ほぼベストメンバーで臨む今回も期待がかかる。

 続くのは、マルセル・キッテル(ドイツ、チーム ジャイアント・シマノ)、エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、キャノンデール プロサイクリングチーム)ら。一部関係者の間では、ロベルト・フェラーリ(イタリア、ランプレ・メリダ)のコンディションが良いと評判だ。また、デビュー戦となるリック・ツァベル(ドイツ、BMCレーシングチーム)、先のオーストラリア選手権ロードでU23カテゴリーを制した19歳のカレブ・ユアン(UniSA・オーストラリア)も若手有望株。

 前回優勝のトムイェルト・スラフトール(オランダ、現ガーミン・シャープ)が欠場。総合争いは、12日のオーストラリア選手権ロードを制したサイモン・ゲランス(オリカ・グリーンエッジ)、同じく2位のカデル・エヴァンス(BMCレーシングチーム)、3位のリッチー・ポート(チーム スカイ)が中心となるだろう。3人とも順調すぎるほどの仕上がりを見せている。

チームプレゼンテーションで復帰する喜びを語ったフランク・シュレク(左)チームプレゼンテーションで復帰する喜びを語ったフランク・シュレク(左)

 総合力のあるロベルト・ヘーシンク(オランダ、ベルキン プロサイクリングチーム)、ローハン・デニス(オーストラリア、ガーミン・シャープ)、昨年総合2位のハビエル・モレノ(スペイン、モビスター チーム)、同3位のゲラント・トーマス(イギリス、チーム スカイ)の走りも楽しみ。

 今回のトピックとも言える、フランク・シュレク(ルクセンブルク、トレック ファクトリーレーシング)の復帰戦としても注目が集まる。イェンス・フォイクト(ドイツ)らをしたがえて、どこまで戦えるか。

 日本人ライダーでは、一昨年、昨年の宮澤崇史(当時チーム サクソ・ティンコフ)に続き、新城幸也(チーム ヨーロッパカー)が出場。3年連続で日本勢の勇姿を見ることができる。エースのトマ・ヴォクレール(フランス)とともに、チームの第1カテゴリー復帰の船出を飾ることができるか。展開次第では、新城にもチャンスが巡ってくることも十分に考えられる。

ブエルタ・ア・エスパーニャ2014 8つの頂上ゴールが勝負を分ける

 11日に発表されたブエルタ・ア・エスパーニャのコースも押さえておきたい。

 ブエルタと言えば頂上ゴールの難易度が毎年話題に挙がるが、今回は8つと、ブエルタにしては少なめ(昨年は12)。主催者も「低めの難易度に設定した」とコメント。とはいえ、山岳ステージにカテゴライズされるのが13ステージと、“ブエルタらしさ”は失っていない。

ブエルタ・ア・エスパーニャ2014 第6ステージ コースプロフィール ©UNIPUBLICブエルタ・ア・エスパーニャ2014 第6ステージ コースプロフィール ©UNIPUBLIC

 今年は8月23日から9月14日の日程で開催。スペイン南部アンダルシア州ヘレス・デ・ラ・フロンテーラでのチームタイムトライアル(12.6km)で幕を開ける。テクニカルなコースが設けられる予定だ。

 しばらくは南部を走り、第8ステージ(207.4km)から東部を北上する。その間、第6ステージ(157.7km)の1級山岳ラ・スビアが大会最初の頂上ゴールに。第1週は日替わりでマイヨロホ(個人総合時間賞)着用者が出てくることになりそうだ。

 総合争いに動きがあるのは第2週からと見られる。第10ステージの個人タイムトライアル(34.5km)で有力選手に差が生まれることは必至。

ブエルタ・ア・エスパーニャ2014 第14ステージ コースプロフィール ©UNIPUBLICブエルタ・ア・エスパーニャ2014 第14ステージ コースプロフィール ©UNIPUBLIC

 勝負の行方は第14ステージからの山岳3連戦に委ねられることに。その第14ステージ(199km)の頂上ゴール、ヴァッレ・デ・サベーロはラスト3kmで最大勾配24%に到達。超級山岳コバドンガを目指す第15ステージ(149km)、1級山岳が5つ登場するゴールする第16ステージ(158.8km)は、いずれもレース距離が短く、ハイスピードバトルが予想される。ここで形勢が見えてくることだろう。

ブエルタ・ア・エスパーニャ2014 第20ステージ コースプロフィール ©UNIPUBLICブエルタ・ア・エスパーニャ2014 第20ステージ コースプロフィール ©UNIPUBLIC

 第3週は、ガリシア州が舞台。第20ステージ(163.8km)に、超級山岳プエルト・デ・アンカレスの頂上ゴールが待ち受ける。総合優勝争いは、この地でほぼ決定するだろう。

 最終第21ステージは、キリスト教の聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラでの10km個人タイムトライアル。久々にマドリードを離れての閉幕となる。総合上位陣が僅差であれば大逆転もあり得るが、距離からして数秒から数十秒の差の変動が精一杯だろう。実際のところは、3週間を走り抜いた勇者の行進といったところか。

 総距離は3181.5km。スプリンター向けとされる平坦ステージは5つ。そのほとんどが風の影響を受けやすいコースのため、必ずしもスプリントフィニッシュになるとは限らない。また、ピレネー山脈やアンドラに立ち寄らないのも特徴。出場選手は今後徐々に明らかになるが、大会閉幕から約1週間後に、同じスペイン・ポンフェラーダで開催されるロード世界選手権を見据える選手たちが多く集まることが予想される。

■ブエルタ・ア・エスパーニャ2014ルート

8月23日 第1ステージ ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ~ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ 12.6km(チームタイムトライアル)
8月24日 第2ステージ アルへシラス~サン・フェルナンド 174.4km
8月25日 第3ステージ カディス~アルコス・デ・ラ・フロンテーラ 188km
8月26日 第4ステージ マイレナ・デル・アルコール~コルドバ 172.6km
8月27日 第5ステージ プリエゴ・デ・コルドバ~ロンダ 182.3km
8月28日 第6ステージ ベナルマデナ~ラ・スビア 157.7km(1級山岳頂上ゴール)
8月29日 第7ステージ アレンディン~アルカウデテ 165.4km
8月30日 第8ステージ バエサ~アルバセテ 207.4km
8月31日 第9ステージ カルボナレス・デ・グアダサオン~アラモン・ヴァルデリナレス 181km(1級山岳頂上ゴール)
9月1日 休息日
9月2日 第10ステージ レアル・ルナステリオ・デ・サンタ・マリア・デ・ヴェルエラ~ボルハ 34.5km(個人タイムトライアル)
9月3日 第11ステージ パンプローナ~サントゥアリオ・デ・サン・ミゲル・デ・アララル 151km(1級山岳頂上ゴール)
9月4日 第12ステージ ログローニョ~ログローニョ 168km
9月5日 第13ステージ ベロラド~オブレゴン、 パルケ・デ・カバルセノ 182km
9月6日 第14ステージ サンタンデール~ラ・カンペローナ、ヴァッレ・デ・サベーロ 199km(1級山岳頂上ゴール)
9月7日 第15ステージ オヴィエド~ラゴス・デ・コバドンガ 149km(超級山岳頂上ゴール)
9月8日 第16ステージ サン・マルティン・デル・レイ・アウレリオ~ラ・ファラポナ 158.8km(1級山岳頂上ゴール)
9月9日 休息日
9月10日 第17ステージ オルティゲイラ~コルーニャ 174km
9月11日 第18ステージ ア・エストラーダ~ルント・カストロヴェ、メイス 173.5km(2級山岳頂上ゴール)
9月12日 第19ステージ サルバテーラ・デ・ミーニョ~カンガス・ド・モラーソ 176.5km
9月13日 第20ステージ サント・エステヴォ・デ・リバス・デ・シル~プエルト・デ・アンカレス 163.8km(超級山岳頂上ゴール)
9月14日 第21ステージ サンティアゴ・デ・コンポステーラ~サンティアゴ・デ・コンポステーラ 10km(個人タイムトライアル)

今週の爆走ライダー-キャメロン・メイヤー(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)

「爆走ライダー」とは…

1週間のレースの中から、印象的な走りを見せた選手を「爆走ライダー」として大々的に紹介! 優勝した選手以外にも、アシストや逃げなどでインパクトを残した選手を積極的に選んでいきたい。

 1月12日のオーストラリア選手権ロードレース、最後の1周で見せたアタックは、ライバルを消耗させるのに十分だった。残り3.8kmで吸収はされたが、その後態勢を整え、エースのサイモン・ゲランスをゴールに解き放つ最高のアシストを見せた。

トラック世界選手権で数々のメダルを獲得してきたキャメロン・メイヤートラック世界選手権で数々のメダルを獲得してきたキャメロン・メイヤー

 この日は、前半から有力選手の逃げをチェックし続けるなど、大車輪の働きだった。順位こそ4位だったが、称賛に値する走りだと誰もが認めた。

 ジュニア時代は、1年間でトラックとロードの中長距離種目すべてでオーストラリアチャンピオンジャージを獲得する離れ業を演じた。以降、トラック世界選手権ではマイヨ・アルカンシエル6枚を含む、計11個のメダルを獲得している。

 2009年に本格転向したロードもだいぶ板に付き、今では「カデル・エヴァンスの後継者の1人」と言われるほどのオールラウンダーとなった。1週間程度のステージレースでは総合トップ10の常連になっており、これからはグランツールへの期待がかかる。得意とするタイムトライアルで、どれだけライバルとの差を稼げるかがポイントだ。

 プロ6年目となる真価のシーズン。2011年に総合優勝したツアー・ダウンアンダーは欠場。調整を経た春以降の走りには、大いなる可能性が秘められているはずだ。トラックで栄光を極めた“オーストラリア自転車界の至宝”は、ロードでもブレイクする日が近づいてきている。

ツアー・ダウンアンダー2011で総合優勝。今シーズンはさらなるブレイクが期待されるツアー・ダウンアンダー2011で総合優勝。今シーズンはさらなるブレイクが期待される

文 福光俊介

福光俊介
福光俊介(ふくみつ・しゅんすけ)

自転車ロードレース界の“トップスター”を追い続けて十数年、気がつけばテレビやインターネットを介して観戦できるロード、トラック、シクロクロス、MTBをすべてチェックするレースマニアに。2011年、ツール・ド・フランス観戦へ実際に赴いた際の興奮が忘れられず、自身もロードバイク乗りになる。自転車情報のFacebookページ「suke’s cycling world」も充実。本業は「ワイヤーママ徳島版」編集長。

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