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福光俊介の「週刊サイクルワールド」<44>ツール連覇に向け絶対王者フルームが動き出す ジロのエースはポート チーム スカイ 2014シーズン展望

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 新たな1年がスタートし、ロードレースシーズンの幕開けも近くなってきた今日この頃。各チーム、新体制の発表や温暖な場所での合宿など、動きが慌ただしくなりつつあります。このコーナーでは、昨年末から引き続き注目チームの展望や動向をお届けしていきます。2014年の最初は、大注目のチーム スカイを紹介します。

“ツール7連覇”へ歩むフルーム ポートの株が急上昇

 昨年、ツール・ド・フランスを筆頭に、出場したステージレースのほとんどで総合優勝を果たし、プロトンの絶対王者の地位を固めたクリストファー・フルーム(イギリス)。あまりの強さにさまざまな噂が飛び交ったが、そうした声をよそにツールの連覇を目指し動き出す。「薬物なしに自らの力だけでツールを7連覇できることを証明したい」と宣言し、クリーンなライダーの旗手になろうという強い意志も芽生えている。

絶対王者フルームが、ツール7連覇へ向けて次のステップを踏み出す(ツール・ド・フランス2013)絶対王者フルームが、ツール7連覇へ向けて次のステップを踏み出す(ツール・ド・フランス2013)

 2009年に地元のケニアで感染したビルハルツ住血吸虫(寄生虫に感染する病気)は、この冬に完治。これまでコンディション調整に苦しめられるケースもあったが、体調の不安なく、よりレースに集中ができるだろう。

 昨年末にスペインメディアが、「スカイのツールメンバーはほぼ決定状態にある」と報道。真偽のほどは定かではないが、実際のところはツールのメンバー候補は14~15選手いると言われている。

フルーム(左)との確執が度々話題に上がったウィギンスだが、今年のツールはアシストとして働く(ツール・ド・フランス2012)フルーム(左)との確執が度々話題に上がったウィギンスだが、今年のツールはアシストとして働く(ツール・ド・フランス2012)

 なかでも、2012年のツール以降、たびたび共存の難しさを伝えられてきたブラッドリー・ウィギンス(イギリス)だが、今シーズンはアシストとして働きたいとの意向を示している。2016年のリオデジャネイロ五輪ではトラック種目での出場を目指すとし、今シーズンをもってロードからは引退、そして来シーズンからのトラック再転向となる運び。今年はツールのほか、個人タイムトライアルで悲願のマイヨ・アルカンシエル獲得となるか。噂されるアワーレコード挑戦についても、動向が注目される。

 特に力のある山岳アシストとしては、ピーター・ケノー(イギリス)や、セルジオルイス・エナオ(コロンビア)、ヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ)らの名前が挙がる。ケノーやエナオは、アルデンヌクラシックのエース候補とも言われている。また、前半に設けられるパヴェステージのアシスト要員としては、ゲラント・トーマス、イアン・スタナード(ともにイギリス)、エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー)らが有力だ。

フルームをアシストしながら実力を示したポートが、今年のジロでは優勝候補だ(ツール・ド・フランス2013)フルームをアシストしながら実力を示したポートが、今年のジロでは優勝候補だ(ツール・ド・フランス2013)

 ツールメンバー候補に目が行きがちのチームだが、その一方でこのシーズンオフはリッチー・ポート(オーストラリア)の株が急上昇している。海外のジャーナリストたちからの推す声が大きい。

 ポートは早くから「2014年のターゲットはジロ・デ・イタリア」と明言し、チームも最善のサポートをする構えを見せる。ジロ公式サイトでも総合優勝候補の1人にピックアップし、注目度が増す一方だ。

 今シーズンは、1月12日のオーストラリア選手権ロードレースでシーズンイン。1週間後に開幕するツアー・ダウンアンダーにも参戦し、例年より早めの調整に着手する。オーストラリア選手権では優勝候補に挙げられており、グリーンとゴールドのラインが入るチャンピオンジャージの獲得があるかもしれない。まずは、1月中の走りをチェックしていきたい。

 ジロについては、総合力の高いダリオ・カタルドや、昨年マリアローザを着用したサルヴァトーレ・プッチョ(イタリア)らがアシストを務めることだろう。

クリテリウムで2位に入ったアイゼル。日本のファンに、スプリント力を披露した(ジャパンカップ・サイクルロードレース2013)クリテリウムで2位に入ったアイゼル。日本のファンに、スプリント力を披露した(ジャパンカップ・サイクルロードレース2013)

 どこからでも勝利を狙うことのできる、層の厚さが自慢のチームだけに、予想外のヒーローが生まれる可能性もあるだろう。昨年のジャパンカップ・サイクルロードレースで日本のファンをとりこにした、ベルンハルト・アイゼル(オーストリア)やジョセフロイド・ドンブロウスキー(アメリカ)、ダビ・ロペス(スペイン)といった面々の今年の動向もぜひ追いかけていこう。

2014年シーズン UCIワールドツアー日程

 シーズンインを目前に、今年のUCIワールドツアーの日程を押さえておきたいと思います。開幕戦は、おなじみのツアー・ダウンアンダー。最終戦はツアー・オブ・北京と、10カ月にわたる長いシーズン。「いつ、どんなレースがあるの!?」という方は、ぜひカレンダーや手帳に書き記しておきましょう!

■2014年シーズン UCIワールドツアー日程
1月21日~1月26日 サントス・ツアー・ダウンアンダー(オーストラリア)
3月9日~16日 パリ~ニース(フランス)
3月12日~18日 ティレーノ~アドリアティコ(イタリア)
3月23日 ミラノ~サンレモ(イタリア)
3月24日~30日 ヴォルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ(スペイン)
3月28日 E3ハーレルベーケ(ベルギー)
3月30日 ヘント~ウェヴェルヘム(ベルギー)
4月6日 ツール・デ・フランドル(ベルギー)
4月7日~12日 ブエルタ・シクリスタ・アル・パイス・ヴァスコ(スペイン)
4月13日 パリ~ルーベ(フランス)
4月20日 アムステル・ゴールドレース(オランダ)
4月23日 ラ・フレーシュ・ワロンヌ(ベルギー)
4月27日 リエージュ~バストーニュ~リエージュ(ベルギー)
4月29日~5月4日 ツール・ド・ロマンディ(スイス)
5月9日~6月1日 ジロ・デ・イタリア(イタリア)
6月8日~15日 クリテリウム・デュ・ドーフィネ(フランス)
6月14日~22日 ツール・ド・スイス(スイス)
7月5日~27日 ツール・ド・フランス(フランス)
8月2日 クラシカ・シクリスタ・サン・セバスティアン(スペイン)
8月3日~9日 ツール・ド・ポローニュ(ポーランド)
8月11日~17日 エネコ・ツアー(ベルギー、オランダ)
8月23日~9月14日 ブエルタ・ア・エスパーニャ(スペイン)
8月24日 ヴァッテンフォール・サイクラシックス(ドイツ)
8月31日 GPウエストフランス・プルエー(フランス)
9月12日 グランプリ・シクリスト・ド・ケベック(カナダ)
9月14日 グランプリ・シクリスト・ド・モンレアル(カナダ)
10月5日 イル・ロンバルディア(イタリア)
10月10日~14日 ツアー・オブ・北京(中国)
 
全28戦
※大会名はUCIの発表に基づく

今週の爆走ライダー-マシュー・ゴス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)

「爆走ライダー」とは…

1週間のレースの中から、印象的な走りを見せた選手を「爆走ライダー」として大々的に紹介! 優勝した選手以外にも、アシストや逃げなどでインパクトを残した選手を積極的に選んでいきたい。

 ジュニア時代にトラックで名を馳せ、20歳のときにチームCSCでプロデビュー。順調に階段を上ったHTC・ハイロード時代の2011年、ミラノ~サンレモ優勝。コペンハーゲンでの世界選手権ロードレースでも銀メダルを獲得。2012年の現チーム立ち上げ時には、目玉ライダーの1人とされた。

2013年はティレーノでのステージ1勝のみに終わったゴス(ティレーノ~アドリアティコ2013)2013年はティレーノでのステージ1勝のみに終わったゴス(ティレーノ~アドリアティコ2013)

 しかし、この2年間は勝利量産とはいかなかった。2012年こそジロ・デ・イタリアでステージ1勝を挙げたが、肝心のスプリントで精彩を欠くことが多かった。2013年にいたっては、個人では1勝したのみ。

 今シーズンに向けては、トレーニングプログラムを変更。レーススケジュールも、最も成功を収めた2011年当時に戻すという。スプリント力もさることながら、登坂力があることから、細かいアップダウンがあるようなコースで勝利を狙う構えだ。

 年明けに開催された自国の国内シリーズ、ミケルトン・ベイ・クラシック(UCI非公認)では、第2ステージで勝利。早速、アプローチが奏功したようだ。新たな発射台としてコンビを組むリー・ハワード(オーストラリア)との息も合い、シーズンに向けて好感触をつかんでいる。

好調時のスプリント力が蘇れば、勝利量産も可能だ(ミラノ~サンレモ2011)好調時のスプリント力が蘇れば、勝利量産も可能だ(ミラノ~サンレモ2011)

 ゴスといえば、現在27歳とは思えない貫録のある雰囲気がファンの間でネタに挙がる。とはいえ、走り自体はまだまだ老け込むような年齢ではないし、もう一歩飛躍できるはずだと筆者は見ている。今年は、これまでと違った彼の姿に期待していきたい。

文 福光俊介・写真 砂田弓弦

福光俊介
福光俊介(ふくみつ・しゅんすけ)

自転車ロードレース界の“トップスター”を追い続けて十数年、気がつけばテレビやインターネットを介して観戦できるロード、トラック、シクロクロス、MTBをすべてチェックするレースマニアに。2011年、ツール・ド・フランス観戦へ実際に赴いた際の興奮が忘れられず、自身もロードバイク乗りになる。自転車情報のFacebookページ「suke’s cycling world」も充実。本業は「ワイヤーママ徳島版」編集長。

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